第十六話
麦 酒

 最近は、ないしょ話のネタもなく、しばらく更新を怠っていたのですが、当店随一のビール好きお客さんからの、麦酒:ビールに関するお話をひとつ紹介させていただきます(^_^)

 春から夏に代わる5月は、爽やかな風の中で飲むビールがいつも以上に美味しく感じられる季節と思います。
 『かん』は確かに様々な日本酒を教えていただいた店ではありますが、それ以上にビールの美味しさも教えていただきました。(ちょっとマスターを、ヨイショ!)
 ということで、ビール好きのビールに関するお話をひとつ。


ビールの誕生

 ビールは一体いつ頃生まれたのでしょうか?
 人類でビールを最初に醸造したのは、バビロニア人と言われています。
 ビールは麦から造りますので、当然ながら麦がなければなりません。ということは野生の麦が生息していた地域でなければならないことになります。 この地域がバビロニアやエジプトだったということです。

バビロニア 地図

メソポタミア地方で紀元前6000年頃には、既に麦芽からビールが造られていたという資料がるそうですから、人類って生き物は昔からアルコールを求めていたんですね。
 その遺伝子を受け継いでいるのだから、自分も酒を飲むのは当たり前−−−
 という蛇足はさておき、紀元前5000年〜紀元前4000年頃にはいくつかの醸造法も確立され、紀元前1800年頃にはいくつかにタイプのビールがあったという確たる資料もあるそうです。

 当然ながらこの頃のビールは、現在のビールとはかなり醸造法、形態が違い麦から作られるアルコールのある“飲めるパン”のようなものだったのでしょう。


  当時のビール醸造法

 1.オオムギを発芽するまで水に浸す。

 2.粗びきして酵母を加えパン型に整形する。

 3.軽く焼いて粉砕する。

 4.かめの中で水を加え発酵させる。

 この方法は、エジプトで今も作られている「ブーザ」という雑穀から作る酸味のあるビールの作り方と良く似ているとのことです。


グレートブリテンの頑固で不屈の伝統酒

 いまや世界中のほとんどの国でビールが好まれ、その国の伝統的な地酒をも圧倒しています。
そのビールもラガービールと呼ばれるもの、もう少し狭く、ピルスナーと呼ばれているものがほとんどで、日本もその例外ではありません。
 ビール製造量の規制緩和によって、地ビールが生まれ、ビールは決してラガーやピルスナータイプだけでは無い事が知られるようになりました。
 とは言っても日本で飲まれる量は、微々たるものです。
 しかし、世界では今でも頑固に昔ながらのビールにこだわっている国があります。
 そう、かつて世界に君臨し、近代の学術、スポーツを生んだ国。英国です。

英国国旗

 英国のパブでよく飲まれるビールは、ビターという愛称のように、苦く、色も濃く濁った感じで、生ビールであっても冷えてなく、匂いもなんとなくカビ臭く感じます。
 BUT!しかし!それこそが、英国の体臭ともいえるものである。と語られています。
 冷えていないビールなんて−−−。と、思いがちですが、なかなかどうして、夏のうんざりするようなジメジメの暑さの時はさすがに敬遠しますが、初夏や秋口の爽やかな気候の頃は、ビックリするほどビール自体の味を感じます。
 英国ではビールの事をエールとも言い、歴史的に古いタイプのビールを“エール”と呼び、新しいタイプのビールを“ビア”呼んで区別する傾向があります。

 15世紀にフランドル地方からホップ入りビールが入ったときは、それ以前のホップの無いタイプを“エール”、ホップ入りを“ビア”と区別したそうで、それが19世紀中頃から、ドイツで発達した下面発酵のラガービールに対して、上面発酵のビールを“エール”と区別するようになり、今日に至っているそうです。

 伝統的な製法のエールに対して、最近では量産工程で作られた“プロセストビア”と呼ばれるエールもあるそうです。
 この量産エール?は、本来のナチュラルな製法で作られたエールに比べ、味や風味に個性が乏しくラガービールのように冷やして出されることも多いとか−−−−
 で〜 やはり悪貨が良貨を駆逐することに、我慢のならない酒飲みは洋の東西に関わらず居るもので1971年から伝統的な自然な製法によるエールを求める「キャンペーン・フォー・リアル・エール」がスタートし、多くのファンの関心を集めているとの事です。



 でも『かん』で飲むビールの美味さは、製法やビールの種類よりも、その注ぎ方とビールサーバの管理の良さにあるのではないかと思います。
 ちょうど飲む量としてよい大きさのグラスに、飲んでる最中でも自然と泡が湧き立ち、常に表面には薄い泡の膜が張られているので、グラスを返すときにその模様がクッキリと残っています。
 これって、飲み手の意識がよほど強くないと出来ないのですが、『かん』では意識しなくとも自然とできてしまいます。
 これは凄いことなんですけど、あまり知られていないようで−−−
 今度皆さんが他の店でビールを飲むときに模様ができるように飲めるか意識してみてください。(^_^)
2005年5月