このページは、東日本編・追補-1 みちのくの滝めぐり の
(1) 森吉山麓にひそむ名瀑めぐり 及び (3) 十和田の名爆・松見ノ滝めぐり を掲載しています。
(2) 伝説抱く渓谷・夜明島渓谷めぐり は 別ページとなります。
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| 左 落差100m超の枝垂れ滝・・ 立又渓谷・幸兵衛ノ滝 右 秋色に囲まれて・・ 幽谷・夜明島渓谷の秀瀑 茶釜ノ滝 |
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追補-1 みちのくの滝めぐり みちのくのたきめぐり
(森吉山県立自然公園・十和田八幡平国立公園) ・・・秋田県・青森県
『みちのく』と呼ばれる所は自然の宝庫だ。 さして高い山はなく、深いV字谷を形成するような渓谷はないが、豊富な森林が清らかな水を育み、そして山奥に秀麗な瀑布を密かに掛けている。 だが、その神秘につつまれた滝たちを目にするのは容易ではない。 なぜなら、これらの滝たちが潜む“人知れずの地”へたどり着くまでに、山へ奥深くまで分け入らねばならないからだ。 時には沢を漕ぐ事や、鎖片手に大岩のへつりなどの困難が立ちはばかるのである。
だが、厳しい道のりを乗り越えた先には、神秘のベールをまとう美しき瀑布が心を虜にしてくれる事だろう。
目的を果たす為の道のりは長く嶮しいが、その先にある感動を求めて行ってみよう。
もちろん、装備や知識・体力などの準備を万端にして・・である。
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| 駐車場・トイレ・山小屋情報 ※戻る時はプラウザの『戻る』で戻って下さい |
行 程 表
<1> 森吉山麓にひそむ名瀑めぐり
JR角館駅より車 (1:50)→安ノ滝駐車場 駐車場より安ノ滝まで1.9km・所要 片道40分
安ノ滝駐車場より車 (0:25)→立又渓谷駐車場 (0:15)→一ノ滝 (0:25)→二ノ滝 (0:20)→幸兵衛滝展望所
(0:50)→立又渓谷駐車場より車 (0:25)→打当温泉 (1:25)→JR角館駅
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| 左 秋色に染まる安ノ滝 右 幸兵衛の滝の下段は変化に富んだ落水模様を魅せてくれる・・ |
<1> 森吉山麓にひそむ滝めぐり
原生林の森を抱く山・森吉山・・。 この山は豊かな森林と清らかな水を抱き、そして清らかな水は沢を刻み、滝を掛け、渓谷というキャンパスを創り上げている。 森の中に潜むこの優美な滝たちを、森が最も美しく染まる季節・秋に訪ねてみよう。 だが、幽谷に潜むこれらの秀瀑たちを目にするには、それ相当の沢遡行を強いられる。
キツイ沢遡行にいきなり入っていくと怪我の危険もあるので、今回紹介する中で最もアプローチが楽な森吉山山麓の滝から順を追って訪ねてみようと思う。 この森吉山麓にひそむ滝の代表格は、『日本の滝100選』の中でも最も人気のある《安ノ滝》である。 その優美な落水の枝垂れ模様は多くの滝ハイカー達の心を虜にし、多数の滝紹介サイトでよくトップ画像に滝姿が飾られている『人気1』の滝である。
それゆえに、遡行装備のない一般観光客でも滝見が適うように、この《安ノ滝》の遊歩道は完全に整備されている。
また、林道終点には立派なトイレと約25台程駐車できる駐車場と、多客時に備えて林道の500m手前に臨時駐車場を設けるスペースも確保されている。 このように訪れる観光客にとっては“至せり尽くせり”だが、その分だけ興醒めの分も湧いてくるのは確かだ。
従って、秋の多客シーズンになると人と車でごった返しになり、「滝を愛でて写真を・・」というような悠長な構えではいられないだろう。 ・・という訳で、この滝に秋に訪れる時は、平日か紅葉時でも少し早めか遅めの団体ツアーの観光客の動きが鈍い時を狙って行くのが正解だろうと思う。
