| 毎週土曜日の夜7時からNHK教育番組の「サイエンスZERO」はなかなか面白い。真鍋かをりが科学の最前線を面白くリポートしてくれ、勉強になります。 ただ、そのリポートを真に受けすぎ、先走って燃料電池や光触媒などの技術を過大に評価したという失敗もありました。しかし、最新の科学情報に触れることが出来るので、毎週楽しみにしている方も多いと思います。 先週の土曜日はたまたまヒートアイランド現象を取り上げていました。先週紹介した尾島早稲田大教授がコメンテーターとして登場し、新しい排熱システムを紹介していました。 メーカーの技術屋さんの話によると、工場などの大きな室外機の場合は排熱機に撒水させ気化熱で排熱を抑えるように指導されているそうです。その分、外気の相対湿度は高くなりますが、温度が上昇するよりはいいということ。 これ以外に、新しい方式として (1) 下水排熱システム (2) 地下排熱システムが考案されてきていると尾島先生。 下水排熱システムというのは、室外機からの排熱を管に集めて下水の中を潜らせ、下水の中に熱を捨てるというもの。 下水の温度は25℃程度なので、ここを潜らせることにより排熱温度を下げることが出来ます。ただし、そのことによって下水の温度が5℃以上あがることがあっては生態系に悪影響を与えます。 このため、このシステムでは下水の温度上昇を5℃以内に抑えるようにアメリカなどでは規制されているとのこと。 これはビルなどの排熱処理として非常に有望視されているシステム。 もう1つの地中排熱システムというのは、地下に10mくらいのタテ穴を掘ります。その深さの地中温度は約10℃。排熱を地下に配した管を循環させることにより地中に熱を放出するというもの。 これは、まだ実験段階ですが、採用される可能性はビルよりも一般の住宅が高いとか。 コスト問題もあるのですぐにということではありませんが、5台も6台も室外機を設置している家庭では、将来は地下放熱システムの採用が必須条件にならないとも限りません。 こうした下水とか地下とか、あるいは撒水による排熱処理というのは空調機メーカーの仕事。 建築設計士とかビルダーの仕事は、室外機を少なくして、極論すれば1台だけで熱帯夜のない夏を過ごせる住宅を如何にして造ってゆくかにあります。 室外機が1台の住宅を造るということは、そんなに難しい仕事ではありません。 150m2までの住宅だったら、超高気密高断熱住宅で、セントラル空調換気システムを採用すれば、簡単に得られます。 ただ、セントラル空調換気システムということになってくると、その機械室の設置場所とダクト配管のスペースが大問題になってきます。 機械室は、屋根たるきシステムさえ採用すれば、小屋裏に簡単に設けることが出来ます。ところが、木造でもプレハブの屋根トラスシステムを採用しているスウェーデンハウスやSXLなどの場合は、機械室の設置場所が簡単に得られません。 無理にトラスの中に設置しようとして、断熱・気密工事がいいかげんになっている現場を見かけたりします。 北米では分譲をはじめとしてほぼ100%の住宅にセントラル空調換気システムが採用されています。全館冷暖房が常識。 ところが、プレハブ住宅が主力の日本では、なさけないことにセントラル空調換気システムを本格採用しているところが皆無といっても過言では…。 その最大のネックがダクト配管。 セントラルダクト配管の難しいところは、給気ダクトと排気ダクトの両方が交差して配管しなければならないというところ。これが、排気ダクトだけだと交差せず、狭いスペースでなんとか処理出来ます。 しかし、セントラル空調換気システムとなると、150Φの幹線ダクトを交差させられる広いスペースが必要。 単に構造設計が出来てもダメなのです。構造プラスダクト設計が出来て、初めて一人前の実施設計士と呼べるのです。 骨格だけの設計ではなく、動脈と静脈も一緒に設計しないと五体満足な健康住宅にはなりません。 このため、ハーティ時代には日本で最初に2階の床根太に212の平行弦トラスを採用しました。といって発明したのではありません。アメリカの高級分譲住宅では212どころか214、あるいは216の平行弦トラスの採用が当たり前。 全面的に採用されているためコストも安く、大変に使いやすい。ところが、日本では三井も三菱も東急も、もちろん住友もスウェーデンもこの平行弦トラスを使った経験がない。 というよりは、全館冷暖房システムが標準ではないということです。 安易な個別冷暖房システムを前提に考えているから、室外機がやたらと多いのです。 ツーバィフォーがそんなありさまだから、より難しい鉄骨メーカーは頬かむりしたまま。 つまり、ツーバィフォーメーカーが、セントラル空調換気システムの素晴らしさを積極的に推進したら、多くの消費者は絶対になびきます。となれば、鉄骨プレハブもなんとかしなくてはとなります。 ところが、ツーバィフォーメーカーがだらしないものだから鉄骨プレハブのだらしなさ、性能の悪さが世の中から糾弾されることなく放置されているのです。 150m2のR2000住宅だと、5KWの室内機1台で十分です。 もちろん、遮熱ガラスを使い、出来るだけ直射日光が入らないようにプランにします。 その結果、ダクトを通じて各室へ吹き出す風速と風量は、個別エアコンの1/4から1/5にすぎません。このため、風を感じることがなく、冷房の痛みがなく、文字通り「涼風」となります。この快適さは、次世代省エネ基準の住宅では絶対に得られないものです。 しかし、落雷の多い群馬ではセントラル空調換気システムの採用は難しいということがよく分かりました。 落雷のあった施主を訪ねたら「テレビや電話だけでなく個別エアコンの半分がやられた。半分だけ助かったからなんとか凌げたが、セントラルだったら1週間ホテルへでもゆく必要があったろう」とのこと。したがって、全国的にセントラル空調換気システムを薦めるというわけにはゆかないようです。 それと強調しておきたいのは、排熱利用の除湿運転の場合、いわゆる再熱ドライの室外機の「暑くなさ」です。これはいいですね。 個別エアコンの場合、吹き抜け空間に設置したエアコン1台だけを24時間除湿運転を中心に稼働させ、相対湿度を50%台に維持することが出来れば、あとは扇風機の併用で冷房の痛さと熱帯夜のない夏を過ごすことが出来ます。 ヒートアイランド現象に対応出来る住宅を提供出来ないということは、ビルダーが不勉強だということであり、プレハブメーカーと同様に恥ずかしいことだと悟りましょう。 |