VZ TriはEW型の短周期食連星です。この星は、発見以降の観測がありません。2002年に三重県の中島さんはV等級で6夜の測光観測を行いました。7つの極小を観測して全ての位相を観測しました。この星の発見報告には光度曲線が示されていません。この観測で光度曲線が明らかになりました。発見者のL. Meinungerは周期と元期を報告しています。GCVSには、その値は記載されていません。今回の観測から、L. Meinungerの周期・元期の改定を行いました。また、光度曲線を解析し連星モデルを作成しました。
VZ Triは1989年のネームリスト69(IBVS3323、1989)にてGCVSに登録されています。この論文では以下の様に書かれています。
IBVS 3323 name-list 69 1989/4/28 VZ Tri 02h18m37s +31d45’ 12.8 - 13.5 (P) EW/KW
レファレンスは、L. Meinunger, MVS 11, H.1,1,1986.で、S 10917と言う天体がVZ Triだと書かれています。
次にMVS 11, H.1,1,1986 を閲覧しました(この論文は京都府の加藤太一先生からコピーを頂きました)。
S 10917 Mpg = 12.8 - 13.3 Min. = 2438670.400 + 0.4334852 × E
変光範囲は写真等級で12.8等から13.3等です。暗い天体です。61個の極小が観測され、全てが報告されています。光度曲線は示されていませんが、W UMaタイプとされています。GCVSではEW/KWに分類されている事から何らかの形で光度曲線の考察がされたはずです。以下は、L. Meinungerの極小観測報告です。
HJD E O-C HJD E O-C HJD E O-C 2438670.430 0 +0.030 2438671.503 2.5 +0.019 2438672.570 5 +0.003 2438673.410 7 -0.034 2438673.608 7.5 -0.043 2438709.420 90 +0.006 2439025.429 819 +0.005 2439028.490 826 +0.032 2439056.405 890.5 -0.014 2439057.482 893 -0.020 2439088.325 964 +0.046 2439439.410 1774 +0.007 2439443.295 1783 -0.009 2439466.511 1836.5 +0.015 2439528.267 1979 +0.000 2439798.506 2602.5 +0.039 2440187.432 3499.5 +0.051 2440859.519 5050 +0.019 2440914.515 5177 -0.038 2440915.459 5179 +0.039 2441981.320 7638 -0.040 2441984.396 7645 +0.002 2442449.312 8717.5 +0.005 2443045.545 10093 +0.021 2443436.591 10995 +0.021 2444170.452 12688 -0.008 2444200.374 12757 +0.003 2444256.270 12886 -0.020 2444257.373 12888.5 -0.001 2444461.549 13359.5 +0.003 2444466.509 13371 -0.022 2444545.401 13553 -0.024 2444631.269 13751 +0.014 2444632.301 13753.5 -0.038 2444634.268 13758 -0.021 2444637.316 13765 -0.008 2444846.487 14247.5 +0.007 2444851.428 14259 -0.037 2444931.200 14443 -0.027 2444986.270 14570 +0.005 2445227.462 15126.5 -0.052 2445230.530 15133.5 -0.018 2445238.560 15152 -0.008 2445295.399 15283 +0.045 2445566.501 15908.5 +0.002 2445621.563 16035.5 +0.012 2445623.511 16040 +0.008 2445645.420 16090.5 +0.026 2445645.630 16091 +0.020 2445646.290 16092.5 +0.029 2445646.500 16093 +0.023 2445647.340 16095 -0.004 2445647.560 16095.5 -0.001 2445648.450 16097.5 +0.022 2445650.370 16102 -0.009 2445650.610 16102.5 +0.015 2445651.470 16104.5 +0.008 2445653.570 16107 +0.024 2445671.380 16150.5 -0.023 2445672.500 16153 +0.014 2445676.394 16162 +0.006
三重県の中島さんは2002年11月、12月にかけてVZ Triの測光観測を行いました。6夜の観測で744のCCD画像を得ました。その観測から7つの極小時刻を求めました(観測日 2002/11/10, 2002/11/12, 2002/11/25, 2002/11/26, 2002/11/27, 2002/12/05)。観測にはF5の25cmシュミットカセグレン望遠鏡に武藤工業製冷却CCDカメラCV−04を用いています。フィルターはVフィルターです。自動撮影ソフトにCV2000PCを使用し、CCDは−15℃で2×2ビニングして60秒露出で撮影しました。比較星はTYC2-2314.111.1 02h21m39.6s +31d54’50” (2000.0) V=10.45 B-V=0.33 を使用しました。右図はVZ Triと比較星の星図です。近くにあるSAO55484はチコ星表では9.1等星となっています。測光ソフトはFitsPhotを使用し7x7ピクセルのアパチャ−で測光しました。以下に観測から得られた光度曲線を示します。







中島さんは、9つの極小を観測されました。そのなかから7つの極小時刻を求めています。O−Cの算出にはL. Meinungerの要素を用いました(Njhは中島さんの観測者略符)。
HJD E O-C Obs. 2452591.065 32113.5 -0.0621 Njh 2452604.073 32143.5 -0.0588 Njh 2452604.927 32145.5 -0.0719 Njh 2452605.142 32146 -0.0728 Njh 2452606.018 32148 -0.0641 Njh 2452606.227 32148.5 -0.0720 Njh 2452614.026 32166.5 -0.0759 Njh
周期・元期を改訂するために、L. Meinungerと中島さんの観測を合わせてL. Meinungerの要素を用いたO−Cを作成しました。

発見から16年が経過していますが、O−Cは−0.07程度でした。全体的にO−Cは減少方向です。しかし、直線的なので周期変化では無く、周期が異なっている事になります。このO−Cグラフが直線となるように周期・元期を補正しました。そして、新しい極小推算式を得ました。
min(new) = 2438659.558 + 0.4334832 × E
この要素を用いたO−Cグラフと中島さんの観測された光度曲線を以下に示します。


この光度曲線から連星モデル解析を行いました。解析ソフトにはAutoWDとBinarymaker2を使用しました。以下の結果が得られました。
起動傾斜角 = 85°
質量比 = 0.32
充填率 = 0.2
星1 光度 = 0.74

規格化した光度曲線と、上記のモデルから得られる光度曲線を比較しました。

今回の観測から光度曲線を示す事が出来ました。VZ TriはEW/KW型の食連星である事が確認出来ました。周期は0.4334832日で、発見当時とほぼ同じでした。解析から質量比0.32で充填率0.2の接触系である事がわかりました。
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