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| 左 100名滝の中でも1・2の人気を誇る安ノ滝 右 立又渓谷には美しい落水模様を連ねる滝が潜んでいる・・ 一ノ滝 |
まず、最初に述べねばならない事は、「とにかく東北は遠い」という事だろう。 いずれの滝へ向かうとしても、首都や関西圏といった都市圏からの日帰りはまず不可能だ。 そして、基点となる秋田や盛岡からも100km以上離れている。
そして、ツアーなどのチャーターした観光バス以外に定時運行もない。 従って、車は絶対不可欠だろう。
だが、こんな遠方の地までマイカーでやってくるのも、長期休暇でもない限り不可能だ。
これらの事から、唯一の現実的な手段としては『レンタカー利用』以外にないだろう。
それを踏まえて計画を練って頂きたい。 それでは、上記の手段を採る事を念頭にガイドを始めよう。
この『森吉山麓に潜む滝』をめぐるのに、最も近いレンタカー駅は角館駅である。
だが、微妙に中間地点で、電車の乗り継ぎなどの便を考えると秋田か盛岡の方がよさそうだ。
なぜなら、秋田から羽越線(関西圏ならば在来線利用なので、最も費用を抑える事ができる)を利用して帰路に着くとしたなら、最終の特急は『秋田発16:34』と、嫌がらせに等しい程に早いのである。
逆算で行くとしたなら、今回めぐる安ノ滝や立又渓谷なりを13:30までに発たねばならない事となる。 従って、残念な事だが時間にシビアな旅となってしまうのである。 旅において時間を気にする興醒めな事は極力したくはないのだが・・。
100名滝1の人気滝・・
トイレも立派なものに建替えられて・・
さて、レンタカー利用で、秋田からで2時間半、角館からで2時間弱で安ノ滝の駐車場にたどり着けるだろう。 ここで行楽客とバッティングして渋滞に遭遇したら、時間がシビアな故に“一夜を滝駐車場で過ごす”という以外に、この滝めぐりは不可能であろう。 まず、「旅館に泊まって云々・・」という旅計画は、この項目においては通用しない・・と想定して頂いてもいいかもしれない。
話は脱線したが、始めに《安ノ滝》コースを歩く事にしよう。 打当温泉の約7kmほど先に《安ノ滝》への林道がある。 林道の延長は5kmで、林道規格なのでダート道だ。 そしてこの細い道を大型の観光バスまでが往来するので、道床は削られてツルツルになっているし、対向車とのすれ違いが困難な道なのに、多くの対向車と遭遇する“嫌な”道である。
また、《安ノ滝駐車場》までの全線に渡って沢上の土手を走っており、ガードレールの切れている所もあるので、アプローチの車の運転だけは慎重にして頂きたい。
《安ノ滝駐車場》に着くと、明らかに観光客利便の為に建てられた観の強い立派な建物のトイレがあり、その脇から簡易舗装の急な坂道で下っていく。
簡易舗装の道は拳大の踏み石が埋め込まれていて、それに乗りながら降りていくような感じた。 だが、この踏み石は坂のストッパーにもなるが、つまづく最大要因とも成り得るので慎重にいこう。
これを100mほど下ると、河原跡のような大きな石が転がる中を縫うように伝い、また簡易舗装のスロープで上がっていく。 簡易舗装の道で緩やかに上下すると河床が近づいてきて、歩き慣れぬ行楽客の“飛び石伝い”を防ぐべく、河床をコンクリートで埋めている一枚岩の川岸に出る。
人気のある観光地故の性かもしれないが、こんなのを目にすると「ここまで形状を変える必要もなかろうに・・」と思ってしまう。 このコンクリートで埋められた河床地帯を越えると、橋で沢を渡り右岸(登り時は進行方向左側)に出る。
ここからは簡単なヘツリ帯となって、右岸の壁際を縫うように伝っていくと、“アト400m”の道標と白い簾帯をかけた大瀑布が見えてくるだろう。 《安ノ滝》の降臨である。
