「マイナ〜アニメ館」
マイナーなアニメの感想など。
(御注意!ネタバレ有です)
 
TAMALA 2010 a punk cat in space  
年代: 2002年日本
監督: t.o.L


1)はじめに

 「ネコ銀河系宇宙」を舞台に可愛いネスネコ「タマラ」をめぐる不思議なSF風物語。アニメ。

 ”マイナ〜アニメ”というのは気が引けますが、御容赦を。



2)物語

 ネコ地球、中世のイタリア。荒廃した中でネコ郵便配達が手紙を届けていた。 手紙に書かれた不可解なメッセージ。

 時代は変わり、世界経済の大部分をCATTY & Co.により統括された2010年、TOKYO・MEGURO-CITY。アパートに住むメスネコ「タマラ」は、突如愛車(ロケット)でオリオン座エデッサ星へと向かう。だが宇宙空間を航行中に隕石が衝突、Q星へと不時着。そこで出逢ったオスネコ「ミケランジェロ」をナンパする。
 Q星は不安と暴力が街に溢れ、人々は 何かを切望するかのようであった。しかも不思議なことに多くの幼い子供達は夢に謎のロボットの姿を見ていた。

 そんなことは一切気にせず、タマラはミケランジェロとデートをするが。。。


3)感想
 まずはじめに。
  画一的ではなく、さまざまなアニメーション表現が試みられ、かつそれを視聴できる状態というのが製作者、観客にとって幸せな状態であると感じていますので、本編のような作品が現れるという事自体好ましいことであると思います。

 絵柄や広告手法からみて本作は所謂”アニメ”好き向けには作られていないようで、それはそれで興味深いものです。日本の”アニメ風味”な表現は海外ではそこそこの評価があるようですし、国内でもサブ・カルチャー的感覚で捉えられだして久しくなっています。おそらくこのあたりを狙ったのでしょう。”アニメ”好きが好む作品とサブ・カルチャー路線のものは微妙に風味が異なり、ある種相容れない状態であり、かつ個人的な趣味もあるので主人公「タマラ」が可愛いと感じるかは人それぞれでしょう。
 個々の映像やらは興味深いものもあるのですが、総じて既視感のあるもので驚きはないかもしれません。おおむね安心して観ていられるといえるでしょう。全編に色々な映像やらへの憧れのようなものを感じることができ微笑ましいのですが、やや生煮え状態、それを作品として提示するのはいかにも熟成不足でした。

 物語はあるのですが、ややとっつきにくいでしょうか。未整理の感があります。丁寧に納得させるでもなく、強引に進めるのでもないので、観る側としては少々辛いものがあります。説明は殆どが台詞というのもある意味強力です。
 つまるところ、色々な関連商品を展開する核となる作品、起立すべき物語とキャラクターを自ら揶揄しつつ提示しているのでしょうけれども、それでどうなるものでもないのではないでしょうか。どうしたいのでしょうか?とこちらから問いかけたくなってしまいます。

 製作にあたった「t.o.L」はミュージシャンだそうですが、映像にあてる音楽の使用法はもっと丁寧でしかるべきでしたでしょう。演出上断絶感を与える為に”ぶっつりと”音楽を切るのはありだとは思いますが、そうでない場面に於いて楽曲の展開をなおざりにするのは如何なものかと。少なくともチラシにある”音楽と映像のシンクロ”は果たされていないようです。いや、自分の楽曲はそういった扱いされても構わないよ、というのでしたら結構です。
 音楽は時間とともに変遷する旋律によって物語を描いてゆきますので、適切な用い方をすれば映像世界をより強く表現する為の有用な手段ですが、雑に使えば逆の効果をもたらします。本サイトでは音楽の用い方に疑問を感じる作品はあまり好意的にとりません。それは筆者が音楽が好きだから、というだけではなく、無頓着な作品が横行していることに疑問を感じるためです。せっかくある有効な手段を使い切らず、逆の効果をもたらすような用い方をするというのは作品に対する姿勢としてどうなのでしょうか。
 なお、残念ながら作品中用いられる楽曲に新鮮味は感じませんでした。それも既聴感を大切にした結果と信じたいものです。

 全編に於いて、ズレ具合を含め判ってやっていると思しき内容のほぼ全てが力及ばずか滑っているように感じられる作品というのはなかなか出会えるものではなく、貴重な経験となりました。

 概ね、映像に魅力を感じるか、アニメーション表現に興味のある向きにはお勧めできるやもしれません。

4)必要ないと思いますが付記

 パンフレットは\800.-とやや高価ですが、エディトリアル・デザインは良好です。本作に於いてはこれが一番お勧めできるかもしれません。購入なさらずとも、サンプルを観ることをお勧めいたします。


記述:2002-10-24