9x9=81 August 1998
[August 23, 1998]
なんか最近の定跡はカタカナの入った名前が多いな……と。元祖はこれでしょうか。
昭和61年に中村修八段が指し始め、塚田泰明八段が多用して22連勝(昭和61年)という 当時の連勝記録を樹立して一躍有名になった戦法です。ちなみにこの記録は今では神谷広志六段の28連勝(昭和61〜62年), 丸山忠久七段の24連勝(平成6年)に次ぎ、羽生善治四冠の22連勝(平成4年)と並んで歴代3位となっています。
第1図が塚田スペシャル一号局[1, 2]。▽6四歩に対して再度の▲2四歩でこれを狙いにいきます。当時の常識ではこれは▽2四同歩▲同飛に▽1四歩と受けられると▲6四飛の後▽2八歩があってダメということになっていました。ここから第2図のような攻めがあることを示したのが塚田スペシャルです。
詳細を知りたい方は塚田八段の本をご覧ください[3]。その後 後手の対策として▽7二銀型が指されるようになり、平成3年のA級順位戦、塚田八段−谷川浩司竜王戦で谷川竜王が塚田スペシャル破りの決定版を出したことにより塚田スペシャルは指されなくなりました[2]。
後手:宮田利男六段 後手:宮田利男六段 後手の持駒:なし 後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v角 ・|二 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 飛 歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手:中村修王将 先手:中村修王将 先手の持駒:なし 先手の持駒:歩 第1図(▲2四歩まで) 第2図(▲1四歩まで) 塚田スペシャル一号局。 このように端を絡めて攻める。 (第2回天王戦 (昭和61年))
[August 23, 1998]
淘汰されたかに見えた塚田スペシャルの逆襲です。第1図のように▲5八玉と指すのだそうです[1]。旧塚田スペシャルでは▲5八玉のところ▲1六歩▽1四歩▲3八銀でした。
この▲5八玉の形は、旧塚田スペシャルで出てくる▽8六角の王手飛車や▽2八歩の筋を避けたものです。この戦法は塚田八段と佐藤八段の間だけで流行っているのだそうで[2]、詳しい解説書はなく記事も少ないので全貌はよくわかりません。神谷広志七段の本にいくらか解説があるのと、平成9年の第38期王位戦七番勝負の第一局と第三局がこの形でしたので(ただし新塚田スペシャルとは違う展開になった)一応資料として挙げておきます[2-5]。
後手:佐藤康光八段 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ 玉 ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:塚田泰明八段 先手の持駒:歩 第1図(▲5八玉まで) 新塚田スペシャル。 この二人の間だけで流行っているという……。 (第69期棋聖戦 (平成9年))
[August 21, 1998]
中原誠永世十段が創案もしくは多用して広まった相掛かり急戦の総称で、▲3七桂型,▲3七銀型,▲5六飛型,▲5九金型の4種類があります。
第1図が▲3七桂型の中原流相掛かりです。このように▲3五歩といきなり開戦し、▽同歩に▲4五桂と攻めます。中原永世十段の自著[1]には「私のオリジナルの戦法」と書いてありますが、内藤國雄九段の指し方を小林健二八段がアレンジし、これに中原永世十段が研究を加えたもののようです[2]。第1図が一号局かな?と思うのですが[2, 3]定かではありません。後手に用心深く指されると攻めが難しく、あまり見られなくなりました[1, 2]。
第2図は▲3七銀型の中原流相掛かりです。こちらは中原永世十段の創案というわけではなさそうです[4]。▲3五歩と仕掛け、▽同歩に▲4六銀と攻めます。この戦法は今でもよく指されていますが、最近は▲3八銀の形から▲3五歩▽同歩▲3七銀と、仕掛けの時期がますます早くなってきています[2]。
後手:谷川浩司名人 後手の持駒:歩 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・v銀 ・ ・ 歩 ・ 歩|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 桂 ・ ・|七 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 銀 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | ・ 角 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ ・ 香|九 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手:中原誠王将 先手の持駒:歩 先手の持駒:歩 第1図(▲3五歩まで) 第2図(▲3五歩まで) 中原流相掛かり▲3七桂型一号局(?) こちらは▲3七銀型。 (第43期名人戦第六局 (昭和60年)) これも昭和60年代に登場。
