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嵐の夜、漁に出かけた家族の安否を気遣う港の人々。家族が無事戻り喜ぶ岸壁で、一人の少年が父の帰りを悲痛な面持ちで待ち続けていた。
現在。島根県平田市の塩津集落。日本海を見下ろす崖の上に白い木造校舎の生徒数が20名に満たない小学校があった。 そこへ赴任してきた26歳になる女教師「佐藤静香」。彼女は生まれ故郷に程近いこの小学校へ必ずしも希望を持ってやってきたのではなかった。島根県松江、つまり都会の学校在任中にすっかり教師としての自身を無くしてしまっていたのだ。
だが、そんな重い彼女の心とは関係なく、生徒は元気に日々の授業を受けていた。たとえばこの土地でした経験できない事をできるだけ見せてやろうとする先生。あるいはベテランによる土地の伝統芸能の伝承。子供たちは村人たちに暖かい眼差しに見守られている、仄かに記憶の片隅にあるか暖かい想い出のような共同体の中に存在していた。
彼女の受け持ちは5、6年の合同の学級。海が良く見える教室。生徒の一人、6年生の「好平」は授業中度々海を見つめていて集中している雰囲気が無い。ある日、好平は海の彼方に動いてゆく白いものを見つける。他の生徒たちはなかなか見つける事が出来ずにいたが、ついには双眼鏡を持ち出し、みんなが目にする事が出来た。
白いものは沖合いを航行するフェリーであった。「れいんぼうらぶ」、九州・博多と新潟・直津を結ぶ1万トンを超える定期フェリー。生徒たちはフェリーの船長さんへ手紙を書いてみることに。
期待と不安をよそに、フェリーの船長さんからの返事が学校に届いた。少しずつ互いについて理解しあいだす生徒たちとフェリーの船長さんと乗組員。そんなある日、学校にフェリーの船長さんから直接電話が入る。航路を少し変えて学校の近くを通るという。これまでとは比べられない程の近く見えるフェリーに歓喜の声を挙げる生徒達。彼らの喜ぶ様を見て少しずつ、佐藤静香の心にも変化の兆しが現れ始めていた。
夏。好平はかねてから友達と練り上げていた計画を実行に移すべく動き出した。こっそりと身内の漁船を拝借して、フェリーに近づこうというのだ。フェリーをもっと間近で見たい、そして乗りたい。だが、海は彼らに大きな試練を与えようとしていた・・・。
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