■中小ビルダーの売り物は“社長” である! (2)

 中小ビルダーの最大のイベントは「完成物件内覧会」。
  このイベントに、常に60組以上の来客があるビルダーが、私の知っている範囲で三社あります。

  いずれも、地場でしっかり根を張っている地域No1ビルダー。
  中には、如何に近隣とか親戚の方であっても、招待状を持っていない人の立ち入りを断っているところがあります。身元がはっきりしない人に、完成物件は見せない。
  そのことで施主が安心して、内覧会を承諾しています。

 しかし、ほとんどの場合は、チラシを撒いて不特定多数を呼び込みます。ただし、記名しない人の入場はお断りするというのが、一般的な内覧会のやり方。

 この完成物件の内覧会の他に、構造見学会や断熱・気密見学会という工事現場見学会も何回となく行ってきました。

  見学会は土日および祝日。
  営業や設計は打ち合わせで時間がとれません。
  したがって、工事関係者や特定の顧客を抱えていない社長などのトップが見学会を準備し、接客するということになります。

 私の場合は、片っ端から「構造・断熱・気密見学会」を行いましたので、月に二回、つまり土日の四日は現場に張り付きました。
  そして、すっかりマンネリ化して、送付するDMと撒くチラシはA4の写真入りのコピーのみ。
  考えてみれば、手を抜いたものでした。

 このため、工事現場見学会の参加者は二日間で多くて20組、少ない時は8組というような状態でした。
  完成内覧会でも、二日間で20組から最大で50組。

 総合住宅展示場に出展していましたので、現場見学会は新規の見込み客を発掘する場というよりは、契約見込み客、あるいは着工前の契約客に現場をみてもらい、納得し、安心していただく「場」と考えていました。

 しかし、総合展示場に出展していないビルダーにとっては、この内覧会こそが勝負です。どれだけ、お客を集めることが出来るかです。

 そこで「行列の出来る・・・」の著者は次のように書いています。

  「広告やチラシで家を建てようと考える者はいない。広告やチラシの目的は、あくまでも内覧会にきてもらうためのもの」

 そして「内覧会に行きたいという気を起こさせるキャッチコピーと内容が問題だ」といいます。
  すごく、ごもっとも。

 そこで、意表を突くキャッチコピーを用意します。

  「家はまだ買うな!!」
  「緊急広告 地場の○○ハウスの欠点はここだ!!」
  「社長! 気はたしかですか!!」

 手法としては、チラシを社員で配るのではなく、折り込みチラシに入れるという方法。
そして、カラーは高いくせに効果が薄い。あくまでも白黒で意表をつくチラシが目に付く。

  チラシの内容について、広告社に頼むのは愚の骨頂。カッコいい、カネのかかるチラシを作ることのプロであっても、お客の感性に訴え、お客を集めるキャッチコピーやチラシは彼らには出来ないと断言しています。この点についても、すごく同感。

  そして、チラシに社長が登場すべきだというのです。

  今まで、社長が登場する場合は、ご挨拶を述べているのがオチ。
社長の「一言ご挨拶・・・」というのは、誰も読みません。

  例えばの話。
  三菱自動車の社長が、新聞広告で「このたびの不祥事につきまして・・・」と言っても、誰も屁とも思わないでしょう。


  しかし、全面広告で、顔写真入りで「私が全責任を負います。今すぐ点検に出して下さい。無料で整備いたします」と社長が断言したら、おそらく三菱自動車はここまで信用を落とさなかったでしょう。

  それでは、社長の顔写真入りのチラシとはどんなものであるか。

「ウサンくさいけど、なんとなく引き込まれ、隅々まで読み、内覧会に出かけたくなるもの」だと言います。
  ローコスト住宅の場合は、それでもいいと思います。

 しかし、比較的高額物件をターゲットにしているビルダーの場合は、ウサンくさいことは、逆効果を及ぼす場合があり、危険です。

 ともかく、まず意表を突くキャッチコピー。
単に意外性があるというのではなく、社長のポリシーとか、会社の自信がそこはかとなくあふれ出ているようなキャッチコピーが欲しい。

  「もし地震で被害が出たら、私の家を提供いたします」

  「暖冷房費が月1万円以上かかったら、差額は私が払います」

  「私の携帯電話番号は 090-0000-0000です」

  「当社では、恥かしながら今まで基礎を二回やり直しました」

  「熱帯夜で安眠出来なかっ時はご家族を北海道へ招待致します」

  「私は感動を共に出来ない人のお仕事は請けません」

  「土ホコリで家が汚れたら担当設計を直ぐ掃除に参上させます」

  「冬、家の中で風邪をひかれたら治療代をご請求下さい」

 ローコストハウスのコケ脅かしのキャッチコピーではなく、堂々としたキャッチコピーで本物の高気密・高断熱のフアンを開拓してゆく必要があります。
  当時の私は、残念ながらこうしたキャッチコピーを思いつきませんでした。そして、ありふれた見出しのチラシを撒いていました。

 良い仕事をしている地場ビルダーの社長さん。お互いにもう少し頭を使いましょう!!!