■環境問題のポイント・・・日本の水と日本の木を使う

 ふらりと入ったラーメン屋のラーメンが美味しかったり、汚い店構えの居酒屋の肴が上手くて大変得をした気分になる時がある。
  本もそのとおりで、なんとなく手にとった本が、想像以上に面白かつたときは、それこそ宝くじにでも当たったようなラッキーな気分にさせられる。

 新書本だが、二つの本に惹きつけられました。
  ひとつは「ウォーター・ビジネス」(中村靖彦著、岩波新書)
  もう一つが「田舎で起業!」(田中淳夫著、平凡社新書)

 地球上の水の量は14億立方k といいます。
  そのうち海水の比率が97.5%で、淡水の比率はたったの2.5%。しかもそのうちの70%が氷河などで、残りのほとんどが地下水。河川などの利用可能な表面水はたったの0.001%

  高温多雨な日本では「湯水のように使う」という言葉が生きていたように、水は無限でただと考えてきました。
  ところが世界では安全な飲料水に接することが出来ない人が11億人もいるそうです。
  水の面で衛生的なサービスが受けられない人の数にいたっては24億人にもおよぶといいます。
 
  全人類の1/3が水環境に恵まれていません。
  しかも、水問題で厄介なことは、この水が将来にわたって少しも増えないことにあるといいます。人口が増えるのに・・・・

 日本では、水を一番多く使うのは農業であり、工業でした。
  しかし、休耕田に代表されるように食料の自給率は40%と、世界でも最低の国になりました。自動車を輸出して外国から食糧を買えばいいという間違った考えが今でもあります。

 外国から食料を買うということは、水不足の外国から水を輸入しているのと変わりません。
  穀物や肉1トン当たり以下の水を使うそうです。

・コメ 3300 立方メートル
・小麦 2000
・とうもろこし 1900
・大豆 2500
・大麦 1900
   
・鶏肉 4500
・豚肉 5900
・牛肉 21000
・牛乳 560
・鶏卵 3200


 そして、こうした穀物や肉などを通じた間接的な日本の水の輸入量は640億立方メートルと、天文学的な数字になります。これは国内の農業用水量に匹敵するそうです。

 つまり、水の多い日本が、地下水の枯渇で大問題を起こしているアメリカや中国から貴重な水を奪っているということなのです。
  幸い、アメリカの牛肉はしばらく輸入が禁止されていますが、吉野家の牛丼を食べるということは、マクドナルドのハンバーガーを食べるということは、海外の貴重な水をがぶ飲みしているということにほかなりません。
  しかも、生活習慣病を惹き起こしながら・・・

 私が不起耕農業に大きな関心を寄せるのは、不起耕農業が日本の水を守ってくれるからです。
  コメぬか以外の化学肥料を使わず、農薬も使いません。したがって田んぼはイトミミズをはじめヤゴ、めだか、蛙、くも、どじょう、たにしなどの動物で賑わいます。

 この田んぼでろ過された水は上質の水道水として使えるのです。
  大阪の水がめである琵琶湖周辺で、不起耕農業が盛んに推奨されるようになってきました。
  塩素で化学的にろ過されているまずい水。
  このため、日本は世界各国からペットボトルを輸入しています。

 日本の農業環境を良くしてゆけば、田んぼでろ過した水で十分なのです。戦前、日本の農家で、井戸もない家庭が多くありました。農薬を使っておらず、石鹸しか使わなかったので、ろ過された川の水で十分衛生的だったのです。

 さらに、不起耕農業は、冬季田んぼに水をたたえます。
  関東の全ての農家がこれをやってくれたら、全ての田んぼに雁や白鳥がやってきます。それだけではありません。表日本の冬期は、世界に例を見ない異常乾燥です。田んぼの水が、この異常乾燥を防いでくれます。

 つまり、風邪が少なくなり、造作の建て付けが良くなり、クロスのはがれが少なくなり、静電気の発生が減ります。
  建築と農業は、深い関係にあるのです。

 そして、日本の環境を問題にする時に、忘れてはならないのは国土の70%を占める山林です。日本は世界一山林面積の占める比率が高い国家です。世界に例を見ない国なのです。

 山の木々は地下水を吸い上げるとともに、鉄砲水の発生を防いでいてくれます。
  しかし、その山林が、山林地主を一方的に保護した農林省の行政ミスで、下草も生えない針葉樹林のため、保水量が極端に低くなってきています。
  西川材の産地の人に聞いても、川の水位は昔の半分だといいます。

 さて、この国産材をどう利用するか・・・それについてバスターボードの生産が間に合わない岐阜の起業家の例や宮崎の積み木建築の例が「田舎で起業!」で紹介されています。大変に面白いのですが、紙数が尽きてしまいました。日本の山林の問題は、今後とも多角的にとりあげますので、その中で改めて紹介したいと思います。