南下編4

1995年1月1日(日)
明けましておめでとう。
今年はいい人といい土地といい家に会えますように(この旅行の大きな目的の一つは『永住の地を探す』ことでした)。

朝風呂に行く。そういう習慣を知らなかった【む】は驚きました。朝から風呂なんか入ったら風邪ひいちゃうよ。
番台のおばさんに神社の場所をきき、そこに初詣に行くことにしました。
ところが、行けども行けどもそれらしい場所が無いので、近くを歩いていた女の子にきいてみました。すると「曲がり角を曲がる」と言われたので、「どこだ?」と言いながらまた歩き始めたけれどこれまたわからない。途方にくれていると後ろからさっきの女の子が走ってきて「こっちだよ」と狭い道を指し示す。人の家の前を通り、小川を渡るとすごい道に出ました。何がすごいって水浸し。もともと女の子が教えてくれた道自体が細い道だったのだけれど、進むうちにどんどん細くなり水浸しの道は畑の間の道。でも、初詣のためじゃ、と靴を汚さないように気をつけながら進むと神社の裏側に出ました。どうやら、女の子に会った時点で既に銭湯のおばさんに教えてもらった道からは外れていたみたい。私達が女の子に案内されて来た道は地元の人しか使わないような道だったのでした。
お賽銭を投げ、いっぱい願い事をつぶやく。でもやっぱり最後は「みんな仲良く元気で旅行が続けられますように」と強く願い、それだけでいいやと思ってしまいました。
帰りは正面から。どうやら国道から外れる道を1本間違えていたことが判明。またしてもファジーナビの【む】でありました。

ヤドリ浜に帰ると炊事場に椅子が並べられ、お菓子の箱が沢山落ちていました。どうも大晦日にバカ騒ぎがあった模様。偶然とはいえ、帰ってこなくて良かった。いらいらしながら年を越すなんて嫌だものね。雨に感謝。
それにしても…雨の中がんばったのですね、バカ騒ぎした方々。

おにぎりを餌に初釣り(?)。しかしアタリは無い…。やっぱり海のものには山のもの(ご飯)じゃダメなのかな。

白黒の犬がうろついていて、車に近づくと純と蛍が毛を逆立てて車内を走りまわりました。犬にはあまり遭遇していないから、びっくりものでせうね。

簡易雑煮を食べてとっとと寝ました。これには目的があったわけで…。


1月2日(月)
1時に起きて潮の引いた浜を歩きました。大潮だから浜を歩いてみろと管理人さんに言われ、興味津々だったのです。
思ったより深くてリーフの所までは行けず、近場をうろうろ。タイドプール(潮が引いた後、岩場などに残された水)では魚や海老のかわいいのが目に付きました。きれいな巻き貝にはヤドカリが住みついていました。
【む】は見たことの無い変な形の魚(だと思う)が「私は砂です、魚じゃありません」というようにそろそろと泳いでいるのを見て自然の脅威(大げさな!)を感じました。生き物って頭いい。
岩場の陰でヌメヌメした塊があり、「大潮にはタコが取れるぞ」という管理人さんの言葉を思い出し、「タコだタコだ!」と大喜びしたのですが、石を投げたり突ついたりしていたらピューーーッとなにやら怪しげな液体を吐きだしたのでびっくり!おそるおそる引っ張り出してみたらタコではなく、ナマコらしいということで一件落着。しかし、初めて見るナマコさんはあまりお友達になりたいタイプの生き物ではありませんでした。
リーフまでは行けないものの、ちょっと浜から離れてみるとどう見ても人工的に削った岩場がありました。船でもつけることがあるのかと思いました。引き潮で出た部分だから、防波堤とは違い歩いている岩場とほぼ同じ高さまで波が来ているのが怖かったです。人工的に削っている=その部分は深いってことだもんね。
車に戻って寝ようとしたけれど、結構体が冷えてしまいなかなか寝つけませんでした。

起きてから管理人さんに釣りの餌のことを聞くと、「ヤドカリがいい」と教えられました。そこで木の根元などにわんさかいるヤドカリに「我が家の食費を助けてくれい」と言って犠牲になってもらい釣りをすることに。
しかし、いざヤドカリさんを針に付ける段になるとグロな物は苦手な【と】が泣きそうになっているので、仕方なく「エビと一緒だぁ!」「魚をさばくことを考えたらこれくらい!」と言いながら【む】が付けました。またしても逆境に強い奴。
浅めの所で針を下ろすといきなり引っ張られました。引き上げてみるとオレンジと緑の15cmくらいの魚。こんなの食べられるかいな、とまた海へ。食べられる魚を釣りたいよ〜。
昼食のため浜に戻ろうとしたらリーフに行く手を阻まれ、しかたなく大回り。
ヤドカリの餌があるうちだけ釣ることにしてまたテカポを出す。
びっくりするほど傾いているヨットを見つけ、追いかけてちょっと沖に出たりしながら3時半ころまで頑張りました。しかし…アタリは最後に1回。なかなか釣れないものですね。
上がった頃から晴れ渡る。昼間晴れてくれればいいのに。寒かったんだぞ〜。

