■18号台風下の北海道紀行(2) 2X6のR2000パネル工場


 今回の主目的は、旭川を中心に製材製品や木製品の工場と資材の視察にあった。
 そして、最後の日にオール電化住宅を見て、千歳空港へ帰えるついでに寄り道してトステムのSW2X6のパネル工場を視察した。あくまでもついでの工場視察だったが、これが結構面白かった。

  2X4のプレカット工場は日本全国にあり、嫌というほど見てきている。
 最初に見たのは今から30数年も前。シカゴのナショナルホームの工場。壁や床を自働釘打ち機で加工していた。そして、それ以上の施設を日本で見ることが出来なかった。北欧では当時からNC(ナメリカンコントロール)のパネル製造機が稼働していた。つまり30年前からプレカット工場は一歩も進歩していない。

  一番遅れているのが屋根のたるき加工。
 日本の木工機は一方向の切断は出来るが、壁に載せるためにたるきに顎欠きするための二方向カットの機械がない。また、隅たるき用の二方向斜めカットなどの機械も持っていない。情けない。
 ともかく、単純なパネル製造機しかない。
 昔、木工機械屋を呼んで打ち合わせをしたが、ラチがあかなかった。程度が低すぎた。

  2X4で一番手間と暇がかかっているのは、壁組や床組ではない。小屋組だ。あらかじめプレカット化されていれば、簡単に出来る。ポイントはたるきの加工。
 勾配をインプットすれば、棟と軒先、顎欠きが一気に加工出来、その勾配に合わせて隅たるきと配付きたるきの斜めカットが矩計にもとづいて自動的に加工出来ないと、工場生産化の意味がない。

  四角な壁とか床は、プレカットさえ出来ておれば、工場でやろうが現場でやろうが、同じ。いや、工場で加工した場合、運賃分だけ余分にかかる。
 それなのに、どのメーカーも四角いパネル製造機を買い込んで得々としている。頭がおかしいのではないかと悪口を言いたくなる。

  ところが、トステムの北広島のパネル工場には、どの工場にもある両方からガチャンと挟んで釘打ちするパネル製造機がない。瞬間「あれっ」と驚かされた。

  トステムは、いち早くトヨタ生産方式を採用している。
あのトヨタのカンバン方式を確立した大野耐一氏の弟子が、今全国の工場でベルトコンベアを追放し、屋台方式の生産システムを開発している。日本の工場は大きく変わってきている。
 それなのに、日本の木工場やプレカット工場は依然として昔のまんま。昔の名前と衣装で恥ずかしくもなく出ている。

  その大野耐一氏から、トステムは直接指導を受けている。一番弟子とか二番弟子から指導を受けたのではない。師匠から直接指導を受け、十数年前からトヨタ生産方式を採用している。そのため、パネル工場にベルトコンベアがない。

  つまり、四角い壁をパカパカ造る工場ではない。
勾配天井の大きな斜めの妻壁。あるいは勾配の難しい屋根パネルなどの生産を中心に考えられた工場。
したがって、今までのパネル工場の常識を一新している。

  全国の木工場やパネル工場の皆さん。
一度、トステムの2X6のパネル工場を、カネを払ってでも見る価値がありますぞ。貴方のコチコチの古い頭が、ハンマーで殴られ、少しは柔らかくなりますぞ!!

  私は、幸運にもトヨタホームの春日井工場を視る機会があった。そこで、トヨタの生産方式とは何かの実物を拝見することが出来た。
 住宅業界は、今までの低迷していたトヨタホームを見てきたので、トヨタの生産方式から学ぼうとする考えがほとんどなかった。私を含めて住宅業界はトヨタを見くびってきた。世界一の生産方式から学ぼうとする考えが欠けていた。

  トステムのパネル工場のように、まずベルトコンベアを取り払うことだ。意識革命はそこから始まる。
  トステムは、今年からウレタンを充填した2X6の壁パネルと屋根パネルの販売を開始した。
 パネルは2X6(14cm)のスタッド一杯にウレタンを水発泡する。その両面を9.5mmのOSBでサンドイッチする。
 このため、K値(熱貫流率)は0.289W/m2K
R2000住宅が求めている北海道のK値は、壁が0.31W、屋根が0.22W。
 したがって、壁は十分にR2000住宅の基準をクリアーてお釣りが来る。しかし、屋根パネルは北海道のR2000住宅の基準に足りない。しかし、東京だとほぼR2000住宅の基準をクリアー。

  トステムは以前にスーパーシェル工法という名でR2000仕様の住宅を売っていた。これは特認。誰でも簡単に採用するわけにはゆかなかった。
ところが今度のSW2X6というのは、オープン工法のツーバィフォー工法に準拠している。したがって、確認はツーバィフォーで取れる。

  そして、トステムが売っているのは外壁パネルと屋根パネルのみ。一階床は根太レスでやろうが、210でやろうが自由。内部壁、二階床も自由。床をパネル化して、現場で床合板を千鳥張りすれば、地震に対しても強い。

 何しろ、両OSBでサンドイッチされているので、壁倍率は8倍以上という。とんでもない強さ。
  そして、壁および屋根パネルのジョイントは、北海道のいい加減なパネル工場のものと異なり、完全に現場で一体化する構造になっている。これだと安心して見ておれる。

  そして、北海道で建てられたSW2X6の平均的な気密性能は0.37cm2だという。素晴らしい。

  つまり、日本で初めてオープン工法によるR2000住宅パネルシステムが売り出されたということ。屋根の断熱性能は北海道ではやや足りないが、全体的には断熱気密性能でR2000住宅だと呼んでもいい画期的なもの。

  そして2X6材で外壁を造っているため、勾配天井のバルーンの妻壁が一体的に造れるという点が何と言っても魅力。妻壁に2.5P幅までの開口部がとれる。

  しかし、肝心の1、2階の吹き抜けのバルーンについては、現在のところシステムが構築されておらず、生産がなされていない。
 このバルーンについては、ツーバィフォーでも基準がない。したがって、トステムが構造計算して、一つのルールを作り、これを普遍化してくれれば、全てのビルダーに勧めることが出来、大きく普及を見せることだろう。

 その可能性を発見して嬉しくなってきた。
 R2000住宅は、SW2X6を契機に蘇生するかもしれない。
 ただ、問題はパネルの価格。これをどう評価するか !?