ノンノンのおすすめランド♪ トップページへ ノンノンの乱読日記トップへ

 2000年10月読了
★印は、おすすめ
10/30 不思議を売る男 ジェラルディン・マコーリアン(偕成社)
10/30 ウィーツィ・バット フランチェスカ・リア・ブロック (東京創元社)
10/30 子供たちの時間 橋口譲二(小学館)
10/29 エンデュアランス号大漂流 エリザベス・コーディー・キメル(あすなろ書房)
10/26 キングの最高の日 ウルフ・スタルク(偕成社)
10/24 ぼく、ネズミだったの! フィリップ・プルマン(偕成社)
10/23 新宿鮫風化水脈 大沢在昌(毎日新聞社)
10/21 風の海 迷宮の岸 小野不由美(講談社文庫)
10/16 新・匿名座談会 本の雑誌編集部(本の雑誌社)
10/13 上と外 2 緑の底 恩田陸(幻冬舎文庫)
10/12 月の影 影の月(上・下) 小野不由美(講談社文庫)
10/10 神様がくれた指 佐藤多佳子(新潮社)
10/2 フォー・ディア・ライフ 柴田よしき(講談社)

 10月30日(月)不思議を売る男」 ジェラルディン・マコーリアン作
                
金原瑞人・訳 佐竹美保・絵(偕成社)

amazon1998.6月発行・333P・1500円             

エイルサが図書館で出会ったのは、“リーティング(本の国)”からやってきた
という奇妙な男・MCC。彼は、ひょんなことから、エイルサの母親の古道具店で
働くことになった。客がやってくるたびに、彼が聞かせる、それぞれの古道具に
まつわる不思議な話。その話は、客をその品物に夢中にさせ、はじめ不審に思っ
ていたエイルサ親子までもが、だんだんと引き込まれていく…。


気がつけば、MCCの話に引き寄せられ、虜になっていた私〜。
物語を読む楽しさ、おもしろさというものを充分に堪能できる1冊!

MCCが語る物語のひとつひとつが完結したストーリーになっていて、全体を通し
てみると、連作短編集のような形をとっています。

イギリス、アイルランド、インド、中国…。いろんな時代、いろんな場所を舞台
にした、さまざな色合いをもった11のストーリー。それは、ミステリー仕立て
だったり、ちょっとホラー色が入ってたり、ジーンとくるものだったりと、バラ
エティ豊か。そして、訪れる意外なラスト…。(MCCの正体は、こうなのかも?
なんて想像していたのは、全て裏切られた〜)

あと書きで、金原さんが、この物語を「現代の“アラビアンナイト”」と評して
いることも、うなずけます。

なかでも、「鉛の兵隊」と「寄せ木細工の文具箱」が印象に残りました。

この物語がもつ雰囲気と、佐竹美保さんの挿絵との相性も、バッチリ。
1989年の英国カーネギー賞受賞作品です。


 10月30日(月)ウィーツィ・バット」 フランチェスカ・リア・ブロック
                       金原瑞人・訳(東京創元社)
 

amazon1999.10月発行・125P・980円

1989年の発売以来、全米のティーンエイジの間で大ベストセラーとなったという
<ウィーツィ・バット ブックス>の第一巻目。(全五巻)

ウィーツィ・バットは、ハリウッドの町に住むおしゃれな女の子。彼女は、ハイ
スクールで一番かっこいい男の子ダークと意気投合、連日連れ立って遊びにいく
ようになる。ある日ダークが告白した…。「おれ、ゲイなんだ」すると、ウィー
ツィは、あっさり言う。「ってことは、あたしたち、一緒にオトコをゲットしに
いけるわね」

かくして、二人の理想の恋人さがしがはじまるが、どいつもこいつもろくでなし
ばかり。そんな中、ウィーツィは、ひょんなことから、「ランプの精」と出会い
願いを3つだけ、かなえてもらえることに。ウィーツィは、考えた末、こう頼ん
だ。「ダークとあたしに素敵な恋人が見つかりますように、それと私たちに
“ずっと幸せに”暮らせる家が手に入りますように」…。

120ページほどの薄っぺらい本ですが、中身はギギュッと詰まっています。
アメリカの10代が抱える問題がリアルに描かれ、それでいて、突然ランプの精が
登場してきてファンタジックなところもありと、ちょっと不思議な物語。だけど
理屈じゃなくて、感覚的にすごく好きだった。

