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| 剱沢より剱・八ッ峰を望む・・ | 冬化粧を始めた剱岳・・ | |
52 剱 岳 つるぎたけ (中部山岳国立公園) ・・・富山県
立山連峰の中でひときわ嶮しく、氷河地形を顕著に示しているのが剱岳である。
山頂は氷食尖峰で、氷河が永い時をかけて多くの嶮しき谷を創りだしている。
これらの谷は、《長次郎谷》・《平蔵谷》・・など、これらの谷を世に広めた先駆者達の名前がつけられている。
剱岳の魅力は、何といっても“奥の深い”楽しみ方にある。 初心者ならば、室堂からお花畑を突っ切って剱の頂に立つコースがお勧めである。 山歩きに慣れた中級者ならば、剱沢雪渓を渡って仙人池・黒部渓谷に至るコースがいい・・。
剱沢の万年雪渓を突っ切って、裏剱の八ッ峰と仙人池を目指すのである。
このコースの全般に渡って眺められる裏剱の景観は、とにかく“素晴らしい”のひとことに尽きる。
八ッ峰を映す仙人池や彩り鮮やかな池ノ平・・、そして夏の“まだ人知れぬ”池ノ平山のお花畑・・、秋の燃える紅葉・・と、魅力が盛りだくさんである。
そして、上級者ならば、楽しむ観点はやはり“直に観る・・”であろう。 《長次郎谷》から標高差1000mの雪渓を乗り越えて頂上に立ったり、八ッ峰を“眺める”ではなく直に登る・・というのも上級者ならではの楽しみ方であろう。
また、一生涯をかけて、“幻の滝”・剱大滝にアタックするのも夢がある。
・・このように、どのレベルの登山者でも楽しめるのが、この剱岳である。
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| 駐車場・トイレ・山小屋情報 | 剱・八ッ峰 いつかこの鋭い峰を踏破したい・・ |
行 程 表
<1> 剱岳から剱沢を経て裏剱・仙人池へ
《1日目》 JR富山駅より鉄道利用 (1:05)→立山駅よりケーブルとバス (1:00)→室堂 (0:20)→雷鳥平
(1:50)→剱御前小屋 (0:50)→剱山荘 (1:30)→前剱 (1:30)→剱岳 (2:30)→剱沢キャンプ場
《2日目》 剱沢小屋より一服剱まで往復1時間40分 (0:30)→剱沢雪渓取付 (0:50)→真砂沢ロッジ
(1:30)→近藤岩・二股 (2:20)→仙人池(途中の仙人峠より池ノ平まで片道30分)
《3日目》 仙人池 (1:20)→仙人温泉 (1:20)→阿曽原温泉 (4:30)→欅平より渓谷鉄道利用
(1:20)→宇奈月温泉駅より鉄道利用 (1:30)→富山駅
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| 剱御前は剱の絶好の展望台・・ | カニノタテバイを従えた剱岳頂上部・・ | 夕暮れ染まる鹿島槍と五竜岳・・ |
<1> 剱岳から剱沢を経て裏剱・仙人池へ
《1日目》 室堂より剱岳を踏んで剱沢へ
この日の行程をこなせるかどうかは、全てケーブルの乗車時間次第・・といってもいいだろう。
お盆や紅葉シーズンの連休などは、ケーブルの待ち時間で3〜4時間食われることもある。
それにしても、シーズン中の人だかりはただごとではない。 この人だかりと順番待ちで意欲を殺がれないようにしたいものである・・。 もし、日程に余裕があるのなら、《室堂》の《雷鳥沢キャンプ場》辺りに泊って、翌朝早く出発するのも有効な手段である。 それでは出発しよう。
《室堂》のバスターミナルを3階まで上がると、《室堂平》のゲレンデだ。 眼前にある『銘水百選・立山の湧水』で水筒を満たしてから、剱御前の後にひょっこりと突き出す剱岳に向かって歩いていこう。
ターミナルから剱岳のそびえ立つ左側へ進路を取ると、程なく《ミクリヶ池》に出る。
ここは、水面に立山の山屏風が投影される絶好の撮影ポイントである。
