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2000年12月読了 
★印は、おすすめ
12/18 動機 横山秀夫(文芸春秋)
12/11 上と外 3.神々と死者の迷宮(上)恩田陸(幻冬舎文庫)
12/11 絵本を抱えて 部屋のすみへ 江國香織(新潮文庫)
12/9 壺中の天国 倉知淳(角川書店)
12/8 PINK 柴田よしき(双葉社)
12/7 西の善き魔女 2.秘密の花園 荻原規子(中央公論社C★NOVELS
12/4 ALONE TOGETHER 本多孝好(双葉社)
12/1 puzzle 恩田陸(祥伝社文庫)

 12月18日(月) 「動機」 横山秀夫(文芸春秋)

amazon2000.10月発行・290P・1571円

所轄署の金庫から消えた30冊の警察手帳。一括保管の起案が仇となって
しまったかのように窮地に追い込まれた貝瀬は、その犯行を内部犯行と
睨むが…表題作「動機」を含む、四篇の短篇集。


これが、非常にいいのダ!

どれもジリジリと追い詰められ、息づまるような緊迫感に、目が離せな
い。無駄のない文章。あっといわせるプロット。ラスト、ふっと気持ち
が抜ける快感。その巧さには、舌を巻く。

その中でも、殺人罪で服役・出所した男に舞い込む、ある依頼…の
「逆転の夏」が、抜きん出た出来!

真保裕一氏の作品が好きな方なら、きっと気に入る(はず!?)

松本清張賞を受賞したデビュー作品「陰の季節」、そして今後ぜひとも
彼の長編作を読んでみたいと思わせた、これから注目の作家です。

第五十三回日本推理作家協会賞受賞作品。  <★★★★☆>


 12月11日(月) 「上と外 3.神々と死者の迷宮(上)
                      
恩田陸(幻冬舎文庫)

amazon2000.12月発行・160P・419円

待ってたよ〜、書き下ろしシリーズ3巻目。
(「上と外 1」と「上と外 2」の感想は、こちらから)

ジャングルの中を歩き続け、練と千華子がたどり着いた神殿。救助を
待つ二人が感じた気配とは??一方、礼拝堂に監禁されていた賢と
千鶴子も、子どもたちの救助のため、動き出そうとします…。

思わぬ展開で、先が全然読めません。
(だから、おもしろいんだけどさッ!)
地獄の底のような地下に見えてきたものは?
そして、これまでとは毛色が違うクーデターを起こした連中の正体
とは??謎は、ますます深まるばかり…。

残り2冊、このペースでいくと、300ページほどなり。
ほんとにちゃんと終わるんでしょうか…といらぬ心配したりして。


 12月11日(月)「絵本を抱えて 部屋のすみへ」江國香織(新潮文庫)

amazon2000.12月発行・285P・667円

今年の「MOE」6月号−21世紀に残したい絵本100ーの特集で、江國
香織さん、今江祥智さん、小野明さんの対談を読んでから、ずっと
気になっていた、この本。文庫化されたとは、なんて喜ばしい!

子供の頃から絵本に接してきたという、江國さんのブックエッセイ。
35冊の絵本及び絵本作家の魅力を、愛情たっぷりに語ります。

読んでいて、非常に居心地のいい本でした。
まさに小さい頃、ずるずると本をひきづって部屋のすみで、
読んでいた時間と空間に、すっーと連れていってくれるような感じ。

今までずいぶん、絵本について書かれた本を読んできたけれど、
一番好き!!好き…というのは、自分の感覚と一番近しいものが
あったから。私なんぞじゃ、モヤモヤしてうまく言語化できないもの
が、「そうそう、その言葉なのよ!」と言葉の選び方が、ぴったりと
はまる感じ。なんて的確な言葉で語れる人なんだろうと、ホレボレ…。

これを読むと、江國さんの血となり、肉となっている“絵本のもつ力”
というものを、まざまざと感じずにはいられません。

ふだんあまり絵本と縁のない方にも、ぜひぜひ手にとって欲しい。
読んでみたい!と、図書館や本屋さんに走りたくなる気持ちにさせて
くれること、請け合いだから…。
(私は、山本容子さんの「おこちゃん」と、井口真吾氏の「Zちゃん」
が、非常に気になりました♪)       <★★★★


 12月9日(土) 「壺中の天国」 倉知淳(角川書店)

amazon2000.9月発行・437P・1900円

静かな地方都市で起こった、通り魔連続殺人事件。そして、犯行後にば
らまかれる意味不明の“電波怪文書”…。

小学生の娘と実父の三人で暮らす知子の穏やかな日々の暮らしに、少し
ずつ事件の影がさしていく…。その様子を軸に、被害者の最後の日のエ
ピソード、犯人からの電波怪文書などが差し込まれていきます。

巧みな構成で、最後まで飽きずに読ませますよ。なんでもない日常生活
を丁寧に描いていくことで、うすら寒〜い事件の特異性が浮き彫りにさ
れていくのね。

オタクのススメ!?ではないけれど、大人でも子供でも、本当に好きな
こと、夢中になれることをひとつでも持ってるって、すごく豊かなこと
なんだよーというメッセージ、好きだったなー。