第3図が▲5六飛型の中原流相掛かりです。中原永世十段の創案で第3図が一号局[5]。中原永世十段はこの年の第48期名人戦でもこの戦法を用い、谷川名人を破って名人に復位しました。第3図の後は右桂を跳ねて角道を開け、相手を見ながら色々と動きます[4]。▽7二銀型の弱点である中央を飛車で睨んで相手の駒組みを牽制しつつ 飛車の横利きを通したまま右桂を跳ねて準備万端、攻めだしたらやめられない止まらない……という発想のようです。この戦法は指しこなすのが難しくて真似をする人がおらず、後手に角道を止めてじっくり指されると作戦負けになることがわかって 中原永世十段が指さなくなると見られなくなりました[6]。
第4図は▲5九金型の中原流相掛かりです。これは昔からあった形を中原永世十段が拝借して改良したもののようです[1]。玉が堅いことと5筋の歩を突きやすいのが特長で、第4図の後は角交換したり両桂を跳ねたり、様々です[1]。これも後手に角道を止めてじっくり指されると作戦負けになることがわかり 中原永世十段が指さなくなると見られなくなりました[6]。
後手:島朗七段 後手:青野照市八段 後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 |v香v桂 ・v金v玉 ・v銀v桂v香|一 | ・v飛v銀 ・ ・ ・v金v角 ・|二 | ・v飛v銀 ・ ・ ・v金v角 ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・|三 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・|三 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 |v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七 | ・ 角 金 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | ・ 角 金 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九 | 香 桂 銀 玉 金 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手:中原誠棋聖 先手:中原誠名人 先手の持駒:歩 先手の持駒:歩 第3図(▲5六飛まで) 第4図(▲5九金まで) 中原流▲5六飛一号局。 中原流▲5九金一号局。 (平成2年度竜王戦) (平成4年度棋聖戦)
[August 22, 1998]
中原流相掛かり▲5九金型を応用した横歩取り後手番の戦法で、横歩取り▽3三角から第1図のように ▽3二金・▽3三角・▽2二銀・▽4一玉・▽5一金・▽6二銀と構えます。 中原誠永世十段はこれを「中原囲い」と呼んでいます[1]。すごい自信! 中原流相掛かり同様真似できる人は少なかったのですが、名人戦で羽生善治四冠が用いました[2]。 その後中原永世十段は改良を重ねながら指し続けています[3]。 この戦法はその独自性を認められ、中原流相掛かりと合わせて平成7年度の第2回升田幸三賞を受賞しました。
詳細は中原永世十段や羽生四冠の本をご覧ください[1, 2]。「新手年鑑」,「近代将棋」も参考になると思います[4-6]。
後手:羽生善治棋聖 後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v金v玉 ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 金 ・ 玉 ・ 金 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ ・ 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:米長邦雄名人 先手の持駒:歩二 第1図(▽6二銀まで) 名人戦に登場した横歩取り中原流。 (第52期名人戦第四局 (平成6年))
[August 23, 1998]
昭和23年に木村義雄十四世名人が確立した、角換わり腰掛け銀の先手必勝定跡です。
第1図以下▲4五歩▽同歩▲3五歩と攻めて先手必勝。ホンマかいな?という感じですがプロレベルではそういうことのようです。この定跡は半世紀を経た現在も覆えされることなく生きています。対して後手は第2図のように桂を跳ねずに待機するのが最善で、こうなると先手の攻めはうまく行かず手詰まりとなります。……ということに長年なっていましたが平成に入って、第2図からでも先手の攻めがあるのではないか?と検討され始めています。これらの詳細は角換わりの本をご覧ください[1, 2]。
後手の持駒:角 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 65 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金v玉 ・|二 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・v歩v金v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩|六 | 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:角 先手の持駒:角 第1図(▲4五歩まで) 第2図(▽4三金まで) 木村定跡。 後手最善の構え。桂を跳ねず、 これは先手必勝。 金の上下を繰り返して待つ。
