■2005年上半期に読んで面白かった本のベスト10 番外編
 今週は恒例の番外編「面白本のベスト10」
 相変わらず手当たり次第の乱読。その中で金原ひとめの「蛇とピアス」を読んでますます小説嫌いに。したがって、今まで以上に経済とか技術・科学、環境などへの偏重傾向に拍車。そして、古い本を含めて久しぶりに住宅・建築関係で面白い本に巡りあうことができました。参考になれば幸甚。
 まず、面白かったものを列記。

【技術・科学】
・水素の時代      最首公司  エネルギーフォラム
・ゲノム敗北      岸 宣仁     ダイヤモンド
・環境考古学への招待     松井 章    岩波新書
・ニッポンの素「今」を支える素材産業 武田徹 新宿書房
・環業革命       山根一眞        講談社

【環境・医療・自然・食品・農業】
・環境再生と日本経済    三橋宏規     岩波新書
・救急精神病棟       野村 進      講談社
・痛風はビールを飲みながらでも治る 納光弘 小学館文庫
・私は初診料10万円の歯医者です  谷口清    講談社
・環境先進国ドイツの今   松田雅央    学芸出版社
・世界地図で読む環境破壊と再生 伊藤正直 旬報社ブック
・養生の実技        五木寛之     角川one
・「食の安全」心配御無用 !  渡辺 宏    朝日新聞
・野生からの伝言      竹田津実      集英社
・時間の止まった家(要介護の現場) 関なおみ 光文社新書
・写真集 山古志村ふたたび   中条均紀    小学館
・進化したガン免疫療法    有賀淳監修   朝日新聞
・生態学から見た里山の自然と保護  石井実監修 講談社

【経済・経営】
・復活! 日本の半導体産業  大見忠弘  財界研究所
・中国は日本を追い抜けない! 唐津 一   PHP出版
・ビーンズ  レスリー・ヤーク、デッカー ラン講談社
・なぜホンダが勝ちソニーが負けたのか 荻正道 彩国社       
・度胸で勝ち抜く中国ビジネス   高橋基人  双葉社           
・永守イズムの挑戦           日本経済新聞
・決戦 郵政民営化      猪瀬直樹   PHP出版
・キャッシュカードが危ない  柳田邦夫     文春
・「質の経済」が始まった   日下公人   PHP出版
・ぼくと会社と“にっぽん再生” 日経産業編 日経新聞
・ザ・トヨタウェイ ジェフリー・ラィカー 日経BP社
・インド・巨大市場を読みとく  榊原英資外 東洋経済

【小説】
・おれたちバブル入行組   池井戸潤      文春
・モヤシ          椎名 誠     講談社
・「もっと生きたい」    Yoshi    スターツ出版
・乱気流・巨大経済新聞    高杉 良     講談社

【ノンフェクション・旅行】
・スローな旅で行こう     斉藤政喜     小学館
・添乗員撃沈記        岡崎大五      角川
・思索紀行・僕はこんな旅をしてきた 立花隆  書籍情報
・富士高原Iターン物語    村上方子    山と渓谷
・あしたはドロミテを歩こう  角田光代      岩波 
・秋のミルク     アンナ・ヴィムシュナイダー    五月書房
・明日からは兵士       権 春五      PHP
・ウーマンアローン      広川まさき    集英社
・まま母狂想曲      黒坂黒太郎・知周美  講談社  
・あの瞬間僕らは宇宙に一番近かった マーク・カージェス 講談社
・大仏破壊          高木 徹      文春             

【建築・住宅】
・地震と建築         大崎順彦    岩波新書
・「住宅設備・家電」が危ない  足立博 エクスナレッジ
・Sui Suiわかる結露の本   南 雄三    建築技術        
・ここまで変わった木材、木造建築   林知行   丸善
・地震とマンション   西沢英和・円満字洋介  ちくま
・沢田マンション物語     古庄弘枝  情報センター
・あなたのマンションが廃墟になる日 山岡淳一郎 草思社
・体に一番快適な家づくり   岡本康男    講談社+α
・グレートスモールカンパニー   瀬戸川礼子  現代書林
・ゲストハウスに住もう    今 一生      晶文社
・木造住宅改革の旗手     松下寛之      三水社
・健康な家に住みたいな!   外 丸祐       PHP  

 以上58点。
 それにしても、建築・住宅関係が12点というのは久しぶり。

 ベスト10には入らなかったが夫婦が自力で建てた「沢田マンション物語」、新しい住生活の「ゲストハウスに住もう」、ナチス時代の農家を描いた「秋のミルク」、韓国の徴兵制度を告発した「明日からは兵士」、ケータイ小説の「もっと生きたい」という新ジャンル、それと「救急精神病棟」が印象的。

 さてベスト10。「生態学から見た里山の自然と保護」は掘り下げ不足だが、一通り問題を提起している。

  ベスト9は「食の安全・心配御無用!」を入れたい。
生協の仕入れの担当者として長年努力してきた著者が「食べてはいけない」シリーズがやみくもに危機を煽っているとして書き上げたもの。説得力がある。

 ベスト8は「大仏破壊」。
アルカイダ組織の誕生からビンラーディンが力を持ち、大仏破壊に到る詳細な経緯と背景描写に、今更ながら驚かされる。

  ベスト7は「健康な家に住みたいな!」
5月3週号で取り上げたので省略。

 ベスト6は「地震と建築」
 これは、20年前に書かれたもので、建築物の固有周期、応答スペクトル、あるいは減衰定数など、基本的な概念が記されている。この入門書の存在を知らなかったのが恥ずかしい。

  ベスト5は「水素の時代」
 この本は2月1週号で紹介したので省略。

 ベスト4は「ザ・トヨタウェイ」
 トヨタ自動車に関して書かれた本が大きな書店には20冊は並んでいる。私もこの一年間でかなりの本を乱読した。
 その中でもこれが傑出している。レクサスやプリウスの誕生や主査制度などにも触れており、その取材対象の広さと深さが世界のトヨタを見事に描き出している。

  ベスト3は「環業革命」
 「メタルカラーの時代」でお馴染みのノンフェクション作家の環境への積極的な提案書。観念論ではなく、世界各国を自分の足で訪ね、問題点を掘り起こしている。世界の先進的な住宅も訪ね、自宅には貯水の気化熱で冷やす実験も。そして、一般家庭で京都議定書のCO2削減は不可能と言った政府の愚かさを厳しく糾弾。住宅産業人はこの著書で目を覚ます必要が。

  ベスト2は「ぼくと会社と“にっぽん再生”」
 産業人だと誰もが日経産業新聞を読んでいる。もっぱら企業側に立って取材編集する「業界新聞の集合体」という印象が強い。ところが、昨年から日本経済の復活が叫ばれ、史上最高益などと言われているが、工場の現場には高揚感がない。日本の復活は正社員を切捨て社会保険未加入の請負会社と派遣社員で支えられている。その実態に迫った 貴重で異色なリポート。その記者魂に心から敬意を表したい。

 トップは「中国は日本を追い抜けない!」
 唐津一氏と日下公人氏の著作は、いつも新しい切り口で凝固しそうになる脳の頂門に、鋭い一針を与えてくれる。ベスト10に入れなかったが日下氏の「質の経済が始まった」も示唆に富んでいる。
 中国人は基本的に商人。日本人は謙虚で好奇心が強い。これこそが物造りの基本的なDNA。注文住宅の経営者は、この最大の特徴を見失ってはいけない。榊原英資氏の「インド・巨大市場を読みとく」と併読すると新しい展望が拓けてくる。