■いよいよ「減築」の時代が始まった・・・(1)

 戦後50年にわたって、私共の住宅に対する基本的な考えは変わらなかった。
 「住宅というのは不動産……不動の財産である」

 いまさら言うまでもなく、アメリカでは住宅は動産。一つの家にいつまでも住むものではない。
  家族がかわり、収入が変わり、年齢が変わると、どんどん移り変わってゆくもの。

 アメリカではこの10年来の住宅着工ブームはすごい。
 バブルと言われているが、一向に衰えをみせない。
 これは、移民の数が減らないから。
 毎年、百数十万人という移民がアメリカへ流れ込む。日本の一つの県が毎年一つずつ増えている勘定。

 48都道府県が、20年後に68都道府県になるということ!!!

 日本はこれから人口の減少が始まる。日本だけでなくて、イギリスも、フランスも、ドイツも人口の減少が始まる。
  それに対して、アメリカはこれからの15年間で2000万人も人口が増大するという。
  住宅着工が減らないのは道理。

 そして、新設住宅の着工量ばかりではない。
 アメリカでは中古住宅の売買戸数がなんと年に600万戸にも及ぶ。
 新築の3倍から4倍もの住宅が売買されている。
 その数は日本の20倍以上。
 つまり、住宅は動産。

 自動車は機械だから5年とか10年乗れば価値が減る。
 原価が消滅してしまう。

 しかし、住宅は5年や10年では価値が落ちない。
 最低でも50年、丁寧にメンテナンスしてやれば100年は使える。
 アメリカでは、分譲住宅の建築中に市の検査官が全ての現場を回って、十数目にわたって検査をしている。検査に合格しないと電気も水道も供給されない。

 したがって、日本の悪質不動産屋のような手抜き工事が許されない。基本的な性能は正しくチェックされている。構造躯体は安全であるという大前提がある。

 そして、家の価値を左右するのは「使い方」であり「住まい方」

 自分できちんと住宅を可愛がり、メンテナンスしてやらないと価値が下がってゆく。
 このため、アメリカの男たちは、日曜日になると家と庭をいじる。
「ホーム・デポ」というすばらしいホームセンターがある。
  いわゆる Do it yourself の店。

 そして、数年も過ごすと、家を売って移り住む。

 アメリカ人は基本的に狩猟民族。
 モンゴルほどではないが、一生に最低十数ヶ所、場合によっては数十ヶ所も移動する。

 これに対して日本は基本的に農耕民族。一ヶ所に定住してなかなか動こうとしない。
家を売るという発想がない。 
家を売るのは破産した時か、よっぽどの事情がある場合のみ。
したがって、不動産の市場が機能しない。

  日本の中古市場が、急激に発展するとは考えられない。
マンションなどを中心に、除々変化はしてきている。しかし、不動産屋は一戸建て住宅の建物を正しく評価する目を持っていない。性能を評価できない。
品確法は、たしかに一歩前進かもしれない。
しかし、気密テストを評価の中に加えていないようなものを、信用しろといわれても無理。

  ということで、日本では住宅を改造して使ってきた。
その改造は、もっぱら増築という形で行われてきた。
子供が二人になったので、手狭になって増築した。
子供が結婚し、同居することになったので手狭になり、違法建築だがさらに増築した。あるいは建て替えた。
これが今までのパターン。

 ところが、最近では様子が変わってきた。
  結婚したら、子供は家を出てゆく。一時的に出ていくのならよい。帰ってきそうもない。どうやら、両親との同居を嫁が嫌っているらしい。
  昔は、嫁は家へとついできた。しかし、仕事を持った女性は、家に縛られる考えはない。収入があるので、交通の不便な夫の両親と同居して家賃が安くなる喜びよりは、交通至便で私流にのびのび出来ることの方がはるかに身体が休まり、うれしい。

 中央線沿線の一戸建住宅では、かつては半分が標準的な四人家族で、1/4が二世帯住宅で、1/4が親だけの世帯といわれた。
  ところが最近では親だけの世帯が1/3を超えようとしている。
 
  何が起きているか。増築した4DKのうちの二つから三つの部屋が不要になってきている。
  冷暖房効果ということを考えると、減築したい。
  本当は、ゆったりとした間取りに改築したいのだが、帰ってこない子供のことを考えると、金をかけるのはもったいない。

 さて、うまい方法はないだろうか ?