[August 23, 1998]
昭和23年に升田幸三名人が考え出した角換わり腰掛け銀の定跡で[1]、第1図から▲4五歩▽同歩▲7五歩▽同歩▲3五歩と攻めて先手が良さそうというものです。
この定跡には難解な変化が多く、先手良しという確証は得られぬまま、角換わり腰掛け銀の衰退(*1)とともに指されなくなりました。昭和60年代に入って角換わり腰掛け銀が再び流行しはじめ(*2)、平成2年の森内俊之五段−中田宏樹五段戦(王位戦)を機に升田定跡も見直されるようになりました[1]。その後▲4五歩▽同歩に▲7五歩を入れずに▲3五歩とする手順を中心に研究が進み、平成9年7月の中川大輔六段−飯塚祐紀五段戦で先手必勝との結論が出たようです[1-4, 6]。
*1
後手が桂を跳ねずに慎重に待機すると先手の攻めはうまく行かず手詰まりになることから、昭和30年代には指されなくなった。
*2
北村昌男八段が元祖で東和男七段が多用しはじめた飛先不突き腰掛け銀が谷川浩司名人の連採により流行[5]。
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 第1図(▲4五歩まで) 升田定跡。 ▲7九玉▽3一玉の形から 攻めに入るのが特徴。
[August 20, 1998]
相矢倉で第1図の後手のように端から攻めたてる指し方です。香と飛が串で、9筋の駒が雀なんでしょうな。端を破るのではなく、端を絡めて7〜9筋を攻めます。
この戦法は升田幸三名人の創案で、第1図が一号局だそうです[1]。昭和40年代から50年代にかけて矢倉の主要戦法のひとつでしたが、昭和50年代半ばに棒銀に攻め負けることがわかって下火になりました[1, 2]。平成に入って森下システム破りの手段として再び脚光を浴びることになります。
雀刺しの指し方の実際は矢倉の定跡書[1, 3-5]をご覧ください。
後手:升田幸三八段 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 |v飛 ・ ・v銀 ・v角v金v玉 ・|二 |v香 ・v桂v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ 角 ・ ・|七 | ・ 銀 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:丸田祐三八段 先手の持駒:なし 第1図(▲3七角まで) 雀刺し一号局。 (昭和28年度王座戦)
[August 19, 1998]
平成3〜6年ごろ盛んに指された相矢倉先手番の作戦です。青野照市九段や淡路仁茂九段が指していたのを森下卓八段が研究を加えて戦法としてまとめあげました。
第1図の▲6八角が森下システムの第一歩。この後第2図のように構えます。ここから後手が▽5三銀と防戦に入れば▲4六歩▲4七銀と攻めの態勢をとり、▽7三銀と棒銀に出てくれば▲5七銀▲6五歩▲6六銀右と対抗します。場合によっては▲5七銀から▲4六銀と出ての攻めもあります。下準備をしておいて後手に態度を決めさせ、それに応じて自分に有利な構えをとるのがこの戦法の特徴です。平たく言えば「ジャンケンあとだし作戦」。
森下システムはプロ間でかなり流行りましたが、後手に雀刺しで来られると苦しくなることがわかって衰退しました[1,
2]。といっても完全に廃れたわけではなく、最近は雀刺しに対抗する手段も研究されているようです[3,
4]。
詳しく知りたい方は佐藤康光名人や羽生善治四冠の本[4, 5]をご覧ください。
後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v金 ・ ・|二 | ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・ ・v歩 ・ ・v銀v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 歩 ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | ・ 玉 金 角 ・ 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▲6八角まで) 第2図(▲3八飛まで) これが森下システムの 森下システムの代表的な構え。 始まり。 このあと相手の出方に合わせて 最適な攻撃/迎撃体勢を作る。
[August 22, 1998]
脇謙二七段が多用して著書まであるという、相矢倉の指し方です[1]。
実態は第1図の同形矢倉で、以前からある形(先手が脇システム側)。脇七段によれば「最近特に多用しているプロは私だけなので、あえて脇システムと呼ばせてもらおう。」とのことです。第1図からの指し方は三通りあります。
これらの詳細は脇七段の本をご覧ください。森下システムほど複雑なことはなく、書名通り単純明快な戦法です。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v銀v歩 ・v金v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 ・ 歩|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 第1図(▽7三銀まで) 脇システム。 その正体は昔からある同形矢倉。 でもしっかり研究してあるぞ!
