「たんかん座異聞」
映画をはじめとする映像作品などの感想を
サイト製作者の興味のおもむくまま追加しています。
(御注意!ネタバレ有です)
 
悲劇と名付けられた少女人形Mによる地下エチュード  
ユニット: 幻想演劇 永久アリス
時期: 2003-03-29〜03-30
劇場:

ザムザ阿佐ヶ谷



1)はじめに
 公式サイトによれば”ゴスロリ・ファッションを取り入れたアンダーグラウンド演劇”だそうです。今回が旗揚げ公演。なんと出演者の殆どが新人さん。
 さて、如何なりますやら。


御注意
 本文章は一観客の遠慮会釈のない感想です。
よって、劇に詳しい、若しくは当該劇団若しくは作品を応援したい関係各位の観点からは異を御持ちになる向きもあるかもしれませんので、この場合は以下を見ない事をお勧め致します。
また、須く、悪意をもって記述したのではない旨、御理解ください。
念のため申し上げますと、敢えて記述するという事は、幾多の引っ掛かるものがあったとしても、そうしたくなる何かを本作品には感じたからである旨は是非御含み置きください。


2)物語

 一人目覚める少女。彼女には記憶が無かった。
 父と名乗る男、中世的趣味の屋敷の中、、執事やメイドが甲斐甲斐しくも彼女の面倒を見る。しかし少女は違和感を隠せない。執事もメイド達も何か少女に隠し事をしているようなのだが。
 彼女は一体何処にいるのか、父と名乗る男は本当に親なのか、いやそれ以前に彼女自身何者なのか。
 謎は少しずつ解き明かされてゆくのだが・・・。


3)感想

 面白かったです。

 出演者の殆どの御仁が新人さんという事もあって、一時はどうなることやらと思いましたが、其の面では及第点ではないでしょうか。特に女性の出演者の皆様は、声が聞き取りにくいとか、活舌が、という事はありませんでした。逆に声を張り上げすぎて頭が痛くなる事もありませんでしたし。どちらかというと、狂言回しとして錬金術師をなさっていた御方を除いた、男性陣のほうが活舌が。今後に期待致しましょう。

 物語は、記憶を失したまま目覚めた少女の視点を中心にして進みます。やや直球勝負な台詞や表現は、判りやすいといえばそのような利点もあり、必ずしもより抽象化した方がいいかも、というのは見解の分かれるところでしょう。 これはこれで持ち味といえるのではないでしょうか。正直申し上げまして、例え表現というものがそれを受け取る側に喚起されるものであるとしても、このモチーフにあってはエロチシズム的側面から離れるのは困難が予想されるので、如何に取り扱うかが問われる部分です。本作は拙メには許容範囲でしたが。

 さて、狙いとしての”ゴシック・ロリータ・ファッションを取り入れた演劇”というのは、ある程度は成し遂げられたのでしょうか。完璧ゴスロリで舞台を動き回るのは厳しいかもしれませんので、ある程度の翻案はありでしょうし、まずその切り口が興味深く感じました。
  また、別にセットに凝れないのなら、そのような組み立てをすれば良いでしょうし、逆に全体のバランスから言って、ファッションに目が行くようにするには賢明な選択かもしれません。
 筆者が訪れましたのは初日の一番です。まずもって、やってみたい事に取組み形にできたことへの団員初め関係者の皆様方の喜びは推し量るべくもありません。そのせいでしょうか生き生きと演じておられ、とても楽しく拝見できました。なんといっても”カッコいい役を演じているオレって凄い”、”美しく歌を唄える私ってステキ”みたいな勘弁してほしい雰囲気が微塵も無かったのは掌が痛くなるほど手をたたきたく感じました。(註記01)
 尚、直接劇作品には関係の無い事なのですが、前説などを工夫すると、より良い公演になると感じました。勿論、後説もですが。その辺り、劇を舞台に留めない事を意図した作品を狙っているのに、前後で区切りを設けてしまうのは背反するのですが、ここは工夫のしどころでしょう。

 こちらの劇団、パンフレットによれば”寺山を葬るための演劇儀式である”との由。名前を挙げている段階で既に寄りかかっておられようにお見受けいたしますが、これは如何なんでしょうか。形式として、所謂”テラヤマ・スタイル”を参照しつつ換骨奪胎したもの、あるいは軽快に引用した面を感じました。まぁ、とあるアニメーションの台詞にあるように”コピーを繰り返すと像がぼやける”事もあるでしょうし、それが持ち味になってしまえばそれで宜しいのではと。
 いずれにしても、劇団が多く勃興する今日、独自性を出し続けるのは難しいでしょうし、何と言ってもどういった方向性に持ってゆくのかが今後の焦点になるでしょう。

 期待して、次回作をお待ち致します。

公式サイト→ttp://hysteria.to/alice/


4)おまけの注記

01)そこそこ御客さんがみえて立ち見が出たりする劇団さん、あるいはライブなどで評判のあるグループでの演劇公演といった場面で結構お見かけします、こういった塩梅の御方々。”別にあなた方を褒め称えるためにわざわざ来訪したのではありません”といった気持ちにさせられ、かなり勘弁していただきたいものがありますですね、拙メとしましては。
  という事で、拙サイトでは、こういったグループさんの作品は基本的に有名であっても、あるいは人気があろうが取り上げる事はありません。あったとしたら、それを超えて何か書きたいものを感じた場合に限られます。

  本当、御容赦賜りたいものです、得意げに舞台に立っておられるのって。


5)おまけ・其の後の公式サイトが(2003-05-10追記)

 平成15年3月末に恐らくは成功裏に旗揚げ公演は幕を下ろしたのでしょう。おめでとうございます。

 さて、ちょっと気になるのですが。公式サイトが約1ヶ月も放置プレイ状態というのが。

 別に、コンセプトからいって”ありがとうございました”といった事を意図して記述しないというのはアリだと思います。尤も、それでしたら来場者に感想のアンケートを求めなくてもいいような気もしますが。勿論、舞台という作品である以上そこで表現されるものが総てであり、まず問われる事です。ですから、敢えてサイトで幕の向こう側の方々の声を書かなくてもいいようには思います。なのですが”感想”を求めるのでしたら、舞台を創り上げた側はどう思ったのかを表明して戴きたいようにも思ってしまいます。劇を見た反応はまずもって演じている最中に、あるいは終わってすぐにも現れるでしょうし。

 まぁ、だからといって、サイトに”○○を観る、××だった”とか、他劇団の作品の感想をとても忌憚無く書くぐらい剛毅なのもどうかと思いますから〜別に批評は構わない訳ですが、同じ世界にいるのでしたらその表現、作品で表明すれば宜しいのでは、とかそういった事で〜、そのままでも差し支えは無いでしょう。

 ただし、折角の場所なのですから、勿体ないように感じるわけです。



記述:2003-04-03
追記:2003-05-10