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2001年3月・4月読了  
★印は、おすすめ
4/30 黄昏の岸 暁の天 小野不由美(講談社文庫)
4/29 スターガール ジェリー・スピネッリ(理論社)
4/16 模倣犯 宮部みゆき(小学館)
4/10 勇者の剣 ブライアン・ジェイクス(徳間書店)
3/8 火の接吻 戸川昌子(扶桑社文庫)
3/7 図南の翼 小野不由美(講談社文庫)
3/3 飛ぶ教室 エーリヒ・ケストナー(岩波書店)
3/1 風の万里 黎明の空(上・下) 小野不由美(講談社文庫)

 4月30日(月) 「黄昏の岸 暁の天」 小野不由美(講談社文庫)

amazon】2001.4月発行・444P・714円

〔十二国記シリーズ〕第六作目。待望の最新刊!文庫書き下ろし。

風の海 迷宮の岸」で登極を果たし、王となった驍宗と泰麒。
その後「月の影 影の海」の中では、泰麒は行方不明になっていた。
いったい戴国で何が起こったのか??という謎の一端が解き明かされる…。

新王登極からわずか半年。戴国再興に燃えていた泰王・驍宗は、内乱鎮圧の
ため赴いた文州で行方不明になった。そして、幼い泰麒も、大鳴動と共に姿を
消してしまう…。

それから6年もの歳月が流れる。王と麒麟を失った戴国は荒れ果て、偽王の
圧政に苦しめられていた。虚海の中に孤立した戴国は、冬には全てが凍りつい
てしまう極寒の地。その中で反逆者と呼ばれ、追い立てられながら、二人の
行方を捜し続けたのが戴国の女将軍・李斎。その彼女が、満身創痍の姿で
慶国の禁門に辿りつく。「戴を救って欲しい」と、慶王陽子に会うために…。

まずは今回、陽子・景麒・延王尚隆・六太・祥瓊・鈴・虎嘯・遠甫・桂桂…と
おなじみのキャラクターが、わんさか登場だぁ。嬉しくて、うひゃひゃ状態♪

物語は回想を織り交ぜながら、李斎が語る王と麒麟が行方不明になっ経緯
と、その後の戴国の状況。謀反を起こし裏切ったのは誰だったのかと、次第
に明らかにされる事実…。そしてなんとか泰王と泰麒を探す道はないものかと
模索し始める陽子たちを中心に展開していく。


十二国の世界には、たとえ荒廃した国の民を救うためであろうと、軍兵を他国
に向かわせてはならないと言う条理がある。
李斎は、それを知りつつ、泰麒と
同じ胎果の王で、こちらのきまりに精通していない陽子が納める慶国に助けを
求めた…。故郷に縁のあるものを懐かしみ、情に流されて戴を救おうと起って
くれることを期待して…。

起てば、戴のために慶を沈めることになる。非道だとわかっていながら、それ
でもなんとか国を救いたいという、李斎の大きく揺れる心情と葛藤。
そんな中で、助けを求められた陽子の決断とは?
他国には介入しないという慣例のある、この世界で何ができるのか?

陽子は、よりたくましく、凛としてきたなぁと、感慨もひとしお。
延王とも堂々と渡り合うほどになったのね(今回延王は、陽子だけじゃなく
氾王にも、やられっぱなしだったけど)
まずは、その世界の決められたルールと仕事を覚える。その後、おかしいとこ
ろを見つけ、古いルールを破り捨て、よりよいやり方を考えていく…。
登極から、3年。ああ、まさに社会人3年目と似たような立場!?
 
