「たんかん座異聞」
映画をはじめとする映像作品などの感想を
サイト製作者の興味のおもむくまま追加しています。
(御注意!ネタバレ有です)
 
カナリア放送局  
ユニット: 劇団 東京スウィカ 水無月公演
時期: 2002-06-26〜07-01
劇場:

ザムザ阿佐ヶ谷



1)はじめに
 主要発起メンバーが女性で構成される劇団「東京スウィカ」。彼女らは歌い手でもあるらしく、劇とは別にユニットとして活動、公演を行っているの由。
 本作はとある商店街の小さな弁当屋さんと同経営のアパートの住人たちが織り成す物語。
約2時間。


御注意
 本文章は一観客の遠慮会釈のない感想です。
よって、劇に詳しい、若しくは当該劇団若しくは作品を応援したい関係各位の観点からは異を御持ちになる向きもあるかもしれませんので、この場合は以下を見ない事をお勧め致します。
また、須く、悪意をもって記述したのではない旨、御理解ください。
念のため申し上げますと、敢えて記述するという事は、幾多の引っ掛かるものがあったとしても、そうしたくなる何かを本作品には感じたからである旨は是非御含み置きください。


2)物語

 どこか懐かしい匂いのする、とある商店街のお弁当屋さんが舞台。このお弁当屋さん、商店街の営業放送も手掛けていて、しかも、これまた想い出溢れる風合いのアパートも持っている。お弁当屋さんの御主人、従業員、あるいはアパートの住人、その友達は派手ではないが愉しく暮らしていました。そこへ独りの女性が尋ねてきます。一方、実は弁当屋さんは、稼ぎを理由に翌日を最終日に控えており、皆、内心思う処がありました。さてさて。


3)感想

 残念、やや散漫な印象の作品でした。

 物語がどうこうは、正直なところ何とも申し上げられません。最後にどう収拾するのか心配になりましたが穏当な纏りであり、また立ち回りなどがある訳でもなく静かな展開ですが、これがとても心地よく感じられます。穏やかな描写であっても風景を紡げるのだという好例でしょう。

 さて演出としては、まずもって主人公の女性が物語世界に着地しておらず個性的な組み立てとなっています。主役が舞台から姿を見せなくなると、他の俳優さん達は既に一つの世界でまとまっている感があり安心して楽しく観れました。そこに独り、物語の匂いに強い接点を感じさせない主人公というのは高度な演出の意図と採れ、例えば今後は本作の主人公を中心とした連作を創り出すのか等、これからも余談を許さなそうです。
  唐突にアカペラが始まるのも独自性といえばそうかもしれません。物語世界の流れでの歌は、いうなれば必然として出てくるもの、ミュージカルは観ていて楽しいものです。一方で、何故この場面で歌がでてくるのか疑問に感じられるような登場の仕方は、目当てで来たお客さんにのみ受け入れられる要素になるかもしれません。物語に入り込んでいる観客を異なる世界に連れ出す結果となるので、進行という点からは不利な展開といえるのではないでしょうか。
 これを回避しようと、幕間に歌うとすれば次幕の段取りからして難しいこともあるのでしょうけれども、そう決めたのなら、ある時はテープある時は生というのでは、ばらばらとなってしまいます。特に技量のある方であれば生での歌声と録音で違いが出るでしょうから、表現の質感の統一という観点からは外れてしまいます。生なら生で、録音なら録音で、統一した方が観易くなったのではないでしょうか。なお、全てではなかったような気がしますが、録音による歌を用いる時は歌詞または旋律の流れを考えて切るなりしており、その点は良心的といえるでしょう。自分が歌うのは好きなフレーズをきっちりと、テープで流すのは進行を考えてブツ切り、では、楽曲に対する愛情云々言われたとしてもあまり信じる気持が持ちにくくなってしまいます。音楽は時間と共にその世界が進行してゆくので、BGMとして使用される場合であっても、ぞんざいに切られたりといった悲しい扱いに出会うととても興醒めとなってしまいます。これは映画であっても同じように感じます。今回は自らユニットをお持ちの方ですので言語道断と感じる瞬間はありませんでしたが、それだからこそより気を配っていて戴きたいものでした。
 劇中突然に歌い始めるのは、時折見かける「○○が主だけど▲▲もできる」のパターンといえるでしょう。 勿論、今回の御仁は多彩な方で二つの芸事の双方100点満点を目指しており、失礼申し上げるようですが、現在は例えば○○90点と▲▲90点なのでしょう。それなら何れか一方95点の作品の方が勝る場合があるという事を思い起こして戴きたかったです。合計で180点と採るのではなく、95点に届かない90点の出来と観られてしまう可能性のある怖い状態、敢えて選ぶのは相当な勇気が必要かと思います。
 本作はどちらをを観ればよかったのでしょう、劇でしょうか、数フレーズ歌うアカペラでしょうかしらん。恐らくは観に来た人へのサービスなのでしょうけれども、総てを目指して結果劇作品としては散漫な印象になってしまったのは、如何なものなのでしょう。

