■ダクト内にレジオネラ菌が発生するという囁きその3


 透湿膜加湿器にレジオネラ菌が発生するか?


 本題に入ろう。
 まず、透湿膜加湿器そのものに、レジオネラ菌が発生する可能性があるのか?
 これについては、メーカーに答えてもらうしかない。

 ダイキンの加湿ユニットの概念図は以下のとおり。



 透湿膜加湿器は気化式。この場合、エアロゾル(微細な水滴)が飛散するかどうかが、レジオネラ菌増殖の因子。
 その心配がないとして、ダイキンは以下の理由をあげている。
(1) 0.4μmの多孔質透湿膜でなので、2〜5μmといわれるレジオネラ菌は通過しない
(2) フッ素樹脂膜のはっ水性により水蒸気のみを通過されせる(流下式とは異なる)
(3) 全給水系統は、ほぼ密閉構造を持つ。
 これらの相乗効果によりエアロゾルの飛散は基本的にない、というのがダイキンの見解。


 ダクト内でのレジオネラ菌の発性の例は?



 レジオネラ菌のことをインターネットで調べていたら、1976年にアメリカのフェアデラフェアのホテルで開催されていた在郷軍人会で、多数の参加者が高熱を出し、死者まで出した。原因は「空調のエァーダクト内でレジオネラ菌が異常増殖したため」と書いてあった。
 あわてて他の資料を調べたり、各方面の識者に訪ねたところ、この記述は間違いで、原因は冷却塔のエアコン冷却水。
 なにしろ古い開放型で放置されていたので、空気中にレジオネラ菌が飛散し、換気用の外気取入れ口から建物内に入り、ダクトを通じて全館に拡散されたもの。
 ほかに、いろいろ聞いてみたが、ダクトの中でレジオネラ菌が増殖したという事例がほとんどないという。北米は、極寒冷地は別にして、冷房が必要な地域の空調は100%ダクトシステム。
 もし、ダクト空調に問題があるなら、カナダやアメリカの室内空気質学会で、必ずや取り上げられる。 この10年間、R 2000住宅でカナダの学会と交流してきた。しかし、ダクト空調が問題視されたことは一度もなかった。




 多くの人がダクト対して何となく不信感を持っている


 人騒がせな記事だったが、よく考えてみると、私もそうだが、ほとんどの日本人は、ダクト生活の経験がないので、ダクトに対して疑心暗鬼なところがある。

 ダクトの中を覗いた経験を持っている人は少ない。したがって、中にほこりが溜まっていないか、あるいはカビが生えていないか、当初は問題なくても将来問題が出てくるのではないか、という漠然とした不安を持つ。


 私個人は、過去に4回、R 2000住宅のモデルハウスの解体に立ち会っている。解体の時に見るのは、(1)構造躯体内に結露が生じ、カビが生えた痕跡はないか (2)ダクト中がカビやほこりで汚れていないか(3)雨漏りや配管からの漏水の痕跡はないか…だけ。
 4回の経験で、工事さえきちんとやっておれば、何一つ問題がないと確信できた。それ以来、構造躯体にかかわる基本的な部分についてのみ、全戸数回まわってチェックしている。


 このため「ダクトは大丈夫ですか」と聞かれると「全然、問題ありません」と答えてきた。しかし、ダクトの中を見たことのない人にとっては、ダクトはブラックホール。もっときちんとデーターを示し、説明すべきであった。
 そうした反省をこめて、ここにダイキンの調査結果を公表


 カビの数は、室内に浮遊している数と同等



 残念ながら、レジオネラ菌の調査はやっていない。行ったのはカビとほこり。
 エアカルテツト調湿・換気ユニットのダクト系統のカビについて、ダイキンの研究所が行った観察結果では、カビの数は室内の浮遊菌数と同等ないしは少なめで、ダクト内部でのダニの増殖は認められなかったと言う。これは、
(1) 常時換気を行っているので、ダクト内部が乾燥状態にある
(2) 培養床となる有機物が少ない
(3) 通気空気温度が平均的に低く、カビの増殖要因が抑制されているためだという。カビが増殖しないほどだから、他の細菌も、同様と考えて良かろう。


 空気の通過速度が早く、ほこりが溜まらない



 ダイキン研究所がおこなったほこりの調査は、ファイバースコープによる目視調査。フラットなところだけではなく、曲がりの部分を中心にかなり綿密に行ったようだ。
 その結果は、ほこりがうっすらと付着しているだけで、ほこりが溜まり、将来ダクトが詰まる原因になるような懸念はなかったという。つまり動脈硬化の心配はないという。
 その理由として、通過速度が早いので、ダクト内表面における「遮り力」や「慣性衝突」による沈着力よりも、自らの面抵抗・慣性力による離脱の力の方が大きいからだろう、と分析。

 私の解体時の目視でも、問題になるほどのほこりを見ることがなかった。ただ、給気側の綺麗な空気のダクトよりも、排気側のダクトの方がやや汚れが若干多いと感じた。室内の排気口には、最初は全部フイルターを設けていた。ところが、このフィルターを掃除しない家が多く、排気不足から湿度過多の家が2、3出てきた。このため、DKの排気口のフィルター以外は外すようにした。
 しかし、2000年から2001年にかけて行った築1年以上の当社の施主の空調換気の運用実態調査では、給気のフィルターの汚れと排気のフィルターの汚れとはほとんど差がなかった。したがって、排気ダクトも特に問題にする必要はなさそうである。