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新潟中越地震は数回で終わる予定でした。しかし川口町の烈震の凄さに触れたことと建築学会の変な動きが露呈してきたこともあって年を越すことにしました。 そして今週は番外編。恒例の面白本のベスト10。 丸の内丸善の売り場は日本一。密集する熱帯林よりも多い本の中から面白い本を探し出すのは宝くじの一等を当てるよりも困難。私が咀嚼したものを開陳して、少しでも参考になればという次第。まず、面白かったものを列記。 【技術・科学】 ・日本発! 世界技術 溝口 敦 合同出版 ・素人のように考え玄人として実行する 金出武雄 PHP出版 ・「日本再生」の現場を行く 水木 楊 新潮社 ・監視カメラ社会 江下雅之 講談社α新書 ・ハッブル望遠鏡の宇宙遺産 野本陽代 岩波新書 ・全員反対だから売れる 吉村克己 新潮社 【環境・医療・自然・食品・農業】 ・牛乳の未来 野原由香利 講談社 ・島に行ってうまい魚を食う本 野村祐三 東京書籍 ・漁師町のうめえもん 西潟正人 生活情報センター ・私のワイン畑 玉村豊男 扶桑社 ・森づくりテキストブック 中川重年 山と渓谷社 ・リトル東京でゆっくり診療17年 入江健二 草思社 ・クマにあったらどうするか 姉崎等・片山龍峯 木楽社 ・発酵する夜 小泉武夫 新潮社 ・壊れた脳・生存する知 山田規畝子 講談社 【経済・経営】 ・ハイMKタクシーの青木です 中村元一他 ダイヤモンド ・中国式ビジネスの裏とおもて 斉藤篤 日本実業出版 ・志高く 孫正義の正伝 井上篤夫 実業の日本 ・こんな時代も売れたんです 日本経済評論 ・行列ニッポン観察記 日経新聞 ・お金がないから出来る波乗経営 主藤孝司 フォレスト ・トヨタを創った男 豊田喜一郎 野口均 WAC ・アメリカの本音 日高義樹 徳間書店 ・メガバンクがコンビニに負ける日 坂爪一郎他 光文社 ・ 社長を出せ! クレームとの死闘 川田茂雄 宝島社 ・ 社長が毎日社員に話していること 中島孝志 三笠書房 ・ 楽天の研究 山口敦雄 毎日新聞 【小説】 ・上海家族 ポン・シャオレ 竹書房文庫 ・代行返上 幸田真音 小学館 ・ザ・ゼネコン 高杉良 ダイヤモンド ・小説 渋沢栄一 津本陽 NHK出版 ・男に生まれて江戸鰹節商始末 荒俣宏 朝日新聞 ・ハヤト 村上早人 河出書房 ・債権奪還 高任和夫 講談社 ・小説 井深大と盛田昭夫 大下英治 ぶんか社 【ノンフェクション・旅行】 ・就職がこわい 香山リカ 講談社 ・大学で「自分」を見付けた 原 孝 プレジデント ・モロッコで断食 たかのてるこ 幻冬舎文庫 ・句あれば楽あり 小沢昭一 朝日新聞 ・プロヴァンスの小さな家 レディ・フォテスキュ読売新聞 ・ピラミッド文明、ナイルの旅 吉村作治 NHK出版 ・オランダを歩けば 林丈二 廣済堂出版 ・帝都東京、隠された地下網の秘密 秋庭俊 洋泉社 ・昭和天皇のパター 夏坂健 日経新聞 ・教師力 朝日新聞 【建築・住宅】 ・椅子と日本人のからだ 矢田部英正 晶文社 ・鍵が危ない 松本剛 エクスナレッジ ・旅はゲストルーム 浦一也 東京書籍 ・大地震が来たときあなたは大丈夫か NHK 近代映画社 ・象を飼う 中古住宅で暮らす法 村松伸 晶文社 ・木造住宅を見直す 坂本功 岩波新書 以上53点。 それにしても、下期も建築・住宅関係は不作。 本当に読みたいという本はない。 たまたま今年の春、NHKスペシャルで昨年の北海道地震で出光のタンクが炎上した原因を取り上げ、超高層ビルをはじめとして巨大構造物を襲う長周波を分かり易く取り上げていてくれたので非常に役立った。 したがってベスト10にNHKスペシャルの「地震がきたときあなたは大丈夫か」が入りこむことが出来た。 ベスト9は少し古いが「オランダを歩けば」を入れたい。 ゲーブル・ストーンというそれぞれの商売を分かり易く現した石の飾りが古い全ての建築物に付いているという。それを探る旅だが、こんな愉快な旅があるとは知らなかった。 ベスト8は「志高く 孫正義正伝」。 孫正義伝はすでにいくつか出ている。ほとんど読んでいるが、これが一番孫氏の実像を伝えてくれている。 ベスト7は「クマにあったらどうするか」 アイヌのマタギとの対話を通じてアイヌ社会と生活、それに一人でクマを仕留める素晴らしい知恵などがよく分かって思わずうなってしまう。今までのどのマタギ伝よりも面白い。 ベスト6は「ハイ、MKタクシーの青木定雄です」 これは、二人の著者が経営論を弄んでいて、折角の素材を破壊している。青木社長の生き様をそのまま伝記風にまとめたら、ものすごく読み応えのあるものになっていた。その点が惜しまれるが、前半を飛ばして読んでも値打ちがある。 ベスト5は「全員反対だから売れる」 ちょっと古いが、人工皮革、電卓、フォートフォーカス、自働包餡機、胃カメラなどの開発にまつわる話。NHKのプロジェクトXと同列のものだが、やはり開発物語は読ませる。 ベスト4は「アメリカの本音」 日高義樹の著作はそれほど感動が少ない。しかしこの本は、春の時点でブッシュの再選を完全に予想している。インテリやウォール街はアメリカを代表していないと厳しく分析している。これを読んで初めてブッシュのアメリカが理解出来た。 ベスト3は「牛乳の未来」 なんとも味家のない表題。しかし、乳牛を飼うのなら、安全で経営的に成り立つ放牛方式がすぐれていることがよく分かってくる。観念論ではなく、こうしたパイオニア達の成功例がもっと出てくることを期待したい。 ベスト2は小説の「債権奪還」 今までは銀行マンを賞賛する小説が多かった。高杉良の作品がその代表。ザ・ゼネコンなどは建設業者の話でなく銀行家の自慢話。このため鼻についてきて最近は幸田真音の方がまだ馴染める。ところが、債権奪還の主人公は銀行をリストラされ、奥さんに先立たれて酒浸りの生活をしている。そして入院するはめになり、そこから静かな展開が始まる。 今まで読んだ銀行マン物語の中で、これほど胸を打つものはない。小説嫌いでも、ぐんぐん引き込まれてゆく。 さて、トップは「壊れた脳、生存する知」 33才で脳梗塞を起こし、三度も脳出血を起こしながらリハビリをして老人保健施設長として社会復帰している女医さんの生々しいパソコンによる心の記録集であり闘病記。 通常の闘病記は正常な脳を持った人がガンなどとの闘いを記述したもの。ところがこの本は脳の病人が、冷静に危ない自分の脳を語っている。養老孟司氏などの観念論と異なり、人間の脳とはどんなものなのかが本当によく分かる。そして、最後には思わず涙があふれてくる。すごい本に巡りあうことができました。 それでは、どなた様も良きお年をお迎え下さい。 |