妊婦さんと貧血
妊娠中期にはいると、約半分近くの人(40%)に貧血が見られます。妊娠を順調に持続させ、赤ちゃんに酸素を運ぶために、妊娠中は体内の血液の量が増えます。血液のかさは妊娠末期までに約1000ミリリットル増えるのに、赤血球はそれほど増加しません。その上、赤ちゃんが赤血球の原料となる鉄分や、タンパク質を母体から積極的に吸い上げてしまうので、貧血の人が増えてしまうのです。血液の中でも、身体に酸素を運ぶ赤血球が不足することでの貧血が多く見られます。妊娠中、赤ちゃんへ栄養を送るために血液の量が増加しますが、赤血球自体はそれほど増えないので血液が薄められます。赤血球は骨髄でつくられますが、この時期は生産が追いつかなくなってしまいます。赤血球の成分で、酸素運搬役である「ヘモグロビン(血色素)」は、鉄分やタンパク質からできています。そのため鉄分が十分に供給されていないと、赤血球が不足します。妊娠中期頃より、大きくなる赤ちゃんや、胎盤、母体はますます鉄分を必要とするので、鉄欠乏性貧血になりやすくなっています。妊婦さんの貧血のうち、95%が鉄欠乏性貧血です。貧血かどうかは、定期検診で医師が血液検査でチェックしています。妊娠中の貧血は赤血球の数が360万/立方メートル以下か、血色素(ヘモグロビン)濃度で11グラム/デシリットル未満、ヘマトクリット(全血液中の血球成分の割合)の値が34%以下の場合です。貧血は、そのまま放置すると赤ちゃんに十分な栄養を送るための血液が少ないことになりますし、また出産時に起きる出血への対応が厳しくなることがありますので、注意が必要です。
貧血の症状は、体のだるさ、寒気、めまい、息切れ、冷えなどの症状が起こります。妊娠すると、通常でもホルモンや自律神経のバランスが変化するため、血圧の調節も変化します。しかも、おなかに血液が集まるので、急に立ち上がったりすると、脳に流れる血液が減少し、脳貧血(立ちくらみ)を起こすことがあります。貧血があるときには、特にめまいや立ちくらみを感じることがありますので、そのようなときにはしゃがんだり横になったりして静かにしていましょう。
妊婦さんの鉄の必要量は、非妊娠時の10mgの1.5倍、15mg以上です。妊婦さんの血液の増加、赤ちゃんの一方的な母体からの鉄の吸収、分娩出血と、授乳のためこれだけの量が、妊娠中から産褥期にかけて必要になります。
貧血の予防・改善は、バランスのとれた食生活と鉄分を多く含んだ食品をたくさん食べると良いでしょう。貧血を予防するためには、ほうれん草やひじきなど鉄分たっぷりの食事を心がけましょう。鉄分の吸収をよくするためには、ビタミンCが効果的です。赤血球がつくられるときには、ビタミンB6やB12、葉酸が必要になるので、卵や魚介類、肉類、乳製品、野菜、果物、豆類などもバランスよく食べるようにしましょう。
鉄分を多く含む食品:おすすめは、植物性の食品です。
大豆製品(豆腐、みそ、納豆)、海草類(わかめ、ひじき)、緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜)、卵黄、チーズ、レバー(豚、鶏、牛・・・豚が一番多いです)、肉(赤身)、魚(鰯、さば)、貝類(あさり、カキ)など
☆ただし、レバー中にはビタミンAも多く含まれています。(レバー100gあたり、ビタミンA4〜5万単位)
催奇形性の関係から、妊娠前期は特に多くとり過ぎないようにしましょう。
ビタミンAは妊娠中1日1万単位以上取ることは避けたいので、くれぐれもレバー食ばかりは避けるようにしましょう。
妊婦さんと貧血のおくすり
医師から貧血と診断されると、鉄剤が出されることがあります。鉄剤を服用するとき、お茶、コーヒー、紅茶に含まれるタンニンが、鉄分の吸収を妨げるといわれていますが、それほど影響はないので神経質になる必要はありません。もし、気になるようでしたら、鉄剤服用の前後1時間は、緑茶、紅茶、コーヒーなどの飲み物は避けると良いでしょう。鉄剤を服用することで、胃のむかつきや、便秘が起こることがありますので、その時は医師に相談してください。