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| 私は安ノ滝の上段より下段の白布の妙に魅せられた・・ |
やや遅れたが秋色を味わう事ができた・・
滝が見えてくると傾斜が急になり始め、気が急いて駆け上ると息が上がってくる事だろう。 坂は丸太の階段となり、これをつめていくとベンチの置かれた《安ノ滝展望所》に出る。
だが、この展望所は手狭で、三脚持ちの写真撮りがデカイ三脚を2つも据えれば途端に満杯となる。 もし行楽シーズンの祝日ならば、写真撮りの間で場所の取り合いのトラブルが発生しているかもしれない。
従って、こういうのを避けるべくの行程を組むのも、いい滝めぐりを行う秘訣になろうと思う。 また、この展望所より上に上っていくと《安ノ滝》の上段の落ち口の前に立つ事ができるが、私はなぜか上に上がる気にはなれず、今の所は上にはいっていない。
「皆が撮るものと同じようなものを撮っても仕方ない・・」と思えるからである。 せっかく行くのだから・・、そしてそう容易く行けない遠い地へ行くのだから・・、トラブルの芽と成り得る行楽客の一団とはできるだけ遭遇せぬように、訪れる曜日や時間を考慮して楽しんで頂きたい。
人気のある滝だけに眺望は素晴らしく、スローシャッターを駆使して枝垂れを活かすとより魅惑的な滝である。 ただ、上段の滝の真ん中にマングースのような樹が覆い被さっており、各人により思いは違うかもしれないが、私は“玉に瑕”と思える。
帰りは往路を伝うが、身体ができていれば《安ノ滝》駐車場まで30分を切る事ができるだろう。 駐車場に戻ったら、次は《立又渓谷》に行ってみよう。
《安ノ滝》駐車場から林道を戻って、《秋田県道308号線》を宝仙湖方向・・即ち更に奥に入っていく。
この《秋田県道308号線》は3m道路だが、R341号に接続する地点までキチンと舗装してあって、観光地のパワーを見せつけられる思いだ。 人気観光地の力はものすごい・・。 こんな辺境の完全無人地帯・・いわゆる秘境の林道規格の道でさえ、完全舗装道にしてしまうのだから・・。
さて、《秋田県道308号線》を4kmほど奥へ進むと、ぬかるんだダート道が左手に分岐している。
そこには立札の看板で“立又渓谷へ2.2km”とある。 道は横の壁からの涌水で常に泥道となっており、この道を通るとサイドの窓に跳ね上げた泥が付着するのが目に見えて判り、駐車場に着いて車体を見渡したらレンタカーが結構な泥坊主となっている事だろう。 従って、この地を訪れるなら洗車代は覚悟した方がいいだろう。
さて、道は泥道であるが、駐車場は30台ほど駐車可能な広いスペースが設けられてある。
たぶん、探勝路整備の資材置場に使われていたのだろう。 建築現場などにある仮設トイレが、広場の隅にホツネンと置かれている状況がそれを物語っている。 一応、この渓谷における“最終トイレ”なので、出かける前に用を足した方がいいだろう。
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| 左 安ノ滝に勝るとも劣らない枝垂れの妙を魅せる一ノ滝 右 秋色に囲まれた長大な枝垂れ・・ 幸兵衛滝 |
この《立又渓谷》は、先程の《安ノ滝》の探勝路よりは行程がキツイ。 探勝路入口の立て看板にも、「片道で2時間(多少誇大表現)かかり、急な坂道もあるので心臓の弱い方や体調のすぐれない方は探勝を自粛するように・・」との『余計なお世話』的な“脅し”が記述されていた。
だが、それほど警戒する必要はない。 ここで警戒するようなら次の《夜明島渓谷》や《松見ノ滝》は絶対にムリだし、ここで「心臓が・・」と訴えるなら、探勝行為そのものから手を引いた方が無難だろう。
