■「高気密住宅は、夏窓を開けてはいけないの?」


  南房総で高気密住宅に住んでいる友人からメールが…。
 「東京では熱帯夜が始まると、なるべく窓を開けないように施主に話をしていると書いてあったが、わが家では真夏でも窓を開けて寝ている涼しい夜が何日かはある。南房総より多摩地方の方が暑いというのはどうしても信じられない!!」

  これは、当然の疑問。

  しかし、昔から「八王子は都心よりは冬は1、2℃寒く、夏は逆に1、2℃暑い」と言われてきていた。ヒートアイランド現象が叫ばれる前から…。

  大阪とか名古屋のことはよく分からない。だが、おそらく東京と同じ現象が起こっていると思う…。

  東京では、日中はヒートアイランド現象で都心の温度がやたらと高くなる。
  ところが、日が沈むと都心の建物や舗装をこれ以上に灼く太陽は居ない。大きなビルのエアコンは次第に消されて排熱が少なくなってくる。

  もちろん、コンクリートに蓄えられた熱は簡単に消えるわけはない。夜になっても都心の熱気はすさまじい。
 
  しかし、東京湾からの風が、都心の灼熱の空気の固まりを多摩地域などの内陸部へ運ぶ。このため、夜は都心よりも多摩や埼玉地域の方が温度が高いという現象が起こる。
  そして、朝になると再び灼熱の固まりは都心へ戻る。

  つまり、ヒートアイランド現象による熱帯夜の被害を一番受けているのが、都心ではなくて多摩地域から埼玉地域だということ。

  先に紹介した尾島早大教授が、こうした「東京の夜のヒートアイランド現象の移動性」という特殊現象の研究成果を発表されている。

  つまり、緯度の低い南房総に住む友人よりも、多摩地域に住む私共の施主の方が、ヒートアイランド現象のより大きな被害者であり、こと熱帯夜については首都圏ではどこよりも敏感にならざるを得ない立場にあり、それだけに大きな発言権を持っているということ。

  南房総の友人は、夜は海からの涼風で暑さが凌げる。都心のヒートアイランド現象の被害が及ばないので、窓を開けて寝ることも可能なのである。
  多摩地域の住人からみれば、うらやましい限り。

  今朝、7月23日(土曜日)の小平市の朝は、夏とは信じられないほど特別にさわやかな朝であった。
  午前5時の外気温度は22℃で、相対湿度はなんと62%。
  わが女房殿などは「軽井沢のさわやかさ」と叫び、外へ飛び出していった。

  冷夏でないかぎり、真夏に多摩地域でこのようなさわやかな朝は例外中の例外。
  単に温度が低いからさわやかなのではない。
  62%という相対湿度がこたえられない。

  22℃で62%ということは、28℃だと約45%ということになる。エアコンを必要としない超快適温湿度。したがって、昨夜は多摩地域でも窓を開けて寝た人が多かったと思う。

 高気密住宅で、24時間連続除湿運転をしても、28℃で、相対湿度を50%以下にすることはなかなか難しい。つまり、最高のむ高気密高断熱住宅がもたらす温熱環境よりも、自然環境の方がはるかに快適。
  ということであれば、「盗難の怖れと排気ガスの危険のない範囲内で、最大限窓を開けよう」ということになる。

 高気密高断熱住宅は、夏窓を開けてはいけないと誰も言ってはいない。そんな不条理な法律や約束事があるわけでもない。外的環境が良ければ、素直にそれを受け容れればよい。これこそがエコロジー。

  とは言え、今朝のようなさわやかな自然の恵は、それこそ一夏に1日か2日しかない。あとは早朝でも25℃以上の熱帯夜で、相対湿度が75%前後。

  今朝は、夏なのに絶対湿度が0.010kg/kgであった。
  多摩の普通の真夏の絶対湿度は0.015kg/kg以上。
  この50%も少ない絶対湿度。
 これこそが軽井沢のようなさわやかさの秘密であった。

 そして、最も大切な教訓は、人工的に苦労して得た夏の室内の絶対湿度より、外の天然の絶対湿度が低い時は思い切って窓を開け、低い絶対湿度で室内を満たすべきということ。その方が省エネ。
 逆の言葉で言うならば、熱帯夜が続いている時、外部の絶対湿度が高い時は絶対に窓を開けてはならない。これこそが絶対的な命題。

  この基本命題以外に、ヒートアイランド現象の3回の記述の中のポイントとなるいくつかをおさらいしておきたい。

 (1) 相対湿度が40%以下になるとノドがいがらっぽくなり、30%を切ると静電気が起き、バクテリア、ウィルスが発生し、喘息などが起こって大変に不快になってくる。

 (2) 相対湿度がかなり高くても、温度が25℃以下だと人体はそれほど不快さを感じない。ただし、20℃以上で相対湿度が60%を越えるとダニ、カビの問題が加速化されてくる。

 (3) 26℃を越えると、相対湿度がものすごく大きな比重を占めてくる。個人差があるのであまり科学的とは言えないが、おおまかに言って快適と感じる相対湿度の上限は以下。
  26℃で66%、27℃で63%、28℃で60%、29℃で50%、30℃で40%。

 (4) 相対湿度を何%以内に抑えられるかが高温多湿地域のビルダーの腕の見せ所。相対湿度を低く抑えられると設定温度を高くすることが出来、夏の大幅な省エネ性と快適性の達成が可能。

 (5) そのために超高気密が必要であり、化学物質の少ない建材の採用、防虫剤などの排除が不可欠。

 (6) と同時に室外機一台で、24時間連続稼働という住まい方が、とくにヒートアイランド現象による熱帯夜の厳しい地域ではポイントになってくる。

 間違っていたら指摘して下さい。