短周期食連星 さんかく座 VZ

(2003/6/7)
神奈川県 永井和男、三重県 中島和宏

VZ TriはEW型の短周期食連星です。この星は、発見以降の観測がありません。2002年に三重県の中島さんはV等級で6夜の測光観測を行いました。7つの極小を観測して全ての位相を観測しました。この星の発見報告には光度曲線が示されていません。この観測で光度曲線が明らかになりました。発見者のL. Meinungerは周期と元期を報告しています。GCVSには、その値は記載されていません。今回の観測から、L. Meinungerの周期・元期の改定を行いました。また、光度曲線を解析し連星モデルを作成しました。

VZ Triは1989年のネームリスト69(IBVS3323、1989)にてGCVSに登録されています。この論文では以下の様に書かれています。

IBVS 3323 name-list 69 1989/4/28
VZ  Tri   02h18m37s   +31d45’   12.8 - 13.5 (P)  EW/KW

レファレンスは、L. Meinunger, MVS 11, H.1,1,1986.で、S 10917と言う天体がVZ Triだと書かれています。

次にMVS 11, H.1,1,1986 を閲覧しました(この論文は京都府の加藤太一先生からコピーを頂きました)。

S 10917
Mpg  =  12.8 - 13.3
Min.  =  2438670.400  +  0.4334852 × E

変光範囲は写真等級で12.8等から13.3等です。暗い天体です。61個の極小が観測され、全てが報告されています。光度曲線は示されていませんが、W UMaタイプとされています。GCVSではEW/KWに分類されている事から何らかの形で光度曲線の考察がされたはずです。以下は、L. Meinungerの極小観測報告です。

 HJD            E    O-C	HJD             E    O-C	HJD             E    O-C
2438670.430     0   +0.030	2438671.503     2.5 +0.019	2438672.570     5   +0.003
2438673.410     7   -0.034	2438673.608     7.5 -0.043	2438709.420    90   +0.006
2439025.429   819   +0.005	2439028.490   826   +0.032	2439056.405   890.5 -0.014
2439057.482   893   -0.020	2439088.325   964   +0.046	2439439.410  1774   +0.007
2439443.295  1783   -0.009	2439466.511  1836.5 +0.015	2439528.267  1979   +0.000
2439798.506  2602.5 +0.039	2440187.432  3499.5 +0.051	2440859.519  5050   +0.019
2440914.515  5177   -0.038	2440915.459  5179   +0.039	2441981.320  7638   -0.040
2441984.396  7645   +0.002	2442449.312  8717.5 +0.005	2443045.545 10093   +0.021
2443436.591 10995   +0.021	2444170.452 12688   -0.008	2444200.374 12757   +0.003
2444256.270 12886   -0.020	2444257.373 12888.5 -0.001	2444461.549 13359.5 +0.003
2444466.509 13371   -0.022	2444545.401 13553   -0.024	2444631.269 13751   +0.014
2444632.301 13753.5 -0.038	2444634.268 13758   -0.021	2444637.316 13765   -0.008
2444846.487 14247.5 +0.007	2444851.428 14259   -0.037	2444931.200 14443   -0.027
2444986.270 14570   +0.005	2445227.462 15126.5 -0.052	2445230.530 15133.5 -0.018
2445238.560 15152   -0.008	2445295.399 15283   +0.045	2445566.501 15908.5 +0.002
2445621.563 16035.5 +0.012	2445623.511 16040   +0.008	2445645.420 16090.5 +0.026
2445645.630 16091   +0.020	2445646.290 16092.5 +0.029	2445646.500 16093   +0.023
2445647.340 16095   -0.004	2445647.560 16095.5 -0.001	2445648.450 16097.5 +0.022
2445650.370 16102   -0.009	2445650.610 16102.5 +0.015	2445651.470 16104.5 +0.008
2445653.570 16107   +0.024	2445671.380 16150.5 -0.023	2445672.500 16153   +0.014
2445676.394 16162   +0.006

三重県の中島さんは2002年11月、12月にかけてVZ Triの測光観測を行いました。6夜の観測で744のCCD画像を得ました。その観測から7つの極小時刻を求めました(観測日 2002/11/10, 2002/11/12, 2002/11/25, 2002/11/26, 2002/11/27, 2002/12/05)。観測にはF5の25cmシュミットカセグレン望遠鏡に武藤工業製冷却CCDカメラCV−04を用いています。フィルターはVフィルターです。自動撮影ソフトにCV2000PCを使用し、CCDは−15℃で2×2ビニングして60秒露出で撮影しました。比較星はTYC2-2314.111.1 02h21m39.6s +31d54’50” (2000.0) V=10.45 B-V=0.33 を使用しました。右図はVZ Triと比較星の星図です。近くにあるSAO55484はチコ星表では9.1等星となっています。測光ソフトはFitsPhotを使用し7x7ピクセルのアパチャ−で測光しました。以下に観測から得られた光度曲線を示します。

中島さんは、9つの極小を観測されました。そのなかから7つの極小時刻を求めています。O−Cの算出にはL. Meinungerの要素を用いました(Njhは中島さんの観測者略符)。

HJD		E		O-C		Obs.
2452591.065	32113.5		-0.0621		Njh
2452604.073	32143.5		-0.0588		Njh
2452604.927	32145.5		-0.0719		Njh
2452605.142	32146		-0.0728		Njh
2452606.018	32148		-0.0641		Njh
2452606.227	32148.5		-0.0720		Njh
2452614.026	32166.5		-0.0759		Njh

周期・元期を改訂するために、L. Meinungerと中島さんの観測を合わせてL. Meinungerの要素を用いたO−Cを作成しました。

発見から16年が経過していますが、O−Cは−0.07程度でした。全体的にO−Cは減少方向です。しかし、直線的なので周期変化では無く、周期が異なっている事になります。このO−Cグラフが直線となるように周期・元期を補正しました。そして、新しい極小推算式を得ました。

min(new) = 2438659.558 + 0.4334832 × E

この要素を用いたO−Cグラフと中島さんの観測された光度曲線を以下に示します。

この光度曲線から連星モデル解析を行いました。解析ソフトにはAutoWDとBinarymaker2を使用しました。以下の結果が得られました。


起動傾斜角 = 85°
質量比 = 0.32
充填率 = 0.2
星1 光度 = 0.74

規格化した光度曲線と、上記のモデルから得られる光度曲線を比較しました。

今回の観測から光度曲線を示す事が出来ました。VZ TriはEW/KW型の食連星である事が確認出来ました。周期は0.4334832日で、発見当時とほぼ同じでした。解析から質量比0.32で充填率0.2の接触系である事がわかりました。


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