食変光星のO-Cを求めてみよう(3)

(2004/12/23)
日本変光星研究会・会誌「変光星 No.235」より

さて、前号までで極小予報は出来るようになりましたか?予報が出来たら次は観測です。しかし、多くの変光星は星図が無いために観測が出来ないと思います。そこで、今回はパーソナルコンピュータを使った変光星図の作成を行います。変光星図には導入用のファインダーチャートと眼視観測用の変光星図があります。私はファインダーチャートをMEGASTARのVer3.08(デモ版)で作っています。変光星図はMEGASTARのVer2.11で作っています。比較星等級はWinGsc32を使ってヒッパルカスかTycho2から拾っています。しかし、これらの天文ソフトは入手困難なステータスです。日本の望遠鏡販売会社で購入出来る日本語の天文ソフトはTheSkyやステラナビゲータがあります。星図を作成するには星図ソフトが良いのですがプラネタリウムソフトでも(色々と不都合はありますが)駄目ではありません。最低限の条件は、用いている星表にあります。目測観測にはヒッパルカスかTycho2から比較星等級を抽出すると良いでしょう。天文ガイドの広告欄を見るとTheSkyはTycho2を持っていないようです。ステラナビゲータにはTycho2があります。そこで、今回の原稿を書くためにステラナビゲータVer6を購入してみました。この天文ソフトで変光星図を作成してみます。他にはフリーソフトと言う手があります。日本のフリーソフトはプラネタリウムソフトが多く、あまりお勧め出来ません。海外ではSkyChartsが全ての条件を満たしています。ブロードバンドネットワークを持った環境ではお勧めします。USNOやGSCもオンラインで表示してくれます。小惑星等の新天体も随時更新してくれます。また、変光星も表示してくれます。変光星図として欠かせない条件は比較星等級が記入されている以外に変光星の位置が記入されていなければなりません。ステラナビゲータは変光星を表示する機能がありますが、持っているデータベースが小さいらしく、全く役に立ちません。使い方が悪いのか?メーカーに問い合わせて見ましたが途中で返事が来なくなりました。ただ、ステラナビゲータにはADF(アディショナルファイル)という、ステラナビゲータが指定したフォーマットのテキストファイルを読み込んで画面に表示してくれる機能があります。この機能でなんとか使える事が出来ました。GCVSとNSVのADFは私のホームページに置きました。どうぞご利用下さい。星表についてTycho2を使うわけですが、これがBestというわけではありません。一つの星表が万能になる事はありませんので読者自身も色々と研究されることを希望します。ネットワークが使える人はASASを検索するのもよいでしょう。ともかく、SAOで変光星図を作って上手く観測が出来なかった経験のある方は(実際に使ってみれば)なるほど、Tycho2の方がいいや!と思う事でしょう。この星表に関する話は一冊の本が出来てしまうほど語る事が多いと思います。ここではTycho2にFIXして話を進めさせて頂きます。測光と言う面で話をすると測光標準星と言う事になりますが眼視観測で(直接的に)標準星を使っている人はいないと思います。同様に天文ソフトに関しても付録CD−ROM付きで一冊の本になる位に話題は多い事と思います。天文ガイドを見ているとステラナビゲータは日本の販社で簡単に入手出来るソフトの一つなのでステラナビゲータを用いさせて頂きます。星図に比較星等級を記入する際にもプログラムが必要になります。ステラナビゲータに星野を表示させてBMP(ビットマップ)などの形式で画像ファイルを出力させます。その画像ファイルを編集して等級を記入します。私はペイントショップ3.2とボーランドC++3.1のワークショップを使っています。この辺は使い慣れているソフトをお勧めします。ウインドウズには標準でペイントとイメージングが付いています。新たに購入せずペイントでよいと思っています。使い慣れているソフトが良いのですが、ここではペイントを使ってみます。

変光星図の作成手順

GCVSから変光星の位置と変光範囲を調べる(GCVSでなくても構いません)
ファインダーチャート
ステラナビゲータで変光星と周囲の明るい恒星を表示させる
BMPで画像を保存する
ペイントで星々を線で結んだり、明るい星の固有名詞などを記入する
変光星図
ステラナビゲータで変光星を表示させる
比較星に使える恒星を探す(変光範囲を考慮)
BMPで画像を保存
ペイントで比較星等級を記入する、変光星の名称を記入する

アクティブな変光星の眼視観測者はファインダーチャートや変光星図の条件について詳しいと思います。従いまして、ここでは説明しません。それでは、試しに、とかげ座CM(CMLac)の変光星図を作成してみます。ファインダーチャートは変光星図の作成とあまりかわりませんので省略させて頂きました。

