■日本住宅ローンに対抗するモーゲージローン誕生!?

 私は残念ながら住宅金融に疎い。
 したがって、皆さんに笑われるような、くだらない心配ごとを繰返していた。
 住宅金融公庫の直接融資が2年後になくなった時、本当に地場のビルダーは安泰でいられるのか?

  大手の積水ハウス、ダイワハウス、住友林業は公庫の証券化支援事業を活用した日本住宅ローンを設立し、2.9%という低利で長期の固定融資を開始している。さらに、あと何社かが参加するというふうに聞いている。
 自社の営業窓口で、営業マンが全ての融資手続きをやってくれる。
瑕疵や性能保証の手続きもやってくれる。一社で全ての手続きが完結する。消費者にとっては、大変に便利で有難い存在。

 ところが、中小ビルダーの場合だと、地元の銀行に持ち込んでも何時になったら融資が確定するかが判らない。減額されるかもしれない。したがって着工が決らず、計画がたてられない。一つの窓口で完結というわけにはゆかない。これでは、消費者が地場ビルダー離れを起こさないだろうか。

 今は、超低金利時代だから、まだなんとかなっている。しかし、高金利時代になった時、日本住宅ローンの長期固定融資に対応してやってゆけるのか。
 地場ビルダーは、大変不利な環境下に放りだされるのではないか。
 公庫の直接融資がなくなったとたんに、大手銀行は金利を引き上げ、選別融資を強めるのではないか。

 今でも地場ビルダーは銀行に振り回されているが、公庫の直接融資がないと、技術や性能ではなく、融資というインフラ面で地場ビルダーは差別化される怖れがある。

 それだけではない。
 公庫は、単に消費者に安価で長期の建設資金を提供してきただけでなく、木構造の指針となる仕様書を発表し、政策誘導で性能を向上させる大きな役割を果たしてきた。日本の木構造を支えてきた。
 また、地域の木造住宅振興策にも大きく寄与してきた。
 消費者だけでなく、ビルダーにとっても、地場の林業家や木材店にとっても、指導的な役割を果たしてくれた。

 そういった技術的指導力が、事務屋の銀行マンに期待出来るか。
 長寿住宅などという視点があるだろうか。
 また、大手の住宅メーカーは、次世代省エネ基準が最高の基準だと考えている節がある。気密性能や断熱性能はここらで打止めにして、あとは性能以外の面で差別化を図ろうと考えているというふうに私には感じられる。悪臭がプンプンする。

 彼等が、完全に金融インフラで業界を制覇した時、日本の住宅の品質は打止めになる。たぶん、そうなると思う。いや、くやしいけれど絶対にそうなる。その方がマンモス企業である鉄骨プレハブメーカーにとって有利だから……
 木造の振興とか、森林の見直しなどは、産業としてではなく、単に環境対策として考えればいい。

 悲観主義が私の全身を包んでいた。

 ところが、モーゲージローン研究会なるものが、ひそかに活動を続けていた。
 アメリカなどへ調査団を派遣して地道に調査と研究を続け、システムの開発を行っていた。

 ご存じのように、アメリカではモーゲージローンが主流。
 なんと、3000社以上の企業が参入しているという。
 そして、トップは10人の人間でスタートして、10年間で2万5000人もの人間を使うまでに急成長しているという。
 急成長しているのはいずれもベンチャーで、既存の金融マンではないという。

 モーゲージバンクというのは、預金は預からない。専ら住宅を証券化して扱う企業。アメリカでは、中古住宅の評価システムがしっかりしているから、全ての住宅が証券化される。日本のように、新築住宅だけではない。
 それだけにマーケットが広い。

 そして、この証券化の核になるのは審査システム。
 いわゆるIT。
 なんと、研究会では「住宅ローンの自動審査システム」の開発を急いでおり、5月頃からいよいよ実証実験を行えるまでになってきているという。
 今すぐにではないが、近い将来には1分以内で審査が行えるようになるという。そうなれば、中小の地場ビルダーでもシステムに参加して端末機を置けば、その場で融資が確定出来るようになるという。本当……?!
 だとしたら、何も日本住宅ローンに怯え続けなくても、地場ビルダーでも十分にやってゆけるようになる。

 私の友人にビルダーシステム研究所の鵜沢所長がいる。
 彼が中心になり、NTTデータと何億という金をかけてシステム開発を行い、7合目まできたという。グッドローン社もかんでいる。

 目的は、住宅金融という基本インフラで、ビルダーが不利になるようなことのないシステムの開発だという。そして、ビルダーの参加を最優先で考えてゆきたいとしている。

 とりあえず、5月の実証実験に参加出来るのは、現在の研究会のメンバーを優先し、半年後にはビルダーの参加を歓迎するという。

 構想されているモーゲージバンクは10人程度でスタートし、5, 6年で30人程度の規模で1500件前後を取扱えば黒字化するという。資本金は5億円が条件で、ビルダーが資本参加する場合は500万円程度は払う必要がありそうだ。

 残念ながら、モーゲージローンシステムの詳細な解説は、またの機会にしたい。
 まだ、完全に完成しているわけではなく、実証実験の中で方向が変化するかもしれない。ここまではなんとか漕ぎ着いたが、これからが大変なのかも知れない。
 あまり、うかつなことは書けない。

 しかし、悲観1本槍であった私だが、垂れ込めていた雲の先に僅かだが光が見えてきたように感じる。

 世の中、それほど捨てたものではない。