久し振りに焚き火でご飯を炊きましたが、べちゃべちゃになってしまいました。おいしく炊けたためしが無い。


1月3日(火)
天気がいいので山道に入り半島の裏側へ。いったい何年放っておけばこんなになるの?と言いたくなるような道でした。どうりで車も人もあまり入って行かないわけだ…。
途中、釣竿用の笹を採ったりしながら遠足気分。
イノシシ狩りの人たちに会いました。軽トラに犬を乗せてやってきて、山に放してワンワンさせている、結構前から気になっていた謎の人たちでした。イノシシとは、ねぇ。
雨水が流れ、深さ50cmくらい削られて、も少し自分たちが小さかったらちょっとした渓谷だなぁと思うような道を抜けると滅多に人が来ない浜に出ました。人が来ない=貝殻がいっぱいある、で大喜びの【む】。全体の長さが3mmくらいしかないのにけなげに巻いている貝を見つけびっくり。

リンゴなど食べ、ぼーっとしているといきなり藪がガサガサ!何事かと振り向くと籠を背負ったおばさんがいました。
人なんて来ないと思っていたのと、何か作業をする格好だけど近くに畑なんかあったっけ?という疑問とでとても不審な目で見てしまいました。時々しゃがむので何をしているか聞いてみると「貝殻を拾っている」と。え〜〜!どう見ても地元の人なのにどうして貝殻なんか拾うんだ、と思っていたら「今奄美で貝殻を集めるのが流行っている」とのたまいました。そういうことですか…。でも、なにするんだろ。

帰りは【む】は来た道を、【と】は岩場を伝ってと別々に。
山道では30cmくらいのミミズを見つけ凍りついたあと、息を止めて目をつぶって飛び越えて駆け出す【む】の姿が見られました(ミミズ嫌い)。おじさんが座っているので何をしているのか聞くと「メジロ取り」とのこと。いろんなものを取る人がいますね。
10分くらいの差で【と】も海に落ちずに無事帰りました。

潮が引いて現れた岩場でヤドカリを拾い、また釣り師発生。
針を下ろして少しして【む】は針を取られ、【と】はオレンジと緑の魚を釣リました。ここに来てどうやらヤドカリの餌はとてもいいらしいことを実感。やっぱり、海には海のものじゃなきゃあね。

針が全滅してしまったので古仁屋へ買い物。
ヤドカリがかわいそうなので疑似餌を買ってきました。
戻るなりまたテカポを出し疑似餌の具合を見ようと思いましたが、海が荒れてきていてアタリは全然なし。ポイントが悪いのか、疑似餌が悪いのか・・。

寒くてシュノーケリングも出来ない。しかし、寒いといってもトレーナーを着ればしのげる程度、やっぱり南国。
マリンステーションのお客は雨でも嵐でもせっかく来たんだから潜らないわけにはいかず、荒れた海にずぶずぶと潜って行きました。


1月4日(水)
雨降り。
海にも出られず、散歩も出来ず、ひま〜な一日。
正月休明けの管理人さんに会いました。
猫はいつもと変わらぬ様子。猫に『ひま』という感覚はあるのか、としばし考える。よっぽどひまだったのね>【む】


1月5日(木)
相変わらずはっきりしない天気。
やっと正月休の明けた図書館へ喜び勇んでお出かけ。
これまたやっと開いたスーパーへ行っておでん種を探しました。しかし、さつま揚げしかなく、よく周りを見てみるとほとんど仕入れがされていない状態。魚もない。ひぃ〜ん、おでんが食べられない(泣)。

