9x9=81 November 1998
▲7六歩▽3四歩▲2六歩▽4四歩▲4八銀▽3二銀(第1図)
後手:藤井猛七段 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v銀v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:谷川浩司竜王 先手の持駒:なし 第1図(▽3二銀まで)
▽3二銀では先に▽4二飛が多く見られる指し方で第一局も▽4二飛だった。▽3二銀を先にした場合の問題点は次の二つ。
立石流は主に居飛車穴熊対策としてプロの将棋に取り込まれたもので、藤井システムの出現以来影が薄い。また先手が▽2二角の浮き駒を狙う指し方は窪田義行五段の「振り飛車新世紀
1 窪田流四間飛車」(毎日コミュニケーションズ)の第2章・山田定跡編のプロローグに載っているが、結論だけ書くと、これで振り飛車がつぶれることはないし後手は早めに▽3三角としてそういう仕掛けを避けることもできる。
そんなわけで▽3二銀が先でも▽4二飛が先でも大差はない。
▲5六歩▽4二飛▲6八玉▽7二銀▲7八玉▽9四歩▲5八金右(第2図)
後手:藤井猛七段 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v飛v銀v角 ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:谷川浩司竜王 先手の持駒:なし 第2図(▲5八金右まで)
第一局では▲5八金右のところで▲7七角だった。しかし第一局と違う展開になるかどうかはまだわからない。
▽4三銀▲5七銀▽3三角▲2五歩▽9五歩▲3六歩▽6二玉(第3図)
後手:藤井猛七段 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・ ・v銀v玉 ・v飛 ・ ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:谷川浩司竜王 先手の持駒:なし 第3図(▽6二玉まで)
▽4三銀では▽5二金左として▽3二金の余地を残す指し方もある。▲3六歩が谷川竜王の作戦で、これで第一局とは違う将棋になった。▲3六歩は速攻を見せて相手に玉を囲わせる作戦である。▲3六歩の一手に対し、後手は玉を安定させるのに▽6二玉▽7一玉の二手(あるいは▽8二玉も入れて三手)を費やすことになる。先手が穴熊を目指すならこの違いは大きい。
▲9八香▽7一玉▲7七角▽8二玉▲8八玉▽3二飛(第4図)
後手:藤井猛七段 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀v角v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 玉 ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | ・ 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:谷川浩司竜王 先手の持駒:なし 第4図(▽3二飛まで)
谷川竜王は▲9八香から▲7七角と穴熊模様に進めた。▲7七角の前に▲9八香というのは変わった手順だが……後日検討。▽3二飛は先手の早めの▲3六歩を咎めにいった手。実はこの第4図には同一局面の前例がある。
二年前の第27回新人王戦決勝三番勝負の第二局、▲丸山六段−▽藤井六段戦。当時は対居飛車穴熊藤井システムの創成期で藤井六段ははじめから玉を囲いにいっており、手順は違う。ちなみにこの新人王戦は藤井六段が第一局と第三局に勝ち、丸山六段の新人王戦三連覇を阻止して初の新人王となった。
藤井七段の著書「居飛車穴熊撃破 必殺藤井システム」(日本将棋連盟)の実戦解説編にはその新人王戦の解説があるが、居玉作戦でなかったせいか第二局だけ載っていない。また「将棋世界」と「近代将棋」ではどちらも平成9年(1997年)1月号に新人王戦の結果が載っているが、「将棋世界」は第三局の自戦解説が主で第二局は棋譜と短いコメントだけ、「近代将棋」は新人王戦の扱いそのものが小さく第二局・第三局とも棋譜のみ。哀れな第二局。しかし二年後に大舞台に再登場するのであった。
▲9九玉▽3五歩▲同歩▽4五歩▲6六銀▽4四角▲2四歩(第5図)
後手:藤井猛七段 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二 | ・v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・v角 ・ 歩 ・|四 |v歩 ・ ・ ・ ・v歩 歩 ・ ・|五 | ・ ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 角 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七 | 香 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:谷川浩司竜王 先手の持駒:歩 第5図(▲2四歩まで)
第3図から▽4四角までは新人王戦と同じ進行。新人王戦ではその後▲8八銀▽3五飛▲3七歩▽3四飛と進んだが、▲8八銀では▲2四歩から飛車をさばくほうが優っていたということだった。本局でも谷川竜王は▲2四歩とし、これが封じ手となった。
▲7六歩▽3四歩▲6六歩▽6二銀
後手:谷川浩司竜王 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀 ・ ・ ・v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六 | 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 歩|七 | ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:藤井猛七段 先手の持駒:なし 第1図(▽6二銀まで)
▽8四歩を突かずに▽6二銀とする指し方は変則的に見えるがそうでもないようだ。平成9年版将棋年鑑の「序盤4手チャート」(p. 547)によると平成8年度(1996年度)の2118局中この形は52局、▽6二銀で▽8四歩とした形は53局とほぼ同数である。「ザ・プロ将棋 '98 四間飛車の闘い編」(富士通)で局面検索すると第1図の形は350局中24局で▽8四歩の形(この中には▲7六歩▽8四歩▲6六歩で始まるものも含まれている)は35局だった。
局面検索で出てきた24局のうちその後も▽8四歩と突かなかったのは5局だけ。プロは受け一方になるのを嫌うのでいずれは8筋を突くことになるようだ。8筋を突かない指し方というのは▽7二飛から攻める形と右四間飛車だがいずれも8筋不突きの効果は出ていない。ま、5局だけではなんともいえんけど。
先手番で▲7六歩▽3四歩に▲4八銀とすると角が睨み合っているため▲7七角や▲7七銀とすることができず、後手に居飛車でこられると飛先の交換を許すことになって変則的な序盤となる(英春流)。後手番で第1図のように▲7六歩▽3四歩▲6六歩に▽6二銀なら先手に居飛車でこられても普通の矢倉に組むことができる。この場合後手に飛先不突き矢倉の余地が生じ、また後手右四間飛車も有力となるので、第1図から居飛車にするのは先手にとって得策ではない。「ザ・プロ将棋 '98 矢倉の闘い編」には▲7六歩▽3四歩▲6六歩で始まる矢倉は一局もない。「ザ・プロ将棋 第四巻 相居飛車の闘い編」にも▲7六歩▽3四歩▲6六歩の出だしは一局もない。
▲6八飛▽4二玉▲1六歩▽1四歩▲7八銀▽3二玉▲3八銀▽5二金右▲6七銀(第2図)
後手:谷川浩司竜王 後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一 | ・v飛 ・v銀v金 ・v玉v角 ・|二 |v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六 | 歩 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七 | ・ 角 ・ 飛 ・ ・ 銀 ・ ・|八 | 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手:藤井猛七段 先手の持駒:なし 第2図(▲6七銀まで)
後手が穴熊を目指す場合▽1四歩は突かないことが多いが▽1四歩で穴熊の可能性が消えたわけではない。後手が飛先不突きや5筋不突きで穴熊に組んでくる可能性もあるので先手は居玉のまま様子を見るような指し方をしている。飛先不突きや5筋不突きの穴熊に対する四間飛車の指し方については久保利明五段の「振り飛車新世紀 3 久保流四間飛車(下)」が詳しい。要は居玉急戦を仕掛けるのだが、本局は違う展開になったので省略。