《ミクリヶ池》を越えると、《ミクリヶ池温泉》の建物の前を通る。 ここから、この温泉の湯元である《地獄谷》に向かって、標高差150m下っていく。 下る程に、硫黄臭が鼻をついてくるだろう。 《雷鳥沢ヒュッテ》を過ぎて更に下った所が、《雷鳥沢》のキャンプ場だ。 この先にある《雷鳥沢》を桟橋で渡ってから、剱御前に向かって登り返していく。
登山道は、剱御前の南斜面に広がる沢地形の縁に沿ってついてあり、これをジグザグに切りながら登っていく。
やがて、沢地形の上部に出て山肌の左側を巻くようになると、この登りの頂点である《剱御前小屋》は近い。
《剱御前小屋》の建つ《別山乗越》からは、待ちに待った剱本峰の勇姿が望めるであろう。
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| “難所”カニノタテバイに挑む・・ | 上 朝日に染まる鹿島槍ヶ岳・・ 一服剱より 下 朝日に輝く剱沢 |
これから、あの惑うばかりに美しい姿を魅せる剱岳へと登っていくのだ。 《剱御前小屋》からは、剱御前の山腹の岩ガレをトラバース気味に下っていく。 大きさの揃わない岩がゴロゴロと転がっていて歩きにくい中を45分程伝っていくと、《剱山荘》の建物が見えてくる。 山荘に寄らずに直で剱岳に向かう道もあるが、ここはひと息着くべく山荘に下りていこう。
もちろんひと息着いた後は、荷物を山荘前にデポって剱本峰へのアタックだ。
山荘の左脇についてある急坂を登っていくと、山荘を経由しない尾根上の道と合流する。
合流して少し登ると、一服剱 2618メートル の頂上だ。 この上から望む鹿島槍ヶ岳の双耳峰は鋭角の頂を2つ突き合わせて小気味よく、私の好きな山岳風景の一つである。 特に、空がかぎろい色に染まる朝早くがいい・・。
もし、明日も朝日が拝めるならば、ここに立ち寄ってから《仙人池》へ向かうといいだろう。
一服剱からは、前剱との鞍部に向かって下っていく。 この下りきった所は《武蔵ノコル》と呼ばれていて、ここから垂直に天を衝くかのようにそびえる前剱へと取り付いていく。 この前剱・・、実際に登ってみると見た目ほど急でもなく、割とあっさりと登っていける。 ただ、浮石が多い上に人の行き交いが多いので、常に落石に対する警戒が必要だ。
この急登を乗りきって前剱 2813メートル の頂上へ出ると、ハイマツの茂った想像以上に広い山頂広場から、剱本峰の『カニノタテバイ・ヨコバイ』と呼ばれる岩峰に挑んでいる登山者の姿が望めるだろう。 この頂上を越えて痩せた山稜を下ると、最初の鎖場・《前剱ノ門》である。 ここは上りと下りの通路が分けられていて、足場もしっかりしているので安心して通過できる。 問題はこの次の鎖場だ・・。 僅か20m程の岩場のトラバースなのだが、真下に垂直傾斜のような《平蔵谷》の雪渓が口を開いていてかなりおっかない。
この鎖場を恐々乗り越えると、岩の間にあるテラス状の高台の上に出る・・。 この高台の上には落石の為だろうか・・、屋根のコンクリートブロックが粉々になった《平蔵ノコル避難小屋》の廃墟(現在は屋根は取り払われて囲いだけとなっている・・)がたたずんでいる・・。 この避難小屋の廃墟の下を周り込むと、ボルトや鎖・アングルなどが打ち込んである大きな岩壁にぶつかる・・。 これが、このコースの名物・『カニノタテバイ』である・・。
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| 剱沢から望む剱本峰・朝景・・ | 剱岳山頂にて・・ | 一服剱より鹿島槍ヶ岳を望む・・ この場所から望む鹿島槍ヶ岳は私の“いち押し”だ・・ |
しかし、後込みする程難しいことはない。 最初の第一歩が大股開きになることを除けば“痒い所に手が届く”が如く、欲しい位置にアングルやボルト・鎖がかましてあり、ジャングルジムを上る要領で簡単に這い上がっていける。
この『カニノタテバイ』は、上り専用ルートで行き違いに気遣う必要がないのもいい点である。
『カニノタテバイ』を越えると右にトラバースして、下りルートとなる『カニノヨコバイ』への取付と合流する。
