| ■イラクの戦争がアメリカに与えつつある大きな影 |
| 古くにツーバィフォー住宅をやったことのある人だと、ロスにグローバルリンクという会社を設立した山本儀子女史のことを知っている方が多かろう。 アメリカの住宅産業の調査や視察、資材情報の入手などで、同社を活用された方が結構あった。 私は30年来の知り合いだが、同社を活用したことはない。 女史に頼まなくても、アメリカの場合は建築現場を30ヵ所も回れば、最新の技術情報が簡単に入手できた。 現場に全てが揃っていた。 しかし、この数年間、アメリカを訪れていない。 新しい技術情報が入手できるのではないかと、女史が主宰するチャンプという会合に初めて顔を出し、今帰ってきたところ。 久しぶりに旧交を温めることは出来たが、多忙な女史から、これはという新しい技術情報を残念ながら探り出すことが出来なかった。やはり、国際免許証をとっていって、自分で現場を走り回るしかないのかもしれない。 しかし、イラクの戦争がアメリカの国民に与えている大きな影響だけは話のはしはしから伺い知ることが出来た。 まず、庶民を直撃しているガソリンの高騰。 アメリカでは単位がガロンなので、値段が表示してあってもピンとこない。リッターに直すといくらかという計算がなかなか出来ない。しかし、中型のレンタカーを満タンにしてもせいぜい25ドルくらいしかかからなかった。 ところが、現在では倍の50ドルはするという。日本とほとんど変わらないか、場合によっては高いのかもしれない。 なにしろ、アメリカは車がなくては生活出来ない。 通勤は全て車。 ガソリンが値上がりしたからといって、アメリカの会社は通勤費を負担してはくれない。 日本のように高速道路代はかからないが、遠距離通勤者にとってはガソリン代が月に3万円も4万円も余分にかかる。 これは、もろ生活に響く。 それよりも、アメリカ軍が行った捕虜虐待のニュースが、アメリカ人の正義感を根幹から揺るがしているという。 アメリカ人は「人権」ということを声高に叫んできた。 第二次大戦中の、あのナチスや日本の虐殺行為を許せないと叫んでいたのはアメリカだった。中国や韓国に対して、必要以上に日本の虐待行為を小針棒大に拡大して伝え、反日感情をあおってきたのは、ほかでもないアメリカである。 中国政府の「人権」も問題にしてきたし、北朝鮮やイラクの人権を守るということが、そもそも戦争を起こした大義名分だった。それなのに、アメリカ軍が「人権」を踏みにじっている。 世界に明らかになった虐待の事実を前にして、アメリカ人自身が恥ずかしさとやりきれなさに、もだえているという。 日下公人氏がいみじくも指摘しているように、ことの発端はフセインの次の発言だったという。 「ドルを持ってきても石油を売らない。ユーロを持ってくれば石油を売ってあげよう」 科学兵器があるとか、イランの民主化を進めるというのはあくまでも口実。このままフセインをのさばらせておくとドルの価値がガクンと下がってしまう。 アメリカのドルが紙くずのようになり、経済が停滞し、ヨーロッパがのさばる。 もし、中国やソ連までがこのフセインの口車にのるようなことがあってはアメリカがもたない。 何が何でもフセインを叩く必要がある。 私は、別に反米でも反政府の人間でもない。 ただ、今回のイラン戦争の本質は、ドルとユーロの問題であり、これを抜きにしては語れない。 なぜ、フランスやドイツが未だに冷ややかなのか。彼らはこの事実を知っているからである。 そして、おごりたかぶったアメリカの国防省は、専門家の意見を聞くこともなく、イランの国境封鎖をやらなかったし、武器狩りもやらなかった。 ピンポイント攻撃で、フセインの兵士をちりぢりばらばらにしただけだった。 破壊したが、後片付けをやらなかった。 国境からアルカイダが楽々侵入し、後追いでそれらを探すために捕虜を捕まえてはリンチが加えられ、人権が無視された。 フセインとアメリカの兵隊は基本的に何も変わっていなかった。そのことが、アメリカの精神と団結を蝕んできている。 たしかに、住宅着工のブームは続いている。 バブルといわれながらも、落ち込みはみられない。 しかし、高金利はすぐそこまできている。 イノベーションのなき住宅ブームは、正義なきアメリカによるアメリカのためのイラク戦争と同様に、やがて収拾がつかなくなってゆくのではないだろうか。 私は自衛隊のイラク派兵には反対ではない。 しかし、ドルを守るためだけに、やみくもに始めた戦争は、アメリカの真摯な反省がないかぎり、絶対に収まらない。 山本女史の話から、今週はつまらぬ政治談議になってしまった。 猛反省しています。 |