皆の前でも堂々と自分の考えを述べ、それでいて失うことのない陽子の誠実さが
周りの王や麒麟たち、さらに李斎の心をも動かしていく。彼女の存在が、
これからこの世界のシステムを少しずつ変えていくような予感が。この世界の
慣例を打ち破っていく力を秘めているような感じがする…。

今回李斎が投げかけた世界の在り方への疑問、全てを司る天帝という存在へ
の疑問。陽子がこの世界に存在する条理というものに対して抱いた気持ち。
これからのこのシリーズの展望が少し見えてきた気もします。

そして、ラストでは、あの幼なくておどおどしていた泰麒もすっかり成長したん
だなぁと母の気持ちになってしまった。

ああっ、それにしても、ここで終わってしまうとは…。あう〜〜ぅ。
麒麟としての力をなくしてしまった泰麒のこれからは…。
そして泰王は、いずこに〜〜。ああっ、どうなるわけよぉ〜〜。

とにかく、まだまだ戴国の物語は終わっていない。泰王・驍宗の消息不明には
明らかになっていない謎も多く、これから、ひと波瀾ありそー。
7月には、十二国のエビソードを集めた短編集が、そして11月に刊行予定の第
七作目は今回の続きなのか??うーん、よくわからないが、続きがッ、続きが
気になる〜〜♪あぁ、その前に、私は、「魔性の子」早く読んじゃわないと!
そして、初登場で強烈な印象を残した氾王と氾麒(笑)範国の物語も、書いて
くれないかなぁ。

このシリーズ、未読のあなた!パラパラと見ると、漢字が多くて、ギョッとする
人もあるかもしれませんが、おもしろさは、保証つきッ!決して期待を裏切り
ません。絶対おもしろいから、読んでみて〜〜!


 4月29日(日) 「スターガール」 ジェリー・スピネッリ
                            千葉茂樹・訳(理論社)


amazon2001.4月発行・313P・1380円

“全米書店員が選ぶ「2000年いちばん好きだった小説」
“ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト8週連続トップ10入り”
“パラマウント社が映画化権を獲得”
帯に華々しい文字が並ぶ、ジェリー・スピネッリの新刊です。

新学期、ハイスクールにスターガールと名乗る変わった新入生がやってきた。
靴まですっぽり隠れる生成のロングドレス。ウクレレを背負い、ペットの
ネズミを連れ歩く。ランチルームではウクレレをかき鳴らしながら、歌い
踊る。彼女は、その名の通り、学校の雰囲気さえも、変えていくのだが…。

語り手の“ぼく”の目を通してみたスターガールの姿と、異質な人間に対して
の集団の反応を中心に、物語は、めまぐるしく展開していきます…。


う〜ん、期待大で読んじゃったせいか、私にはイマイチだったかなぁ(^^;
スターガール自身のキャラに持ってしまった違和感とズレが、埋まることなく
読み終えてしまった。彼女のあまりに突飛すぎる言動は、リアルさに欠け、
彼女の気持ちにもイマイチ、共感して入り込むことが出来ずじまい。

スターガールは、常に“自分のまま”であり続ける…。それが現代、どんなに
困難であるのかもわかる。しかし彼女の言う、常に周りの人たちの幸せを思って
の行動。そして、人が自分をどうみているかは全く気にならないというそれが、
全てとは言わないが、空回り、ひとりよがりと受け取れる場面も少なくない。

自分もそんな風に生きみたいという憧れる要素がなく、最後まで不可解だった
行動に
戸惑い痛々しく思えてしまうほどだった。

彼女の存在を、頭でわかろう、理解しようとしすぎたのであろうか…。
掴みきれずに、考えれば考えるほど、わからなくなってしまった。

同じ様に風変わりでも、骨の家に住み、サボテンと会話を交わすという、一本筋
の通った哲学を持つ古生物学者アーチーの方が、ずっと魅力的に感じられた。

スターガールの行動戸惑い賞賛し、そして…と生き物のように変わっていく
集団心理。
スターガールに惹かれていく“ぼく”自身の揺れ動く心を巧みに描い
ていくあたりは、さすがにジェリー・スピネッリ節か…。

ラストは、予定調和かな。先が読めちゃうのが、緊張感をそがれてしまって、
ちょっと残念…。


 4月16日(月) 「模倣犯(上・下)」 宮部みゆき(小学館)

〔上巻〕amazon2001.4月発行・721P・1900円
〔下巻〕amazon2001.4月発行・701P・1900円

上下巻あわせて1400ページあまり。あとがきによると、週刊ポストでの3年間の
連載、その後加筆改稿に2年…と、5年がかりで出来上がったという文字通りの
大作だ。

とにかく読み始めると、最後まで目が離せなかった!長さは全く感じさせない。
逆に先が気になって気になって、これを読み終わるまで、何も手につかないと
落ち着かない気分にさせられた。私自身の引越しボケも、すっかり吹っ飛んだ
ねぇ〜。

