| 2001年6月読了 | |||
| 6/25 | ジーク 2 ゴルドニア戦記 斎藤洋(偕成社) | ||
| 6/25 | ジーク 月のしずく 日のしずく 斎藤洋(偕成社) | ||
| 6/22 | だれが「本」を殺すのか 佐野眞一(プレジデント社) | ||
| 6/20 | 人町 荒木経惟・森まゆみ(旬報社) | ||
| 6/20 | 秘密の花園 バーネット(岩波少年文庫)★ | ||
| 6/12 | あなたのための小さな物語 1〜8 赤木かん子・編(ポプラ社)★ | ||
| 6/11 | 口笛吹いて 重松清(文芸春秋) | ||
| 6/11 | 上と外 5.楔が抜ける時 恩田陸(幻冬舎文庫) | ||
| 6/4 | 素晴らしい一日 平安寿子(文芸春秋) | ||
| 6月25日(月)「ジーク 月のしずく 日のしずく」「ジーク 2 ゴルドニア戦記」 斎藤洋・作 小澤摩純・絵(偕成社) 〔ジーク〕 〔ジーク 2〕 オオカミ猟師の子として、山の中で育ったジークは、父・アレスの手ほどきを 受け、弓と剣の名人であった。父の死後、ジークは、百人隊の隊長になった 幼なじみのバルに連れられて、都へ行くことになる。そこで、彼が知る秘密 とは…。〔ジーク 月のしずく 日のしずく〕 ジークの元に、隣国ブラウニアに攻め込まれ、窮地に陥っているコルドニア の知らせが届く。ジークは、ジルバニア国王の要請で、海を隔てたゴルドニア へ向かうことになった…。〔ジーク ゴルドニア戦記〕 「ジーク 2 ゴルドニア戦記」の評判を聞き、未読の前作も含め、読んでみた。 評判通り「ジーク 2 ゴルドニア戦記」の方が、おもしろかったが、 うーん、大人の目で読んじゃったせいか、どちらも物足りなさは否めなかった。 それなりには、楽しめるんだけど…。 「ジーク 月のしずく 日のしずく」は、あまりにも都合よく、サラサラと ストーリーが流れていく印象が強いのね。出来すぎだろ??というところも。 それに比べて、「ジーク 2 ゴルドニア戦記」の方は、ジーク自体が精神的にひと まわり大きくなったなと感じさせ、ハラハラドキドキと読める…途中までは。 だけど、最後…ここで、もうひと盛り上がりしてもらわにゃあ、それまで おもしろかった分、尻つぼみだよ〜〜。もったいない! |
| 6月22日(金) 「だれが「本」を殺すのか」 佐野眞一(プレジデント社) 出版不況といわれる昨今。ノンフィクション作家である佐野眞一氏が、 書店・流通・出版社・地方出版・図書館・書評・電子出版と、本に関わる 人たちに取材を重ね、それぞれの分野の現状と問題点を明らかにしていく…。 出版業界の流通システムは、素人にとって、そんなのあり!?と驚くことが 多かったし、おかしいよ!と思うところも少なくなく、興味深く読んだ。 その中で、頑張ってる書店の人たちのインタビューが、おもしろかった。 ブックオフの社長、アカデミー出版の社長の話も強烈だったなぁ…。 ただ、一部だけの引用だと、ニュアンスが伝わりにくいところがあるんだけど、 例えば、「本の雑誌」の元発行人目黒考二さんとの、こんなやりとりがある。 −「このミス」にベスト10が発表されてからその本を読みにくるのは目黒 さんにとって「読者」なんですか。 「読者でしょ?ほかの何なのかな?」 −うーん、そういってしまえばそれなんだが…。 …など、裏のある物言いが、非常に気になった。 “だれが”の結論は、この本の中では明記されていない。 一部の編集者の質の低下・本の内容低下・それを読む読者の低下だと、言いたい ことは浮かびあがってくるのだが、全体的にぼかされてしまった感じ。たとえ同 じことを言われるにも、スパッと言われるならいいけど、なんかネチネチ、くど くどとした印象をもってしまう。なんとなく高みから、ものを言われているよう な気もして、なじみにくいところも、チラホラとみえてしまった。 わたしにとっては、元「往来堂書店」店長で、bk1のサイトコーディネーターの 安藤哲也氏に注目できたことの方が収穫だったりして…。 ・安藤哲也のbk1店長日記 ・7/1から、bk1で「ブックス安藤」立ち上げ。 ・安藤氏発行のメールマガジン 「AND SENSE」 まぐまぐマガジンID:0000032022 ・ほぼ日刊イトイ新聞で、糸井さんとの対談「新しい本屋さんの考え」掲載中。 |