[August 22, 1998]
米長邦雄永世棋聖が創案した矢倉の急戦で、米長永世棋聖はこれで四冠を獲りました(昭和59年:棋王・王将・棋聖・十段)。でも当時は「米長四冠」とは呼んでなかったような。
この戦法は元々は、昭和50年代半ばから盛んに指されるようになった先手の飛先不突矢倉および早囲いに対する後手の対抗手段として 開発されたものです[1]。第1図が一号局で[2]、このように早々に桂を跳ねて▽6五歩と仕掛けます。この形は先手に▲4六角▲3七桂の形から攻め合いに来られると勝ちにくく、数年後には第2図のような改良型に移行しました。この後 平成4年ごろまで色々な棋士が指していましたが▲3七銀型の布陣に圧されて次第に見られなくなりました[2]。
この戦法の解説はなぜか中原永世十段の本が詳しい[3]。
後手:米長邦雄王将 後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 |v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金v銀v金v角 ・|二 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金v角 ・|二 |v歩 ・v桂 ・ ・v歩 ・v歩v歩|三 |v歩 ・v桂v銀 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 銀 ・ 歩|七 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手:田中寅彦七段 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▽6五歩まで) 第2図(▽4四銀まで) 米長流急戦矢倉一号局。 改良型米長流。 (昭和58年度連盟杯決勝)
[August 22, 1998]
中原誠永世十段が創案した矢倉の急戦で、名人戦にも登場しました(第1図)。
この戦法では角で5筋の歩を切った後 第1図のように金銀桂を前に出して手厚く構えます。この後は3〜9筋に色々とちょっかいを出して何とか手にしていきます。平成初期に少し流行ったのですが 先手に駒損覚悟で強攻されるとあまりにも薄い玉が響いて勝ちにくく、指されなくなりました[1]。
後手:中原誠棋聖 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二 | ・ ・v桂v金 ・v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v銀v銀v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ 飛 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ 銀 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 角 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手:谷川浩司名人 先手の持駒:歩二 第1図(▽7三桂まで) 名人戦の中原流急戦矢倉。 (第48期名人戦第二局 (平成2年))
[August 20, 1998]
児玉孝一七段創案の、二枚銀急戦矢倉の究極形です。
第1図のように居玉のまま二枚の銀を繰り出し、飛角桂も中央に集中させます。この二枚の銀が蟹のはさみのようだというので「カニカニ銀」。ド素人のような構えですがその破壊力はプロでも認められています。でもなぜか児玉七段しか指さないそうです。
解説書は児玉七段の本[1]が決定版です。田中寅彦九段もマジで研究してる様子です[2]。その後出た急戦の本にも載っています[3]。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 角 歩 桂 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 第1図(▲7七桂まで) 先手カニカニ銀。 こいつはすごいぞ!
[August 20, 1998]
▲7六歩▽3四歩に▲7七桂といきなり桂を跳ね、さらに▲6五桂(第1図)と二段跳ねする奇襲戦法です。後手に正しく受けられると桂跳ねが悪手と化して先手不利になります。こういうのをハメ手といって、お薦めできる指し方ではありません。
この戦法は大正の初めに大道将棋の売り物に使われて広まったそうです[1, 2]。そのときの売り文句が「鬼の坂田三吉も裸足で逃げ出す」で、これが「鬼殺し」の名の由来だそうです。
指し方の詳細は奇襲の本[3, 4]をご覧ください。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 桂 ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 ・ 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 第1図(▲6五桂まで)
[August 20, 1998]
米長邦雄永世棋聖による、鬼殺しの改良版です。
▲7六歩▽8四歩の出だしから▲7五歩▽8五歩▲7七角▽3四歩に ▲7八飛!とし、▽7七角成▲同桂(第1図)と進めます。第1図から▽8六歩でも▽4五角や▽5四角でも、▽6二銀や▽6二金でも、先手は巧妙な反撃/攻撃手段を用意しています。ここまでくるとハメ手ではなく立派な戦法です。
詳細は米長永世棋聖の著書をご覧ください[1]。
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 桂 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 第1図(▲7七同桂まで)
[August 21, 1998]
これは戦法ではなくて玉の囲い方の呼称です。第1図のように玉を香の上に据えるのが米長玉(よねながぎょく)。
この玉の戦場からの遠さが終盤になって効いてくるのに最初に気付いて 指し始めたのが米長邦雄永世棋聖だそうで、第1図が一号局のようです[1, 2]。今では左美濃から米長玉にして銀冠に組むのはごく普通ですし、米長玉から穴熊のように固める指し方も見られます[3-5]。
後手:大山康晴棋聖 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v桂v金 ・ ・ ・v歩v香|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v角 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v銀 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 歩 歩 ・v歩 ・ 歩|六 | ・ 銀 角 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ 飛 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:米長邦雄八段 先手の持駒:歩 第1図(▲9八玉まで) 米長玉一号局。 (昭和52年度順位戦)