公園のゴミ箱から発見された女性の右腕。
影でせせら笑っているのは、マスコミを使い、警察を挑発し、被害者の家族を
振り回す連続殺人犯人…。


謎解きではなく、犯人も犯行も真実も、全て明らかにした状態で、ストーリーは
進んでいく。

愛犬の散歩中、“右腕を発見した少年・塚田真一。豆腐屋の店主で行方不明
になった孫娘を心配する老人・有馬義男。警視庁のデスク担当・武上。フリー
ライターの前畑滋子。小さな印刷工場のおかみさん・足立好子。蕎麦屋の高井
兄妹…。ここには、いくつもの物語がある。


決して、愉快な話ではありません。ささやかに、それでいて真面目に生きてきた
人たちの身の上に、ある日突然降りかかった大きな悲劇と苦しみ。事件によって
破壊され、狂わされた人生…。はらわたが煮え繰り返るような思いがして、やり
きれなかった。

家族がいて、日々の暮らしがある。血の通った登場人物が抱えるそれぞれの生
活を、ストーリーの中に丁寧に織り込んでいくことで、いつ被害者として巻き
込まれるかわからない怖さも、その衝撃も、より強く感じられることとなる。

そんな中にも、きちんと生活を営んできた人間のもっている真っ当な判断力と
感覚。ものごとを見抜く力。分別と強さが、光のように見えてくる…。

たくさんの登場人物の中で、やはり一番印象に残ったのが、有馬義男。
彼のひとつひとつの言葉が、心に染みた。気骨でずっと気丈だった彼の最後の
叫びに、こみあげてくるものを押さえることができなかった。

決して期待を裏切らない宮部さんの大長編!ぜひせひ、読んでみて!


 4月10日(火) 「勇者の剣」 ブライアン・ジェイクス作 
                        西郷容子訳(徳間書店)


amazon1999.7月発行・541P・2800円

1986年イギリスで出版され、現在では10か国以上で翻訳されているという本書。
あと書きを読んで初めて知ったんですが、この「勇者の剣」は“レッドウォール
伝説”という長い長い冒険の最初の物語なんだそうだ。邦訳では、現在、第一作
目の「勇者の剣」のみ読むことができるようですが、本国イギリスでは、シリー
ズ12冊+絵本1冊が出版されているとか。

モスフラワーの森近く、赤い壁に守られたレッドウォール修道院では、ネズミ修
道士たちの平和で豊かな暮らしが営まれていた。そして時は、“バラが遅れて咲
いた夏”と名づけられた年のこと…。

凶悪なドブネズミ「鞭のクルーニー」が、軍団を率いて修道院を襲撃してきた。
修道士ネズミたちと、森の生き物たちは、悪にひれふすわけにはいかないと、立
ち向かうことに!しかし、悪を倒すためには、かつて、修道院を災いから救った
という勇者マーティンの伝説の剣が必要だった。若き修道士ネズミのマサイアス
は、勇者の剣を求めて、様々な謎を解き明かしていく…。


この物語には、人間は、誰一人として登場してきません。擬人化されている物語
は、読みづらいかなという心配は御無用〜。 532ページと、かなりボリュームは
ありますが、勢いのあるストーリーで、テンポよく読むことができました。

修道院での心豊かな暮らしぶり(ここで振舞われるごちそうが、おいしそうなん
だよね〜)、そして力持ちで頼もしいアナグマのコンスタンス、ズズメの<鉄の
くちばし>、うさぎの<牡鹿バージル>と、個性豊かで愉快な登場人物も、この
物語の魅力の一つでしょう。

主人公の若き修道士ネズミのマサイアスは、正義と勇気にあふれてて、まぶしい
くらい、まっすぐなキャラクター。あまりにもストレートで、マサイアスの負の
部分を全くみせないため、物語が平面的となり、深みがないという物足りないと
ころも。もう少しひねっててもよかったかなぁ。