| 6月20日(水) 「人町」 荒木経惟・森まゆみ(旬報社) アラーキーこと荒木氏が、谷中・根津・千駄木近辺の町並みの風景と、そこに住 む人たちの表情を1年かけて撮りつづけた写真+森まゆみさんの文章の共著。 この界隈に住む職人さんのインタビューや、二人の対話、街の人たちとの会話も 織り込んであります。 大人になって、ふっと思い出す風景って、こんな感じじゃないかなぁと思った |
| 6月20日(水) 「秘密の花園」 バーネット作 吉田勝江訳(岩波少年文庫) 言わずと知れた名作…ですが、なんとなく知ってるつもりになっていて、きちん と読んだのは、今回が初めて(^^; インドに住む富豪の娘…しかし、誰にもかわいがられることのなかった、 ひねくれて、わがままな少女メアリ。彼女は両親を亡くした後、伯父の家に ひきとられることになり、イギリスのヨークシャーに渡る。 そこは、荒野の端にある大きな古いお屋敷。ある日メアリは、10年間誰も 入ったことがないという、高い壁をめぐらし、鍵のかけられた庭のことを 耳にする…。 “イギリスの庭”というと、すぐに「トムは真夜中の庭で」を思い出しますが、 この「秘密の花園」は、ファンタジーではありません。 それぞれの心と重なってみえる、“閉ざされた庭”。 荒れ果てた庭が生きかえっていくのと共に、心も体も息を吹き返す…。 メアリだけではなく、二重三重の輪となり、生きていく力が復活していくさまが 非常にわかりやすく書かれています。(多少、そりゃあ出来過ぎだろッと思う ところもなきにしもあらずですが)。そして子どもは、こんな風に大人の知らな いところで、大きく成長していくんだろうなぁ。 これが書かれたのは、今から100年近く前の1909年。 子どもが、まっとうに成長していくためには、何が必要なのか。 巷に氾濫している小手先のものではない…物語自体の持つ大きな力を感じさ せるところが、今読んでも極めて良質です。 “いまさら…”ではない、古典のおもしろさを再認識できました。 |
| 6月13日(水) 「Little Selections あなたのための小さな物語 1〜8」 赤木かん子・編(ポプラ社) 〔1.戦争〕 〔2.安楽椅子の探偵たち〕 〔3.ロマンティック・ストーリーズ〕 〔4.暗号と名探偵〕 〔5.マザー〕 〔6.おいしい話〕 〔7.花のお江戸のミステリー〕 〔8.解放〕 “昔の文庫本などは、字体が古く、字が小さくて読みづらい。 だけど、今読んでもおもしろいがあるんだけどなぁ” …だったら、短編を3つくらい入れた、字も大きくて読みやすい本を作っちゃお うよと考えられたのが、このシリーズ。 この発想がすごく好きだし、事実、選びぬかれた作品は、どれもおもしろい! 「戦争」「安楽椅子の探偵たち」「ロマンティック・ストーリーズ」「暗号と名 探偵」「マザー」「おいしい話」「花のお江戸のミステリー」「解放」と8つの テーマに沿って、かん子さん自身が選んだ珠玉の中・短編&コミックが、1冊の 本の中で読めちゃうというもの。全8冊。(図書館本。「安楽椅子の探偵たち」と「暗号 と名探偵」は借りられてなかったため、現在のところ未読です…) 例えば、Little Selection 8の「解放」に掲載されているのは、 ・「めいめいの言葉で」 モンゴメリー (新潮文庫「アンの友達」より) ・「ピネロビへの贈りもの」 ロバート・F・ヤング(「ジョナサンと宇宙クジラ」より) ・「森には真理が落ちている」 川原泉(これは、コミックね) ・「アンクル・エナー」 レイ・ブラッドベリ(「10月はたそがれの国」より) Little Selection 3の「ロマンティック・ストーリーズ」は、 ・「よみがえった改心」 O・ヘンリ ・「夏の手鏡」 今市子(「百鬼夜行抄」より) ・「お気に召すことうけあい」 アイザック・アシモフ(「ロボットの時代」より) ・「春の磯」 坂田靖子 (コミック「磯の貝に聴いた咄」より) ・「空飛ぶフライパン」 ロバート・F・ヤング (「ジョナサンと宇宙クジラ」より) Little Selection 6の「おいしい話」は、 ・「焼岳の月見」 庄野英二 ・「ソリマンのお姫さまの話」 チャペック(「長い長いお医者さんの話」より) ・「ぶり大根」 清水義範 (「12皿の特別料理」より) ・「夏の盃」 波津彬子 (コミック「雨柳堂夢咄」より) ・「食べる」 池波正太郎 と、バラエティ豊か。