[August 21, 1998]
玉の囲い方の呼称です。第1図の先手の玉形と金銀の形を苺囲いと言うのだそうです[1]。
あまり一般的な呼称ではないようで、私は他で見聞きしたことはありません。第1図は単に相掛かり急戦としか言わないように思います。この囲い、命名者も命名理由も不明です。左側の玉角金銀が実で7六の歩がヘタかな〜と思ったりするのですが、すると右側の金銀は何なんだ…と。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v玉v金v角 ・|二 |v歩 ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・v飛 ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 飛 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 桂 ・ ・|七 | ・ 角 金 玉 ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 第1図(▽6三銀まで) 先手の構えを 苺囲いと言うらしい。
[August 22, 1998]
山田道美(みちよし)九段(故人)が昭和40年代初めに当時全盛の大山康晴名人打倒を目指して研究・開発した対四間飛車急戦定跡です。四間飛車の定跡といえばこれが基本! しかしこうして名前だけ書いてみるとなんだかのどかな響き。
第1図・第2図のように▲5七銀左と左の銀を繰り出し、▽5四歩型には▲9七角から、▽6四歩型には▲3五歩から急戦を仕掛けます。これは右銀を4八に残すことにより3・4筋を厚くし、振り飛車の反撃を抑えつつ攻めていこうという作戦です。玉側の銀を攻めに使うという発想は当時としては新しいものでした[1]。この定跡は30年も前に考えられたものであるわけですが、今でも通用するばかりでなく、今だに結論が出ていない部分もあります。
手順の詳細とその後の研究については青野照市九段の本をご覧ください[2, 3]。また最近の研究については小林健二八段や窪田義行四段の本をご参考ください[4-6]。「定跡外伝」の手順もおさえておきたいところです[7]。
後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三 | ・v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 角 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▲9七角まで) 第2図(▲3五歩まで) 山田定跡▽5四歩型。 山田定跡▽6四歩型。 この後の先手の巧みな ▲3五歩▽同歩に 指し回しは感動モノです。 ▲4六銀と攻めます。
[August 22, 1998]
山田定跡と同じ▲5七銀左型の、対四間飛車急戦定跡です。 昭和50年代に青野照市九段が研究・開発し、米長邦雄永世棋聖が棋聖戦などタイトル戦に用いて注目されました。 名称は当時のお二人の居住地(ともに東京の鷺宮(さぎのみや))からきています。
一号局は第1図ですが原形となると10年ほど遡るようです[1]。 この定跡では第1図のように▽5四歩と▽6四歩を両方突かせたところで▲3八飛と回って▲3五歩▽同歩▲4六銀の攻めを狙い、 ▽4五歩の捌きには角交換から▲3一角を狙います。 手順の詳細は青野九段の著書や「羽生の頭脳」,「スーパー四間飛車」をご覧ください[2-4]。
鷺宮定跡の意義は、山田定跡では攻略不能だった▽5四歩−▽6四歩型および先手四間飛車の攻略法に糸口を見い出したことにあります[2]。 現在この系統の戦法には山田定跡,鷺宮&新鷺宮定跡,▲4六銀戦法(後手なら▽6四銀戦法)の三つがあり、 これらを組み合わせることにより四間飛車の様々な構えを打ち破ろうと研究が進められています。 青野九段はこの戦法に関する功績を評価され、平成9年度に第4回升田幸三賞を受賞しています。
後手の持駒:森安秀光八段 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・v歩v歩 ・ ・ ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 金 金 銀 飛 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:青野照市七段 第1図(▲3八飛まで) 鷺宮定跡一号局。 (昭和57年度NHK杯)
[August 22, 1998]
鷺宮(さぎのみや)定跡に対する四間飛車側の対策、に対する居飛車側の対策です。
鷺宮定跡は、四間飛車側が▽6四歩を突かず▽1二香▽4三銀と組んでくると、▽6四角の筋があったりしてなかなかうまくいきません[1-3]。そこで新鷺宮定跡では▲6八金を省略し、第1図や第2図のように攻めます。第2図となると鷺宮定跡(▲3八飛が特徴)というよりは ▲4六銀戦法といった感じですが、まあいいや。
詳細については青野照市九段の本をご覧ください[4]。
後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂 ・|一 |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・v金v飛v銀 ・v香|二 | ・v玉v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・|六 | ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 飛 ・ ・|八 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▲3八飛まで) 第2図(▲4六銀まで) ▽1二香には ▽4三銀には ▲3八飛と元祖鷺宮を応用。 ▲4六銀からの攻め。
[August 22, 1998]
元アマ王将(昭和62・63年度)の鈴木英春さん創案の戦法で、「駒がぶつからないうちに相手を斬っている」ので「かまいたち」。鈴木さんの実績がその威力を実証しています。
先手番の時は▲7六歩▽○○○▲4八銀,後手番の時は▲○○○▽6二銀と独特の出だしから、対振り飛車には第1図, 対居飛車には第2図のように組みます(ほんの一例です)。詳細は鈴木さんの著書をご覧ください[1-6]。