とにかく、悪役・善役が、思い切りハッキリした勧善懲悪の物語。型通りですが
逆に安心して読めるところなのかもしれませんね。ファンジーというよりは、冒
険もの…いや、ヒーロー(英雄)ものと思って読むと、しっくりくるかな。


 3月8日(木) 「火の接吻」 戸川昌子(扶桑社文庫)

amazon2000.12月発行・357P・667円

翻訳され海外ではベストセラーになっていたが、日本では絶版後、手にするこ
とができなかった本作が、扶桑社<昭和ミステリ秘宝>として、復刊。

戸川昌子さんと言われると、派手でちょっと怖そうなおばさま…というイメージ
しかなかった私が愚かでした(^^;こんなにおもしろいミステリーを書かれて
いたとは…と、認識を新たに!

26年前、洋画家宅から出火し、療養中だった画家が逃げ遅れて焼死した。出火
原因は、3人の幼稚園児の火遊びによるものと思われたが、彼らは「黒い蝙蝠
口から火を吹いた」と主張していた。
そして、月日は流れ…31歳になった3人は、ある放火事件をきっかけに、意外な
形で再会する…。

消防士、刑事、放火魔の視点から語られていく、このミステリー。
な〜んだ、最初から誰が放火魔か、明らかになってるんじゃない…なんて、
軽く考えることなかれ…。

ライオンの胃袋から出てきた身分証明書、謎の火吹き男、ライオンの形をした
石仏と、次々と提示される摩訶不思議(笑)な謎。
この人が怪しい、いやこっちだってと惑わされているうちに、ラストにかけて、
息つくひまもない、怒涛のどんでん返しの繰りかえし!!しかも、ああ無情…。
情けも容赦もなく、ビシビシと…。(うひゃー、やっぱり怖いおばさま!?)

初出版は、1984年ですが、古さも感じさせず、最後の最後、エピローグまで、
十分に楽しめること請け合いです。


 3月7日(水) 「図南の翼」 小野不由美(講談社文庫)

amazon2000.1月発行・389P・695円

〔十二国記シリーズ〕第五作目。
今回の主人公は、「風の万里 黎明の空
」にも、ちらりと登場していた珠晶。

先王崩御から27年…。王不在の恭国は荒れ、近頃は街の中までも妖魔が
出没するようになってきた。12歳の珠晶は、ヌクヌクと暮らすこともできた
豪商のお嬢様。しかし、それを良しとはしない彼女は、他人事の顔で嘆いて
ばかりいる、
周りの大人たちに憤慨する。
「まどるっこしいたら、ありゃしない。大人がいかないなら、あたしが行くわ」
かくして、珠晶は、王になるために、蓬山を目指す。
それは過酷な旅の始まり
だった…。


珠晶は、このシリーズのこれまでの主人公たちとは、全く違うタイプ!
どちらかというと、内側に入ってしまうキャラが多かったけど、珠晶はパワーが
外に出る。悩み、葛藤しながらも、決してウジウジしないのだ。決断し、行動
する力にあふれている…。“自分で考えて、自分で行動する。自分で責任を
とる”という、当たり前のことができる、最初から自立心の強い賢い女の子
なのだ。

自信もここまでくれば、ちっともイヤミじゃない。痛快、爽快で、気持ちがいい
くらい!ストーリーも、珠晶の性格同様、テンポ良く進んでいきます。

曇りのない真っ直ぐな眼差しでものごとをみていく珠晶の姿に、ハッとする
ことも多かった。人を引きつける磁力をもっている彼女の魅力にハマッたね。

さまざまな出会いを通し、人間のいろんな部分を見て、失敗をも自分の糧にし、
大きくなっていく珠晶。彼女を通して、愚かな大人の姿も浮き彫りにされて
いく。黄海に詳しい猟獅師の頑丘、正体不明の利広の存在も、おもしろさに
一役買っています。