ホノホシでまた忍者猫発生。しかし、空腹時に外に出したためキャットフードの音に一目散に戻ってきました。ふふふ、外に出るのは空腹時にしようね、純、蛍。

釣り師【と】は強風の中長時間ねばるが、アタリもなく退散。また食費は浮きませんでした。


1月6日(金)
【と】は夜中にお腹が痛くなったらしい。でも、【む】はトンと知らずにがーがー寝てました。

ホノホシ〜ヤドリ海沿いカヌー大会(参加者は【と】のみ)!
珍しくホノホシが穏やかで船出は思ったより楽でした。
もし何かあったときインタビューできっと聞かれるから最後の言葉を、と言うと「晩飯何?」。
【む】は猫を遊ばせたあとヤドリに車で戻りました。
貝を拾ったりぶらぶらしていると【と】が海から声をかけてきました。思ったより早かったですね。
第一声は「2度とやらない」「死ぬかと思った」でした。
以下は【と】のレポートの要約です。

***岬めぐりカヌーツアー***
ウェットスーツにパドリングジャケットという本格的装備で出発。
海岸から50mくらい離れて漕ぎ進む。
海岸線は断崖絶壁というやつでなかなか見ごたえのある景色だ。
景色を見ながら漕いでいると岬の先端まで来ていた。思ったより早かったので余裕ができた。
なるべく内側の岩場の間を進む。【む】と一緒だったら絶対入れないところ。
岬の岩場に釣り師発見。お互い「よ〜やるわ」という感じ。
大島海峡に突入する前に少し休憩、灯台見物。
いよいよ漕ぎ出すと風が強くなっていた。その上引き潮になったらしく全然進まない。
狭いところに入ったのが仇になってしまったらしい。
突風が吹くとテカポは容赦なく戻される。
小さな岩を見つけてその陰に隠れて少し休み、それからまた漕ぎ出す。
少しずつ進んでなんとか岬をパスする。そうすると風は相変わらずだが潮の流れがグッと緩やかになった。
たった50mほどの岬部分だけで体力をほとんど使い果たしてしまった。
砂浜に上陸し、しばしボー然とする。あらためて海と風の怖さを知った気がする。
しばらく休んだが体力は戻りそうにないので諦めて再スタート。
次の岬はさっきほどの抵抗はなかったが、体力を使いきっているため半病人のようなパドリングで、トロトロ、ズルズルと前進し、やっとの思いでヤドリに着いた。
あー、思い出しただけでしんどくなる・・・。
***終***

1月7日(土)
コインランドリーの日。ダシが取れそうなジーンズを洗う。

久し振りに暑そうなのでシュノーケリングをすることに。
強風の中、準備をしていると、「寒くないですか」と熊本から来たおじさんに尋ねられました。「そりゃもう、寒いです」と思わず答えそうになったけどなんとか笑顔だけで答え、プカプカ始めました。
海を覗いていると釣り覚え(笑)のある魚も見えました。そしてそれが大きくなったようなのも。何度見ても美しい海。
竿を持ち出し釣りを始めたけど波に揺られているせいか全然釣れませんでした。
【と】の針が珊瑚に引っかかり、【む】が潜って取りに行こうとしましたがおぼれかかったので止めました(ナサケナヤ)。
寒くなったので午前中だけで止め、キャンプ場の炊事場を借りてテカポを洗いました。北海道での苦い思い出があるためとにかくしつこく、念入りに。もう骨折は嫌だぁ!

夕食は管理人のおじさんにお呼ばれしているのでそれまで洗濯物を干す。またしても所帯じみている・・・。

銭湯で身を清め(?)図書館で時間調整をし、いざおじさん宅へ。
「わからなかったらわしの名前を言えばすぐ教えてくれるから」と言われてはいたけど、道を聞く相手がいなかったよぅ、おじさん・・・。でも角まで迎えに来てくれたので助かりました。
平屋で広々としたお宅でした。
初めて会うおばさんはとてもエキゾチックな目をした素敵な方。その昔はさぞモテたでしょうね、きっと。
玄関にはおじさんが釣ったという大エビが飾ってありました。70〜80cmくらいの信じられないような大きさ。夜中に船で釣りに出た時にかかったらしいのですが、あんなのが夜の海から目なんか光らせながら上がってきた日にゃ、なりふり構わず逃げますね、ワタシャ。
おせち料理をいただき、遅れ馳せながら正月気分を味わいました。
かねてから気になっていた豚肉の煮こみもご馳走になり、名物を土地の人から分けてもらうという最もおいしい味わい方ができました。やっぱり土地の味が一番でしょう。
普段ろくな物を食べていないので胃腸が驚いて痛くならない事を祈りながら、めいっぱいご馳走になり9時頃失礼しました。
北海道のHさん宅といい、おじさん宅といい、とにかく人様の家で普段の栄養不足を補うずーずーしい私達・・・。



つづく

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