■魚に対する安心度 (養殖魚その2)
 安心して食べられる海の魚は
(1)回遊魚のいわし、さば、さんま、かつお、たら、とびうお、にしん、まぐろ、ししゃも、あじ、ぶりなど。
 ただし、ぶりとあじは養殖が多い。
(2)近海魚はダイオキシンなどの心配がある。あなご、鯛、いか、かれい、かます、きす、たこ、さより、さわら、めばる、ひらめ、ぼら等々。
(3)一番心配なのは養殖魚。ぶり、真鯛、ぎんざけ、平目、ふぐ、あじ、かんぱち、車えび、うなぎ、ます、あゆ、鯉等。

 有機水銀は魚の頭とはらわたに。有機スズ化合物と抗菌物質ははらわたに。塩素系化学物質やダイオキシンは脂身に溜まると言われています。中でもダイオキシンは60%が魚貝類を通じて人体に入っています。

 しかし、近海魚や養殖魚でも、はらわたや頭をとって熱湯をかけたり、西京漬けにしたり、干物にしたり、切り身を煮たり焼いたりして食べる分には、心配が少ないそうです。問題は刺身。とくに安い回転鮨は、養殖魚が多いのではないかと気になります。

 魚も名前、獲れた水域、養殖魚かどうかを表示しなければなりません。ところが、刺身のセットになると加工品となり表示の義務なし。
 例えばまぐろ、カンパチ、真鯛の刺身の盛合わせ。消費者からすれば、まぐろは印度洋の冷凍もの、カンパチは鹿児島の養殖もの、真鯛は愛媛の養殖ものと表示されておれば、それなりに覚悟して買えますが、表示されているのはお買得の値段だけ。

 私は30年も前から、デパートやスーパーで売っている刺身は食べません。地方出張が多かったので、安くてうまい地魚の味を覚えたので、まぐろなどがうまいと思えず、スーパーで売っている生物で食べたくなるのはカツオのたたきだけ。

 八年前、店頭(ジャスダック)へ上場している「魚力」の会長さんに高気密住宅のフアンになっていただき、自宅を施工させていただきました。この会長の話が面白かった。
 酒屋とか米屋等の許認可業種は甘やかされていて脆弱。魚屋、八百屋、衣料品店は何の保護もない。自分の才覚で頑張るしかない。その頑張りの中から上場企業が生まれてきた。
 当社では、毎年大卒の新人をアラスカで4ヵ月漁師の手伝いというきつい仕事をさせています。そして現地で金を渡して、各自1ヵ月かけて一人であちこち旅をさせ帰国させます。国際感覚が黙っていても身につきます。なにしろ、北米で仕入れた魚を東南アジアで加工させているから、魚屋でも国際感覚が不可欠。

 この会長と生意気投合したので、数年前まではもっぱら魚力で魚を買っていました。しかし、スーパーへの出店が多く、加工した刺身や切り身がほとんど。最初は生の魚をさばいていたが、次第に少なくなり、次第に足が遠ざかりました。
 幸いなことに、寺泊の角上魚類が新青梅街道に出来、魚を三枚におろしてくれます。スーパーやデパートで売っていないかわはぎ、うまづら、いわし、かさご、すずき、とびうお、めばる、いさき、こち等の刺身がうまい。月に1〜2度程度だと、近海魚を生で食べても健康にそれほど影響がないだろうと、続けています。
 まぐろに感激しない私には、回転鮨屋に入っても、正直いって食欲をそそるものがありません。かといって天然ものしか扱わない高級寿司屋で一万円札はきれないし…。

 私は、全ての養殖魚が悪いと言うつもりはありません。良心的な漁業者も多いと思いますが、ふぐをホルマリン漬けにして垂れ流している漁業者が存在するのも事実。
 野菜だと、有機栽培をしているかどうかで、おおよその判断が可能です。しかし、養殖魚にどんな餌が与えられ、どんな薬品が投与されたかのデーターが公開されていません。いわゆる、生産者の顔が見えず、ポリシーが伝わってきません。