後手の持駒:なし 後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v玉v桂v金 ・ ・v金 ・v桂v香|一 |v香 ・ ・ ・ ・v玉v角v桂v香|一 |v香v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|二 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・v桂v銀 ・v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 |v歩 ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 銀 歩v歩v歩 ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 銀 飛 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 歩 桂 金 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 | 香 玉 ・ ・ 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▲6八金寄まで) 第2図(▲8九玉まで) 対振り飛車かまいたち。 対居飛車かまいたち。 (先手がかまいたち。) (先手がかまいたち。)
[August 20, 1998]
対振り飛車戦法のひとつで、第1図のように 角道を開けずに引き角から銀を繰り出して攻めます。振り飛車側は常用手段である▽4五歩からの大捌きができません。詳しい指し方は奇襲の本[1, 2]に書いてあります。かなりマイナーな戦法です。
「鳥刺し」というのは鳥の刺身ではなく、広辞苑によれば「先に鳥黐(とりもち)を塗った細い竹竿で小鳥を捕えること。また、そのようにして小鳥を捕え、売る人」だそうです。角筋が竹竿で銀が鳥黐なんでしょうな。「雀刺し」はこの鳥刺しを捩って命名されたようです。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六 | 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 角 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 第1図(▲4六銀まで)
[August 22, 1998]
これは戦法名というより著書名といった方がよさそうです。平成の初めごろ、それまで居飛車党だった小林健二八段が突然、振り飛車党(というより四間飛車党)に転向しました。その小林八段が当時猛威を奮っていた居飛車穴熊や左美濃に対抗する 手段を深く研究して著わしたのが「スーパー四間飛車」です[1]。
小林八段は四間飛車の序盤をパターン化して(例:第1図)徹底的に研究し、四間飛車が居飛車穴熊や左美濃に十分対抗できることを示しました。これは藤井システムに代表される現在の序盤重視型四間飛車の先駆けであり、四間飛車にとって重大な転機となりました。
詳細は小林八段の著書[1-7]をご覧ください。各々の内容は以下の通りです。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・ ・v金v桂v玉|一 | ・v飛 ・ ・ ・v銀 ・v銀v香|二 |v歩 ・v角v歩 ・v金 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|五 | ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 ・|六 | 歩 歩 角 ・ 歩 金 桂 銀 ・|七 | ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 金 玉 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 第1図(▲1五歩まで) 「スーパー四間飛車」冒頭に出てくる 対居飛車穴熊▲5六銀・▲1五歩型。 玉頭を手厚く、いつでも端を狙える形に組む。
[August 18, 1998; references added July 30, 1999]
藤井猛六段創案の、対左美濃・対居飛車穴熊に有効な四間飛車の作戦です。
第1図が対左美濃藤井システム,第2図が対居飛車穴熊藤井システムの例です。 このように玉の囲いを簡略化して攻めの態勢を作り、左美濃の玉頭や完成前の居飛車穴熊を襲うのが藤井システムです。 特に対左美濃の藤井システムは完成度が高く、これによりプロの対局では左美濃が激減してしまいました[1]。 この戦法はその独創性を評価され、平成8年度の第3回升田幸三賞を受賞しています。
詳細を知りたい方は藤井六段の著書[2-5]をご覧ください。
後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一 |v香 ・ ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二 | ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩v銀v角v歩v歩|三 | ・v歩v桂 ・v歩 ・v角v歩v歩|三 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 |v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五 | 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ 玉 銀 歩 角 歩 ・ ・ 歩|七 | 歩 歩 角 ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 銀 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 | 玉 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▽8五歩まで) 第2図(▽6五歩まで) 対左美濃藤井システム。 対居飛車穴熊藤井システム。 玉を7一に構えて桂を跳ね、 なんと居玉のまま、 左美濃の玉頭を襲う。 完成前の穴熊を強襲。
[August 22, 1998]
アマチュアの立石勝巳さん創案の戦法で四間飛車の一種です。
第1図のように角交換を許容する形で▽3五歩と位を取り、続いて▽4五歩と4筋も位を取って▽4四飛と構えます(第2図)。この戦法はいつでも角交換がある形のため居飛車側は穴熊には組みにくく、居飛穴全盛時にその対策として注目されプロの将棋にも取り入れられました。詳しくは立石さんの著書を……ってないんですねこれが。小林健二八段が熱心に研究されているようで解説書なども出ています[1, 2]。