  さて、悪口と取られかねない内容ばかりでは、本サイトの大元の狙いから外れますし、もとい、何が面白く感じたのかのかも記述しませんと。ちょっと公平でないようにも思いますし、本当につまらなかったら、敢えて書く事までしません。苦言をつらつらと書き連ねるのも、勿論、楽しむ事ができる所があったからこそ、とご理解賜りたく。
  まず、お弁当屋さんの御主人・金井玄(塚本一郎)、物語序盤ぶらりと弁当屋に訪れる本木好恵(河崎早春)の御二方だけで話をする場面では、空気が和やかに変わっていました。はやり世界を描くのに長けていらっしゃるのでしょう。お弁当屋さんに集う若者達の兄貴格・沢口冠太(比佐一平)も際立っています。若者達を物語世界に引張っているようです。こちらの三方の演技はちょっと得した気分になります。サッカーに余念の無い金井風太(伊山信洋)も物語世界の構築に欠かせない押さえ処をきっちりと纏めてくれています。お弁当屋さんと街との接点を代表する先生・滝田(高丸真理)も話し中盤からの登場とは思えない安定した存在感です。
  皆様方には、また、何処かでお逢いできた折には素敵な劇世界を拝見させて頂けると、今から期待しております。

 さて本作ですがフライアーによりますと。
提供が「カゴメ株式会社」さん、「ヤマサエンタテイメント株式会社」さんとなっています。
  どうもありがとうございます。楽しく拝見させて頂きました。なお、失礼かとは存じますが御社さまにあられましては本作品は御覧願えましたでしょうか。勿体無くも御提供願えた作品ですので、仕上がりを自らの御眼で、御体で御確認戴けますと幸いです。何かの折にはその直に得た感想をご本人さんがたにお伝え戴けますと幸いに存じます。恐らくはそれが一番のお褒めの御言葉、励みになるかと想像申し上げますゆえ。
  また、演芸・芸術についてのひとかたならない御理解誠にありがとうございます。願わくば、引き続き御理解と御愛顧を賜えますよう、一観客では御座いますが、宜しくお願い申し上げます。

  それではまた、次の機会まで。


4)おまけ・ドキュメント「開演まで」

 JR阿佐ヶ谷駅北口のから「ザムザ阿佐ヶ谷」のあるラピュタ・ビルまでは、近いものの慣れないとやや判りにくい町並みの中にあります。そして阿佐ヶ谷は寺山修司とは縁の深い土地です。
  ラピュタ・ビルは名画座スタイルのミニ・シアター「ラピュタ阿佐ヶ谷」、自然派指向のフレンチ・レストラン「山猫軒」とを内包した建物です。外観も「天空の城・ラピュタ」をイメージしたの如くで、上階に位置する「山猫軒」の窓際の席からは将に雰囲気を味わえます。今回の会場「ザムザ阿佐ヶ谷」はそんな不思議な建物の地下一階にありました。

受付は公演を祝う花束が眩くも並んでいます。

開演前約40分、受付にて当日チケットを入手します。
筆   者:「一般の当日券を一枚下さい。」
受付さんA:「どちらでこの公演を?」
筆   者:「ホームページを拝見しまして。」
受付さんA:「ありがとうございます。御名前は?」
筆   者:「名無しのゴンベイではいけませんかね。」
受付さんA、受付さんBに"どうしましょう"とこそっと質問。受付さんB、「ホームページでいいよ」。チケットの裏に"HP"と記入。
えーとですね、こちらの受付さん方も、何所かで突然名前を尋ねられて、驚いた事はないのでしょうかしらんと、ちょっと心配です。
 ひょっとしたら落着いて涼めるかと思い劇場への階段を降りると、奥より開場は18:30との由。はて、開演が18:00からの筈、聴き間違えましたか。関係者と思しき皆様方はこれから暫しの間煙草を手にできない為かここぞとばかりに懸命に喫煙中かと御見受け申し上げました。御苦労様です。その気迫たるや、劇中より強く感じる程でした。已む無く、傍の名曲喫茶にて汗を抑えます。

