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あけましておめでとうございます。 新年早々、新潟中越地震の続きでいささか気がひけます。 しかし、建築学会の被害報告や建築知識の座談会を読むと、表皮的にというか、評論家的にしか捉えておらず、しかも連続地震がもたらす被害ということを等閑視しているように感じられます。 今回の新潟中越地震ほど大きな問題を提起している地震はないというのが私の率直な印象。これを理解していただくために、あと2、3回は続けます。 まず、初歩的な確認から。 昨年暮れのスマトラ沖地震の規模(マグニチュード)は9.0。マグニチュードは1のエネルギー差は32倍。2の差は約1000倍と言われています。スマトラ沖の地震の規模は阪神淡路大震災の1400倍というものすごいものでした。 これと併用されているのが震度。1から2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7と9段階ありますが、ワンランクのアップは二倍以上の揺れの差があると考えるべきでしょう。 気象庁は阪神淡路大震災のあと、改訂した下記の震度階級関連解説表を発表しています。 http://www.kishou.go.jp/know/shindo/kaisetsu.html この解説書に書かれているように、気象庁が発表する震度階級はあくまでも震度計が観測した数値であって、当然のことながら人間の印象や室内状況などから判断したものではありません。そして、地盤や建物の構造、高さなどによって同じ地点でも揺れが大きく異なってきます。いわゆる建物の固有周期が実際の揺れ具合を左右します。 この震度階級の中で、私が一番注目しているのは「人間」と「屋内の状況」です。気象庁や自治体の地震計の震度ではなく、実際のその家の震度はどれくらいだったか。個々の住宅の揺れを確かめるには、この二項目を詳細に聞くことで分かります。 ツーバィフォー工法をオープンな形で日本へ導入してきた当事者として、その耐震性能が最初から大いに気になりました。このため、今まで恐らく2000人近い入居者、大工さん、ビルダーの設計者や現場監督などから直接・間接的にその性能を確かめてきています。私自身が直接入居者から聞いたのは5〜700人という範囲にすぎません。 しかし、その大多数の人が気象庁の震度階級2までだと、ほとんど気がつかないか、気が付いても少し揺れがあったなという程度で気にとめていません。 「数日前に震度3の地震があったが、翌朝のニュースで初めて知った」とう方も多くいました。 しかし、こうした報告は、地震の直後に電話で聞いたものではありません。一週間後とか1ヶ月後に聞いてもので、印象がかなり風化していることは否めません。しかし、ツーバィフォー工法は地震に強いという信頼感から、震度3程度だとほとんど意識に残っていないのが実情。 今度の新潟中越地震の東京の震度は3で、一部では4でした。群馬は5弱で、ごく一部は5強と発表されました。 たまたま土曜日の夕方だったので、首都で6軒、群馬でモデルハウスを含めて4軒のツーバィフォーの家へ電話をかけ、在宅中のご主人から揺れ具合を確かめました。 首都の6軒とも「今地震がありましたね」と言うと「少し揺れました」との返事。しかし、食器棚が音をたてたというのが2軒で、あとはほとんど影響なし。つまり気象庁の震度階級では3と2。1ランクから2ランク下の屋内状況でした。 震度5弱の群馬では小さな飾り物が倒れたというのが2軒で、あとは食器棚の音はしたが倒れたものはなしとのこと。 つまり震度階級でいうと4と3。これまた1ランクから2ランク下の屋内状況。 そして次に新潟へ電話をしましたが、電話が混んで繋がりません。翌日も駄目。 あまり早く現地を訪ねたのでは、点検調査や補修工事で大忙しのビルダーの邪魔になるだけ。そこで5日目に4時に家を出て六日町のトピアホームの本社を訪ねました。 ここは震度5強地域。 本社はSWのモデルハウスを事務所に衣替えしたもの。1階の 棚の書類は一つも落ちず、神棚の御神酒もひっくりかえらなかったとのこと。ただ2階の小さな書類棚が倒れたとのこと。 震度階級で言うならば1階が4から3で、2階が5弱というところ。 トピアの社長や社員、近隣の入居者の話を総合的にまとめてみると六日町のSWは、震度階級は1から2ランク下の5弱から4ということになりました。 次に、3度目の地震で震度6強を記録した十日町のSWを訪ねました。いずれもリタイアしたご夫婦の新居で、翌日から自宅での生活をはじめていたので1階は片付けられていましたが、2階は一切片付けられておらず被災時のまま。 これは大変にうれしいことでした。おかげで、室内状況がよく分かりました。 断層の関係から揺れは南北。 したがって、南側と北側の壁の家具は倒れたり、収納物が飛び出していましたが、東西の壁の家具やその上の置物や飾りものはほとんど倒れていません。震度6強だとほとんどの家具が移動し、転倒するというのが常識ですから、とても震度6の現場とは信じられません。 気象庁の震度階級に当てはめて見るならば、震度5強の乱れにすぎません。2ランク下の状況でした。 そして、震災から26日目に震度7の川口町へ入りました。 川口町では5軒のSWの家の屋内を調査しました。このうちの一軒は早めに入居していたので、屋内の散乱状態を正確に確認することが出来ませんでした。 残りの4軒は、避難解除が前日に行われたばかりで、いくつかの部屋が手つかずで、災害時のままの屋内状況を確認することが出来ました。 これは大変な幸運でした。 といいますのは、建築学会の調査も、建築知識の調査も、倒壊していない住宅の屋内状況の調査を一つも行なっていないからです。 いずれもが、倒壊した住宅の原因調査と外観を目視しての推定被害状況調査に過ぎません。震度が7であっても、屋内の状況は震度5弱と言えるものもあるのです。 川口町役場から500mほどしか離れていないS邸の1階の高基礎の物置の農機具や収穫物の散乱は震度5弱にすぎません。そして2階、3階の家具などの乱れは震度5強のものでした。切り土ということで地盤が良かったこともありますが、それにしても3から4もランクも下です。 S邸より200m町役場に近いA邸の2階の手つかずの子供部屋の家具などの散乱状態は震度6弱でした。2ランクの差。 ところが激震地の武道窪のM邸の場合は、その後の何回かの余震の影響もあって屋内の状況は6強でした。また田麦山のS邸の場合も屋内の状況は同じく震度6強でした。 しかし、震度は7でも倒壊率は90%を越えており、推定ガルは3000を突破していたと考えられる激震地。したがって、ここでも2ランクの違いがあったと考えられます。 免震構造は、ランクを3から4少なくするのが目的。唯一小千谷総合病院に免震装置が設けられていて、それなりの成果を上げました。しかし、直下型烈震地での効果は? 免震構造によらなくても耐震性の強い住宅は、震度階級を1から2ランク、場合によっては3もランクを下げることが出来るということを、新潟中越地震が立証してくれたのだと考えます。 |