両親の離婚、エイズ、10代の妊娠…など取り上げられる題材に、眉をひそめる人
もいるかもしれないけれど、物語の本質は、そんなところにはない。

ウィーツィは、単にブッ飛んだオバカな子ではない。
自分が生きていくために大切なこと…の基準をしっかりともっていて、その思考
は至ってシンプルだけど、純粋だ。それは、“そこには愛はあるのかい”なんだ
なー。(なんか江口洋介みたいになっちゃったな)

その後のウィーツィをはじめとする4人の共同生活は、なんともいい感じ。
さまざまな問題・困難が降りかかってくるけれど、自分の中の幸せを核に、そば
には喜びも悲しみも共有できる愛すべき人たちがいるという幸せを強く感じる。
彼らは、これからどんなことがあっても人間の根っこの部分は、大丈夫…という
気がしてくる。

ポップで、ドライで切ない…それでいて、とびっきり幸せな気分になれる1冊。
ぜひとも注目して欲しいシリーズです。


 10月30日(月) 「子供たちの時間」 橋口譲ニ(小学館)

amazon1999.11月発行・222P・3200

写真集です。撮影対象は、全国105人の小学6年生。
彼らに共通の質問をなげかけ、インタビューをし、彼らが暮らす日常の風景
の中で撮影したポートレートと共に収めた…という構成になっています。

暮らす環境も様々。その中には、ハンディキャップを背負っていたり、シビア
な境遇に置かれている子どもたちいる。
その中で、みんなに共通しているのは、明確に自分というものがみえてきて
いるということだ。そこには、人と比べるという行為の愚かさを感じるし、親で
あっても侵してはいけない“個”というものを、既にもっている存在であるとい
うことが実感できる。

非常におもしろい試みだと思うし、1枚1枚の写真から、しっかりと語りかけて
くるものに、静かな感動を覚えた。難しく考えなくても、子どもたちの答えの
中に、モロ“今”が見えて、それだけでも、興味深く読めること請け合い!
埋もれず、たくさんの人たちに手にとって欲しい〜〜。


 10月29日(日)エンデュアランス号大漂流エリザベス・コーディー・キメル
                         千葉茂樹・訳(あすなろ書房)


amazon2000.10月発行・167P・1400

今年の冬、網走で流氷観光船に乗った。船が沖合いに出ると、海の水が次第
にドロリドロリとシャーベット状になり、やがてあたり一面真っ白い流氷に覆わ
れる。ガリガリと氷を割りながら進む船の上で、別世界にまぎれこんでしまった
ような錯覚に陥った。しかし、この本は、そんな甘っちょろいものではない。

時は、1914年。
第一次世界大戦が始まり、南極大陸がまだまだ未知の世界であった頃…。
シャクルトン率いる28人の探検隊が、“エンデュアランス(=不屈の精神)”と
いう名をもつ船に乗って、南極大陸横断の旅に出発する。
しかし、巨大な流氷帯に行く手をはばまれ、南極大陸に上陸すらできないまま、
氷に閉じ込められ、動けなくなってしまう。その後、船は押しつぶされて沈没。
現代のような装備もない。無線も届かず、救助の見込みは全くない。
それが、生還に向けての長い長い旅のはじまりだった…。

エンデュアランス号についての本は、何冊か刊行されているようですが、読んだ
のは初めて。この本は、160ページ余りの薄い本ですが、中身はギュギュッと
凝縮。千葉さん、いい仕事してまっせー!
感情過多になることなく、淡々と語られていくのが、好印象。
まるで、記録映画を見ているように、映像が浮かんでくるんだよね…。

とにかく、事実のもつ迫力に圧倒されっぱなし。
彼らの強靭な精神力と体力に、感嘆せずにはいられない。どんなに絶望感に
襲われたか、想像にするに足りない。だけど、そんな極限状態の中でも、
暗さは感じられない。むしろ明るさや希望さえ感じさせるのだ。

シャクルトンのリーダーとしての力量…。常に先を読み、船員たちのために、
心を砕き、素早い判断が求められる。天が味方をしてくれる出来事も重なり、
使命感と信頼感が、奇跡を起こしていく。
しかし、どんな立派なリーダーがいても、ひとりでは成し遂げられない。
それぞれが自分が果たさなければならない役割をきちんと把握し、知恵を出し
合い、実行する。読みながら、人間の偉大なる力を感じ、震えるほどの興奮を
覚えたほど。

