■品確法はどこまで保証してくれるか?  新潟中越地震(11)



 消費者の中には「わが家は品確法制度を活用している業者を選び耐震等級は3と一番高く、(財)住宅保証機構の10年保証制度に加入しているから、新潟中越地震並の直下型地震がきても大丈夫」と考えている方が居られるのではないでしょうか。

 品確法の耐震等級1はどの程度の耐震性?
 これは、建築基準法が求めている性能。
 「極めて稀に発生する地震による力に対して構造駆体の倒壊、崩壊等のしないもの」
  これでは分かりにくいので、セキスイハウスをはじめほとんどの業者は「数百年に一度(震度6強から7程度)の地震に対して倒壊、崩壊しない住宅」と表現しています。

 つまり、阪神淡路大震災が襲っても、倒壊・崩壊しなければいいのです。別の言葉で言えば「倒壊・崩壊さえしなければ、損傷を受けてもいい」ということです。小破、中破は当たり前とも読めるのです。

 この程度の性能であれば、真面目でまともなビルダーだと、誰にでも木構造で可能になってきました。倒壊しなければいいのですから、品確法の性能1は軽いものです。

 しかし、これでは差別化が出来ません。そこでプレハブメーカーをはじめ大手各社は建築基準法の1.5倍の耐震性能を持つ性能3を表示しています。

 1.5倍とは?
 建築基準法施行令82条6 第5には「地震の加速度によって建築物の各階に作用する地震力を次に定めるところによって計算し、当該地震力が保有水平耐力を越えていないことを確かめる」とあります。

  具体的には加速度(ガル)は1000とのこと。
  この1.5倍ですから1500ガルということ。
  これで、倒壊さえしなければいいのですから、耐震性能3といっても驚くほどのことではありません。
  先週書いたとおり、阪神淡路大震災の教訓から改善を行ったツーバィフォー工法のほとんどはクリアー出来ていますし、剛金物と面材で改良を加えた木軸工法も間違いなくクリアーします。

 大手プレハブメーカーでなければ到達不可能という難しい基準ではありません。性能3が、これからの住宅の最低耐震基準だと考えるべきです。
  そして、高気密高断熱住宅、健康住宅、空気循環住宅、無垢の国産材利用住宅、民家再生住宅など、いろんな謳い文句の住宅がありますが、いずれの住宅も耐震性能に関して性能3は最低条件。性能3以下のものは相手にしてはならないと断言したいと思います。
  地震国日本の住宅は「まず耐震性能3ありき」です。

 さて、このように法的に認定されている耐震性は「1500ガルで倒壊しない住宅」にすぎませんから、2515ガルを記録した川口町の住宅は全部倒壊してもビルダーの責任が何一つ問われないということになります。

 もし、住宅性能表示制度を利用し、(財)住宅保証機構に加入していたからといって、法律で予想していなかった加速度だからと免責になり、何も保証してくれません。
  つまり、これは地震保険の範疇の問題であって、一般的な保証制度とは異なる次元の問題だということになるはず。

 ついでに、倒壊ではなく小破、中破の損傷についても見てみましょう。
  建築基準法では、数百年に一度ではなく、数十年に一度(震度5強)の地震に対して損傷しない程度の耐震性能を求めています。

 ガルでいうならば200ガルとのこと。この1.5倍の耐震性能3の場合は300ガル。

 神戸の場合と異なり、新潟中越地震に関しては構造別、工法別な被害統計がまだ発表されていません。このため、推測に頼らざるを得ないのですが、震度5強までだとツーバィフォー工法ではほとんど損傷らしい損傷はありません。
  改造木軸の場合も、一部クロスの割れが表面化した程度。
  しかし、在来の木軸には外観上は何も問題がないのですが、内部にかなりの損傷があるものが見られました。

 しかし、これも震度5程度で、200とか300ガルの場合のことであって、震度が6強で、ガルが軒並み500を越えていた中越の被災地の損傷は、建築基準法の想定を越えるものであり、損傷があって当たり前。

 つまり、ほとんどの損傷は住宅保証機構などの免責条項に該当し、保証対象にはならないはず。
  厳密にいうならば、真面目にいい住宅を提供してきたビルダーには何一つ責任とか、瑕疵がないことになります。どんなに争っても消費者が敗訴することになるはず。
  ということは、地震保険に入るしか消費者は救われないということになります。

 東京MXテレビで、飯田産業が「当社の住宅は阪神淡路大震災にも新潟中越地震にも耐えられます」と華々しくPRしいています。飯田産業は、本当に川口町の激震地の3000ガルにも耐えられるという確信があるのでしょうか。
  たしかに倒壊はしないかもしれません。
しかし、飯田産業の構造と仕様をみる限り、川口町の烈震に遭遇するとかなり致命的な損傷を受けることは間違いないと断言できます。
  3000ガルの烈震に耐えるということは、そんなに簡単な仕事ではありません。
  けれども、飯田建設のPRで「新潟中越地震でも損傷がない住宅だろう」と、消費者は勘違いしないでしょうか。
  誇大広告ではないでしょうか。

 地震に関しては、業者とか保証などの機関は、建築基準法で保護されています。基準の見直しが行われてきていますが、必ずしも消費者にとって有利とは言えません。

 となると、現在の品確法など既存の体系とは別に、ビルダーと消費者との信頼関係と協力で、川口町の直下型の震度7、3000ガルの地震が襲い、その後3週間以内に震度5以上の地震が十数回襲ってきても、倒壊・崩壊はもちろんのこと、ほとんど損傷がないという住宅造り運動を始めるべきではないでしょうか。

 その超耐震住宅造りが、免震工法以上に高価であっては意味がありません。ミサワホームの制震工法並の価格で、確実な安心が得られる技術は、それほど難しいことではないはずです。それを追求することこそ、新潟中越地震から学ぶということだという気がします。