■震度6まではツーバィフォーが一番  新潟中越地震(8)


 十日町市の北部に下条という町があります。
 十日町市の市役所よりも川口町の田麦山の方が近いと立地。従いまして震度6強以上の強い揺れを体験しています。

 この町に住むYさん。決して建築のプロではありませんが、好奇心が非常に強い。
  10月23日の翌日からの二日間で町内のほとんどの家の被害状況を見て回ったそうです。そして、その結果をトピアホームの小林さんに次のように伝えました。

 「下条の町で地震一番強かったのがツーバィフォーで、二番目がスーパーウォール。そして、その後にダイライトがきている」と。

 この話を聞いて、小林さんは二軒のツーバィフォーの現場を見てまわったそうです。たしかにYさんが言うように外壁には問題が一つもなく、内部の壁もクロスが割れたりはしていない。
  ほとんど無傷と言っていい。これに対して在来のスーパーウォールは、外壁は全く問題ないのだが、内壁のクロスに二ヵ所ボードの継ぎ目に沿って割れが入った。
  その二ヵ所のクロスの割れのために二番目となった。
  そして、ダイライトの現場は、かなりひどく傷んでいた。しかし、筋違いの家に比べるとそれでも被害が少ない方だった。このため、三、四がなくて五にダイライトとなった。

 今度の新潟中越地震では面材の丈夫さが立証されたと言ってもいいようです。
  たまたま、下条では面材を使った家がツーバィフォーとSWとダイライトしかなかっただけのことで、FPの家やその他の面材を使った家が建てられておれば、いずれも上位にランクされていたことでしょう。

  たしかにYさんは素人です。その発言を過大評価することは出来ませんが、実態を調べ上げた上での発言ですから絶対に無視することは出来ません。

  SWには、在来とツーバィフォーがあります。
  長岡市のビルダーで、SWのツーバィフォーでもっぱら三階建てを専門にこなしている業者がいるそうです。トステムの調査ではクロスのひびはほとんど見られなかったといいます。
  SWの中でも木軸よりはツーバィフォーの方が被害が少なかったのは事実のようです。

  この程度のデーターで、結論めいたことを言うのはいささか気がひけますが「震度6までだとツーバィフォー工法の場合はほとんどクロスにひびが入ることはないが、木軸だと面材を使っても20〜30%のクロスにひびが入るおそれがある」と言えるようです。

  トピアホームは発足以来延べで280棟ほどの住宅をこなしています。主なエリアは十日町市、六日町、塩沢町などですが、小千谷市、川口町も含まれています。

 その中で2/3は異常なしです。
 1/3で小さな問題が発生しています。
 クロスの割れ、灯油配管などの破損、建具や幅木の外れ、モルタルの一部亀裂、蓄暖の倒れなど。

 その中で一番多いのがクロス割れ。
  二割まではゆきませんが15%を越えています。
  トピアホームはSWを採用する前から、外壁には面材を使用しています。そのため、他社の木軸に比べると地震の被害は非常に少ないのはまぎれもない事実。
  それでも二割近くに、クロス割れが発生しています。

 クロスの割れが発生しているのはほとんどが二階。
  この地方は何回も書いているように一階はコンクリートの高床。この高床の被害は驚くほど少ない。
 そして、三階の壁にはクロス割れが見られません。

 一階のコンクリートの揺れ。それと三階の木造の揺れ。この異なる二つの揺れに挟まった二階の壁にクロスの割れが集中しています。

 それでは、ツーバィフォーではほとんどクロス割れが起こっていないのに、何故面材を使っている木軸にクロス割れが起こったのか。

 第一の理由は、間柱に対する考え方の違い。
 木軸の場合は、強度を負担するのはあくまでも柱。間柱は単なるボード受けに過ぎません。つまり間柱は構造強度には関係ありません。
 これに対して、ツーバィフォーは間柱の集合体。見付け2インチの間柱をくまなく入れ、必要に応じて二枚合わせから四枚合わせとして使います。つまり、間柱は構造体なのです。

 そして、ツーバィフォーでは石膏ボードも耐力壁として認定されています。
  耐力壁ですから、使うクギは亜鉛メッキした一定の長さを持ったSNクギかビスに限定されます。そして、クギ打ち間隔も公庫の仕様書で指定されています。このため、ツーバィフォー工法では、簡単にクロス下地が割れません。
  これに対して、木軸では石膏ボードは防火性のある単なるクロス下地として捉えてきました。したがってクギそのものやピッチについてそれほど厳しく対処していません。

 第三は、石膏ボードの割付。
 ツーバィフォーでは、外壁の開口部の端で石膏ボードを継ぐことはありません。外壁合板もそうですが、必ず455ミリずらして、開口部をくり抜くように張ります。そうしないと、開口部の四隅から外壁にも内壁にもクラックが入るおそれがあるからです。ですから、隅から455ずれた間柱からボードを張るように割り付けます。これにより、出隅の部分も端材を用いず、幅広物を切断して使います。

 これに対して、石膏ボードを単なるクロス下地と考えてきた木軸では、どうしても柱の芯から張りだします。そうすると、出隅の部分に10センチ程度の端材を張ることになります。
 ツーバィフォーのように、間柱の見付け寸法が38ミリと大きい場合は問題ありません。木軸の四寸角とか五寸角の柱を使い、しかも大壁となると見付け寸法の大きなものを間柱に使うことは出来ません。やたらと石数が食うからです。このため間柱の見付け寸法は7寸とか8寸。となると、間柱で石膏ボードを継ぐということは、難しくなります。

 従いまして、木軸の二階の開口部回り、ドア回り、出隅の端材の部分、階段室のボードの上下の継ぎ手部分でクロス割れが目立ちました。したがいまして、震度6までだと下条のYさんがいみじくも指摘したように、ツーバィフォーが一番被害か少なかったのです。

 しからば、震度7の烈震地ではどうであったか。
残念ながら、烈震地でツーバィフォー住宅を目撃することが出来ませんでした。したがって震度7だとどうなるのかは明言出来ません。

 ただ、木軸の場合は震度7だと筋違いの入った内壁の石膏ボードに単に割れが入るということではなく、全面的に剥がれ落ちるという現象が起こりました。
 強い圧縮を受け、太い筋違いが曲がり、面外座屈を起こします。筋違いのお陰で家の倒壊は免れましたが、内壁の筋違いが入った壁の両面の石膏ボードは跳ねられて、剥離します。それほど震度7というのは強烈です。

 そして、これが外壁で、太い筋違いが面外座屈を起こすとどんな現象が起こるか、想像してみて下さい。