この旅を記録するために同行した専属写真家が撮り続けたという写真も、ふん
だんに使われ、貴重な体験を語ってくれます。
最後の、近づくボートに手を振るモノクロの写真には、こみあげてくるものを
押さえることができなかった。今は、もう星になってしまった彼らに、心から
大きな拍手を贈りたいと思う。

この実話の前では、どんなに言葉を並べても、全て陳腐になってしまう気が
する…。とにかく、手にとって欲し〜い!(新刊だよ〜)
特に、中学生くらいの男の子たちに、ぜひぜひ読んで欲しいな。


 10月26日(木) 「キングの最高の日」 ウルフ・スタルク作
              
遠藤美紀・訳 江川智穂・絵(偕成社)

amazon2000.8月発行・47P・1000

仲間5人でつくった小屋の完成祝いの日…。だけど、ヨッヨの様子がいつもと
違う。実はヨッヨが飼っている犬のキングが、重い病気にかかってしまい、
これ以上苦しまないようにと、あさっての朝、安楽死させられることになった
のです。その話をオヤジから聞いたヨッヨは、ねぶくろとキングのえさをもっ
て家を抜け出してきた。「キングをつれて、家なんか帰れるもんか!」
それから皆で、キングが望むこと−すてきなこと、おもしろいこと、すごいこ
と、全部させてやらなきゃ!と相談します…。

今回のテーマは、ペットの死。
ついつい何かやってくれそうなスタルク…と期待してしまいましたが(笑)、
ストーリー自体は、かなりオーソドックス。だけど、カラッとしていて、テンポ
が良く、5人の少年たちの悪知恵、機転のきかせ方に、スタルクらしさが光り
ます。“男の子を描いたら天下一品”との定評があるスタルク。今回も短い
ストーリーの中に、少年それぞれのキャラクターが、しっかりと肉付けされて
いるんですねー。

決められてしまった安楽死に対する怒り。天下無敵の狼犬キングが急に年
をとって見えてしまった瞬間の寂しさと哀しみ。仲間と一緒の楽しい時間
と対比するように、キングとふたりっきりの心細い夜。
思わず、かわいがっていたペットとの別れを思い出してしまいました…。
実際の体験の有無で、読んだ時の思い入れが違うかも。

ラストの余韻がなんともいえません。ウルフ・スタルクの新刊です。


 10月24日(火) 「ぼく、ネズミだったの!」 フィリップ・プルマン作
           
西田紀子・訳 ピーター・ベイリー絵(偕成社)

amazon2000.9月発行・253P・1300

ある夜のこと…。老夫婦の家のドアをノックしたのは、お小姓の制服を着た
小さな男の子。しかし名前を聞いても年をきいても、「ぼく、ネズミだったの」
と答えるばかり。おまけに、スプーンもフォークも使えず、なんでもかじって
しまうクセがあるのです。老夫婦は、ロジャーという名前をつけて、この子が
どこからきたのか…と、市役所・警察・病院とかけまわりますが、あちこちで
起こすおかしな言動に、追い払われてしまいます。

その後、老夫婦とはぐれてしまったロジャーは、見世物屋の悪事に巻き込ま
れたり、泥棒少年グループの手下にされたり、さらに捕らえた末に、マスコミ
によってモンスターに仕立て上げられ、裁判沙汰にまで発展していきます。
果たして、少年の正体とは??そしてロジャーのことを心配する老夫婦と再
開することは、できるのでしょうか?

フィリップ・プルマンの「黄金の羅針盤」「神秘の短剣」のイメージをもって
読むと肩透かしをくらいますが(笑)、巧さは健在です。
“人を外見で判断するべからず”…そこからは、ちくりと皮肉めいたものも感
じられます。自分が背負ったさだめを受け入れて、その中でベストを尽くして
いこうよという力強いメッセージを読み取ることができました。

副題は、“もう一つのシンデレラ物語”。
どこがシンデレラストーリーと繋がってるの??と思って読んでいくと…そう
きたか!いう意外な結末には、やられましたねー。
(それは読んでのお楽しみ♪)
ところどころに挿入されている、<ザ・デイリー・コシップ>紙の遊び心も
楽しいよ。


 10月23日(月) 「新宿鮫風化水脈」 大沢在昌(毎日新聞社)

amazon2000.8月発行・443P・1700

「新宿鮫」シリーズ、第七作目。(私が読むのは「無形人間」以来、二作目)

