食変光星「とかげ座AR」の極小予報
とかげ座AR(AR Lac)は、りょうけん座RS型の食変光星に分類されています。りょうけん座RS型食変光星とは、食による変光以外に、食外にうねり状の変光がある事が知られています。

このうねり状の変光は一説には伴星の大規模黒点群による変光とされています。近接連星の高速自転と晩期星における内部対流とから彩層活動や磁場の活動が活発になり星表面に大規模な黒点群(全体の20〜30%に及ぶ事もある)が発生し、うねり状の変光となります。この盛んな活動では、紫外線やX線のバーストも観測され、フレアやコロナの存在も示しています。表面の盛んな彩層活動は、食外の強いCaU H−K輝線が見られる事からも伺えるようです。AR Lac(G2IV−K0IV)は1976年にHallによってRSCVn型変光が指摘されました。その後、食外の可視光での変光はもとより、スペクトルではHα、CaU H&K、MgU h&kの輝線や、電波、EUV、X線のエミッションが観測され、それらの変化についても多くの方が研究されています。連星としての変光周期は約2日です。変光範囲(6.1-6.8)が大きいので眼視観測も楽しいと思います。主極小は皆既食となっています。黒点活動の増減は太陽と同じ様に、その星星での黒点活動の周期によって変化するため、うねり状の変光もそれに同期して増減するようです。

この図は、MgIIのhとkの輝線スペクトルです。縦軸は公転位相、横軸は波長です。スペクトルの強度は濃度で表されています。これは、非対称のスペクトル線で恒星大気に活動的な彩層の領域が有る事を示しています。

上の図は、1967年から1992年までの伴星の黒点の様子を地図にしたものです。それぞれの図は縦軸が緯度で北極点から南極点まで、横軸は経度です。赤道を中心に活発な大規模黒点群の存在がうかがえます。
次に8月以降の3ヶ月間の極小予報を以下に示します。予報には99年版クラコウ星表の要素を使いました。

星図はヒッパルカスアウトプットカタログでのシーケンスです。

References
1) Long-term starspot evolution,activity cycle and orbital period variation of AR Lacertae
A.F.Lanza,S.Catalano,G.Cutispoto,I.Pagano and M.Rodono
Astron.Astrophys.332,541-560(1998)
2) 連星−測光連星論− / 北村正利 / ごとう書房
3) 奇妙な42の星たち / 岡崎彰 / 誠文堂新光社
4) GHRS Spectrum at phase 0.71: Orbital Variations in the Spectrum of AR Lacertae
http://hrssun.gsfc.nasa.gov/ghrsgh/06a.html
5) Doppler Imaging the X-ray Corona of AR Lac
http://constellation.gsfc.nasa.gov/images/ar_lac.html