「マイナ〜アニメ館」
マイナーなアニメの感想など。
〜の番外編です〜

(御注意!ネタバレ有です)
 
PIXDVD vol.1  
年代: 2003年日本


1)はじめに

 5ユニットからなるアーティスト集団の独自レーベルの3DCGショートストーリー・アニメーション作品集。3DCGによる子供向けの絵本のようなものを目指したとの由。



2)物語

ヒポたん
 カバの子ども、ヒポたん。ある日、ヒポたんはウンチをしにトイレに行くがそこに紙は無かった。さてどうする・・・。

ちいさなおくりもの
 ひとりぼっちの小さなおんなのこ「アキちゃん」はふとしたきっかけで古い型のロボットと出逢う。ロボットはアキちゃんに「ロッポ」という名前をもらって楽しく暮らし始めるが・・・。

サルチン 〜やっぱり朝はラジオ体操の巻〜
 サルの「サルチン」は朝のラジオ体操でもらえるスタンプを集めるのが好き。ついにスタンプがカード一杯になる朝、彼はなんと寝坊をしてしまった・・・。

角熊
 森にすむ頭の四角い熊「角熊」のとある一日。

王様と小さな家来たち
 森の中、お城へ帰る途中の王様と小さな家来たちは道に迷ってしまいました・・・。

ひげ蛙と子兎忍者
 修行に励むひげ蛙と子兎忍者。とある雨の日の二人の修行の結果は・・・。

インディアン チャダ
 インドのとある釣師「チャダ」。愛する奥様の「ヨランダ」のためにも今日もガンジスに吊りに出かけるが・・・。

他・メイキングなど。


3)感想

 五人からなるアーティスト集団が自らの作品を世に問うべくレーベルを造り市販した3DCGによるショート・ストーリー集です。

 当サイトを永く御覧戴いている向きには改めて申し上げるまでも御座いませんが、拙頁の趣旨としてまずもって様々な作品が造られ多くの方々の目に触れる機会が出来ているというのが望ましい事であると考えていますので、本編のリリース
を実現なさった事に対しまして関係各位の御尽力に敬意を表させて戴きますと共に、一アニメファンとしてあつく御礼申し上げます。

 さて、その御尽力とは別に、拙サイトとして各作品についての印象を以下に述べさせて戴きます。その大前提として、こちらのDVDは製作者の方の御言葉によります「3DCGによる子供向けの絵本のようなものを目指した」との弁を拙サイト的に咀嚼した上となります。
 全般に音声についてやや厳しいものを感じている文章となっておりますが、これは拝見した会場の設備上の問題かもしれませんので、ある程度割り引いて戴いた方が宜しいかもしれません。

ヒポたん
 カバの子ども、ヒポたん。だそうですが画面を観ていた限りでは「カバの子ども」とは判りませんでした。フライアーの文面を拝見して初めて判った次第です。もう少し判りやすいキャラクター・デザインを御願いしたいようにも感じますがそれはさておき。まぁ、(ス○トロ的に)ストレートな内容ではありますので顔をしかめる向きもあるかもしれませんが普通に拝見できる内容ではあります。
最も残念なのは音声でしょうか。失礼ながら自主映画水準かな、と訝しがられる懸念がありそうです。音声を含めた耳に入る情報は、例えば地上波に乗るCMであってもアレな水準のものは素人にも指摘可能な方面ですから、もう少し気を遣って戴けると嬉しかったです。

ちいさなおくりもの
 拙サイトとしては本作は当DVD中出色の作品であると感じています。音声は無し、BGMのみの字幕です。作者さんは音声を付けたほうが良かったかな?なる旨をおっしゃっておられましたが、 そこそこの水準であれば無しのほうが全体としての完成度は上がりますので、現状のままで十分と感じました。また、人形による劇を撮影したかの如き画面はとても画像処理の効果も相俟ってとても可愛らしく、心温まる質感で纏まっています。少女とロボットのキャラクター・デザインも好ましく、なにも申し上げる事は御座いません。物語についてはややダークな印象もあり、「そう来ますか」な印象の明るくない話です。ですが、翻ってみれば物語としての纏まりは本DVD中最もしっかりしていると感じられ、あまり苦言を申し上げたくない所です。
 繰り返しになりますが、短編として纏まった物語となっていますので是非こういった作品を拝見したいものです。しかもキャラクター・デザインもある種安心感と纏まりが感じられるので当サイト的にはこの一編が最もオススメです。

サルチン 〜やっぱり朝はラジオ体操の巻〜
 所謂、3DCGアニメの王道的キャラクターによる作品です。背景のデザインなどは所謂TVの教育番組の人形劇などからの援用でしょうけれども、さすればとっつきやすいのではないでしょうか。物語はある朝の出来事を描いたもので、大きな盛り上がりなどはさして感じませんでした。本作も残念なのが音声で、今一はっきりとしていないように感じました。

角熊
 敢えて申し上げるならキャラクターによる可愛いらしさとグリム的ダークさを併せ持った作品。 ”一部危険な表現が〜”云々あるとおりなのですが、例えばグリム童話は言うに及ばず昔話などもストレートな文脈があり、それがある種の示唆・教訓としての機能となっているので、ここを焦点にするべきではないでしょう。逆に永い時間をかけて熟成されてきた昔話を数年単位の価値観で安易に改変し、示唆・教訓としての機能を剥奪する昨今の風潮こそ憂うべきでしょう。さて、本編は3DCG作品に多く見られがちなカメラ・アングルの動き回りが多数感じられます。自由なカメラ・アングルは3DCGの特性の一つですが、それを少し抑えるだけで見易い(=とっつきやすい)映像になるのではないでしょうか。また、音声を与えていないのも好ましく感じられ、短編として纏まっているように感じました。


王様と小さな家来たち
 見終わった瞬間”え、それで?”と感じてしまう物語です。続編が予定されているそうですので、そちらも是非拝見したいものです。キャラクター・デザインは個性を感じますが、いかんせん画面の彩度が暗めなのがちょっと気になります。こちらも音声が入っていないのが結果的に作品全体にまとまりをもたらしたようです。

ひげ蛙と子兎忍者
 アクションの動きがやや判りづらいのが難点でしょうか。ただし、和風の味わいを取り入れたキャラクター・デザインは興味深いもので、新たな可能性を感じます。本編も画面がやや暗く、彩度を抑えた感じとなっているのがやや残念です。

インディアン チャダ
 紙の素材感を取り入れた画面。そして人形芝居の如き構成は興味深い世界観を提示しています。本編も見終わった瞬間”え、それで?”と感じてしまう物語なのはやや残念でした。また、やや聞き取りづらい音声はどうなのでしょう、意欲はとても良く判るのですがちょっともったいなかったかもしれません。

 昨今のアニメーションを巡る状況として、例えば自主で作品を制作なさっている方は多いのでしょうけれど、それが広く一般の目にとまる機会が少ないのように感じるのは残念なものです。例えばアマチュアのCGアニメ・コンペティションなどでは作品集が発売されていたりもするようですが、それに類する何がしかの手法がプロフェッショナルな方々にとっても存在できればより好ましいのではないでしょうか。勿論ネットによる配信といった道も存在する訳ですが、本DVDはそういった状況に対する一つの解答ともとれ、まず第一歩を踏み出した事に対して応援申しあげたいというのが正直な思いです。願わくば、本DVDの続編が継続的に頒布され、多くの作家さん達の発表の場として定着することを期待して止みません。

 こちらのDVDはの作家さん達の作品集として、あるいは3DCGアニメーションの現在の一面として、興味のある向きにお薦めできるでしょう。



記述:2003-03-24