変光星246号で観測を呼びかけた「いて座V356」の観測結果を報告します。
この星は周期が8.9日のEA型食変光星です。近星点移動があり副極小が位相0.5を中心に前後する現象が知られています。1970年台に会員の佐久間先生が観測を行い論文にされています。今年の副極小位相を求める目的で観測を呼びかけました。
2006年8月2日から2006年11月9日までにVSOLJ-OBSに報告された観測報告を用いて集計をしました。天文ガイドにも観測依頼の記事が載りましたが観測報告はありませんでした。
7名の方が共同観測に参加されました。133目測の観測報告を頂きました。

これらの報告を用いて光度曲線を作成します。要素(極小推算式)はクラコウの値を使いました。また、大西さんの観測が0.3等暗く見積もられる個人差がありましたので補正しました。
クラコウの要素 : 極小時刻=2433900.827+8.8961×周期回数
極小推算式を用いると「周期回数」に任意の整数を代入する事で(ユリウス日で)極小時刻が予報出来ます。また、この式を使って観測時刻から位相が求められます。下の式に観測時刻を代入します。
周期回数(実数)=(観測時刻―2433900.827)÷8.8961
周期回数の小数部が位相になります。(位相は0から1の値になります)

このグラフが全員の観測結果をプロットした光度曲線です。横軸は位相です。縦軸は等級です。なんとなくEA型の光度曲線に見えます。観測者によっては主極小をハッキリと検出されています。副極小は、なんとなく有るように見えます。ハッリキしません。
そこで、位相0.05ステップで平均値を求める事にしました。0.05の場合、0.05を中心として±0.05の範囲で算術平均を求めました。


どうでしょうか。この方法で食変光星の光度曲線が見えてきました。EA型というよりもEB型に近い形です。おそらく、用いた手法の問題だと思います。
主極小は位相0付近に居ます。主極小位相を算出すると0.00(エラー=0.03)でした。従いまして主極小位相は「0」とできます。さっそく、副極小の位相を求めて見たところ、位相0.48(エラー=0.01)に居ました。
主極小 位相 0.00(Er=0.03)
副極小 位相 0.48(Er=0.01)
オリジナルの光度曲線を見ると、ここまで正確に測定出来ているとは思えません。食変光星の観測では、観測者毎に極小時刻を求めます。この星も例外ではありませんので、観測者毎の観測数を増やす必要があります。課題の多い結果となりました。来シーズンの観測に期待したいところです。
と、書きたいところですが、実際には机上の話と観測現場は一致していません。この星は超低空で天の川の中にあり、比較星が遠くて赤く、皆さん観測は難航していました。また、今年は天候に恵まれず、皆さん物凄く努力して観測をしていました。CCD測光もバラツキが多く安定した値が得られませんでした。自分の観測が正しいのか良く分からないなかで続けていました。とてもとても精度向上なんて言える状態ではありません。むしろ、佐久間先生の観測の素晴らしさを感じています。
そんな中で観測を行った皆様には感謝いたします。と、締めくくって、来年も頑張りましょう!
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