さて、ルートは明確な探勝路が切られていて迷う事はないが、枯葉が埋まる粘土質の山道でスリップは注意すべきだろう。 また、所々にぬかるみがあり、スニーカーなどの足回りでは途端に靴に浸水してクチョグチョになるのがオチだろう。 ここは、最低でもトレッキングシューズ位は準備してくるべきであろう。
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| 一ノ滝の枝垂れの妙に魅せられて・・ | |
この山道を15分ほど行くと、落差50m位の枝垂れ滝が見えてくる。 《一ノ滝》である。
滝は裕に50m程の落差があるように見えるのだが、公称では落差38mとの事である。
落差は元より、滝の枝垂れ模様に目を奪われる事だろう。 何とも言えない優雅な枝垂れ模様である。
私的ではあるが、先程訪れた『百名滝』の《安ノ滝》に勝るとも劣らない枝垂れ模様に感じるのだが・・。
さて、滝前で枝垂れの優雅さを堪能したら、先へ進もう。 《一ノ滝》の展望台に道標があり、次の《二ノ滝》まで920m、《幸兵衛滝》まで1070mとある。 何とも細かい道標だ。 ここから、入口の看板での“脅し”のあった区間となる。
結構な急傾斜の坂の登りだ・・。 要するに、《一ノ滝》の対岸を大きく高巻いて、滝の落ち口の上に立つように探勝路が切られているのである。
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| 渓谷最大の登りの最中の『癒し』はこの美しい枝垂れ滝だろう・・ |
この坂を上がっていく内に、滝の落差についての疑問が生じてくる事だろう。 それは、“僅か38mの滝”を高巻く程度に対して、この坂の急傾斜度を対比させると、「絶対にこの滝は38m以上あるよね・・」との帰結が頭を過ぎる為だ。
実際に運動不足の御仁なら、「倒れて動けなくなる・・」とまではいかないものの、息が切れて『ヒューヒュー』と呼吸が高鳴っている事だろう。 もちろん、山慣れ・沢慣れした方には「何て事はない」坂道であるのも確かだが・・。
この登りが延長で350mほど続く。 そして、標高差100m位をつめていくのだ。
この坂道を登りつめると、《一ノ滝》の落ち口より200m上流地点にジグザクを切って下っていく。
この地点で丸太を2本並べて滑り止めの加工をした簡易桟橋を渡り、沢の左岸(上り時は右手)を半分ヘツり気味に伝っていく。
丘状の起伏を越えて下った辺りで沢が寄り添って、函状の地形となる。 沢が近寄って水面スレスレとなった函を滑り止めの板木を打ち込んだ丸太を通して通過していたのであるが、暴風雨の影響からか・・丸太が留め金から外れて、滑り止めの加工がされた通路面をアサッテの方向に向けて横たわっていた。 即ち、桟道として“使えない”ようになっているのである。
今の現状だと、この丸太の桟道は通過の障害物とも言えなくはなさそうだ。 まぁ、それほど深刻な状況ではないのだが・・。 取り敢えずこの通過は、横転したこの桟道の丸太を“手すり”代わりにして、沢の水面から出ている石を伝い渡っていくしかなさそうだ。
美しい落水模様を魅せるも
周囲の滝の落水模様が秀麗過ぎて・・
残念な立場の二ノ滝
ちなみに、この丸太の“手すり”は常時濡れていて添える手も滑るし、所々板木が外れて釘が剥き出しとなっているので、とっさにしがみついたり、手を着いたりするのは大変危険な代物でもある(手を滑らして創傷をもらった筆者 本人 が言うので本当です・・)。
この函状のヘツリを越えると再びぬかるみ道となり、程なく前衛滝そのままの姿を示す《二ノ滝》が見えてくる。
《二ノ滝》は砂防ダムのような感じで、あまり情感は得にくい滝だ。 また、滝下は倒木などが積み重なって荒れており、あまり近寄る人もいないみたいだ。
通路に《二ノ滝》の道標があり、《幸兵衛滝》まで150mと記されているが、この道標だけは鵜呑みにしてはならない。
