■耐震等級3だと地震保険が30%安。性能評価が有効?
 この話は受け売りです。

 住宅金融機関に勤めるM氏は、町田農協のアパートのオーナーに「性能評価で耐震性能等級3を取ると、地震保険料が30%も安くなる。ツーバィフォーのアパートは、すべて等級3をとるべきだ」と言われたとのこと。

 ちなみに、そのオーナーの場合は10戸1棟で、35年間で30%ということは150万円にもなるとのこと。このうち20万円は性能評価にかかる費用。それを差し引くと130万円の得だから、絶対に薦めるべきだというのが趣旨。

 ご案内の通り、性能評定で耐震性能等級3をとるということは、建築基準法の1.5倍の性能が求められます。

 よく「地震に強い家」などと言います。
  スジカイとキズリしか使っていなくて「地震に強い家だ」などと消費者を欺いている工務店を見かけます。本などで、どんなに立派なご託を並べようとも、その建築現場で耐震性能を見れば、その工務店が本物かどうか一目で分かります。現場は絶対にウソを隠すことが出来ません。すぐに見抜けます。

 また、「伝統の大貫工法は地震に強かった」と民家を讃える構造を知らない一部の知ったかぶりの建築家と伝統技能だけを売り物にする棟梁がいます。
  私は宮大工の伝統技能は貴重なものであり守るべきだと思います。そして、直下型地震がきて、仮に神社仏閣が倒れたところで、人に直接的な被害がなく、伝統技術の限界が明らかになるだけです。

 しかし、人が住む住宅の場合は、いい加減な表現は許してはなりません。
  ギリギリ基準法をクリアーした住宅を、耐震性能の強い家というのは羊頭狗肉。
  やはり、耐震性が強いというからには、基準法の1.5倍、つまり等級3であるべきです。

 マンションの建築現場、RC造とか鉄骨造の現場を見ても、等級3というのはほとんど見かけません。せいぜい等級2がいいところで、最近では「2が少なくなりほとんどが1になってきている」とM氏は言います。

 モデルハウスを見ると美しく飾っているマンションですが、現場を見るととても買う気にならないものが多いこと。

 これは、大きな地震の被害状況を目撃しているかいないかの差だと思います。
  阪神淡路大震災とか仙台地震等を目撃している者にとっては、建築基準法を遵守しているだけでは絶対に安全と言えないというが実感です。工事中の万が一の手抜かりとか、予想外の応力が被害を及ぼしているのを見ているからです。

 したがって、直下型の地震に耐えるには等級3以上でなくてはならないというのが、心情というか、信念というか、まあ信仰に近いポリシーになっています。

「そんな、100年に一度起こるかどうかわからない地震のために、等級3にするのは過剰性能だ」という考えがあるのは事実です。いざと言う時は、倒壊する家の下敷きになってもかまわないというのが施主の要望であれば、等級1のキズリでもいいでしょう。

 しかし、直下型の東海大地震が、5年以内に何時きてもおかしくないと言われている現在、やはり最低で等級2、少し無理をしてでも等級3の住宅を建てるのが、ビルダーとしての義務ではないかと良心的なビルダー達は考えています。

 そして、等級3にすれば、地震保険料が30%安くなるということは、私はうかつにも知りませんでした。もしそうだったら「性能評価も捨てたものではない」という気になります。

 ご案内のとおり、施主が希望すれば、つまり費用を払えば性能評価が受けられます。品確法という法律が制定されました。

 しかし、この品確法に対して、その成立過程での醜い策略を目撃してきたので、ほとんど顧客に薦めていません。その策略の細部を今更書く必要もないでしょう。品確法は「消費者保護」という美しいオブラート、大義名分に飾られていますが、内実は「建設省のお役人の天下り先の確保法」にすぎません。

 そして、性能はプレハブメーカーにおもんばかっていて、真に消費者の利益を守ろうという意欲が見えません。口の悪い私の友人などは、その検査体制の実態などから「品確法」ではなく「品欠く法」だと公言してはばかりません。

 そんな訳ですから「良心的なビルダーは品碓法を避け、品碓法を上回る性能を提供すべきだ」と言ってきました。「20万円払わなくても、R2000住宅の基準を厳守しておれば、最高の性能を顧客に提供出来る」との信念を貫いているビルダーが多くいます。

 けれども、顧客に「万が一の安心のため地震保険に加入したい」という希望がある場合には、性能評価を受けるように薦めるべきではないかとM氏に教わりました。
  たしかに費用は20万円程度かかります。
  しかし、坪数が大きいと、30%安くなる地震保険料の差額で20万円の費用が浮いてきます。

 そして、将来転売することになった場合「この住宅は地震保険料が30%も安い、安心出来る家です」と断言することが出来ます。立派な証拠を持っています。

 ということになってくると、耐震性の証明のためにビルダーは顧客に地震保険への加入を薦めるべきなのかもしれません。
  地震に強いといいながら、地震保険を薦めるのは矛盾するように感じられますが、自分の家は絶対に倒壊しなくても近隣の倒壊家屋からの二次被害を受ける怖れがあるからです。

 さて、そこで低層住宅で、等級3耐震性能を持った住宅がどれほどあるかと見回してみました。

 良心的なツーバィフォー業者の場合は、無理のないプランだとほとんど可能でしょう。また、木軸でパネル併用のいくつかの工法も基準法の1.5倍をクリアーしています。

 しかし、それ以外のほとんどは、耐震性を謳いながら性能はそれほどでもないという事実に、多くの消費者は気付くでしょう。