「懐かシネマンガ」
懐かしいアニメや漫画や映画やらの感想など。
(御注意!ネタバレ有です)
 
超時空騎団サザンクロス  
時代: 1984
放送:

毎日放送


1)はじめに
 惑星グロリエを襲う異星人ゾルとの戦いを若い三人の女性兵士を通して描く、「超時空シリーズ」第三弾。一応、本作で「超時空シリーズ」は幕を閉じることとなります。


2)物語

 近くもないがそう遠くもない未来。「惑星グロリエ」は既に開発にめどのついた近隣の別星系の「惑星リベルテ」に次ぐ新たな植民地として開拓されてきた。人々が住む都市部を離れると荒野と砂漠が広がる過酷な環境ではあるが、ようやく資源・食料などの必需物資の自給も可能となりだしていた。
 そんな中、突如、惑星の上空に異星人「ゾル」の宇宙船団が現れ惑星ゾルの明渡しを要求する。到底受け入れられない要求を前に、惑星グロリエの民との間に止む無く戦争が始まってしまう。惑星グロリエの警備を掌るサザンクロス軍は独力で全く正体不明の敵、ゾルを向かえ撃たなければならなくなる。 突然の危機を迎えたサザンクロス軍。その中には多くの若者達がいた。奔放ながら持ち前の行動力で物事に立ち向かう、機械化された陸戦部隊を率いる「ジャンヌ・フランセーズ」、男勝りで姉御肌、宇宙戦闘のベテランの「マリー・アンジェル」、規律と職務に忠実な憲兵の「ラーナ・イザヴィア」。そしてジャンヌの部隊の面々。
 彼女ら彼らの前に現れるゾルの人型兵器「バイオロイド」のパイロット「サイフリート」とはいったい何者なのか。そして同じ姿をした者が常に三人いる「三位一体」のゾル人の秘密とは。ジャンヌの部下「ボウイ・エマーソン」と出逢ったゾルの「ムジカ(とムジエとムゼル)」は。
 激しい衝突の最中、若者達の運命は・・・。


3)感想

 「超時空要塞マクロス」に始まる「超時空シリーズ」第三弾にして最後の一編。やはり打ち切りでしょうか。第二段は「超時空世紀オーガス」。

 超時空シリーズというのは(既にあちこちで語り尽くされている事だとは思いますが)人型に変形するメカが登場するというのが基本にあるのでしょう。それに加えて話の中心が女性。マクロスではあまりに有名になったバルキリー(マクロスそのものも変形しますが)とリン・ミンメイ、早瀬未沙。方や本作は主人公三人の女性とスパルタスでしょうか。残念ながら変形メカという点では、それまでに多くの試みがなされていた関係もあり突出したデザインという事には至らなかったようです。本作では変形メカではなく、個々人が戦闘時着用するスーツ「アーミング・ダブリット」に力が注がれたようです。これはいうなれば宇宙服にある程度の強化服の機能を与えたもので、目的毎にデザインが異なり主要女性キャラ三人の着用するものは全て識別が出来るようになっています。
 その主要女性キャラは三人共に個性が明確です(注記01)ので、一人でも気になる登場人物がいれば全編楽しめるでしょう。残念なのはマリーが後半しばらくお休みがちになる事でしょうか。なお、女性の視聴者には美青年のサイフリートを、という狙いだったのでしょうけれども、このキャラクターの行動がどうにも解せません。物語の展開の上で、サイフリートなりの事情はあるにせよ物事をいたずらに混乱させているようにみられ、感情移入が難しくなっているように思います。

 物語は残念ながら多くの面で消化不十分となってしまっています。ゾルの三位一体の理由や、なぜ惑星グロリエに固執しなければならなかったのか、などなど。スーパーロボットものの場合、明快な理由付けは逆に世界観が狭くなるので難しい面があると思われますので、ここは敢えて力技で乗り切るべきだったのでしょう。今一歩、あるいは時間不足でした。
 ここで再び、本作は「超時空シリーズ」であることを思いおこす必要があります。同シリーズはSF・ロボットものの形を借りたラブコメという側面があり、いや、表立っては表明されなくてもこれが主といっても過言ではないでしょう。この観点からすれば主人公三人の恋話に時間が多く割かれるのは当然で、後半ではボウイの過激な行動に力点が移るのも解せます。とすれば、三人の恋物語により多く時間を割いても良かったのかもしれません、もちろんあまり戦闘シーンが少ないと玩具の売れ行きに響くかもしれませんので実際は兼ね合いが難しいところなのでしょう。

 尚、本作のBGMは当時流行していた洋楽のそれもTHE POLICE(Sting)の影響を色濃く受けているようです。軽めのパーカッションとドラムスに乗る跡を曳くギターという構成は今日でも楽曲そのもので楽しむ事ができます。逆にとれば(THE POLICEやがそうだという訳ではありませんが)エージーリスニングに寄った曲であるために、劇中の音楽としては弱かったかもしれません。恐らくは意欲的な試みだったのでしょうけれども、当時はその真意が汲み取られないまま過ぎてしまったのかもしれません。残念です。

 本作は物語に難はありますが、複数の女性キャラを主役に据えた構成など今日でも楽しめる要素があるのではないでしょうか。


4)必要ないと思いますが一応の注記

01)DVD-BOXのライナー・ノートによればキャラ原案は湖川友謙、クリンナップは北爪宏幸。なんと企画初期段階では内山亜紀によるキャラ原案が存在したそうです。



改定:2002-11-25