巻末には、かん子さんの解説付き。薄くて小ぶりの本は、 手にとりやすいものとなっています。 興味あるものだけ読むというのも良し、気に入った一編が見つかったら、収録さ れていた本編を探して読んでみるのも、その作家の別の作品まで追っかけてみる のも良しと、いろんな読み方もできるでしょ。さしづめコンピレーションアルバ ムならぬコンピレーションブック!?なーんて。ここを入り口にして、読書の幅 が広がっていくといいよね。 個人的には、「おいしい話」と「花のお江戸のミステリー」がお気に入り。 「おいしい話」に収められている、清水義範さんの「ぶり大根」は、料理の実況 中継というか、書かれているように作れば「ぶり大根」のレシビになっちゃうと いう物語。これがホントによだれが出てきそうなほど美味しそうなんだよぉ〜。 そして、このシリーズの中でいくつか紹介されているコミックの中で、一番気に 入ったのが波津彬子さんの「雨柳堂夢咄」。骨董屋“雨柳堂”を舞台に、ものの けを見ることができる少年を主人公にしたもの。もののけといっても、おどろお どろしいものではなくって、作品全体に漂う雰囲気も、ホッと安らいだ気持ちに させられる読後感もいいのよ〜。 江戸の町を舞台にした岡本綺堂の「半七捕物帳」シリーズや、都筑道夫の「なめ くじ長屋捕物さわぎ」シリーズをとりあげた「花のお江戸のミステリー」では捕 物帳って、おもしろい!と新しいジャンルに目覚めたりして…。 中・高校生に…、そして大人の方にも、ぜひ!! |
| 6月11日(月) 「口笛吹いて」 重松清(文芸春秋) “直木賞受賞後、初の小説集”と銘打った、重松氏の最新刊。 子どもの頃、憧れの存在だった晋さんとの、26年ぶりの苦い再会を描いた表題作 を含め、5篇からなる短編集。 相変わらず繰り広げられるのは、現代の日常を切り取ったドラマ。 正直言うと、一作目の表題作を読んだ後、投げ出そうと思ったんだよね。 だって、おっさん入ってるよねぇ〜〜、これ。 なんか、へんなセンチメンタリズムに耐えられませんでした。 晋さんじゃなくても、私だって、こんなこと言われたら、すっごいヤダよ。 …というわけで、なーんかいまいちノリきれずに読み終わってしまった印象は、 拭い切れず。うーん、近頃の重松作品は、何を読んでも(「隣人」除く) 同じパータンというのは、やっぱりきついなぁ。 |
| 6月11日(月) 「上と外 5」 恩田陸(幻冬舎文庫) 待ってたよぉ〜〜。「上と外」の第5巻目! 4月発売からの延期、当初予定されていた全5巻の変更、そして、これまで 各巻150ページほどのペースでしたが、今回は210ページに増量して…と、 いろいろあるようですが、とにかく今回も、ハラハラしたぁ〜〜!! 革命新政府が謎の声明を発表した頃…。 賢と千鶴子は、ヘリコプターでの捜索を開始し、練は巻き込まれた「儀式」に挑 む。そして、千華子は…。 ラストに向かって、そ、そんなに広げちゃっていいの??と、これまたドキドキ した革命新政府の発表の意味は??そして、練と千華子は一体??? あぁ、あぁ、もうどうなるのよぉ〜〜。 次回ホントに?最終巻らしいのですが、どうか、どうか納得できるラストであり ますように…。 |
| 6月4日(月) 「素晴らしい一日」 平 安寿子(文芸春秋) 会社は倒産。銀行員だった婚約者は使いこみがバレて雲隠れ。貯金も底を ついてきた。そして思い出したのが、友朗に貸してたお金のこと。そうだ、 あの二十万円を回収するんだ!しかし、返してもらおうと友朗の元に 出向いた“わたし”は、彼に振り回されることになる…。 「素晴らしい一日」 第79回オール読物新人賞受賞の表題作を含め、全六篇の短篇集。 これが、著者の処女作となる。 この中では「素晴らしい一日」「おいしい水の隠し場所」「商店街のかぐや姫」 の三篇が好き♪ (残り三篇は、どこかで読んだことがある…という印象で、先が読めちゃった) 特に、「素晴らしい〜」と「商店街の〜」の、甲斐性なしで、だらしなくて、 だけど、なぜだか憎めない…というキャラクター造形が非常に巧い! それに尽きるね。「商店街の〜」のラストでは、グッときた。 ユーモアを混じえた軽快な読み口も、後味も良い。 読み終わると、肩の力がふっと抜けて、心が晴れやかになる…そんな一冊。 現在執筆中という長編作に期待しちゃおっと! |