| ご案内のように、住宅金融公庫は今月から「優良住宅取得支援制度」を発足させています。 内容は、省エネ性能 等級4、耐震性能 等級2、あるいはバリアフリー 等級3の優良住宅5000戸を対象に金利を0.3%優遇するというもの。 住宅金融公庫の「フラット35」と呼ばれる証券化支援事業による最大35年という長期固定ローンの扱い金融機関は、都銀3行をはじめ地銀50行、第二地銀35行、信金その他約120行と200行を越えています。 紆余曲折はありましたが、公庫の直接融資はなくなったけれども「住宅金融公庫の民営化」という大命題が、こうして形を変えて長期固定ローンとして存在し、しかも地銀や信金が大手都銀に対抗できる手段を入手したという形でまとまったのは喜ばしいことだと思います。 公庫の直接融資がなくなったけれども、フラット35というシステムは、公庫の技術基準が採用され続けられるということ。大手都銀の「技術基準なき融資」に比べると、消費者にとっては技術的な支えがあるだけに心強い。 ところが、双手を挙げて喜ぶわけにはゆきません。 今度の優良住宅取得支援制度に見られるように、品確法を優先しているからです。耐震性等級2やバリアフリー等級3は良いと思います。 省エネ性能の等級4は許せない。 ネットフォーラムを見ていただいた方には、東京以西の省エネ性能の等級4というものが、どんなものであるかということがお分かりいただけたと思います。 規定どおりの性能住宅だと、開口部と隙間から70%の熱が損失してしまう。金と手間と時間をかけて苦労して床、壁、天井の断熱性能を上げても実質的な効果がない。 そして、京都議定書を守るどころかCO2を余分に出し続け、地球に損害を与え続ける。それが省エネ性能 等級4の実態なのです。とても「優良住宅」と呼べる代物ではありません。 0.3%の優遇金利は、必ずしも日本国民全体の利益に貢献するとは言えません。 先日、大手住宅メーカーの技術担当部長と腹蔵なく話す機会がありました。 その部長は「どこまでも個人的な見解だが、品確法はけしからん。あれを認めたのは大失敗だった」と息巻いていました。これは、一人の部長の個人的な感情論ではありません。心ある住宅関係者のほとんどが同じ考えだといっても過言ではありません。 しかし、国土交通省に睨まれると住宅の仕事がやりにくくなります。このため「さわらぬ神にたたりなし」で、表面上無視しているだけ。品確法は官僚の天下り先を確保することがどこまでも主目的。この事実を声高に追求しているのはほんの一握りの人だけ。 そして、公庫の「優良住宅」の基準に、品確法を採用させています。と同時に、優良住宅だということを認定する「適合証明機関」として、全国の8機関、地方の93の住宅センターなどを指定機関としています。 このように見てくると、今月から始まった住宅金融公庫の3%の優遇金利政策は地球環境にほとんど貢献することがなく、品確法にぶら下がっているグループのみが益するものだと言いたくなってきます。 経済産業省は、省エネの新技術開発や普及促進のために有力な財源を持っています。 通称ネド (NEDO=新エネ・産業技術開発機構)と呼ばれる予算規模2500億円の巨大機関があります。これは、電気料金の一部が税金という形でプールされて研究開発や新技術の普及促進に充当されているもの。 太陽光発電やエコキュートなどの補助金は、ここから捻出されています。 このほかに、このほど元NHKのアナウンサーで作家の下重暁子氏が会長就任に内定した自転車振興会も経済産業省の有力な財源の一つ。競輪の売上げが減少してきていると言われていますが、その上がりの一部が今まで住宅関係の技術や情報開発に使われてきました。 これに対して、国土交通省はこれといった財源を持っていません。 今までは、建築工法などの建設大臣認定制度などがありましたがこれが廃止され、今は「型式認定」という許認可制度しかありません。 そして、今まで何と言っても住宅行政の中心となっていたのが住宅金融公庫融資制度です。これは単なる住宅政策というよりは、景気を左右する有力な経済政策として重視され、政府の最重要政策手段として活用されてきました。 この政策手段を、政府自らの手で放棄したのですから、考えてみれば小泉内閣というのは、とてつもないことをやってのけたものです。 つまり、住宅局は品確法を確保したけど、政策手段を放棄したのです。それが、住宅金融公庫の民営化ということだったということ。 しかし、優遇金利政策で、再び息を吹き返したと言えるのだと思います。 私は、今月からの5000戸の優良住宅に対する優遇金利に反対しているのではありません。これはこれで進めた方がいいと思います。 そして、これとは別に、本当にCO2の削減に役立つ、「京都議定書の崇高な目的を達成する意義のある住宅」に対して、0.5%の優遇金利策を用意すべきだと提案したいのです。そうすれば、住宅局は地球環境改善の歴史上に汚点を残さなくて済むのです。 いま、国土交通省が何もやらないものだから、早稲田大学の伊藤滋先生を中心に、電力業界、空調換気設備業界、住宅メーカーによる自発的なCO2削減研究会が開かれています。 京都議定書に対して、住宅は何もしなくてもいいということではなく、やはり応分の努力を果たすべきだという機運が出てきています。 これは、大変に喜ばしい現象です。 この動きに、公庫の優遇金利政策をリンクさせるべきではないかというのが私の提案。 そして、強調したいのは、高気密高断熱住宅造りに高い関心と技術と実績をもっているのは、大手住宅メーカーではなく、地場の先進的な企業群だということです。日本の住宅の性能を実質的に変えようとしているのが彼等です。 地場ビルダーの意欲と経験を買い、彼等が存分に力を発揮出来るシステムを造ることがポイントです。 一戸一戸気密測定をしているビルダー。彼等に一戸一戸性能を明示出来るシステムを構成し、それにもとづいて評価し、0.5%の優遇金利を地場の金融機関が地場の消費者のために付けてゆく…。 これは、決して夢物語ではありません。 新しい住宅政策はここからスタートしなければなりません。 |