| 今年、もっとも注目すべき住宅は、北海道を限定に発売されたセキスイハイムの「シェダン」 春先から何とかその実物を見たいと熱望してきた。 しかし、モデルハウスは総合展示場に出展されておらず、岩見沢の工場敷地内にある。 このため、お客を装って勝手にモデルハウスを盗み見し、資料をもらって帰るというわけにはゆかない。 そこで本社の部長さんになんとかならないかとお願いした。ダメもとを覚悟のお願い。ところが簡単にOKが出、部長自ら同行してモデルハウスだけでなく、工場の隅から隅まで案内していただけたという望外の僥倖に…。 それで、舞い上がってヨイショするわけではない。 正直言って「やられた!」と思った。 よくここまで思い切ったことをやり、しかもそれなりの実績を上げている。 これはR-2000住宅の出現に匹敵するというよりも、それ以上のインパクトを持っている。 まず、ハイムとシェダンの概略を説明しよう。 ハイムの昨年の実績は、鉄骨ユニットが全国で約10000棟、ツーバィフォーによるユニットが約3000棟。 そして、いずれも断熱性能は次世代省エネ基準をクリアーしている。03度の大手住宅メーカーの次世代省エネ基準突破率は40%程度ではないかと言われていることを考えると、同社のエコ意識の高さが伺える。 それだけではない。 鉄骨プレハブは気密性能の面で致命的な欠陥を持っている。 相当隙間面積が良くて3.5cm2で、一般的には4cm2程度と考えてよさそう。 次世代省エネ基準の気密性能が5cm2という馬鹿げた基準に抑えられたのは、この鉄骨プレハブ企業群の政治的な圧力があったからだと私は盲信している。 郵政と同様に改革すべき重点対象。 ところが、T、U地区ハイムの鉄骨ユニットの気密性能は2.0cm2を切っている。ツーバィフォーユニットのツーユーが2cm2を簡単に切っているので、鉄骨も2cm2は切らないとお客に納得のゆく性能説明が出来ない。そこで、ベイバーバリアを工夫し、鉄骨系では唯一C値2.0cm2を切っている。 このほか、オール電化採用率80%、太陽光発電搭載率52%、タイル外装装着率45%、ツーユーにおける206の採用率40%などが目立つ。 「光熱費ゼロの家」 「2×6=0」 多少、はったり的という気はするが、こうした同社のメリハリの効いた宣伝文句は時代を先取りしている。 このハイムが今年の2月にシェダンを発表。 謳い文句はQ値=0.99W。 R-2000住宅の北海道のQ値はWで表現するなら1.2W程度であった。それを20%も上回る。 本当かいな?! 大きな疑問を抱いたのは私だけではあるまい。そして、断熱性能は優れていても気密性能は2.0cm2程度で、R-2000住宅の足下に及ぶことはなかろう、と考えていた。 工場で、このシェダンを開発した設計室長に最初に聞いたのは当然のことながら気密性能であった。 「中には腕の良い職人が担当したもので0.6cm2のものもありますが、一般的には1.0cm2をキープしています」 参った。参りました。 口惜しいけど、こうなれば「R-2000住宅以上の性能だ」と言わざるを得ない。 そして、8月までの半年間で50数棟受注しているという。 単なるデモストレーションハウスではなく、商品としてまぎれもなく消費者の支持を得ている。 まさしく、本年度省エネハウス部門では「ハウス・オブ・ザ・イャー大賞」ものである。 どうしてこんなものを開発したのか。 その理由は単純明快。 「現在の北海道の家庭の光熱費を半分にするにはどうしたら良いかを考えたら、こうなりました」と。 具体的には鉄骨のユニットをツーバィフォーの壁パネルで覆った。つまりダブル壁仕様。 基礎断熱で、ポリスチレンフォームが布基礎の外側に100mm、内側に50mm。計150mm。K値は0.3W。 外壁は16キロの高性能グラスウールを220mm。 この220mm厚の中にはOSBボードが含まれている。つまり鉄骨ユニットの分130mmとツーバィフォー壁パネルの分90mmが合算されたわけ。この中心にOSBボードが挟まっている。 プロなら誰でも知っていることだが、グラスウールの中心部にベイバーバリア層を設けると絶対に壁内結露が起こらない。OSBボードは非透湿ではないが、ベイバーバリアの役目も果たし、気密性能の向上にも大きく貢献している。 断熱材の外側には当然のこととして透湿防風シートを張り、縦胴縁を204材に取り付けて通気層を確保して仕上げ材。 この結果外壁のK値は0.2W。 屋根は高性能グラスウールの厚みが360mm。 K値は0.13W。 ガラスは2重に特殊金属膜をコーテングしアルゴンガス入りのLow-Eペア。 そして、パッシブとして夏の日射遮蔽のためのスクリーンを外側に付け、内側には蜂の巣状にダブルに空気層が出来る特殊なブラインドを装備している。 換気は熱交換型のセントラルシステムで、機器を床下に設置しているのが特徴。 今、道のビルダーの間で、Q-1住宅運動に伴い今までの第3種換気に変わる第1種換気が大きな話題になってきている。パネルラジエーター方式とリンクした第3種換気は、コールドドラフト現象も起こらず、メンテナンスも容易で北欧をはじめとして最良のシステムとされてきた。 ところが、スウェーデンの無暖房住宅では熱交換機が不可欠とされてきている。同様に、北海道でQ-1住宅を狙うとなると熱交換の有無が性能面で大きく物を言ってくる。シェダンは他社に先がけて熱交換型を標準採用。 暖房は床下暖房。これは床暖房のいやらしさがなく、一階の床と二階の天井面の温度差はわずかに1.6℃。 このため、ユニット住宅でありながら大きな吹き抜け空間が得られ、その開放感は格別のものとなった。内部空間はとてもユニット住宅とは考えられない。 そして、これらを総合してQ値は0.99W/uK。 これは、まさしくハイムの挑戦状。 これに果敢に対応できるビルダーが何社育ってくるかだ。地場ビルダーよ目を覚まそう!!! |