恥を書きます。 私は寝付きが悪い。ベロンベロンに酔えば、そのまま眠れますが、深酒は体に毒。 このため、20年来軽い催眠薬を服用しています。 1粒ではなく、半粒から3/4粒あれば熟睡。 ところが、かかりつけの医者に行って「催眠薬だけ欲しい」とは気が小さくて言えません。そこで、カルシウム拮抗剤高血圧の薬ノルバスクと一緒に催眠薬をもらっていました。 高血圧の薬を飲まなくても160/95という数値。 したがって、もらってきた高血圧の薬はこっそり捨ててきました。医療費のムダ使い。 それでも馴染みの病院は年に1度の健康診断だけで、黙って薬だけを処方してくれました。 ところが、この病院の院長先生が高齢のために先月で閉院。変わりのかかりつけの医院を捜さす必要が…。 そこで、別の若い院長の医院を訪れ、前の病院での薬を見せ、同じ薬を出してくれるように頼みました。快く同じ薬を処方してくれました。 ただし、毎日血圧を測定して、記入するとの約束で…。 相変わらず血圧の薬は飲まず、血圧測定値だけを記録しました。変動はありますが平均値は160/95。 安心して二週間後に記録を持っていったら若い医者は「これは大変だ」と大騒ぎ。 「今までの薬ではダメです。血圧を正常位に下げるためにノルバスクを倍の2錠にし、そのほかにARIの武田のプロブレスを1錠、都合3錠を毎朝服用してください。いいですね」と高い薬を押しつけられました。 いきなり重症高血圧患者に仕立てあげられたのです。 そこで、やむなくノルバスク1錠だけを飲むことにしました。 そして、測定記録を続けました。3週間を平均すると140/88という数値。もう十分。 ところが、若い医者は「これではダメだ。さらに薬を増やしましょう」と言うではないですか。 「一体、どこまで下げればいいのですか」と聞くとガイドラインの「135/85」という数値をそのまま言ったのです。 血圧は低ければ低いほど良いという薬品メーカーのドグマに完全に犯されています。降圧剤を飲むことのマイナス面を全く考慮していません。 私は呆れて言い返しました。 「この3週間、ノルバスク1錠しか飲んでいません。それでこの数値が得られています。私は自分の体のことをよく分かっています。どんなに言われても1錠以上は飲みません。捨てるのはもったいないから、処方しないで下さい。血圧が下がっても外の病気で死にたくないから」と、きっぱり断言。 医者にとってみれば「憎ったらしい、儲からない患者め!」ということだったでしょう。 浜六郎著「高血圧は薬で下げるな!!」(角川oneテーマ21刊、税別686円)は、素晴らしい問題を提起してくれています。 ご存じのとおり、2000年以前までの血圧のガイドラインは160/95でした。70才以上は180/100で大丈夫と考えられていました。 それが2000年に制定されたガイドラインでは60才までが130/85、60才台が140/90、70才台が150/90、80才以上が160/90と大幅に低くなったのです。 そして、さらに2004年の改訂で65才までが130/85、65才以上が140/90と厳しくなっています。 このガイドラインの改訂で、高血圧症という病気の範疇に区分される人が全国で5000万人になったのだそうです。病院や医薬品メーカーにとって喜ばしくも患者が倍加。降圧剤の需要は3.5倍にもなったと浜氏は書いています。 そうです。貴方も私も、知らぬ間に高血圧症に分類され、強制的に高い降圧剤のお得意様に仕立てられていたのです。 それでは、このガイドライン改訂の根拠は何か? それはWHOのガイドラインが1999年に発表され、日本もそれにならったとのこと。 ところが、このWHOの根拠になったHOT調査そのものに浜氏は疑問を投げかけています。スウェーデンをはじめ製薬会社が共同出資した学会の肝いりで約1万9000人の高血圧患者を平均3.8年間追跡した大規模の調査。 心筋梗塞になった人の数は最小血圧が低くコントロールした群ほど僅かだが少なかった。しかし、その差は微少であり、しかも降圧剤で血圧を低くすることにより心筋梗塞は減ったがそれ以外の病気で死亡する人が増えている。 日本では、新基準により心筋梗塞になる人が8000人減る変わりに降圧剤のために死ななくてもよいはずの人が少なく見積っても4万人に達すると浜氏は予測しています。 それに、HOTの研究はブラシーボ(偽薬)を使用した対照群を置いての比較がないという欠点があると指摘しています。降圧剤と偽薬を半分半分に分けて飲ませ、比較検討しないと本当の効果が分からないという当然の指摘。 そして、浜氏は日本で実施された唯一のブラシーボ対照ランダム比較試験のJATE研究とNIPPON研究を取り上げています。 この研究は専門的にすぎるので詳細は省略。 結論はどうか? 「降圧剤を使用した人としなかった人との間で、死亡率にも、また心臓病や脳卒中など降圧剤の効果が期待されていた合併症の発症率にも、統計上差は見られなかった。そして、驚くべきことに、ガンの発生率は降圧剤を使用した群の方が使用しなかった群に比べて多かった。また、降圧剤を使用した方が循環器以外の病気全体でも、重大な病気に罹る確立が高い傾向にあった」 なぜ血圧を下げなければならないのか? その理由は高血圧を放置しておくと動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞の合併症を引き起こす。いつも強い圧力で水を放出している水道のゴムホースは早くボロボロになりやすい。そしてホースが切れるように血管が切れるから、というのが唯一の論拠。 しかし、重症高血圧患者においてさえ、降圧剤で血圧を下げることによって寿命が延びたというデーターは、日本にも諸外国にもないと浜氏は力説。 そして高齢者問題に関して次のように書いています。 高齢者は、全身に栄養を行き渡らせるために血圧がある程度高めになることは自然な原理。それをムリに薬で引き下げると、たしかに血管の負担は軽くなるかもしれないが細胞の隅々まで栄養が行き渡らなくなる。脳への栄養不足が脳の働きを鈍らせ認知障害を増加させるおそれもある。 先にあげたNIPPONの研究によると70才以上の場合は最小血圧が100以下に下げない方がむしろ良いという結論が出ている。血圧は180/100までは治療がいらない。 先月、仙台へ行った時、同行した40才台の2人の壮年から「医者から高血圧だと言われ、薬を飲まされている。鵜野さんは飲まなくて平気なのですか」と不思議がられた。 この一ヶ月間ノルバスクを1錠ずつ飲んできた。それよりも生活習慣の改善で最近では135/85という数値に限りなく近づいている。年内一杯で降圧剤とおさらばしょうと思う。 もし、浜氏の指摘が正しいとするならば、しっかりとした裏付けがないままに低い数値を設定し、日本人の40%以上に降圧剤を飲ませようとしている医療機関に、姉歯設計士の姿がダブって見えませんか…。 |