| ■体験出来る複合的住宅館、陸続と登場 |
| 初めての顧客を呼び寄せるのが、新聞社やテレビ局などが主催する各地の総合住宅展示場。 これとは別に、ほぼ内定した顧客を完全に囲い込むための、各社毎の複合住宅館が、私の知らないところで陸続と登場していた。 言ってみれば、内定した顧客を完全に囲い込むための施設。見込み客を固定客にするための金のかかった婚姻の儀のステージ。 こうしたステージは一般には公開されていない。 したがって、なかなかその存在が分からない。一、二、話には聞いていたが、見物したことはなかった。 たまたま機会があり、この二週間にこうした複合住宅館を立て続けに三ヶ所見学させてもらった。 この三つの住宅館はそれぞれに特徴があり、内容が異なっている。 しかし、いずれも顧客がいろんなことを疑似体験できる施設を持って いる。 最初に見たのは、都心のビルの大きなフロアーをぶち抜いた体験展 示館。システムキッチンや各種住宅機器など指定資材がすべて展示されており、比較検討して選べるようになっている。 また、車椅子を使ってメーターモジュールと尺モジュールの違いが体験出来るコーナーや高齢者になった場合の階段の登り降りの大変さが体得できるコーナーもある。 つまり、この住宅館にくると、すべての資材、商品を触って比較検討でき、キッチン、廊下、トイレの広さを確認しながら決めることができる。 いままでは、各メーカーの展示場を回って商品の比較をしなければならなかった。そのような面倒な手間が省ける。消費者は一ヶ所に足を運ぶだけでことが足りる。よほど特殊なものを選ばないかぎりはすべての選択を終えられる。 このことは、住宅メーカーから見れば、顧客の囲い込みができるということであり、プランと資材の決定が早まり、相互の思い違いが防げ、消費者の浮気防止になってくれる。各社とも、展示場とは別に複合の住宅館を持ちたがるわけである。 次に見たのは衛星都市内の広い敷地に、二つのモデルハウスと二つの体験館、それに資材などの展示と打ち合わせや研修などができるセンター施設を備えた複合住宅館。 この住宅館で面白かったのが二つの体験館。 一つは、構造部材をはじめ、使用部材の断面や機能がよく分かり、ガラスの遮音、遮熱性能などが比較できるようになっていた。また、身障者になった場合の浴槽の高さがどれほどものをいうかが擬似体験出来るコーナーや、照明の種類と光源によっての違いが実感できるコーナー、さらにはくつろぎのための音響効果を実体験出来るコーナー あるいは食堂、キッチン、寝室、洗面、トイレなどの広さと機器の高さを確認し納得できるコーナーという具合に、盛り沢山のコーナーが用意されていた。 もう一つの体験館では、車椅子でのすべての生活が実体験できるようになっていた。アプローチのスロープから玄関のリフター、介護ベットから介護用の移動機器。もちろんエレベーター、廊下、台所、洗面、浴室、トイレは完璧な介護対策がなされており、市町村で介護費用が異なるので、そうしたデーターと打ち合わせができるコーナーから申請用紙まで備えられていた。 最後に見たのが、郊外の中核都市に設けられた広大な敷地内での複合住宅館。 何しろ、展示されているモデルハウスだけで五つある。 一つはファミリーレストランとして活用されており、他の二つは宿泊体験施設として活用されている。海浜リゾート地が近くにあるので、都心の人々はホテル代わりにこの宿泊館を利用し、ついでにその快適さを体験している。 さらに、もう一つのモデルハウスでは騒音が体験出来るようになっていた。 一つは外部騒音。新幹線、普通の電車の踏み切り、幹線道路、飛行機などの外部騒音が、三種類のガラスとサッシで比較し、実感することができる。 その他に、二階のトイレの排水音を比較できる施設もあった。 圧巻は、何んと言っても大きなセンター施設。 まず、耐震体験施設。震度3、5、7が体験でき、関東大震災や阪神淡路大震災のものすごさがわかり、工法の大切さが 否応なしに理解させられる。 さらに、外壁に炎を当てての火災実験。外断熱の脆さが誰の目にも一目で明らかになる。また、風洞装置。風によるサッシの隙間の状態がよく分かる。 このほかに、ぺァーガラス、Low-Eガラスの遮熱性能が実感できるコーナー。 照明の種類によりルックス、ムードなどが体験出来るコーナー。 廊下や階段の広さや勾配が体験出来るコーナー。 台所、洗面、浴室などの広さと機能を体感できるコーナー。 外壁、屋根材、エクステリアの資材は、わざわざ外部に展示してあり、自然光の中で選択できるように工夫してある。 半個室になった打ち合わせ室が十数ヶ所あり、カーテンは中国からの輸入ものを含めて実物大で多数用意されている。 徹底的に体験し、徹底的に比較して選べる複合住宅館。 こうした施設の費用は、当然のことながら価格に上乗せされてくるわけだが、今までの単に眺める住宅展示場から一歩も二歩も前進したものであり、納得し、楽しめる。 大手のこうした動きに対して、地場ビルダーは、今まで以上に発想を転換し、体験出来る場を増やしてゆかなければならない。 |