食変光星を見てみよう!

(2005/07/18)日本変光星研究会・会誌「変光星」204号より

★ 肉眼で

肉眼で観測できる食変光星と言ったら!アルゴルが王者だと思います。夜、外に出たときに空を見上げてペルセウス座があるとアルゴルを見てしまうのは私だけ〜?あまり見つめると「石」になってしまうでしょうか?そのアルゴルが暗いと感じると、それはラッキーだと思います。私は2005年の正月休みに酔い覚ましで外に出た時にアルゴルが暗くて「おっ!ラッキー」と感じました。

皆様、ご存知のようにアルゴルはペルセウス座βです。普段は2.1等で約2.9日毎に3.4等まで減光します。VSOLJでは多くの方が観測されていますので、すでに観測経験をお持ちの方も多いかと思います。この系は半分離型連星(SD型)のプロトタイプです。主星は太陽の3.7倍の質量・2.88倍の半径です。伴星は太陽の0.8倍の質量・3.91倍の半径です。スペクトル型は主星がB8Vで伴星がK2IVです。このようにSD型の連星の多くが主星は主系列星で伴星が低温の準巨星です。これは近接連星の進化が影響しています。アルゴルには、もう一つ星があります。連星では主星をA、伴星をBと言ったりします。従って、もう一つの星をC(βPerC)と言います。AとBは、その重心の回りを2.9日で公転しています。Cは、その重心の回りを1.86年で公転しています。C星の温度は7000Kで太陽半径の1.4倍もありますが、A星が12000Kもあって、系全体の殆ど全ての光度を占めていますので光学的にC星を観察する事は、すご〜く難しいでしょう。それでもスペクトルを撮った学者がいますので、もの凄い苦労だったと思います。あきらめずに観測した事が成功につながったのだと思います。今年の予報を示します。クラコウ星表の要素を使いました。

★ 双眼鏡で

1900年台のVSOLJ観測で最も多く観測された食変光星はカシオペア座RZです。カシオペア座RZは双眼鏡で観測できます。普段は6等台で約1.2日の周期で7.7等まで減光します。実際に観測された方は、変光範囲が大きく、観測しやすい変光星だと思った事でしょう。世界的にも多くの方が観測されています。明るく・変光範囲が大きいので人気物です。このように多くの観測がされていますが、実は、まだまだ謎が多い連星とされています。

西はりま天文台の鳴沢先生らの研究では、主星と伴星の距離を1とした場合、主星半径は0.238、伴星半径は0.309となっています。

主星は太陽の1.63倍の半径なので図から実際の系の大きさが想像できると思います。この系もSD型です。左図で左が質量の重い主星です。右は軽くて暗い伴星です。SD型の特徴でしたね。伴星が球体から大きく異なった形状になっている事に気が付いたとおもいます。伴星は進化によって膨張をしています。膨張が進み恒星表面のポテンシャルが内部ロッシュローブと言われる所まで成長するとL1ポイント(伴星の尖がっている部分)から主星に質量移動を開始します。伴星の奇妙な形は内部ロッシュローブの形なのです。カシオペア座RZはSD型ではなくNearContactと言う意見もありますが…。

下はカシオペア座RZの極小予報です。クラコウ星表の要素を使って予報しました。

★ 望遠鏡で

望遠鏡で観測できる食変光星は(それこそ)星の数ほどありますが、ここでは変光範囲の大きな“さんかく座X”をお勧めします。変光範囲は8.9等〜11.9等です。周期が約1日の食連星です。すごい速さで変光します。ただ、極小が11.9等と暗いので10cm以上の望遠鏡が必要でしょう。昔、8cmで観測した事がありますが、極小付近では見えなくなってしまいました。この系もSD型です。この系の特徴の一つは、皆既食を起こす事です。食の底で16分程度、一定の明るさにとどまります。

グラフは1997年に私が観測した時の光度曲線ですが、極小がフラットになっている事がわかります。でも、よーく見るとフラットでは無い?ようにも見えます。さて、実際は、どーでしょうか。

この図はCALEBのホームページにあった、さんかく座XのV等級での解析結果です。この光度曲線の縦軸は等級ではないので注意して下さい。副極小を等級で表すと、こんなには深くはなりません。実際には眼視では副極小は観測出来ないでしょう。今回、紹介した3つの連星は全てSD型なので、主星が丸くて、伴星が尖がった形になっています。

下は、さんかく座Xの星図です。

下はさんかく座Xの極小予報です。クラコウ星表の要素を使って予報しました。

References
 S.Narusawa et.al., 1994AJ 107.1141N
 A.F.Lanza and M.Rodono, Astron.Astrophys,349,887-897(1999)
 M.T.Richards and G.E.Albright, AJ supplement 123:537-626(1999)
 David Vesper, AstronomicalJournal,121:2723-2736,2001
 J.Mukherjee et.al., MN283/1 283:613-625(1996)
 M.Mezzetti et.al., Astron.Astrophys.Suppl.Ser,39,265-272(1980)
 http://caleb.eastern.edu/


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