鮫島警部は、見覚えのある男に偶然出会い、足を止めた。
その男とは、新宿を根拠とする暴力団・藤野組の真壁。真壁は、中国人組織との
抗争事件による懲役を終え、戻ってきていたのだ。しかし、新宿の街も藤野組も
真壁がいた頃とは、変わっていた。

その頃、鮫島が追っていたのは、高級車ばかりを狙った組織的な自動車窃盗・
密売グループ。どこかに車両ナンバーの付け替え、色の塗り替えなどを行なう
“洗い場”があるはずだ…と捜しまわり目をつけたのが、古屋に隣接した有蓋駐
車場。その向かいの淀川パーキングには、75歳の大江という管理人が常駐して
いた…。


以前読んだ時は、鮫島さんには、もっと孤独感が漂っていた印象があったんだけ
ど、今回は孤独色?薄め。

新宿の地理や歴史、また新聞連載されていたという経緯なのか、過去の事件を
振り返ったりと、くだくだしい説明に、はじめは読みづらいところもあり…で
した。

がッ!!長い時を経て、白日の下にさらされたもの…。そこから現在と過去が
交錯し、様変わりした街、変わらない人間の業と、俄然おもしろくなってくる
のです。そして、読みきらないうちは眠れない!と、一気読み。
長々と語られた新宿の歴史も、だんだんと意味を持つものになっていくわけな
のね〜。

今回は、とことんこだわってます、新宿に。
バラバラだった断片が収束していく展開は、ありがちかなと思ったけれど、
最後まで飽きさせず、高揚感・緊迫感を保ったまま、読ませる力量は、さすが!
派手さはないけれど、読み応えありです。ラスト、涙ぐんでしまいました〜。


 10月21日(土) 「風の海 迷宮の岸」 小野不由美(講談社文庫)

amazon2000.4月発行・348P・629

[十二国記シリーズ]
先日読んだ「月の影 影の海」に続いて、二作目読了。

天啓によって王を選び出すという役目を担う神獣・麒麟は、蓬山の捨身木に
実る。ところが、戴国の麒麟・泰麒は、孵る以前に突然の蝕に襲われ、蓬莱
(日本)に流されてしまう。

そして10年の歳月が流れた…。人間として育った泰麒は、見つけられて、蓬山
に連れ戻される。女怪や女仙たちのたくさんの愛情に包まれて過ごす泰麒だが
麒麟としての能力は何ひとつ発揮できなかった。しかし、次期泰王を選ぶ夏至
の時期は近い。門は開かれ、我こそはと思うものたちが蓬山に昇ってきた。
果たして、彼は王を選ぶことができるのか??


今回は、とにかく泰麒がいとおしくて、メロメロ。
母のように見守る気持ちで読んじゃったね〜。
どんなに愛情を注がれ見守ってもらっても、王を選び出すこと、自分の中の麒麟
の力を見出すこと…それだけは、自分の力でなしとげなければならない幼い泰麒
の不安と成長に、一喜一憂。
思わず、そんなに期待にこたえることばかり考えなくてもいんだよ…と声をかけ
てあげたくなっちゃうキャラクターなんだよね。
景台輔の不器用な優しさ、延王の懐の深さも、物語に深みを出しています。

そして、さりげなく書かれる“その後”。
ちらりと語られる景女王の様子、「月の影 影の海」では確か泰麒は行方不明に
なっていたはずだし、何が起きたわけ!?と、読む者の気持ちをくすぐるんだよ
ねー。

十二国記における麒麟の役割、この世界観のルールや、しくみなども、どんどん
わかってきて、このシリーズ、ますます面白い!


 10月16日(月) 「新・匿名座談会」 本の雑誌編集部(本の雑誌社)

amazon2000.10月発行・251P・1600

「本の雑誌」に連載されている、“匿名座談会”のページをまとめたもの。
この座談会とは、出版界の同じ業務に関わる人を集めて、日頃思っていること
を匿名で語ってもらおうとする場。

掲載されているのは、児童書編集者、図書館司書、下訳者、写真集編集者、
新聞連載小説担当者、料理雑誌編集者…など、23業種。

ふだんなにげなく見ている地図や時刻表は、こんなに手間をかけて作られている
んだと驚き、ティーンズ文庫における、イラストレーターの力の大きさに認識を
新たにし、育児雑誌にはこんなクレームがあるの!?と呆れたり…。
そして、社員カメラマンの話には、真保裕一さんの「ストロボ」を思い出しまし
たね。さまざまな苦労と共に語られる、それぞれの作る喜びには頷けますよ。