《幸兵衛滝》までの直線距離が150mなのか、下段の展望所までの距離が150mなのかは判らないが、《幸兵衛滝》の展望所まではジグザグの急坂が続き、20分はかかる。 そして標高差も100m近く登っていかねばならないのだ。
まぁ、下段だけで引き上げるなら、この道標通りなのだが・・。
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| こんなの魅せられたら誰でもメインの滝だと思っちゃいますよね・・ |
ちなみに筆者は、最初に訪れた時にこの道標に騙されて、下の滝が《幸兵衛滝》と思って引き上げた“塩辛い”経験があるので、この道標については念入りに説明しておく事にした。 外れた丸太の件やこの道標の件など、筆者の失敗体験を他山の石として注意して頂ければ幸いである。
さて、その《幸兵衛滝》であるが、上部は巨大な滑り滝である。 その落差は108m・・。
国内の主要瀑布を凌駕する落差である。 そしてその滑り滝の周囲は、ちょうど見頃の紅葉が黄色く赤く色着いている。 これほど大きな滑り滝では、滝下に近づいた所で、上部は迫り出した下部に隠れて見えはしまい・・。
だから、この滝は対岸の崖の上から見下ろすように望むのがベストだろうと思う。
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| 秋色の十二単を纏う幸兵衛ノ滝 |
美しい紅葉と、繊細な波縞模様の水紋を魅せる滑り滝・・という絶好の絵が撮れるこの場所は、補欠ながらも『日本百景』たる情景として追加すべきと強く思ったのである。 帰りは忠実に往路を戻ろう。 なお、探勝路は整備はされているが、近年の気象災害からか一部が荒れているので、下りこそ落ち着いて戻るようにしたい。
渓谷遡行中の怪我や事故は、帰りに起こる事例の方が断然多いのだから・・。
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| 幸兵衛ノ滝下段 落水の妙 夏秋揃い踏み・・ |
帰りの時間に余裕があるのなら、国道105号線に出るまでに通る《打当温泉》のクアハウスでひと風呂浴びてから帰るのがいいだろう。 温泉のある打当集落にはマタギの記念館や熊牧場などがあり、日程に余裕があるのなら温泉宿に泊って、クマ牧場や今回御紹介した滝や渓谷以外にも知られざる滝がたくさん潜む地域なので、それを訪ねる旅もいいだろう。 但し、森吉の山麓に潜む滝はどれも一級の遡行技術を要するものばかりなので、その点は心してかかるように・・。
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| 駐車場・トイレ・山小屋情報 ※戻る時はプラウザの『戻る』で戻って下さい |
行 程 表
<3> 十和田の名爆・松見ノ滝めぐり
弘前市街より車 (1:50)→黄瀬川林道ゲート (0:55)→林道分岐 (0:50)→潟Rバヤシ社有地ゲート
(0:45)→松見ノ滝下り口 (0:25)→松見ノ滝 (0:30) ※ 帰路は往路の通り 黄瀬川林道ゲートまで所要 約2:30
黄瀬川林道ゲートより車 (1:50)→弘前市街
<3> 十和田の名瀑・松見ノ滝めぐり
『みちのくの滝めぐり』の最後を飾る滝として、十和田湖周域の名瀑《松見ノ滝》を御紹介しよう。
この滝は『みちのくの名瀑』に共通する「探勝をするのに困難が伴う」という、滝に辿り着くまでの行程を楽しむ事ができる・・という観点から掲載を決めた滝である。
この滝の探勝を困難とする点は、何をおいても歩行距離とそれに伴う歩行時間だろう。
ルート自体はただひたすら歩くだけなのだが、その距離は約9kmにも及び、所要は片道3時間近くかかってしまう事だろう。 夏ならばいざ知らず、滝が最も彩られる秋は総じて日中の時間が短いのである。
それを踏まえて、滝前での滞在時間を含めて7時間超を設定しなければならないのだ。