 消費者が一番知りたいのは「養殖魚の密度」。
 8mとか10m立方の生け簀に何尾の魚が飼われているのか。

 過密だと、運動不足で余分な脂のついた不健康な肥満体になる。ストレスもある。そして何よりも魚自身が排出する大量のふん尿から酸欠状態になり、病気に罹りやすくなる。流れが強いところは良いが、ほとんどの生け簀は波のない入江に設置されています。

 当然のこととして、抗生物質、寄生虫除去剤、成長ホルモン、抗菌物質などが投与されます。化学物質漬けの魚を食べても、かってのようなイタイイタイ病や水俣病にはならないでしょう。しかし、花粉症などのアトピーになりやすい体質になるのではないでしょうか。
 
 そして、よく言われていることですが、餌の与え過ぎで消化されない餌は海底で腐敗し、ヘドロとなり、海草や貝を死滅させている怖れがあります。さらに、イワシの不漁と高値化から肉骨粉が与えられてきた事実も等閑視出来ません。

 養殖魚は、本当に駄目なのか?

 昨年、NHKが九州最南端の串間市の沖合い5キロに浮かぶ8m立方の120もの生け簀でのブリ養殖を取り上げました。
 この沖合い漁場をつくったのは貴丸という会社。入江の過密養殖で2万尾ものブリを大量死させた反省に立ち、沖合い養殖に切替えた。沖合い養殖で最大の問題は台風時。荒波で生け簀がやられる心配があります。ところが、生け簀の枠の浮き袋の空気を抜くと生け簀を沈めることが出来る技術が開発されています。この生け簀を導入したので2000年の台風6号が直撃し、7メートルの高波に襲われましたが、10メートルの水深に沈めた生け簀の被害は皆無でした。
 流れのある沖合いで、魚の数をパソコンで管理し、餌を与えすぎないようにしている。餌はイワシではなく、新鮮な魚のアラと大豆タンパクを粉末状にすり潰し、ビタミン、天然ミネラル、脂肪などを加えて固形にする。この餌が、有機飼料に該当するのかどうかは、NHKの取材では不明でした。しかし、養殖ブリの欠点であった余分な脂肪は20%カットされたし、生臭さがなくなったとのこと。
 そのほか、水中カメラで成長過程をチェックし、ダイバーが潜って病気の魚がいないか監視し、水質等の環境測定は毎日おこなっているという。密度も低くブリの運動量も多いとか。
 ほぼ、理想に近い養殖漁が始まっています。

 何度も引用するので気がひけますが、あのハンフリースは「狂食の時代」で次のように書いています。
 
 大西洋の荒波と北海がぶつかるノーザン諸島沖で、新しい養殖が始まっている。ゲージ内の魚の数はスコツトランド沖の養殖場のほぼ半分。しかも、潮流が速いので、汚染が蓄積して他の魚貝に影響がでない。有毒化学薬品、人工着色料も使っていない。餌は押しつぶしたエビの殻と野菜。魚粉の油分は全体の1/4未満で、有機農法の基準を満たしている。
 集約度を低くし、化学薬品数と使用回数を減らさすことが肝心。そして、その魚がどのように育てられてかの経歴を求めてゆかねばならない。水産養殖は新産業。過密化と抗生物質への暴走を防ぐのは消費者の監視の目である。

 有機野菜の生産農家が「自分の健康を考え、農薬を使わない安全な野菜を作りました。賛同いただける方にお届けします」と言ったように、有機漁業者は「自分が美味しく、安心して食べられる魚を育てています。夏休みには、お子さんを連れて、是非元気な魚を見にきてください」と呼び掛けるべきだと思う。
 私のような魚好きが、ボランタリーでその運動を応援するようになるのではないでしようか。
 もっとも、現在の養殖魚は、接待客相手の高級魚ばかりで、少しぐらいホルマリンやダイオキシンが入っている方が、われわれ庶民は近付こうと考えないから、良いのかもしれません。