まず、GCVSからCMLacの位置と変光範囲を調べます。

http://www.sai.msu.su/groups/cluster/gcvs/cgi-bin/search.htm から調べて見ましょう。

CM Lac と入力してSEARCHボタンを押すとCMLacのデータベースが表示されます。2000年分点で赤経 22h00m04.4s 赤緯 +44゚33’08’ だそうです。変光範囲はV等級で 8.18〜9.15 等級だそうです。ここで注意する点はV等級で変光範囲が表示されましたが実際の変光範囲が違う場合があります。従いまして明るいほうの比較星は8.2より明るくし、暗いほうの比較星は9.2より暗くい星を選定する必要があります。どの程度の範囲を想定するかは難しいのですが、ここでは「十分に」とさせて下さい(要は答えが無いのです)。

それではステラナビゲータを立ち上げて画面中央をCMLacの赤経・赤緯にして下さい。と言いたいところなのですが、赤経・赤緯を入力して、そこへJUMPする機能が無いみたいです。プラネタリウムソフトだと不要なのかも知れませんがとても不便です。 まず、120度というような広い視野を表示させて下さい。「設定」「ステータスバー」でステータスバーに赤経・赤緯を表示させて下さい。次は「設定」「表示形式」で赤道座標を選んで下さい。星座線も表示するとどの辺が表示されているかが良く分かります。そして、マウスを動かしてステータスバーの赤経・赤緯が 22h00m04.4s +44゚33’08’ 付近になるところを探して下さい。画面に該当の赤経・赤緯が無い場合はスクロールバーで移動して下さい。マウスを移動しステータスバーの赤経・赤緯が変光星付近を示したら、マウスをクリックし、そのままマウスを画面中央に移動させて下さい。そして、クリックを解除して下さい。これで画面中央付近が目的の赤経・赤緯になったはずです。視野を狭くして、これを繰り返して下さい。視野が5度位になるまでこれを繰り返します。次は「天体」「追加天体」でGCVSとNSVを表示して下さい。この時「文字表示」のチェックは忘れないで下さい。GCVSとNSVを表示しますがデータ量が多い為に時間が掛かります。気長に待って下さい。どうですか?CMLacは中央付近に居ますか?次は「天体」「恒星」でTycho2を選択して下さい。同時に「等級」は13等位にして見ると星が分かりやすくなります。CMLac周辺の恒星を次々とクリックして見て下さい。恒星の等級などが表示されます。比較星として使えそうな星を探します。この時、B−Vが大きめの星は赤いので目測には不向きです。注意しましょう。また、赤い星は変光している可能性もあります。変光星を比較星に選定しないように注意しましょう。IRASが検索出来る人は調べてみるのも良いでしょう。重星は合成等級を計算しなければなりません。比較星を探しているうちに、どの位の視野が良いか?変光星は、どの辺に表示されていると良いか?がわかってきます。この変光星の場合、視野3度で変光星が中央よりやや北にあると適当な比較星が全て表示出来そうです。以下のような感じです。

それでは、次は表示されている星野をBMPファイルにするのですが、一旦、GCVSとNSVの表示を止めて下さい。「天体」「追加天体」でGCVSとNSVのチェックを外すだけです。

「ファイル」「画像として保存」を実行するとBMP形式の画像ファイルが出来ます。これを「ペイント」で読み込んで下さい。星図は黒地に白になっていますが印刷をすると黒インクを沢山使ってしまい不経済です。「変形」「色の反転」で白黒反転をしましょう。

文字を書く場合は左側にあるリボンから「A」のボタンをマウスクリックする事で可能になります。いきなり目的星の横に等級などの文字を書くと近くの恒星に上書きしてしまい、恒星を消してしまう事があります。一旦、星の無い場所に書いてからカット・アンド・ペーストするとよいでしょう。では比較星等級と変光星名を書き込んでみて下さい。

以下が出来上がった変光星図です。

9.15等星はB−Vが1.8です。もの凄く赤い星です。観測には使わない方が良いです。しかし、この比較星が無いと8.61等の次が9.45等になってしまいます。どうしようかな〜と思いつつも、記入してしまいました。この様に自分で作った星図だと思い入れもあります。これに南北を記入し、スケールも追加すれば、ほぼ完成になります。あとはお好みで変光星の要素を書いたり、他の変光星を追記したりします。シーケンスがTycho2である事も記入しておかなければなりません。南北反転して作成すると完璧ですね。変光星図の作成にあたり参考になったでしょうか?今回の記事は色々とご批判があるかも知れません。お手柔らかにお願いします。

SkyChartsは以下からダウンロード出来ます。

http://www.stargazing.net/astropc/download.html

GCVSとNSVのADFは以下からダウンロード出来ます。

http://homepage3.nifty.com/nga_star/stnaviadf.htm
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