■第6回日加住宅R&Dワークショップ (5)
   最低換気量は入居者の責任でここまでやって良い

 前回、罰則規定のある機械換気の基準が建築基準法で決められたけれど、内容はかなりいいかげんで「ともかく0.5回の換気能力しか求めていないのだ」ということを書きました。

 ということは「わが家の最適換気回数、換気方法、換気の管理は皆さんで勝手に考え、適当にやって下さい」と言っているということです。
 国が監視するのは換気機械のキャパシティだけ。それ以外の一切のゲタは消費者にあずけられたのです。

 つまり、消費者が賢くなるしかありません。
 住宅メーカーや換気機械メーカー、あるいは設計事務所のいい加減な言動に迷わされることなく、自分で判断出来る知識と能力を身につけねばなりません。

 そこで、まず知らねばならないのがネットフォーラムの質問にありました必要最低換気量。

 まず問題になるのは室内のCO2許容濃度です。
 基準を設けている国は3ヵ国。フィンランドでは1200ppmですが、ドイツとスイスは1500ppm。
 この1500ppmを1人当りの必要空気量に直すと大人16.7立方m/h、
子供12.5立方m/hとなります。(吉野先生の資料より)
 しかし、これは煙草を吸わない場合であって、喫煙室の場合はこの3倍の空気量が必要であるということをお忘れなく。

 さらに、この1500ppmを平均的な4人家族の場合の必要換気回数に直すと、家の大きさごとにおおよそ次のようになります。

  
100平方mの住宅 0.23回
120平方mの住宅 0.20回
150平方mの住宅 0.15回
180平方mの住宅 0.13回
 
 つまり、人間が新鮮な空気を吸ってCO2の心配なく生きてゆくには、0.2回程度の最低換気が必要だということです。しかし、大きな家の場合は、高気密住宅でも、ほとんど気にしなくていい数値です。

 さて、これにホルムアルデヒドやトルエン、アセドアルデヒドなどの化学物質、あるいはカビや悪臭などの排除のための必要換気が加わります。それらを何回と見るか、ということ。

 そこで、いくつかの基本的な検討条件が加わります。
(1) ホルムアルデドなどの化学物質が少ない建材や接着剤、塗料で建てられたか
 (2) 防虫剤、殺虫剤、ワックスなどの使用が少ないか
 (3) 家具や備品で化学物質の多いものがないか
 (4) 24時間換気でカビやダニが少ないか
 (5) 気密性能が高く、空気の流路が計画的か

(1) は完成時のホルムアルデヒド濃度が0.03ppm以下であればま
ず安心。
(2) は奥さんがやたらに綺麗好きでないこと。そして虫が入ってこない住宅であること。
(3) は家具を買う時、必ず扉や引出しを開けて匂いをかいでから買うこと。
(4) は除湿に配慮し、浴室床の乾燥に気をつけていること。
 そして、一番問題になるのが(5)の気密性能です。

 換気効率という概念があります。(倉淵先生の受売り)
 アメリカの空調学会では、取入れた外気がどれだけ居室に到達したかの比率で、換気効率を見ています。

 排気専用の第3種換気装置を例にとって話を進めます。
 150平方mの住宅で、排気量は187立方mあったとします。換気回数は0.5回で、建築基準法上何も問題ありません。

 ただし、この家の気密性能が相当隙間面積で2.0平方cmだったとします。この場合どんなことが起こるか。
 大宮健司さんの著書「住んでわかった外断熱」によると、各室に付いている給気口からの吸入率が25%にすぎません。残りの75%は、排気装置の設置してある洗面室や浴室、近くの廊下、階段室、玄関、便所などの周辺の隙間から吸込んでいるのです。

 各部屋の給気口から吸ってこそ円滑な換気が図れるのです。ところが効率はたったの25%。これでは各室の換気は0.12回で、2階の遠い部屋などは0.1回ということになります。これではC02さえ危ない状態。

 さて、気密性能と換気効率に関する研究は、残念ながらあまり見かけません。先にあげた大宮氏のもの以外にありません。そして大宮氏は資料の出所を明示していません。おそらくトステム時代の研究によるものと思われます。それによると、相当隙間面積と給気口からの吸入率は以下です。
  
相当隙間面積5.0平方cm 約12%
2.0
約25%
1.0
約40%
0.7
約50%
0.3
約70%
0.1
約90%

 つまり、相当隙間面積が1.0平方cm以下でないと、スウェーデンの最低の気密条件である換気効率40%が達成出来ないのです。
 私が相当隙間面積1平方cmにこだわり続けるのは、思いつきや気紛れでないことが、お分かりいただけたと思います。

 相当隙間面積が0.5cmを切ると、アンダーカットしたドアの下部から流れる空気がよくわかります。ドアを10cmほど開けておくと、パタンと大きな音を立てて閉まります。空気がよどみなく流れているのが実感できます。

 これが計量機械換気なのです。隙間から3/4もの吸気を行うものは、機械換気であっても必要量を計画的に吸入することが出来ないまがいものにすぎないのです。
 機械が悪いのではありません。隙間の多い住宅が悪いのです。相当隙間面積2cmで高気密と名乗るのが間違っているのです。

 さて、許される最低の必要換気量です。
 断っておきます。これはあくまでも私の独断であって、科学的ではありません。

 ホルムアルデヒドが0.03ppm以下であって、やたらと防虫剤を使わず、家具を買う時は鼻を効かせ、風呂から最後に上がる人が浴室の床をタオルで拭き、気密性能が相当隙間面積で0.5平方cmであれば、標準家庭で以下の換気回数で十分だと思います。

100平方mの住宅 0.33回/h
120平方mの住宅 0.30回/h
150平方mの住宅 0.25回/h
180平方mの住宅 0.23回/h