「たんかん座異聞」
映画をはじめとする映像作品などの感想を
サイト製作者の興味のおもむくまま追加しています。
(御注意!ネタバレ有です)
 
ガウディ・アフタヌーン  
原題:GAUDI afternoon
監督: スーザン・シーデルマン
時間: 97分


1)はじめに
 スランプ気味の翻訳家が金の為引き受けた仕事で巻き込まれるユニークな(失礼!)人達との一騒動を描くハートフル・コメディ。さり気無く舞台となるバルセロナ市街の観光ガイドにもなっているような作品。


2)物語

 スペイン・バルセロナ。世界中を転々とし、たまたまここに居座って翻訳の仕事で生活している(多分)独り者の女性の「カサンドラ」。現在彼女が引き受けている翻訳はラテンアメリカの作品で、母と娘の確執とそれを乗り越える物語。しかしカサンドラ自身が母との折り合いが良くなく家を飛び出していた経験があり仕事は一向にはかどらない。そんな中、突然尋ねてきた見知らぬ女性「フランキー」からもたらされた人探しの依頼を一旦は断るものの、生活費に窮する彼女は目の前に積まれた金額に心動かされ引き受けてしまう。フランキーの依頼は失踪した夫を探して欲しいというもの。フランキーの持ち寄った手がかりを元に、張り込みや写真撮影と探偵まがいのことまで手を染めるカサンドラ。
 幸い、失踪したという夫の姿らしきものを捉えたカサンドラだったが、一方相手は男、歳若い女性、ボーイッシュな女の三人で暮らしているらしかった。 写真を見てすぐさまフランキーは夫であると確認し、小切手を渡す。しかし、フランキーの意外な秘密を知り困惑する彼女。
 後日、生活費の支払いに小切手を充てるカサンドラだったが、なんと不渡り。激怒したカサンドラは今度は自らフランキーを探す事になるのだが・・・。


3)感想

 さて、日本で公開された2002年はガウディ生誕150年という節目にあたるそうです。お祝いとする何事やも企画されているそうですが、それはさておき、グッド・タイミングといったところでしょうか。本作は2000年アメリカ・スペインの合作。パンフレットによれば、原作はバーバラ・ウィルソンの手になる同名の小説。原作を、監督が脚本家と共に3年の時間をかけて映画用におこしたそうです。

 物語それ自体は言葉は良くないかもしれませんが、いわゆるスペシャル・ドラマ的な内容とでもすれば印象が伝わり易いでしょうか、殺人とかは起きませんが。平易に現せば不仲になって別れた夫婦の子を巡る騒動なのですが、その人間自身が複雑であるというのが本作の面白みといえましょう。大まかにいって、今日的なジェンダーの不安定さ、あるいは社会的に定義されるそれらと、個人の持っていると感じるものの乖離を大胆に取り入れています。 幸い、本作はそのあたりの入れ子状態を物語的に判り易く説明してくれていますので、観客が置いてきぼりをくうことはありません。ともすると重くなりがちなテーマでもあるのですが、全編にコメディ・タッチなので、深刻にならずに物語は進行してゆきます。
 た・だ・し、そういった方々が登場するだけで受け入れられない御仁には厳しいものがあるかもしれません。

 本作の場合、バルセロナが舞台でしかもガウディの建築物が登場するというのがウリの一つとなっています。さても、いうなれば観光ガイド的に楽しむ分には宜しいのではないでしょうか。また、現地に実際に行った事がある向きには、「あ〜、そういう動きね」などといった楽しみもあるかもしれません。なお、建築を重視するのでしたら、喧伝されているカサ・パトリョの一般未公開の部屋が使用されているカットは外せないのでは。

 一部ウケともいえますが、本作のオープニング・アニメーションはとても興味深く拝見しました。ステンドグラス模様がバックとなっているのですが、これが動くさまはアニメーションとして個性的な表現として感じました。いわゆる日本の”アニメ”ではなく、本来動かない事物に生命を吹き込む”アニメーション”として表現。これは一見の価値があるやも知れません〜筆者は綺麗なので驚きましたので〜。

 総じて重くならないような配慮がなされた展開であり、上映時間を過不足無く楽しめると感じました。特にカルトな人気を博すでもなく、大ヒットという事にもならないかもしれませんが(配給、劇場関係者の皆様方ごめんなさい)、無難な作品と申しましょうか。

 東京での上映館はまずは新宿のテアトル・タイムズスクエアでした。こちらは客席の傾斜が急でその点では辛い向きもあるでしょうけれでも、視界が遮られないのはありがたく感じました。また、なにやら音響設備にも凝っておられるようです。 こだわった作品もそうですが、いわゆるる娯楽大作をこちらで鑑賞しても、醍醐味が味わえるのではないでしょうか。



記述:2002-09-16