「マイナ〜アニメ館」
マイナーなアニメの感想など。
(御注意!ネタバレ有です)
 
ウェイキング ライフ  
年代: 2001年アメリカ
監督: リチャード・リンクレイター
時間: 1時間41分


1)はじめに

 個性的な映像が注目を集めたアニメーション作品。内容は大枠では自分探しと、夢と現実の関わりについて。
  確かに日本のアニメとは一味違います。



2)物語

 家の庭で折り紙遊びをする少女と少年。少年は一人になった折にふと空中へと舞い上がってしまう。

 電車内でうたた寝をする青年。電車は駅に着き青年は降りるが迎えは来ていない。駅でボートの形をした車に乗せてもらう青年だが。

 青年は様々な人と出遭う。そして様々な事を聞く。存在とは、現実とは、人とは。そして夢と現実とは。青年はそんな中ふと思いつく。これは夢なのだろうかと。疑問を持ちつつも答えを探すかのようにさらに多くの人々に遭い続ける青年だったが。。。


3)感想

 まずはじめに。
 さまざまなアニメーション表現が試みられ、視聴できる状態というのが製作者、観客にとって幸せな状態であると感じていますので、本編のような作品が現れるという事自体好ましいことであると感じます。

 物語は平たく言うと一種の自分探しの旅のような内容ですが、そういう事柄に興味が無い場合は辛いものがあるでしょう。また全編に文化人・知識人達の演説まがいの熱い台詞が畳込まれますが敢えて追いかける必要は無いかもしれません。どこかで聞いた記憶があるような高説はいまさらという感が無きにしも非ずですし、それ以前に”未だに自分探しで映画ですか”という基本的な印象も捨てがたいものがあります。尤も個々の高説はその話序盤でだいたい何を訴えたいか感じられるような塩梅ですし、掴みづらくても字幕を追い掛ければ大体において把握できるのではないでしょうか。勿論、こういうやりとりが好きならば十分に楽しめるでしょう。
 本作においては夢と現実の関わりについて焦点が当てられていますが、東洋の物語ではよく見られる内容なので、それ自体については目新しいものは感じないかもしれません。どちらかといえば東洋的視点について、漸く西洋が理解、もしくは発見しつつあるといった印象でしょうか。

 さて、本作のように”色々な人の意見を聞く”という映像を生で映すとかなり厳しいものがあるのですが、そこを独特のアニメーション表現にて切り抜けたといった感があります。勿論”夢の中”といった感を表すのに選択された表現でもあるのでこれはこれで興味深いものです。また、近代絵画の初期、具象から抽象へ移行する過程にみられた表現を彷彿する部分もありますので、所謂”油彩アニメーション”の変形といえるかもしれません。
 もっとも、発言内容を画面中に描くといった部分があるのは、日本のTV放送で実写に漫画的表現を付加する表現を見慣れた目にはややいまさら
かもしれないでしょう。

 全編で画面が揺れるので、目が疲れている折には厳しいものがあります。徹夜明けは避けたほうが懸命かもしれません。また、フライアーに描かれている場面は瞬間的に登場するものも数多く、字幕にばかりに意識を集中していると見逃してしまう可能性がありますので、留意したほうが宜しいでしょう。
 いずれにして映像表現としてかなり興味深いので一見の価値は十分にあるといえるでしょう。

 概ね、映像に魅力を感じるか、アニメーション表現に興味のある向きにはお勧めできるでしょう。2002年末前後あたりで未見であれば観ておいたほうが良いのではないでしょうか。


4)必要ないと思いますが付記

 さて、”海外で新しい表現の映像が生まれると半年位で似た作品が日本に現れる”などと言われて久しいのですが。今回の場合は「市川 藍」の「Q-TEE」という楽曲のビデオクリップがまず挙げられ、こちらは3DCGアニメの「プラトニック チェーン」のエンディングに放映されています。2002/12/06放映分は異なっていました。月が変わって差し替えになったのかは現在不明です。
 実のところ映像作品などは相互引用(あるいは互いの刺激)によって進化してゆく側面があるので、直ちに否定的な捉え方をするのは避けるべきといえるでしょう。映像的には「プラトニック チェーン」と「ウェイキング ライフ」の中間ですが、どちらかといえば「ウェイキング ライフ」寄りに位置するかの如くとなっています。ビデオクリップとしては(アニメーション部分が)興味深い一本ですので機会があれば是非御覧下さいませ。

 劇場たる恵比寿ガーデンシネマは、ここでの単館上映ということもあるのでしょうけれども、そこそこ賑っていたのが印象的でした。 こちらは結構ユニークな作品(いや、マイナーというべきか)を上映しますが、選択したかいがあったということになると宜しいのですが。


訂正:2002-12-06