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太陽光発電は、一向に安くならない
クリーンなエネルギーとして大いに期待された太陽光発電。
通産省の補助金制度もあって、一時期は大変脚光を浴びた。しかし、肝心の太陽光を電気に変換する変換効率が、16%台から一向に向上せず、3kwの設備費を投入しても、年間得られる電気料は7万円程度。
10年前に太陽光発電が出始めた頃、kw当たり3万円の発電能力があると言われた。その気になって多くの消費者に奨めた。「地球を大切にするエコロジー人間の勲章です」と。
しかし、実際に装置したら、ほとんどのお客様から「7万円程度しか稼いでくれない」との苦情が殺到。この7万円が、近い将来10万円とか11万円になる可能性があるなら、期待出来る。だが、10年近く経っても7万円のまま。
トヨタの技術者から太陽光より燃料電池が有望と言われた
1998年、トヨタの技術者と話した時「燃料電池の方がはるかに有望」と言われた。「自動車の場合は燃料水素の運搬という問題と小型化という大命題があるが、住宅だとそれほどの制約がない。5〜6年という近い将来に、必ず実用化される」と。
以来、燃料電池の資料集めに奔走したが、なかなか思うように資料が入手出来ず、ストレスだけが溜った。
もやもやとした気分でいた2000年12月に、エコライフ研究所のセミナーで金谷年展氏の「21世紀エネルギー革命の本命“燃料電池”が変える住まい」という講演を聞いた。私の知りたかったことを網羅した講演で、正に旱天の慈雨。
燃料電池の原理と原料
燃料電池の発電の原理は簡単。水素に酸素をプラスすると (1)電気 (2)熱 (3)水が発生するというもの。

原料の水素は、自動車の場合はアルカリ型とか固体高分子型。
家庭用の場合は、とりあえず都市ガス、プロパンなどが考えられ、近未来的には天然ガスが有力。しろありが木材を消化する原理が科学的に解明されれば、木材等のゴミも将来有力な原料化する可能性も。
ともかく、有害物資を出さず、ゴミ解決にも役立つ可能性から、エコロジーのチャンピオンになりそう。
自動車での実用化はどこまで進んでいる?
1997年にベンツ (現ダイムラー・クライス) が「2004年に燃料電池自動車を量産化する」と発表し、世界をあっと言わせた。
当時の試作車ネッカー1は、前運転席以外は燃料と機械で一杯。これがネッカー2、3では次第に小型化され、1999年発表の最後の試作車ネッカー4では、ガソリン車と変わらない大きさになり、最高速度は145キロ、1回の燃料補給で450キロまで走行が可能に。
今年発表されるネッカー5は、実用車として性能的にも価格的にも一段の前進が期待されています。
このほか、トヨタ・GMの共同開発も急速に進んでおり、ホンダも2004年にターゲットを絞っていると言われてます。まさに「実用の前夜」というところ。
住宅用燃料電池で先行しているアメリカでは20万円/kw以下
自動車の燃料電池量産価格は、家庭用に換算すると20万円/kwとのこと。これだと、即住宅で採用可能。
日本の家庭用では、大阪ガスと松下電工の共同開発の試作機がすでに発表されている。大きさは空調の室外機よりやや大きい程度だが、価格がまだまだ。今年度産業省の援助で第2号機の開発が推進され、これには大手電気メーカーやガス会社20社が名乗りを挙げ、来年度の実用機の開発を経て2004年に一斉に商品化の予定。
一方、アメリカではHパワー社が、すでに家庭用燃料電池の量産にとりかかったとのこと。アメリカは電気料金が安いことと住宅の規模が大きいことから、家庭での電気の使用量は日本の倍以上。このため、Hパワー社が量産する燃料電池は4.5kwで、価格はなんと80万円とのこと!!。
太陽光発電が90万円/kwに対し、燃料電池が20万円/kwとは驚異。
Hパワー社が量産に踏み出せたのは、全米の多くの電力会社が同社の燃料電池をまとめて買上げ、各家庭にリースすることを決めたからとのこと。それが事実とすると、単にイニシアルコストだけでなく、ランニングコスト面でも実用段階に入ったことを物語る。なにしろ、アメリカの電気代は日本の半分から1/3程度。そこでリースが出来るということは、日本でもH社からまとめ買いすれば良いということ。
各電力のコストを比較してみると、燃料電池が有望
燃料電池の発電コストは、風力に比べてもかなり高い。なのに家庭での実質コストが安いのは、遠隔地で発電される風力や原子力は送電費用がかかるとともに、送電中のロスが多いが、燃料電池は送電線が不要のため。
また、太陽光発電だと夜間や曇天の日のバックアップが不可欠だが、燃料電池は不要。
電力だけでなく「熱」を利用出来るメリット
燃料電池を考える時、単に発電だけを比較するのは片手落ち。発生する熱を利用出来る大きなメリットが燃料電池にある。
熱の使い方としては、(1)暖房 (2)給湯 (3)乾燥、ということがすぐ頭に浮かぶ。このため、下表のように暖かい九州より寒い北海道の方がよりメリツトがあろう。しかし、夏期の(4)除湿が大いに考えられ、東京のメリットはもっと増加の可能性が大。

燃料電池時代の住宅造りとは?
太陽光発電の時の住宅造りのポイントは「電気を浪費しない高気密高断熱住宅造り」であった。
燃料電池時代の住宅造りも、基本的には「省エネの高気密住宅造り」。
ただし、暖房と乾燥と除湿と給湯に関しては、現在のシステムが大きく変わる可能性が高い。電気で暖め、乾燥と除湿を行ない、ガスでお湯を沸かしているのが「排熱利用」に変わろう。その方が安くて快適だから。
とすれば、太陽電池が実用化されてくるまで待つべきか? あと7〜10年は我慢すべきなのか?
私の結論は「我慢して待つ必要はない」である。
何故なら、現在提供している高気密住宅を、将来、排熱利用のシステムに変更することが、それほど困難ではないから。
おそらく暖房は給湯のパネルラジエーターによる輻射暖房になろう。東京のR2000住宅だと1階にラジエーターを設けるだけで暖房は十分。床下を使えばその施工は簡単。
床下や浴室などの乾燥も難しくない。ただ、排熱利用の除湿については根本的なシステム変更になるが、それもダクト新設の必要がなく、既存のダクトで対応出来る。
私の考えは「燃料電池開発の進捗状況をつぶさに観察しながら、今から空調換気メーカーと共同で対応策を準備し、よりスムーズにシステム変更を可能にすることと、今迄以上に高気密住宅の性能を保持してゆくこと」に尽きる。
とも角、燃料電池には、除湿や暖房、乾燥などで、革命的な快適さを予感させる魅力がある。
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