そして、今回の行程では短い週末の連休にレンタカー利用を想定しているので、レンタカーの返却時間や都市圏への帰路にかかる時間などを考慮すると、かなり困難な滝探勝行程となってしまう。
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| この滝を目にするには片道9kmの林道歩きの試練が課せられる・・ |
また、あまりモタモタして7時間の所要を8時間、9時間としてしまうと、日が落ちて真っ暗な林道を歩くハメに陥ってしまうのだ。 計画性をもってカンテラ等を準備してならいざ知らず、遅れて日没に間に合わない・・となると途端に行き詰ってしまうのである。 また、秋の山峡ともなると16時を周ると薄暗くなって、17時はドップリ日が落ちてしまう事が想定されるのである。
日の出を7時と設定して行動したとして、7時間の所要で帰着が14時台・・。 これでは弘前駅に戻るのが16〜17時となり、かろうじて夜行列車利用でのみ翌朝に都市圏に帰り着けるのである。 もちろん、新幹線を利用しても盛岡か精々仙台止りで、その日の内の都市圏への帰着は不可であろう。
このように「日の出と共に・・」という計画で、週末の連休のみでこの滝を探勝すること自体が『甘い』と言わざるを得ないのである。 通常の計画を採るなら、この滝を探勝するのに3日という休暇が必要なのだ。 即ち、往路で東北の弘前までやってくるだけで1日・・、もちろん帰りも1日かかるのである。 そして、この滝の探勝で1日を目一杯使うのである。
だが、通常の考え方から逸脱した方法を採れば、これを可能にする方法もない訳ではない。
しかし、心身にかなりの負担をかける行程となってしまうのである。 従って、私の採った方法はあくまでも一つの『方法論』として、できる事なら採用しないで頂きたい。 3日という休暇を取って余裕ある行程で「日の出と共に・・」というセオリー通りに滝探勝を行い、そしてその夜は十和田湖で宿泊して、翌日に余裕ある行程で都市圏へ帰る計画を立てて頂きたいものである。
私は関西圏に居住しているので、首都圏よりも東北は遥か遠い地域だ。 それを踏まえて、2日の週末休みのみでこの《松見ノ滝》を探勝するとなると、方法論として私が実行した行程以外に見当たらないだろう・・と思う。
それは、往復とも夜行の急行【きたぐに】の利用と弘前駅レンタカー利用で車中泊、翌朝は朝の4時より行動開始して《松見ノ滝》の探勝は午前11時までに終え、14時までに弘前へ戻り着く・・といった行程である。 弘前14時半の特急にさえ乗れれば、日本海側の路線を伝って、月曜日の朝7時前に大阪に戻れるのだ。
簡単に書くとこのような行程なのだが、朝の4時の真っ暗闇の林道をトボトボ歩く事は、かなり神経を擦り減らす事になる。 そして、たぶん遭遇する事はないと思うが、『クマ注意』の立札の立つ林道である。 また、柵のない川の側を真っ暗闇の中、カンテラ一つで歩き抜くのである・・。 これらの記述を見て「バカな真似だ」と直感的に感じた方は、週末の土日を使っての『都市圏からの東北滝めぐり』は断念して頂きたい。 それは、これ以外の方法では物理的に不可能だからだ・・。
途中の見所といえばこの無名滝位・・
退屈という試練もある林道あるきだ・・
前置きでいつもの如く余計な事を羅列して脱線したが、ルートを歩いてみよう。
私が出発したのは4時過ぎであるが、時間は日照時・・即ちデータイムに探勝した事としてガイドするとしよう。
《奥入瀬渓流》探勝の拠点で、東北有数の温泉地として有名な《十和田湖温泉郷》の中心集落・焼山がこの滝の探勝の拠点となろうか・・。
この焼山の温泉街より約2kmほど十和田湖方向へ入っていくと、《黄瀬》というバス停前に着く。
このバス停の所からダートの林道(黄瀬川林道)が延び、その入口に立派な櫓の公衆トイレが建っている。 その林道に入り2〜300m進むと、ヌタ地となった駐車スペースがあるゲート前に着く。