  念の為17:55頃劇場に入ると、ほぼ9割方の席が埋まっていました(〜?)。「ザムザ阿佐ヶ谷」は比較的急な階段席で、繋がった木椅子、座布団を敷いて観ます。土禁。入り口で袋を受け取り、靴は持って上がります。ベテランにはきついかもしれません。客席からは舞台を見下ろす事ができ、とても近くに感じます。全体に横幅がある訳でも無いので凝縮感が高く、舞台との一体感が得られ易いのではないでしょうか。当日は気温が高く夏日。狭い中に人が籠るのですから熱気が溜まり、ちょっと如何なものか、という程です。恐らく席によって異なるのでしょうけれど、呼吸が取り辛く酸欠の心配すら感じます。まぁ、夏コミの人気ジャンルの動かなくなった通路よりは暑くて空気が薄いです。これをどう見るかは人によるでしょうし、あるいは冷気直撃で過酷な席があったので配慮した、のかもません。
  残念なのは上側の約3列くらいです。屋根の梁に遮られるので、二階建ての舞台装置だと、全体が見えません。つまり舞台装置が二階建てだと上階部分が遮られるので、そこでの演技は後方の客席では見れませんでした。これは残念。
 予定時間を20分程度は押しましたでしょうか、開演です。

 そして仄かな心地よさを残しつつ、19:50頃、大団円。御疲れ様でした。


4)おまけ・其の弐・東京モーターショー2002商用車展会場にて

 幕張メッセで行われているモーターショーは、乗用車・単車と商用車に別れ一年おきに代わる代わる開催されます。さて、2002年は商用車の展示でした。今回は先回にもまして商用車の環境への取り組みや障害を持つ方々に向けての提案といった内容が増え公共性の高い展示会となっていました。同イベントは、完成車を扱うメーカーさんだけでなく関連部品を製造する会社さんにとっても広くアピールする絶好の機会ですので、様々な製品を目にすることが出来ます。当然、タイヤ・メーカーさんも展示を行い、ここぞとアピールすることに勤めます。
 筆者はたまたま一般で訪問することが出来たのですが、会場を見学しているとなにやらタイヤ・メーカーさんのブースに人だかりが出来ているではありませんか。遠目に見てもカメラを持ったヲジサンの集団であることが判ります。こういう場合、内容は推して知るべしなので 馳せ参じたい場合以外には(通り抜けるのが大変なので)迂回したほうが懸命です。そうこうしている内に、人混みの中心に佇む数人のコンパニオンさんと思しき女性の御方々がなにやら大声でハーモニーを奏で始めました。それ自体は結構なショー・アップなのでしょうが声が会場内に響き渡っています。人混みと大きな声、凄いですね〜、周りのブースはさぞや大変でしょう。気のせいかコンパニオンさん達の衣装はなにやらなにやらにデザインされた和風な印象に見えました。好き嫌いは個人の趣味がありますし、衣装デザインは選べませんものね。よもや自前ということはないでしょう。

  そういえば同じ頃、東京スウィカさんのWeb-Siteの掲示板では、主要メンバーさんが同イベントのとあるタイヤ・メーカーさんのブースでミニ・コンサートを行う予定だった旨発言なさっていましたっけ。でも元気に歌いすぎたから初めの数日で打ち切りになってしまったとか。
 
 ま・さ・か。 とは思いますが。

 何といってもイベントは一社だけのものではありませんし、ライバル同士ではあっても協力してイベントを成功裏に終わらせるのは筋という感があります。”元気に歌いすぎちゃった”との掲示板での御発言は一応断っておいたほうがいいかなという御気遣いかと存じます、もしそうでしたのなら。イベントというのは難しいものなのですね。
  勉強になりました。

後日談:某社さんのサイトで確認しましたが、やはりこちら様であられたようです。ただし、某社さんとしてのコンパニオンさんは別にいらっしゃって、 あくまでイベントとしての出演でいらっしゃったようです。イケてる衣装も同じものを拝見できました。見事なセンスですね。



改定:2002-12-04