食変光星のO-Cを求めてみよう(4)

(2004/12/23)
日本変光星研究会・会誌「変光星 No.236」より

前回の変光星図作成にあたりステラナビゲータVer6を用いました。そこでは、赤軽・赤緯を入力して画面中央に移動する方法が無い!と記載しました。しかし、後になって方法を見つけました。「ツール」「名前で検索」で「座標指定」をチェックします。すると赤軽・赤緯を入力して画面中央に移動できました。殆ど使わないで記事を書くとゼンゼン駄目ですね!反省。

前回、言い忘れましたが、観測は(可能ならば)光階法で行って下さい。光階法に慣れて来ると1光階が安定してきます。ベテランの観測者は0.07等級位でしょうか。要は0.07等の差を感じる事が出来るのです。また、1光階が安定している事を利用して比較星等級の校正が出来ます。今回は自分の観測から比較星等級の求め方をお話します。

例えば、比較星AとBを用いて変光星Vを目測した結果、変光星Vは比較星ABよりも暗かったとします。目測結果が A4V, B3V だったとします。ここでは変光星を用いて、間接的に比較星も目測しています。結果は、比較星AはBよりも1光階明るい!となります。また、変光星Vが比較星Aよりも暗く、比較星Bよりも明るい場合に A3V, V2Bのような記録になったとします。この場合は比較星AがBよりも5光階明るかった事になります。

食変光星の観測は一度にたくさんの目測を行います。その結果、比較星どうしの目測もたくさん行っています。

では早速、比較星の等級を得るための作業を始めましょう。

まず、何晩かの観測から比較星どうしの光階を求めて、それを平均して下さい。必ずしも算術平均でなくても構いません。メジアンを使うなど、色々と工夫してみて下さい。仮に下のようになったとします。光階値は最も明るい比較星からの値にします。

比較星番号	平均の光階値	変光星図による比較星等級
1		0.00		     7.9
2		5.76		     8.2
3		10.22		     8.6
4		16.74		     9.2
5		25.55		     9.5
6		30.47		     10.1

様々な手法があると思いますが、ここでは最小自乗法を用いて直線に近似します。

直線の方程式は y=ax+b です。ここではyは等級で、変数xを光階値にします。

それでは、上の表からaとbを最小自乗法で求めてみます。

上の表に x×y と x2 を追記して下さい。項目が多くなったために、一行に書ききれなくなってきました。そこで、記号を使います。比較星番号をn、平均の光階値をx、変光星図による比較星等級をyにします。

n		x		y		xy		x2
------------------------------------------------------------------------------------
1		0.00		7.9		0.000		0.0000
2		5.76		8.2		47.232		33.1776
3		10.22		8.6		87.892		104.4484
4		16.74		9.2		154.008		280.2276
5		25.55		9.5		242.725		652.8025
6		30.47		10.1		307.747		928.4209

数字が増えて来ましたね。次は、それぞれの項目の合計を計算して下さい。以下の値になります。

Σx = 88.74
Σy = 53.50
Σxy= 839.604
Σx2 = 1999.0770

これらの値を使って aとb を求めます。

a=(Σxy−ΣxΣy/n)/(Σx2−ΣxΣx/n)
b=(Σy−aΣx)/n

実際に数値を代入してみると以下の値になりました。

a=0.070
b=7.875

変数x(光階値)から比較星等級yを求める方程式が出来あがりました。

y = 0.070x + 7.875

では、この式を使って比較星の等級を計算しましょう。xに「平均の光階値」を代入して下さい。結果は以下の表になります。

変光星図による比較星等級	  平均の光階値	      比較星の等級
---------------------------------------------------------------------------------------
7.9			0.00			7.88
8.2			5.76			8.28
8.6			10.22			8.59
9.2			16.74			9.05
9.5			25.55			9.66
10.1			30.47			10.01

ここで求めた傾きaは1光階あたりの等級になります。ちょうど0.07等になりました。左は観測から得られた光階と変光星図の比較星等級をプロットしたものです。今回得た方程式は直線で描いてあります。プロットした点が直線上に乗っていない事に気がつきます。これが実際の比較星等級との差です。光階5.76の点は直線より上にあります。この比較星は星図の等級よりも暗く見えている事を示しています。

必ずしも比較星の等級を校正する必要は無いのですが、ご自身の1光階が何等級なのかを知るための手法の一つでもありますから、一度試してみてはいかがでしょう。

さて、最後にもう一つ。いつもコンピュータを使ったお話をしていますので、今回も何か使いたいと思います。しかし、Excelなどの表計算ソフトが使える人は散布図を作って、直線近似してしまえば、あっ!と言う間に終わってしまいます。今までの長々とした話も一瞬で終わりです。ここで「以上、終わりです」では面白くないと思います。そこで、今回は皆さんに面倒な作業をお願しようと思い、誰もが持っている(可能性が大きな)JavaScliptでコーティングしてみました。まず、「メモ帳」を起動して以下のプログラムを入力して下さい。

いや〜、簡単に済むかと思ったのですが、もの凄く面倒な事になってしまいました。私はJavaSclipt初心者です。もっと簡単に済むのかも知れません。入力が終わったら「 comparison.html 」というファイル名で保存してください。ここで重要な点は、ファイル名は何でも構いませんが拡張子は(必ず) .html か .htm にして下さい。保存が終わったら「メモ帳」を終了して comparison.html のアイコンをダブルクリックしてください。

今までに例題で用いた値を入力してみました。左の列が光階を入力する場所です。右の列は等級です。光階と等級の入力が済んだら、「比較星数=」に比較星の数を入れて下さい。ここでは「6」になります。「計算」ボタンをクリックするとY=aX+bのaとbが表示されます。ここからは手計算です。Xに光階値を代入して等級を求める事になります。もちろん、プログラムを改造すれば、そこまで自動的に算出する事も可能です。しかし、原稿の量が多くなってきましたので、これでおしまいにします。皆さんで改造してみて下さい。良いのが出来たら教えて下さいね!


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