ここまでくれば難路も終わり、ゴロゴロした岩屑の小峰を越えて一投足で標高2998mの鋭い“剱”の上に立てる。
小さな祠のある頂上からは、360°の大展望が望めるであろう。 後立山の山なみ・・、そして雲海の合間より突き出す槍ヶ岳・・。 これが目に入ると、北アルプスの高峰を極めた実感がひしひしと湧いてくる。
また、眺めて美しい富士山も見渡せることだろう・・。 思う存分“剱”の先からの絶景を見渡したなら、往路を下山しよう。
下りは先程も紹介した通り、下山専用のルート『カニノヨコバイ』を下っていく。
この『カニノヨコバイ』の傾斜はそれ程でもないが、1ヶ所足元が見え辛いオーバーハングの一枚岩を下る所がある。
ここは慎重に通過願いたい・・。 この難所を越えて長い鉄ハシゴを下っていくと、《平蔵ノコル避難小屋》の前に下り着く。 後は、ペンキ印の通りに忠実に下っていこう。
・・《剱山荘》から剱岳までは、往復5時間を見ておけばいいだろう。 もちろん、山頂での滞在時間は含まれないが・・。
今夜がテント泊ならば、《剱山荘》前にデポった荷物を回収して《剱沢》のキャンプ場へ向かおう。
《剱沢》までは20分程の距離である。 また、今晩の宿を《剱山荘》と決めて、そのまま“チェックイン”するのもいいだろう。 明日は、剱岳が最も美しく望めるとっておきのコースを御紹介しよう。
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| 剱沢の万年雪渓を伝う・・ | 薄く雪を乗せた八ッ峰は“芸術”だ・・ |
《2日目》 剱沢雪渓を通って裏剱・仙人池へ
朝、夜明け前に起きて、もし星が夜空に見渡せたなら、テントを張ったまま一服剱までいってみよう。
一服剱まで約1時間位だ。 そして、剱岳と鋭角的な“二ッ耳”を魅せる鹿島槍ヶ岳が朝の薄紅色の空に染まる絶景を、是非とも目に焼きつけて欲しい・・。 これこそ、山の醍醐味である。 この素晴らしき眺めを存分に味わったなら、剱岳へと登っていく登山者達にエールを送って《剱沢》に戻ろう。 《剱沢》に戻ったなら、テントを片付けて出発だ。
《剱沢小屋》前の涸れ沢を下っていくと、やがて《剱沢雪渓》の白銀の帯が見えてくるだろう。
この雪渓は比較的平坦でアイゼンなしでも歩いていけるが、“素”だと疲れるのも早いのでアイゼンを着けた方が得だ。 雪渓に入ってから20分程歩いていくと、剱岳の大岩盤に昇り竜の如く一直線に突き上げている雪の筋を見ることができる。
これが《平蔵谷》の雪渓だ。 何でも平均傾斜35°、《平蔵ノコル》付近の最上部に至っては45°とも50°ともいわれる急傾斜だ・・。 これが剱岳の最短ルートだ・・と言われても、さすがに登っていく気にはなれないだろう・・。
また、このルートを行くのであれば、それなりの装備と気構えが必要だろう。
秋ならば、この辺りからそろそろ錦の帯を山肌に掲げてくるだろう。 雪渓の奥を望むと、後立山連峰の山なみが雄々しくそびえ立っている。 広い雪渓の中央に荷物を下ろして、カメラ片手に駆けまわりたくなる風景が次々と惜しみなく現れる。 絶景の中を進んでいくと、紅葉の両側を飾られた明るい雪渓の谷筋が視界に入ってくる。
これが《長次郎谷》の雪渓である。
この雪渓は、<2>コース『長次郎谷の大雪渓を登って剱本峰へ』の項目でチャレンジしたいと思うので御期待願いたい。 《長次郎谷》の出合から先の《剱沢》は更に明るく開放的となり、広潤な気分満点に歩いていける。
やがて雪渓が薄れて退くようになっていくと、程なく《真砂沢ロッジ》前の広場に出る。
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| 左 剱沢の流れ・・この水がやがて“幻ノ滝”剱大滝となる・・ 中 紅葉と鹿島槍ヶ岳 右 裾を錦に染める八ッ峰・・ |
ロッジの建物の脇を下っていくと《剱沢》の河原に出る。 河原に下りてすぐにある