代理コードについて

1-1.「コード進行の基本」のところで、3つのコードの機能について説明しましたが、
その後でテンションやブルーノートが出てきました。
すると、元のコードとテンションやブルーノートの組み合わせで、同じ役割をするコードが大量に出現します。
これらのコードは入れ替えが可能で「代理コード」と呼ばれています。

例として、KeyがCのTonicでいくつかやってみます。

「イ」はテンションを指定した例(通常は代理コードと呼びません)。
「ロ」テンションを入れてルートを換えた例。
「ハ」ブルーノートも使った例。
(図では、○音符が元のコード、●音符がテンション、◆がブルーノートです)

ちょっと考えただけで、これだけ出てきます。他にもまだ沢山あります。
これらは全てTonicの役割を持っていて、
元のコードや代理コード同士で相互に入れ替えが可能です。

そこで、主に現場で使う代理コードを挙げておきます。
このぐらいは覚えて下さい。
(図では、○音符が元のコード、●音符がテンション、◆がブルーノートです)
(図中の「ロ」はテンション系、「ハ」はブルーノート系です)
○Tonic


○Sub-dominant

○Dominant

Dominantの代理コードは曲者揃いです。
「ニ」は元のルートと5度を消して♭9と♭5を加えたもの。結果的に4度半下(上とも言います)の7thコードになります。
 日本ではこれを俗に「裏コード」と呼んでいます。
「ホ」はルートを消して♭9を加えたもの。結果的にdiminishコードになります。
 ちなみにこのdiminishコードは、どの音をルートにしても全く同じ音で構成されます。
「ヘ」は自然短音階上のDominantで、ジャズでは滅多に使いませんが、ロックで頻繁に出てきます。

実はまだまだ、とても覚えきれない数の代理コードがあります。
なので「テンション(またはブルーノート)を入れてルートを換える」要領を理解して下さい。
それがわかれば「1-3 ジャズで使える音」を見ながら自力で解読できます。


さて、
これまでの講座で解読できなかったコード進行が、代理コードで完全に解読できます。

まずは、番外編で出てきた「枯葉」

「本音のアドリブ」の時に解読できなかった4小節目が代理コードなのです。
代理コードの意味は以下のとおりで、
今までの「B♭-Major」のKeyでのSub-dominantの代理コード(IV M7)であると同時に、
次の「G-minor」のKeyのTonicかSub-dominantの代理コード(♭VI M7)でもあります。
解読はどっちで考えても構いません。
それより注目すべきは、ぶっきらぼうに転調しているのではなく、
間に両方の調を兼ねるコードを挟んでいるんです。・・・美しい・・・

次は「1-2 転調の把握のしかた」で出てきた「G線上のアリア」です。
その時の説明はこうでした。

○楽譜の「イ」の部分、
 「Em(T.)」に行くフェイントを掛けますが、素直に行かないで
 同じルートを持つ「Em7(次の調のS.D.)」に進んでいます。
○楽譜の「ロ」の部分、
 「A(T.)」に行くフェイントを掛けますが、素直に行かないで
 同じルートを持つ「A7(次の調のD.)」に進んでいます。
○楽譜の「ハ」の部分、
 コードトーン(楽譜の音符)を見ると、とてもよく似ています。
 「偽物」を作っておいて、それが「実は次の調のS.D.」というネタです。
「ハ」の部分の「偽物」の正体は、「ハ」まで流れてきたD-MajorのKeyにとって
TonicかSub-dominantの代理コード(VIm7)です。

他にはこんなのがあります。

まずは「1-2 調の把握のしかた」で説明した転調の復習。
左の楽譜(Before)の Em7→A7 はKeyがD-Majorの S.D.(IIm7)→D.(V7) ですね。
そして次の Dm7→G7→(次の小節の)CM7 は、
「フェイント掛けたけどD(Tonic)に素直に行かずにDm7に行き」
同時にKeyがC-MajorになってS.D.(IIm7)→D.(V7)→T.(IM7)ですね。
さて、右の楽譜(After)では
A7とG7をそれぞれ代理コード(4度半下の7thコード、俗に裏コード)のE♭7とD♭7に換えてみました。
すると、コードの機能は一緒ですが、きれいな半音進行になりました。

最後に注意点。
代理コードが出てきたからと言って、それで転調しているわけではありません。
テンションやブルーノートがコードトーンになっただけです。
理屈をこねれば「代理コードのテンション」なんて話もないことはないんですが、
無難なのは、代理コードを解読したら、元に戻して考えることです。


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