現場の担当者ならでは…の本音・裏話が、おもしろい♪
好奇心も満たされて、興味深く読めました。


 10月13日(金) 「上と外 2.緑の底」 恩田陸(幻冬舎文庫)

amazon2000.10月発行・160P・419

書き下ろし“連載文庫?”の形をとる、この作品。
8月に刊行された「上と外 1.素晴らしい休日」の続きです。

これはねー、もう、完結するまで叫び続けるしかないわね。
「それで続きは、どーなるのぉーー!!」
今回も気になる、い〜いところで終わってるんだよ。くぅー、憎いねぇ〜。

2巻目の「緑の底」は、クーデターに巻き込まれ、異国の鬱蒼とした熱帯雨林の
中に放り出された千華子と練のその後…を中心に綴られていきます。
(この「緑の底」という副題も、読み終わった時、気になるわけよぉ)

恩田さんの雰囲気作りは、あいかわらず巧い!
ソファの上でヌクヌクと読んでいても、中米の光も届かない暗い森の中をさまよ
い歩く、二人の不安・いらだち、息遣いまで聞こえてきそうで、ドキドキしなが
ら読み進みました。

練の持つ冷静さと知恵に、惚れ惚れしてしまった私。
これからの時代、知識じゃない、知恵だ!生きていく力だー!なんて痛感したり
して。私なら騒いでパニックになって終わりだな(笑)と、わが身をふりかえっ
たもんなぁ。

さて、この続きはいかに…!?
練と千華子が聞いた謎の声の正体は?
そして、二人が名づけた場所「屋根のある祭壇」の隠された秘密とは??
ますます目が離せませんよ〜!


 10月12日(木) 「月の影 影の海(上・下)小野不由美(講談社文庫)

〔上巻〕amazon2000.1月発行・264P・533
〔下巻〕amazon2000.1月発行・255P・533

異世界に存在する十二の国を舞台にしたファンタジー。
[十二国記シリーズ]の始まりです…。

優等生でいい子、だけど人の顔色ばかり窺いながら、従順に、ただ流される
ように生きてきた女子高生・陽子。

「…見つけた、あなただ」
ある日突然学校に現われた、ケイキと名乗る得体の知れない男が、陽子を連れ
去った。海に映る月の光をくぐりぬけ、辿り着いたのは、地図にない国−功国。

倭(=日本)から、“虚海”という何もない真っ暗な海を渡った人たちは、
「海客」と呼ばれ、災いをもたらすといわれている。ケイキともはぐれ、一人
でさまようことになった陽子。
どうしてこんな世界に連れてこられたのか?なぜ陽子が狙われるのか?
なにひとつ説明もされず、全く状況がわからないまま、異世界に放り込まれ、
命の危険にさらされる。そしてそれは、誰も信じることができなくなる孤独な
旅でもあったのです…。


上巻は、辛い展開でした。
これでもかこれでもかと与えられる試練。
全てのものから切り離されて、たった一人で、理由もわからず、闘っていく。
追われ、裏切られ、味方もいず、ボロボロになっていく陽子の姿は、読んで
いて、本当に辛かった。

その分、陽子がたくましく成長し、謎が解ける下巻は爽快!
一気に視野が開ける感じでしたね。
楽俊(らくしゅん)や延王の登場も、おもしろさの一因です。

一つの大きな物語としての構想が見えてくると、俄然おもしろくなってくる。
ハマリそうです♪


 10月10日(火) 「神様がくれた指」 佐藤多佳子(新潮社)

amazon2000.9月発行・376P・1700

児童文学の世界でも活躍している、佐藤多佳子さん。
大人向けの小説としては、彼女を一躍有名にした「しゃべれども しゃべれ
ども」から、3年ぶりの新刊です。

マッキーこと・辻牧夫は、電車専門のプロのスリ師。
伝説の名人・早田のおじいちゃんから、教わった技と盗人の仁義。
頑固な職人気質と古めかしい犯罪美学の持ち主なのだ。

