■地球・生命の謎
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2002年2月28日オープン
- ■地球・生命の10大不思議
1.生命の誕生
- アミノ酸、糖、核酸塩基のような生物の基本分子までなら簡単にできるらしい。ミラーの実験のような火花放電、熱水噴出孔での冷水との接触、星間物質と宇宙線、鉱物の表面、小天体の衝突など、なんでもありなんだそうだ。
ところが、そこから先の重合には大きなハードルがあるらしい。何千万年もの長い時間をかければできるという説もあるが、それだけではダメで、まず、生体構成分子(有機物)の濃度/密度が高くなることが肝心なんだという。
いったいそこはどこか? 文献1)では彗星の斜め入射による軟着陸が有力という。
38億年前のストロマトライト状の化石は、浅海のシアノバクテリアが作る構造物に似ていることから、生命は浅海で誕生したと言われた。
ところが、東工大のグループによると、その化石には浅海に特有の陸から流入した粗い粒状物が見られなかったことから、遠洋性、すなわち、中央海嶺の熱水活動域であったと推定された。
=>冥王代のチャートとプレートテクトニクス
高井 研(DEEPSTAR/JAMSTEC)らは、300度Cの熱水噴出から生きている微生物の証拠を得たとしている。これまで熱水中で増殖する微生物としては113度Cが最高だった。おそらく300度Cでは増殖せずに単に生存するだけだと考えられるが、熱水循環系で微生物コロニーが形成される可能性は高まったと考えられる。
しかし、このことは、単に生命がコロニーを成した場所が熱水活動域であったとしても、必ずしもそこが生命誕生の場でもあったとは限らない。
出口(DEEPSTAR/JAMSTEC)らによる高温・高圧の超臨界水の研究では、超臨界状態で無機物は沈殿し、セルロースやキチンなどの溶解しにくい有機物は全て溶解する。また、常温常圧下では高い分散安定性を有するコロイド分散液が、亜臨界・超臨界水中では速やかに凝縮する。このようなプロセスの中で有機物が濃縮される可能性はあるだろうか?
生命の起源を解く一つの鍵として、生体構成分子の非対称性がある。すなわち、非対称性を持つ分子ではL型(左手型)とD型(右手型)があり、放電や放射線など人工的に生成したアミノ酸はすべてL型とD型が等量となる。ところが、どういうわけか地球上では、グリシン以外のアミノ酸はすべてL型分子で、糖(デオキシリボース)はD型分子。L型とD型の入り混ざったアミノ酸からは、秩序を持ったタンパク質を作ることができないのだそうだ。
つまり、地球上で、グリシン以外のアミノ酸をすべてL型に、デオキシリボースをすべてD型にした原因は何か? 文献1)では超新星爆発の衝撃波による宇宙起源説を紹介している。これが正しいかどうかは、隕石や他惑星の試料から(地球での汚染なしに)アミノ酸のL型過剰を検出できるかどうかにかかっている。
今現在でも地球上で生命が誕生しているか? たとえそうだとしても、豊かな地球の生物相によって食べられてしまうという考えもある。
=>すべては海底の硫化鉄鉱石の中で始まった?
- 2.月がなかったら?
- 月の直径は地球の直径の1/4であり、このような大きな衛星は珍しい。この月がもし存在しなかったら、地球と生命の進化はどうなっただろうか?
月の成因として、地球と火星サイズの惑星の衝突説(ジャイアント・インパクト)が有力となっている。衝突があれば、当然、地球の成分は変化するに違いない。それによってその後の地球進化が違ってくるかもしれない。例えばプレートテクトニクスは存在したか、また、大陸が生成し成長しただろうか?
こんな衝突はまれなことだろうか? 太陽系誕生のプロセスとして、微惑星が集まって火星サイズとなり、それが衝突しあって金星や地球が誕生したとの説もある。そうだとすれば、地球の成分は必然的なものだったということになる。
もう一つは、月の存在によって、地球の地軸が安定しているという。もし月がなければ、地軸の揺らぎが大きくなって気候変動がもっと激しくなるかもしれない。すると、人類の文明の誕生はもっと遅れたかもしれない。
潮の満ち引きが大きいお陰で海洋生物の陸上進出が早まったという説もある。しかし、間違えやすいが月はなくても太陽によって1日2回の潮汐は生じる(太陽による潮汐効果は月の効果の半分程度)。
"Lunar Reproduction Cycle"といって、サンゴ虫など新月や満月に繁殖する生物が数多く知られているが、月がなければこれらの生物はどうなっていただろう。
月と太陽の見かけの大きさがほぼ同じで、皆既日食を見ることの出来る惑星の住民は、この広い銀河でも地球ぐらいかもしれない。
- 3.太陽照射のパラドックス
- 約46億年前に太陽が誕生してから現在までに、太陽照射が40%以上増大している。現在も1億年に約1%ずつ増大している。にもかかわらず、大気中の二酸化炭素はなぜか温暖地球と寒冷地球(あるいは雪玉地球)の間を揺れ動きつつ何度も生物大絶滅を繰り返しつつも、なんとか生命の絶えることなく、地表を適温に保つように都合よく減少してきたらしい。
安定化させる負のフィードバックとして働く仕組みがあったのだろうか? 現在知られているものとしては、珪酸塩鉱物の風化作用がある。これは、気温が上昇すると、珪酸塩鉱物の化学的風化が増加し、溶け出したカルシウムイオンなどが海水中で炭酸イオンと反応して炭酸塩鉱物を沈殿させるもの。これによって大気中の温室効果ガスである二酸化炭素が除去されて気温が低下する。逆に、気温が低下すると風化が減少して炭酸塩鉱物の沈殿も減少し、大気中二酸化炭素が増加して気温が上昇する。