さあ、この春、楽しみなのが、文庫書き下ろしの新作!いよいよ、期待が高ま
るね〜〜♪


 3月3日(土) 「飛ぶ教室」 エーリヒ・ケストナー 高橋健二訳(岩波書店)

amazon1962年発行・234P・1600円

今頃なんだ!「飛ぶ教室」だ!ということで、この作品。

“いい話やね〜〜”と、この言葉に尽きるのね…。
正義先生と呼ばれるベク先生が、子どもの頃に、母親の見舞いのため、こっそり
と寄宿舎を抜け出した時の話や、主席のマルチンが、帰省したくても家にお金が
ないために帰れないで悲しんでいる…という、ひとつひとつのエピソードが。
先生と生徒の関係も(これがまた尊敬に値する先生なんだな。手の差し伸べ方、
立ち入り方も絶妙なんだよね)。そして、個性の異なる少年たちの間の深い友情
も…。そこには、現代人が忘れているような気高ささえ感じられます。

ストーリーは、1930年代のドイツのギムナジウムを舞台に、クリスマスまでの数
日間を描いていきます。他校との乱闘、クリスマス劇、クリスマス休暇への帰省
と、個性あふれる5人の少年と2人の先生を中心に話は展開していきます。

この作品が書かれた時代は、ヒトラーの思想弾圧で、ケストナー自身の著書も
発禁となった頃。亡命をすすめられたけれど、彼はベルリンに残り、唯一許され
た少年向けの作品を発表し続けるのですが、「飛ぶ教室」も、その1冊です…。
そんな背景も手伝ってか、ひとつひとつのメッセージには、裏打ちされた痛切な
思いがちりばめられているように感じした。

これは、名作でしょう!今の子どもたち差し出すには…うーん、やっぱり古いか
なぁ…。いい話なんだけどなー。
だけど、この真っ当で豊かな世界は、心のどこかにもっていたいなと思わせてく
れました。


 3月1日(木) 「風の万里 黎明の空(上・下)」 小野不由美(講談社文庫)

〔上巻〕amazon2000.10月発行・344P・629円
〔下巻〕amazon2000.10月発行・363P・629円

〔十二国記シリーズ〕第四作目。
月の影 影の海」の続編。陽子と楽俊の再登場が嬉しいね〜〜ッ!
十二国記シリーズは、どれもおもしろいけれど、「図南の翼」までの中で、私は
これが一番好きでした♪

景王として即位はしたものの、国の事情もよくわからない陽子は、全て諸官の言
いなりに…。顔色ばかり伺っている自分のふがいなさに悩んでいた。

長い間、民を虐げてきた父親(芳王)が殺され、芳国の公主でありながら、国を
追われた祥瓊。公主である自分にいつまでもこだわり、景王が同じ年頃の女の子
だと聞いて、自分がなくした一切のものを持っているのではと、陽子を妬ましく
思うようになる。

売られ、奉公先に向かう途中で虚海に落ち、蓬莱からたどりついた少女・鈴。
いきなり迷い込んだ異界で、さげすまれ、あざけられる毎日。誰か私をここから
出してと泣き暮らしていた。鈴は同じ蓬莱出身の景王なら、自分を哀れんでくれ
るのではないか、なんとかしてもらえるのではと、才から慶国に向う。

そして、陽子は、慶国の実情を知るために、街に降りてみたいと直訴する…。

それぞれに、もがいていた三人の娘。
全て他人のせいにしていた祥瓊、また他人がなんとかしてくれると思っていた鈴
も、人との出会いを重ねることにより、己を自覚し、自ら動き出す。
陽子もわからないからととどまっているわけではなく、自分で行動を起こそうと
するところから、自分の道を切り開いていく…。

誰の中にもある弱さを浮き彫りにし、それを乗り越えようとする姿には、声援を
送りたくなります。そしてあの頃の自分、いや今だって十分自分と重ね合わせて
読むことができました。陽子ばかりはなく、祥瓊や鈴のキャラクターが、物語を
より厚くしています。いや〜、陽子は前作より、ずいぶんたくましくなりました
ねー。ラストは、痛快!でした。

ほんの一場面の登場ですが、「図南の翼」の主人公となっている珠晶は、ここで
も鮮やかな印象を残してくれますよ!


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