物語は、彼が1年2ヶ月の刑期を終えて、出所するところから始まります。
彼には待ってくれている人たちがいる。出迎えに来てくれた育ての親・早田の
お母ちゃんと帰宅中、電車の中でガキのスリグループに遭遇。自分がついて
いながら、お母ちゃんのバックから、まんまと財布を盗み出され、おまけに追
いかけて、争った際にケガを負う。

倒れている辻を偶然助けたのが、昼間薫。
別名マルチェラ、「赤坂の姫」とも呼ばれる占い師だ。
小柄で華奢な体格、澄んでよく通る中世的な高い声。いでたちからも、よく間
違えられるが、れっきとした男性だ。
奇妙な道を歩んできた二人は、こうして出会い、同居生活が始まった。

辻は、同業のプライド・好奇心・幼く暴力的な彼らへの嫌悪感のため、この
スリグループを執拗に捜し続け、昼間は、学校の友達についてきて、ついで
のように占った寡黙で孤独な一人の女子高生を、ずっと気にかけていた…。

佐藤多佳子さんの作品って、読んだ後、ポッと温かい気持ちが広がるんだよ
ね。主人公の辻と昼間薫をはじめ、それぞれのキャラクター作りが巧い!
ひ弱で繊細そうに見えるけれど、芯のしっかりとした早田咲、口うるさいが
悪い人ではない大家の三沢医師、西方親分を中心としたスリ集団…と脇役まで
しっかりと血がかよいイキイキと描かれている。みんないい人たちなんだよ〜。
辻は、いわば犯罪者なんだけど、愛されてるし。

そして、関わり合うおのおのの適度な距離間が、読んでて心地いい。
だからこそ、それと対比するように描かれる、愚かな少年少女の薄っぺらい
繋がりが、くっきりと際立って痛いのだ…。 

最後まで飽きさせず、ぐぐぐいっと読ませ、後味のいい作品となっています。

余談ですが、物語の中で、あまりにもあっさりとスラれていくので、鞄の中の
自分のお財布は大丈夫??と気になってしょうがない、この頃です(笑)


 10月2日(月) 「フォー・ディア・ライフ」 柴田よしき(講談社)

amazon1998.4月発行・393P・1800円

初めて読む、“柴田よしき”作品。
名前からして、てっきり男性作家だと思い込んでいたら、カバーの著者紹介で、
女性だと知ってビックリ。ホントこの頃、作家の名前から性別を判断するのは
難しい〜(笑)

さて、「フォー・ディア・ライフ」。
好きでしたねー。うん、好き好き。柴田よしきさんの他の作品も、ぜひ読んで
みたい!という気になりました。

主人公は、花咲慎一郎…。
新宿ニ丁目のド真ん中にある、24時間営業の無認可保育園「にこにこ保育園」
の園長だ。彼は、ある辛い過去を持つ元刑事なのだが、今はこの仕事が、
子供たちの笑顔が、自分を救ってくれると生きがいとなっている。

その傍ら、破綻寸前の経営状態の保育園のため、友人からヤバイ仕事を
請け負う私立探偵を副業とし、赤字の穴埋めをしている。
今回の依頼は、ヤクザに追われる少年の保護と、家出少女の捜索。
花咲の眠れない日々が、また始まった…。


軽快に読み進むことができました。
場所柄ゆえ、外国籍女性・国籍のない子どもたち…と、預ける親も預けられ
る子どもも、さまざまな事情を抱え、背負っている。それは働いている保母
も園長自身も、しかり…なんだけど、そんな人々に対する視線が、とっても
優しいのね。素直で、まっすぐな眼差しがいいんだよなー。
重い問題も扱っているんだけど、重過ぎない。ベタベタと感情過多なところ
がないのも、好印象。
花咲慎一郎をはじめ、女医の奈美先生や、花咲の恋人の理紗などのキャラ
クターも魅力的だよ♪

ストーリーは、うーん、ちょっとうまくつながりすぎじゃない??という
ところが気になってしまって…惜しいのよぉー。
だけど「不夜城」などハードすぎる設定は、ちと苦手な私でも読みやすい。
女性でも、とっつきやすい?ハードボイルドになってるよ。

それにしても、この作品の中での花咲さんの睡眠時間は、いったい何時間
だったのでしょう??と思うほど、寝てません(笑)

続編「フォー・ユア・プレジャー」が、8月に出版されたようです。
シリーズ化、大歓迎〜!おすすめマークつけてもいいかな…と悩みに悩んで
次作に持ち越し。早く読みたーいッ。


  ★ 戻る