■くたばれ「外断熱・2重通気工法」 (2)
  今の木造軸組は本来の在来工法ではない!

 日本の在来木造住宅関係者は、口を開けば「日本の在来木造は法隆寺などに代表されるように、千年以上も寿命をもった素晴らしい建築物。したがって在来木造住宅は、100年は軽く持つ」などと平気でいう。
 私は宮大工と呼ばれる人の書いた本を7冊は読んでいる。
 
 彼等が言っているのは
「神社仏閣に使っている木材は、樹齢500年以上のものである。500年の樹齢の木を大切に乾燥させ、丁寧に使っているから500年は持つ。せいぜい100年の寿命実績しかもっていない鉄筋コンクリート造や鉄骨造と一緒にしないでくれ!!」
である。

 今でも地方へ行くと築100年以上の民家がある。
 それらは、太い大黒柱、梁、貫などで造られている。
 樹齢100年の木材をふんだんに使っている。

 樹齢30年弱の3.5寸角の細い無垢の芯持柱しか使っていない木造軸組が、50年も100年も持つ訳がない。
 ウッドワン(住建産業)はニュージランドに山を買って、ラジアタパイン材を30年周期で伐採、植林し、無垢のドアやシステムキッチンなどを供給している。材木は若いほど多く炭酸ガスを吸収してくれる。したがって、地球環境という面からは理想的サイクル。
 だが、造作材とか、集成材として使う場合は30年で良いけれども、集中荷重がかかる無垢の構造材として使う場合は、本当に100年保証が出来ようか。
 
 それと、強調したいのは、現存する100年以上寿命を持つ、いわゆる日本古来の在来木造住宅というのは、貫(ぬき)工法と呼ばれるものであって、現在の細い柱と筋違い、小幅板の木ズリでやっと耐震性を持たせている軸組とは異質のものである。

 太い貫で支えられた木造大貫工法が100年以上の実績を持つのであって、筋違いや小幅板の木ズリを張った住宅で、100年以上現存しているものは皆無。もしあったら、是非ともその存在を教えて頂きたい。

 大貫工法といっても、今では建築科の学生でもほとんど分っていない。
 神社の鳥居を考えていただきたい。
 冂という形だったら、上角に力を加えるとグニャリと潰れてしまう。しかし、円という字のように、下に一本太い貫という線を横に入れると簡単に潰れなくなる。鳥居が地震や台風に耐えてきたのはこの大貫のため。

 機会があったら、古い民家を訪ねてもらいたい。
 建具の上部に、なんでというほどの大きな貫が入っているのを目にすることが出来る。

 しかし、江戸時代に入って、江戸の庶民の住宅は、ちゃちな貫しか入っていないものになった。
「江戸は1日として火事の無い日はなし。3年に1度大火があり、このため10年住めば1度は焼けだされる始末。江戸の住宅の寿命は10年でしかなかった」(山本純美著・江戸東京の地震と火事)
 防火性のない木造住宅は、多くの生命と財産を奪ってきた。

 そして、関東大震災。
 大貫のない土壁の庶民の住宅は、あまりにもあっけなかった。倒壊し、防火に対して無防備の木造住宅は、火災を呼んで二十万人以上の命を奪った。
 戦争以上の被害を、木造住宅は国民に与え続けてきた。
 そこで、泥縄式に採用されたのが筋違い。

 そして、戦後。
 山は禿山で木材が極端に不足したため、細い柱と筋違いで家を建てざるを得なかった。これでは耐震強度が不足するため、安い小幅板を外側に打ち付けた。そして、細い材木では継ぎ手、仕口がしっかり固まらない。そこで、羽子板ボルトやカスガイなどで耐震補強をした。
 しかし、羽子板ボルトでは継ぎ手が剛にならずグラグラする。地震の揺れを拡大する。
 また、コの字型で先の尖ったカスガイは、土台と柱の緊結などに使われたが、柱の繊維方向に打込んだカスガイは強い揺れにほとんど効果がない。櫛で髪を梳くように、簡単に梳り抜けてしまう。

 これが、今日の在来木造住宅の原型。
 阪神大震災で倒壊した現場に立って、私は腹の底から怒りが込み上げてきた。神戸市民の命を奪った最大の原因は、在来木造関係者の無知そのものであった。全ての材木屋、工務店、大工に「製造物責任」がある。
 プロであるべき大工、工務店の現場監督、設計士などが、神戸市民の加害者だった。

 この責任に頬かむりして「在来木造住宅は、100年以上はもつ」という者を、絶対に信用してはならない。

 このように、いま在来木造業者の語る木造軸組工法は、2000年の伝統を持つ日本の木造大貫工法とは、部分的な継ぎ手や仕口は似ていても、構造的には全く異なるもの。
 法隆寺や昔の民家と、現在の庶民の木造軸組工法を同一のもののように語る者は明らかなペテン氏。消費者を騙すという面で、雪印食品などと同じ穴のムジナ。

 阪神大震災は、建築業界に実に多くの教訓を残してくれた。
 特に印象的なことは、木造と鉄骨の軸組工法が、予想以上に脆弱だったということ。
 それまでは「マンションを買うなら、鉄筋コンクリート造でなく、鉄骨造を選ぶべき」などと、建築構造の学者先生が言い、建築関係者は鉄骨造を選んできた。
 ところが、建材産協と神戸大の調査によると、倒壊率50%地域での全半壊は下記の通りで、在来木造とともに鉄骨造の軸組が決定的な被害を受けたのである。

在来木造 42.8%
鉄骨造 22.2%
鉄筋コンクリート造 3.4%
プレハブ 0.8%
ツーバィフォー 0.0%


 この軸組の弱さから日本の木構造の議論をはじめるべき。
 ところが、断熱、気密、空気質のほとんどの学者や評論家は木構造に疎すぎた。現状の在来工法を黙認して断熱、気密を論じ、細部に走って、業界をミスリードした。
 その代表的なものが「外断熱」である。