ゲートは常時施錠されて一般車は通行不可だ。 ゲート前の注意書きにも、「滝探勝の方はこれより徒歩で向かってください」と記されている。
そして、人ひとりが通れる位の通行門が左側に設けられている。
これをくぐって、後はひたすら林道歩きだ。
私が夜明け前の4時を選択したのは、この林道を脇目も振らず歩ききる事で時間短縮する目論見を持っていた事もあるが、デーライトの最中でも2つばかり無名滝が沢の対岸にあるのを見るだけの少々退屈な林道あるきだ・・。
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| 第一継点の分岐 この分岐は「山を甘くみるな!」の看板がある右側をゆく・・ |
まず第一の通過目標地点として、林道の分岐が挙げられる。 この分岐はゲートから林道を約4.5km歩いた地点にあるが、この分岐は右手に進路を取る。
なお、右手の道には「山を甘く見るな!」との警告看板があり、100m程進むと橋で黄瀬川を渡るので、これを覚えておけば道を違える事はないだろう。
分岐を右に入っていくと、大きな粘土層の岩崖の前を横切ってから、この岩崖の中腹を斜め切ってせり上がっていく・・。
この辺りはちょっと急坂だが、山の急登に比べると車でも上がれるレベルの坂なので、登山経験者なら息も上がる事無く登りきる事ができるだろう。 天気が良ければ、登っている最中に右手に焼山の温泉街が見えてくる事だろう。
私の時は、この温泉街の灯は夜景のそれであったが・・。 まぁ、今までが時折月が見え隠れするだけの真っ暗闇だったから、この街の灯を見て多少なりともホッとひと息つけたのだか・・。 この坂を登りきると、林道は緩やかな傾斜で真っ直ぐと奥に延びていく。 秋ならば、そろそろに落葉が道を覆ってくる事だろう。
この滝を紹介するサイトの全てが『重要地点』とする潟Rバヤシ社有地ゲート
落ち葉の柔らかい感触を踏みしめながら歩いていくと、林道最大の目標点である《潟Rバヤシ社有地ゲート》が見えてくる。 通常で、ここまで2時間足らず・・って所だろう・・。 夜明け前の4時過ぎに出た私で、この辺りで夜が明けてきた。
この《潟Rバヤシ社有地ゲート》であるが、ゲートとはいっても錆びきった鎖で朽ちた門柱をつなぎ架けているだけのシロモノだ。
「取り敢えず施錠をして警告看板を掲示したので、後は人が勝手に入って事故を起こしても責任は持ちません・・」という意志と意図が丸見えのイヤな部類のゲートである。
この意図が丸見えのゲートを跨ぐと、道床のバラストは流され落葉に埋もれて、車の通行も四駆車でないと不可能のような様相となっていく。 また、気象災害で倒壊した樹林が横たわって道を塞ぐなと、林道の破損に関しても修復がおざなりとなっていく(一年後の再訪時はさすがに取り除かれていたが・・)。
ゲートから30分程歩くと、両脇に植林された杉の若木が並ぶようになる。 これを500mほど伝うと、右手に石で囲まれたサークルに杖が刺さり、その先にリボンを結んだ道標と、割れた「滝まで20分」の板標識が現れる。
秋ならば周囲の草が減退して容易に見つけられるが、夏はクマザサが付近に密集して滝への下降口を塞いで判りくいので注意されたい。
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| 左 滝への降り口を示す割れ板道標とリボンサークル 中 リボンのある方向は落葉で埋もれていた・・ 右 ひと雨毎に土床が落葉と共に流れ落ち 土床が削られた上にヌルヌルで滑りやすい・・ |
ここで長い林道歩きは終了であるが、ここまで健脚で2時間、普通の方で2時間半て所だろう。
これより落葉に完全埋め尽くされた滝への下降道を下っていくが、途中クマザサのブッシュあり、雨で落葉と共に道床を流されてぬかるんだ上に幅が細く削られている厄介な踏跡あり、激しい泥層となった傾斜のヌタ場など、かなり険悪な踏跡である。