後手の持駒:なし 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v角 ・|二 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v金v銀 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | 歩 歩 ・ ・ 銀 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ ・ 玉 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の持駒:角 歩 第1図(▽3五歩まで) 第2図(▽4四飛まで)
[August 23, 1998]
人名のついた戦法で一番古いのはこれではないでしょうか。石田流急戦(第1図)と石田流本組み(第2図)があります。
石田流急戦三間飛車は、江戸時代に石田検校(けんぎょう: 盲目の最上級の官名 (広辞苑))が考え出したのだそうです。石田流本組と区別して早石田(はやいしだ)と呼ぶこともあります。早石田では初手より▲7六歩▽3四歩▲2六歩▽3五歩 ▲2五歩▽3二飛(第1図)と飛先を受けずに三間に振り、このあとは▽5五角を狙いながら3七の地点を攻めます。定跡書としては升田幸三名人や小林健二八段の本[1, 2],「定跡後」の変化については米長邦雄永世棋聖や森鶏二九段の本が参考になります[3, 4]。また横田稔さんの本には相早石田なんてのが解説されています[5]。
石田流本組みというのは第2図の後手の飛角桂の構えのことです。この石田は早石田の石田と同じ?……私は知りません。かつてこの構えは振り飛車理想の構えと言われていましたが中原誠永世十段が石田崩しを開発してそれほどでもなくなりました。実は第2図の先手が石田崩しの陣形となっています。詳しくは升田幸三名人の本をご覧ください[1]。
後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 |v香v桂v銀v金 ・v金 ・ ・v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v角 ・|二 | ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・v桂v歩v角|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・v銀v歩v飛 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 金 歩|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | 歩 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 ・ ・|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 角 玉 銀 ・ ・ 飛 ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 | 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▽3二飛まで) 第2図(▲3八飛まで) 後手の作戦が早石田。 後手の構えが石田流本組み。 先手の構えは石田崩し。
[August 23, 1998]
石田流急戦三間飛車を元に升田幸三名人が考案した戦法で、昭和46年の第30期名人戦での連採で一躍有名になりました(第1図, [1])。
升田式石田流では、石田流急戦と同じ出だしから第1図のように▲4八玉とし、この後も飛先を放置して▲3八玉▲2八玉▲3八銀と美濃に囲ってしまいます。この間、相手が攻めてきても慎重にきても、ちゃんと対策が用意されています。詳細を知りたい方は升田名人の本をご覧ください[1]。また小林健二八段の本には他にあまりない変化の解説があり、必見です[2]。それからなんと!升田式石田流専門のページというのがあります[3]。
この戦法は相手に慎重に組まれると手詰まりになりやすく、プロでは後手番でたまに見られる程度になっていますが[4]、アマチュアでは依然人気のある戦法です。立石流四間飛車やメリケン向飛車と併用すると一層効果がありそうです。
後手:大山康晴名人 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 飛 ・ ・ 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:升田幸三九段 先手の持駒:なし 第1図(▲4八玉まで) 名人戦に登場! 升田式石田流。 (第30期名人戦第二局 (昭和46年))
[August 22, 1998]
居飛車の出だしから振り飛車に転じる、変則的な作戦です。居飛車陣を対振り飛車としては妙な形にさせる効果がある反面 自陣も変則的になったり立ち遅れたりと、一長一短です。
第10期竜王戦の第一局で、谷川浩司竜王が挑戦者の新鋭・真田圭一六段を相手に、なんと陽動振り飛車に出ました。この竜王戦では第11手▲5八金右(第1図)までは相矢倉の出だしで、ここから谷川竜王が陽動振り飛車に変化しました(第2図)。真田陣は対振り飛車にはあまり用いられない矢倉の構えになっていますが 谷川陣も変則的な形になっており、この後 美濃囲いにするために 2手損(▽7二銀→▽6三銀→▽7二銀)することになります。本局の詳細については将棋雑誌をご覧ください[1, 2]。
その他の資料としては、類型の解説が「将棋世界」に[3]、データ分析が「近代将棋」にあります[4]。富岡英作七段の解説[5]と鈴木英春 元アマ王将の戦術書[6]も面白いと思います。
後手:谷川浩司竜王 後手:谷川浩司竜王 後手の持駒:なし 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 |v香v桂v玉v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・v銀 ・v角 ・|二 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・v銀v銀v歩v角v歩v歩|三 | ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七 | 歩 歩 銀 金 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ 銀 金 銀 ・ 飛 ・|八 | ・ ・ 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 ・ ・ 桂 香|九 | 香 桂 角 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手:真田圭一六段 先手:真田圭一六段 先手の持駒:なし 先手の持駒:なし 第1図(▲5八金右まで) 第2図(▽3二飛まで) ここまでは普通の相矢倉の展開。 これで陽動振り飛車となった。