最後の最後まで引っ張っておいて、簡単に謎解きがされるとは…と、肩
透かしをくらった後に、あっ!と思わされたのが、被害者の共通点と犯
人の動機。この事件の大きなポイント−被害者の共通点は、なんなんだ
ろう?と、ずっと考えながら読んでいたはずなのに、やられたーって気
分。(しかし、そんな理由で殺されたらたまらんよな)あぁっ、あそこ
で!と思いながら、あちこちページをめくり返してみたりして。あぁ、
もうあっちにもこっにも伏線がちりばめられていたんじゃないのさー。
これから読む方は、心して読みませう。

                          <★★  


 12月8日(金) 「PINK」 柴田よしき(双葉社)

amazon2000.10月発行・365P・1700円

阪神大震災で婚約者を亡くしたメイは、見合い結婚後、夫の転勤で、
再び神戸で暮らすことになる。亡くなった婚約者に似ている優しい
夫と、幸せな毎日を送っていたが、彼女は、いまだ心に大きな傷を
抱えていた。ある日、メイの元に謎のメールが届く。
「そろそろ時間切れです。心の準備をして下さい」
それから夫が別人のように思えてきた…。

ひと言でいうと、土曜ワイド劇場のドラマみたい…って感じでした。
ラスト、メロドラマになっちゃったしな…ありゃありゃ。

次々と起きる意外な展開に、驚くひまもなく物語は、どんどんどんどん
進んでいきます。
はぁ??どうして、そういう考えにいきつくんだろ??と、
深く考えるひまもないくらい…のスピード感。
とうとつに問題が起きて、とうとつな答えが出る感じ。

あれもこれもと詰め込んだ、ごった煮の印象はぬぐえない。
もうちょっと焦点を絞って欲しかったな。
視点としては、ミステリーとしてよりも、震災後の心のありように思い
をめぐらせ、恋愛小説として読む方がいいのかもしれません。
                            <★★


 12月7日(木)「西の善き魔女 2.秘密の花園
            
荻原規子中央公論社C★NOVELS


amazon2000.10月発行・365P・1700円

西の善き魔女シリーズ、二作目。

ルーンを守るため、伯爵と契約を交わしたフェリエルは、アデイルが
学んでいたトーラスの女学校に行くことになるのですが、そこはひと
すじ縄ではいかない場所だった…。

もうとにかく、ワッハッハーって感じ。

笑っちゃうんだけど、笑っちゃうんだけど、おもしろいよ〜、これっ!
(ほめてるんだよ〜〜)

中に入ってみなければわからないお嬢様学校の実態。
陰謀が渦巻き、そこでしか通じない常識がまかり通り…と、女子高の
特性を見事に織り込みながらの仕上がり。
勢いがあって、躍動感があって、とにかく楽しいんだよねっ〜〜。
ノリノリで書いているのがわかる。ちょっとアニメのノリだけどね。

元気でおてんば、何が起こってもくじけないフェリエルと、頑固で信念
の人・ルーンは、健在。そして、アデイルがやってくれました…って感
じで“白い馬”が登場してきた時には、もう拍手喝さいものでした。
やっぱりただもんじゃないです(笑)

一作目は、まだまだはじまったばかり…という印象でしたが、この二作
目、好きです♪                 ★★★★☆>


 12月4日(月) 「ALONE TOGETHER」 本多孝好(双葉社)

amazon2000.10月発行・261P・1400円

ある日“僕”は、脳神経学の権威といわれている医大教授に、呼び出さ
れる。3年前に退学し、たった6回しか、その教授の授業に出ていな
かったというのに。教授は告げる、「私が殺した女性の娘さんを守って
欲しい」と…。

この淡々とした、静かな空気は嫌いじゃない。
だけど、わかったようなわからないような…提示されたものが全て中途
半端のまま、物語が終わってしまったような印象を残してしまった。
(読解力の問題かねー、うーん。頭でわかるというより、感じるものな
のかもしれないね)

自分の中にグッと引き寄せて読むことができなかった。
一枚ベールを隔てたように物語の中に入っていけないのだ。

どこまで書いていいかわからないんだけど…。
“僕”は「相手の波長にシンクロすることができる」という特殊な資質
をもっている。それで、相手の深層心理を引き出すのだが、その暴くこ
とに救いが感じられなくて、読んでいて辛かった。それってやっぱり
「呪い」だから??                 <★★☆> 


 12月1日(金) 「puzzle」 恩田陸(祥伝社文庫)

amazon2000.11月発行・153P・381円

“400円文庫”と銘打った、祥伝社文庫15周年記念書き下ろし中篇。
このシリーズ、字も大きいし、薄いので、さらさらっと読めます。

鉱業所閉山後、無人化し、廃墟と化した小さな島。そこで発見された
身元不明の3人の変死体。死亡時刻は、ほぼ同じ。見つかった場所・
死因はバラバラ。これは事件なのか?事故なのか?

同期生の黒田志土に誘われて、島に上陸した関根春は、この不可解な
謎に挑みます…。


なんとも言われぬ不思議な余韻と読後感を残した作品。

今は朽ちて瓦礫の山となってしまったけれど、確かにここで多くの人
たちが生活をしていたという形跡…など、廃墟の舞台効果!?は、バッ
チリ。冒頭の「さまよえるオランダ人」「キュービックの製作発表」
「年号のスクープ事件」など、何の脈略もない記事のコピーが、その
後どんなつながりを持つのかというところも、読みどころでしょう。

だけど、だけど…うーん、どこか物足りない印象でしたね。
これはミステリーとして読むより、志土と春と共に廃墟の空間に身を
置いた気分になって、独特の雰囲気に酔いしれましょう〜って、
感じでしょうか。
                          <★★☆>

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