特に雨で落葉と一緒に道床の土が流されて削られた所は、踏み外せば土手から転げ落ちかねない危険がつきまとうので注意が必要だ。 濡れた落葉の上に乗るとズル滑りとなり、転倒などをしたなら衣服が泥坊主と化してモチベーションを落とす事になるので用心されたい。 帰りも2時間以上の歩行が待っているのだから、やる気(モチベーション)が殺がれるとタイムオーバーからの帰着不能などの不利益に直結しかねないのだ。
今までツラツラと記してきたが、この草付きの斜面はスニーカーなどの軽装では絶対に無理である事は認識頂けたと思う。 このぬかるみの急傾斜を軽装の靴で行くと、間違いなく足はボロボロになるだろう。
もし、このガイド文を目にしてこのような想像力が働かないのなら、沢や山・滝の探勝は諦めて頂いた方がいい・・と断言しよう。
さて、この下降点の入口に割れた木の板で「滝まで20分」とあったが、これは絶対に20分では不可能だろう。
私で29分かかってしまった。 下りが特別遅い私はさて置き、普通の方でも25分はかかるであろう。
さぁ、この最後の困難を下りきると、2段の勇壮な滝が白布を掛ける広い河原に出る。
待ちに待った《松見ノ滝》との御対面だ・・。
放物線を描いた落水の軌跡を魅せる上段を強調するも良し、ドッシリした下段で力強い落水模様を描くも良し、周囲の巨大岩盤と彩られた秋をまじえて描くも良し・・である。 それでは、滝の素晴らしさを表現する言葉を見出せないので、拙い私の写真でその一端を表現できれば・・と思う。 それでは、秋の《松見ノ滝》をごろうじろ・・。
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| 左 間もなく見頃・・の秋風景 滝の秋を読むのは難しい・・ 右 この日はあいにくの雨・・ 彩る滝の岩盤の紅葉も心なしかくすんでいた・・ |
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| 秋の遅めに行くとこんな感じでした・・ 秋を読むのは難しい・・ |
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| 松見ノ滝はあまり落差を感じない滝ですね・・ |
思う存分カメラを通じて滝と語り合えたなら、帰路に着こうと思う。 帰りも往路を忠実に戻るが、ゲートに戻り着くまで2時間半から3時間かかるのだ。 夜明けと同時に出発したとして、標準的に帰り着ける時間は午後2時から3時頃であろう。 これは何を意味するかと言うと、あと1時間ほどモタモタしてたなら落日に間に合わなくなるかも・・という事なのだ。
そして秋深まった山峡の深き谷では、午後4時ともなると太陽は山向こうに沈み落ち、途端に薄暗くなる・・って事を頭に入れておくべきだろう・・。
また、聞く所によると、「《蔦温泉》から林道を15キロ入った先に歩行時間を1時間ほど短縮できる短絡道がある・・」との事だが、地理を把握せぬ余所者が単独で15kmもの複雑に入り組んだ林道を車で駆け、そして全く通った事のない獣道を伝って行ける・・と考えるなら、認識が甘いと言わざるを得ないだろう。
滝の周囲はそろそろに色着き始めていた・・
止めておいた方が無難である。 なぜなら、道に迷ったり車が脱輪・破損したりするリスクを負う確率が高くなるからだ・・。
今回御紹介した《松見ノ滝》への正規ルートは、長いとは言えほぼ一本道で『道に迷う』というリスクが無く、確実に滝へ向かう事ができるのだから・・。
「より安全に目的地に着く・・」という事も、探勝行動では重要なファクターと成り得るのである。
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