[August 23, 1998]
大正8年の「木見金治郎七段昇段披露将棋大会」で席上対局として行われた土居市太郎八段−阪田三吉八段戦(「阪田角損の一局」として有名)で阪田八段が用いて有名になった変則向かい飛車戦法です[1]。
戦法自体は昔からあり、阪田王将が指したのはこの一局だけだそうです[2]。なお「阪田」は「坂田」とも書きますが、ここでは「将棋年鑑」に従いました[3]。第1図のように、変則的な出だしから、上がった金を生かして飛先の逆襲に出るのが阪田流向かい飛車です。
詳細は小林健二八段や森鶏二九段の本をご覧ください[4, 5]。
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一 [初手より第1図までの指し手] | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 ▲2六歩▽3四歩▲7六歩▽3二金 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 ▲2五歩▽3三角▲同角成▽同金 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 ▲8八銀▽2二飛 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 第1図(▽2二飛まで)
[August 23, 1998]
小林健二八段が四段のころ研究していたという、阪田流向かい飛車の改良版です。
第1図は阪田流向かい飛車の変化図です。ここで▽2五金と出ると▲3七桂▽2六金▲同飛▽同飛▲1五角(第2図)の反撃があってまずいことになります。これを改良したのが小林式阪田流です。
後手の持駒:角 歩 後手の持駒:飛 角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・ ・v銀 ・v飛 ・|二 | ・ ・v玉 ・ ・v銀 ・ ・ ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v金 ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩v飛 ・|六 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | 歩 歩 銀 歩 歩 歩 桂 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ ・ 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 先手の持駒:金 歩 第1図(▲7七銀まで) 第2図(▲1五角まで)
小林式阪田流には▽5二金型(第3図)と▽5二玉型(第4図)があります。どちらも第2図の▲1五角を消し、玉の囲いを省略して攻める作戦です。元々▽5二玉型は▽5二金型の改良型なのですが、色々あってどちらも時々指されているようです。詳細は小林八段や森鶏二九段の本をご覧ください[1, 2]。
後手の持駒:角 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ +---------------------------+ |v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・v桂v香|一 |v香v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金v銀 ・v飛 ・|二 | ・ ・ ・ ・v玉v銀 ・v飛 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩v金v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 銀 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 | 香 桂 銀 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ +---------------------------+ 先手の持駒:角 先手の持駒:角 第3図(▽5二金まで) 第4図(▽5二玉まで)
[August 22, 1998]
元アマ竜王(平成2・3年度)の横山公望さん創案の戦法で、大内延介九段の攻勢向かい飛車[1]を参考に考案したのだそうです。横山→横浜(出身地)→港町→メリケン波止場で「メリケン向飛車」。
一言で言えば第1図のような▲7五歩・▲7八金型の攻勢向かい飛車です。こいつは強力ですぜ! 詳細は横山さんの著書[2]をご覧ください。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 飛 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 第1図(▲8六歩まで) メリケン向飛車。 ▽5四歩が▽6四歩の場合は 玉を囲って戦う。
[August 20, 1998]
中飛車の一種で第1図のような低い構えが特徴です。なんとなく鮃を思わせるものがありますね。……王様がシッポ?
振り飛車なのに角交換歓迎で、8筋を放棄してとにかく大捌きを狙います。第1図からですと▽8九飛成に▲5五歩▽同歩▲同飛から▲8五飛。私はこの戦法を「5五の龍」[1]で知りました。香落ち上手の秘策として出てきたように記憶しています。確かに第1図のように進むなら左香は無いほうがいいですね。
詳しくは奇襲の本[2, 3]をご覧ください。
後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・ ・ ・v銀v金 ・v玉 ・ ・|二 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・v飛 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 ・ 桂 歩 ・ 歩 歩 歩 ・|七 | ・ ・ ・ 銀 飛 ・ 銀 玉 ・|八 | 香 ・ ・ ・ 金 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 第1図(▲5九金左まで)