- 4.雪玉地球説
- 5.小天体衝突と大陸洪水玄武岩
- 6500万年前の白亜紀末期では、メキシコ湾ユカタン半島の小天体衝突(チュチュラブ・クレーター)とちょうど真反対のインド半島で同時期に大陸洪水玄武岩が50万年にわたって噴出した(デカン高原)。ちなみに、同時期に天皇海山列でも玄武岩噴出があった。
同様の例として、1.44億年前のジュラ紀末期に、アフリカ東部のスーダンでの玄武岩噴出と Morokweng 隕石(南アフリカ)と Mjolnir 隕石(ノルウェー)が同時期。
2.1億年前の三畳紀末期の大絶滅では、中央大西洋の玄武岩噴出とカナダ東部のマニコーガン隕石孔(直径100km、世界地図でも環状湖となっているのが分かる。Nature 395, p126,1998)など5つの連鎖クレーターが同時期。
2.48億年前のペルム紀(二畳紀)末期の大絶滅では、シベリアの玄武岩噴出と Bedout隕石(オーストラリア西部、180km、250Ma?、)が同時期。いずれも、関係は分かっていない。
白亜紀末期についての最近の詳細な年代測定結果によると、小天体衝突よりも玄武岩噴出の方が先だったようだ。
=地質年代表
=>Asteroid/Comet Impact Craters and Mass Extinctions and Shiva Hypothesis of Periodic Mass Extinctions.(by Michael Paine)
- 6.生物絶滅の2600万年周期
- 生物絶滅に2600万年周期があり、その原因として、太陽の伴星ネメシスが長楕円軌道を2600万年周期で周回している説が唱えられている。このネメシスの軌道は安定していないという反論から否定されたかに見えたが、どっこい、不安定ではないとの反々論もあるい。
もし、ネメシスによって生物の絶滅と進化が繰り返されてきたとすると、ネメシスのない太陽系では、生物進化はどうなっていただろう?
=>The Search for Nemesis(2600万年周期)
- 7.10万年周期の宇宙塵仮説
- 堆積物コアから復元した地球全体の氷床量の増減を見ると、過去150万年〜250万年前は、日射量モデルにおける自転軸傾斜の 4.1万年周期にぴったり一致する変動が見られる。ところが、100万年以降の堆積層ではきっちり 10万年周期のところにのみ顕著なピークが見られ、その原因として、100万年前に太陽系にコスミック・ダスト(宇宙塵)が侵入したという説。
=MULLERの宇宙塵仮説
- 8.天皇海山列はなぜ曲がった?
- ハワイ諸島の北西に伸びるハワイ海山列がある所で北方に折れ曲がって、天皇海山列となる。これは約4000万年前に太平洋プレートの方向が変化したためである。同時期にプレートの移動速度も低下したようだ。
約4000万年前の出来事というと、インド大陸がユーラシア大陸に衝突しており、これとの関連が考えられたことがあるが、最近、深尾良夫らがビックリするような説を提案している。
陸域や海洋島や海底に配置した広帯域地震計ネットワークを用いたトモグラフィー技術により、海溝で沈み込んだ海洋プレートが上部マントル内に滞留しているイメージが得られるようになってきた。この滞留している元プレート物質(スラブ)が下部マントルに落下した時期が4000万年前から5000万年前の間だというのだ。
- 9.西南極大陸氷床は崩壊したか?
- 南極大陸にあってロス海とウェッデル海に挟まれた西南極大陸氷床は海面下の岩盤のうえに存在し、ゆえに地球温暖化とそれによる海面上昇によって西南極大陸氷床が崩壊し、海面が一気に6m上昇する恐れがあるというもの。
現在の地球軌道や自転軸の様子が似ている約40万年前(「ステージ11」と呼ばれている)を調べると、現在よりも数度ほど暖かい気候モードが存在することが分かってきた。この時には、西南極大陸氷床の崩壊による海面上昇があったと見られている。
=>ステージ11と西南極氷床の崩壊
- 10.円石藻類と珪藻類の種構成の遷移(シリコン仮説)
- 珪酸塩の殻を作る代表的な植物プランクトンが「珪藻類」。炭酸塩の殻を作る植物プランクトンはいろいろあるが、細胞内で石灰化を行うものの代表が「円石藻類」。両者とも真核生物であるが、大気中二酸化炭素をコントロールするうえで異なった役割を果たす。
珪藻類が珪酸塩の殻を作るときに二酸化炭素を吸収するが、円石藻類が炭酸塩の殻を作ると、二酸化炭素が吸収されると思いきや、同じだけ二酸化炭素を放出するので、吸収能力はない(もっと長い時間スケールで見れば事情は異なる)。このため、円石藻類が大増殖して珪藻類を減少させてしまうと温暖化が加速する恐れがある。逆に、氷期は珪藻類が大増殖して大気中CO2濃度が異常に低下したらしい。これを「シリコン仮説」という。
=>シリコン仮説
=>ココリスの衛星画像(「白い悪魔」とも言われるココリス・ブルーム(円石藻の大増殖)の衛星画像)
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1) 斉藤 威,"生体構成分子の生成とその非対称性の起源", 2000, 生命の科学 遺伝 別冊 No.12, p.52-60
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